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春なれや名もなき山の薄霞    芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春霞海も野山もぬりつぶし 赤塚篤子 末黒野句集 201203
峰々を遠くに重ね薄霞 高山繁子 末黒野句集 201203
国原は霞む観覧車よりの景 田中芳夫 201204
夕霞瀬音の中の峡の宿 金田和代 かさね 201204
身の内に地震の揺れあと山霞む 岡井マスミ 末黒野 201204
春霞むかしは山が山を戀ふ 竹貰示虹 京鹿子 201204
夕霞川面見下ろす露天風呂 丸山酔宵子 かさね 201205
不意の雪赤提灯も霞む宵 丸山酔宵子 かさね 201205
禅寺の御堂あまねく霞みけり 松岡利秋 かさね 201205
別れたる背中霞に消えにけり 松岡利秋 かさね 201205
ビル霞み恪勤の日々霞むかな 山田夏子 雨月 201205
鎮魂の二文字重し霞む日は 千田敬 201205
霞より行へたづぬる放送ぞ 箕輪カオル 201205
対岸のビルは霞に沈みをり 佐藤喜仙 かさね 201206
春霞あの世この世をへだてるごこと 長島清山 かさね 201206
夫の来て村の噂や春霞 高倉恵美子 201206
群れ鳥の頭より突込む大霞 熊川暁子 201206
白といふ変幻のいろ春霞 千田敬 201206
飛鳥京霞みて方位盤頼る 菅谷たけし 201206
霞立つ向う明日が見えますか 酒本八重 201206
錠剤はどれも白色春霞 三浦澄江 ぐろっけ 201206
三条のぎぼし大橋夕霞 三枝邦光 ぐろっけ 201206
吾にくすり妻にくすりや霞立つ 川端俊雄 火星 201206
すぐ霞みけり竣工のスカイツリー 田中貞雄 ろんど 201206
タンカーのゆるり過るや遠霞 安斎久英 末黒野 201206
船笛の届き霞める沖の船 上村光八 末黒野 201206
春霞飛行機雲の海に果つ 岡野安雅 かさね 201207
動かねば霞とならむ杖の母 柴田佐知子 201207
灯を埋め薄絹色に夕霞 宮崎きみ枝 201207
海底に都市あるごとく霞みをり 森岡正作 201207
タンカーの行き交ふ沖や昼霞 岡田史女 末黒野 201207
船笛に驚かさるる霞かな 志方章子 六花 201207
春霞蓬莱山の賑々し 杉原ツタ子 201208
海嘯の村一つ消え鐘霞む 赤川誓城 ホトトギス 201208
霞みてはうつつを夢とし給へる 長山あや ホトトギス 201208
対岸に人の暮しや朝霞 今橋眞理子 ホトトギス 201208
彷彿と霞の中の記紀の島 今村征一 ホトトギス 201208
トンネルを出れば九州春霞 神田惣介 京鹿子 201208
巌島に潮満ち来たり春霞 野村靹枝 京鹿子 201209
稜線といふ霞吐く角度かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
朝霞より抜け出して来し鳥語 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
晴れてゆく霞の行方追はずとも 稲畑汀子 ホトトギス 201303

 悼百崎つゆ子様

温顔を霞の果に見失ふ

稲畑汀子 ホトトギス 201303
春霞ぽんと文字出す電子辞書 布川直幸 201303
太平洋の霞に三千世界あり 本多俊子 光のうつは 201404
霞みたる三輪へ入山鈴たすき 坂根宏子 野山の道 201404
実生の木すこやかに伸び初霞 井上義郎 201404
金色の鴟尾見え隠れ夕霞 石川かおり 福袋 201404
軒ちかく線路カーブす初霞 松井倫子 火星 201404
下界の灯すべて呑み込み大霞 堀田清江 雨月 201405
手庇に見遣る半島春がすみ 神田美穂子 万象 201405
連山を仏界として春霞 柴田佐知子 201405
敦子先生思へば霞ただならず 武政礼子 雨月 201405
陶板の絵の鮮やかや霞む中 松田洋子 201405
タンカーの霞満載して消ゆる 上谷昌憲 201406
一山の峰は霞に地蔵堂 高野春子 京鹿子 201406
ラウンジや霞の中に警視庁 門伝史会 風土 201406
忽ちに包囲されたり春霞 森理和 あを 201406
遠霞ずり落ちさうな昼の月 宮井知英 201406
法要の木魚紀州の嶺々霞む 上村富美子 雨月 201406
寂寥の背広のベンツ沖霞む 益本三知子 馬醉木 201406
四万十の川の移ろひ春霞 宮地静雄 末黒野 201406
汽笛のみ大きく聞こえ霞む朝 中川すみ子 201406
セスナ機の過ぎる青空かすみけり 丑久保勲 やぶれ傘 201406
ビル群に日の昇り来て棚霞 柿沼盟子 風土 201407
島霞み菊の御紋の三笠艦 松本三千夫 末黒野 201407
今朝の経わが身に説くや春霞 渡辺次代 ろんど 201407
三塔を臨む桟橋朝霞 神谷さうび 末黒野 201407
霞より富士現るるとも消ゆるとも 今橋眞理子 ホトトギス 201407
離陸機をつぎつぎに呑み大霞 楠原幹子 201407
春霞那須与一の立ちどころ 佐野つたえ 風土 201407
阿蘇山は霞の中に豊肥線 だいじみどり 201407
浅草や新旧二塔霞みつつ 服部早苗 201407
幻か三保の霞に富士浮かぶ 大坪景章 万象 201407
岬鼻やひとつに霞む海と空 堺昌子 末黒野 201408
春霞夫指す方に男体山 恩塚夕子 馬醉木 201408
初島を芯に置きたる薄霞 木暮陶句郎 ホトトギス 201408
漁り舟水面へ消ゆる遠がすみ 西川みほ 末黒野 201408
石庭の借景の山かすみけり 平居澪子 六花 201408
照り霞む夢見形の風の塔 田部井幸枝 201409
振り向けばもう照り霞む皇居かな 樋口みのぶ 201409
さみだれに竹生島かすみて過ぎにけり 藤生不二男 六花 201410
ままごとや黒き漆器に霞詰め 有松洋子 緑光 201411
春がすみ佳境にはひる紙芝居 有松洋子 緑光 201411
霞む山だんだん見えて近づきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201503
考への二転三転遠霞 稲畑汀子 ホトトギス 201503
抜けられぬ霞の果のなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201503
霞む山見えて近づきをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201503
霞抜け水平飛行空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201503
街霞みビルの高さを失へり 稲畑汀子 ホトトギス 201503
地平線関東平野遠霞 稲畑汀子 ホトトギス 201503
どこまでも霞む関東平野かな 稲畑汀子 ホトトギス 201503
朝霞抜けて関西弁の語尾 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
白銀の連山模糊と朝霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
鳥獣を煮て食つて山かすみたり 深川淑枝 201503
漕ぎ出でて霞の芯にゐるらしく 戸栗末廣 201503
信濃路や霞の奥の杉襖 西郷慶子 201504
信濃路や霞の奥の杉襖 西郷慶子 201504
薄霞真白きままに今朝の富士 川村亘子 末黒野 201505
春霞突きつくばエクスプレス号 藤原照子 201505
遠眼鏡三百円の町霞み 井上石動 あを 201505
棚霞伎芸天掛く 肩巾 ひれ 長し 椿和枝 201505
春霞実しやかに売茶翁 瀬川公馨 201506
伊賀甲賀一つにしたる春霞 岩下芳子 201506
春霞卑弥呼の影の遥かなり 岩月優美子 201506
讃岐路の山皆まろし昼霞 森脇貞子 雨月 201506
順打ちの行く手に霞む讃岐富士 森脇貞子 雨月 201506
かへりみて深吉野すでに霞立つ 溝内健乃 雨月 201506
野の霞その彼方なる父郷かな 豊田都峰 京鹿子 201506
春霞地球が摩擦してそうな つじあきこ 201506
春霞蛇行の川のゆるやかに 菊池洋子 やぶれ傘 201506
島々をむすぶ航跡遠霞 菊池洋子 やぶれ傘 201506
堂塔も高層ビルも霞みたり 藤田裕子 万象 201506
沖へ向く船まだ児えて遠霞 生田作 風土 201506
向かう岸畑に人影野辺霞む 羽賀恭子 201506
春霞忍びし恋のここちして 臼井珊瑚 201506
ノクターンを聴く夕暮の霞かな 長崎桂子 あを 201506
引きし跡寄す波被ふ春霞 森理和 あを 201506
沖霞動くともなきスクーナー 山崎稔子 末黒野 201506
捕込 とつこめ てふ下総台地草霞む 湯橋喜美 201506
春霞大地たひらに耕され あさなが捷 201506
結婚記念日蛤つゆの薄霞み 大川ゆかり 201507
霞みけりわけても主峰モンブラン 成田美代 201507
霞立つ山懐に栗鼠の村 中嶋陽子 風土 201507
ハーブ園より霞む港の船二隻 大橋晄 雨月 201507
霞むとは丸も四角も霞むこと 後藤立夫 ホトトギス 201508
我もまた霞の中にゐるのかも 和田華凛 ホトトギス 201508
熟田津はいづかたなるや春霞 白神知恵子 女坂 201508
漁舟霞となつてしまひけり 石川叔子 201508
渡し船霞のなかへ入りにけり 白石正躬 やぶれ傘 201508
高くゆく鴉やうやく霞みけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
橋殿をためらひ渡る晩霞かな 佐藤恭子 あを 201511
遠富士や利根の対岸春霞 山崎刀水 春燈 201604
春霞眠る赤子の宮参り 四條進 201604
春霞飛行機雲の筋交ひに 赤座典子 あを 201604
月山に夕づく霞十重二十重 徳井節子 馬醉木 201605
京葉線もの憂く曲り春霞 成宮紀代子 201605
遠霞海に突き出す安房の山 小林共代 風土 201605
霞みけり山の機嫌の今一つ 折田京子 風土 201605
諸神を収めて霞む大八洲 柴田佐知子 201605
霞へと流れ込みたる煙かな 高橋将夫 201605
大霞して東山隠れたり 岩下芳子 201605
炭で描く柔かな線山霞む 後藤マツエ 201605
魞)竹の向う霞んでゐたりけり 根橋宏次 やぶれ傘 201605
朝霞川辺にダンプつぎつぎと 白石正躬 やぶれ傘 201605
狛犬の霞呑む口呑まぬ口 竹中一花 201606
山襞の一つひとつの生む霞 高橋道子 201606
島青く海またあをくただ霞む 高橋道子 201606
霞晴れ比叡の巓に姫の領布 鈴鹿呂仁 京鹿子 201606
春霞メガネサロンの洗浄器 菊池洋子 やぶれ傘 201606
胎動を秘めし大地や霞立つ 中谷未知 末黒野 201606
摺り足に能の稽古や山霞む 田勝子 万象 201606
ダムの水流す宇治の瀬夕霞 玉置かよ子 雨月 201606
たたなはる山ひと色に霞立つ 堀田順子 馬醉木 201606
筑波嶺は霞の中や蓮植うる 松尾芳子 万象 201607
手品でも始まりさうな春霞 濱上こういち 201607
霞む杜青面金剛踏ん張れり 大畑善昭 201607
遊船の過ぎ行く湖上鐘霞む 森脇貞子 雨月 201607
風渡る近江の湖の春霞 岡尚 風土 201607
竹生島春の霞に浮いてをり 池田光子 風土 201607
男佇つ大桟橋や夕霞 岡田史女 末黒野 201607
沖霞廻ると見えぬ大風車 岡野里子 末黒野 201607
白山を後方に加賀の霞みゐる 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607
名城の面影白し加賀霞む 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607
霞へと青春十八キップ消ゆ 中田禎子 201607
拒むかに霞みてゐたる沖の島 矢野百合子 201607
東京のまッたゞなかの霞かな 久保田万太郎 春燈 201608
鯉の口霞を呑んで引つ込みし 木村享史 ホトトギス 201609
夕霞死者を弔ふ寺の鐘 沼田巴字 京鹿子 201703
初霞宿木多きご神木 佐藤和子 万象 201704
初霞友は比叡へ登りゆく 伊吹之博 京鹿子 201705
波の端を踏んで霞の中にをり 岩木茂 風土 201705
一村に投網掛けたるごと霞む 柴田久子 風土 201705
下流より上流霞みゐる大河 山田天 雨月 201705
天地のギャップを埋める霞かな 高橋将夫 201705
そこだけは霞かからず裁判所 高橋将夫 201705
木木被ふさくら色なり春霞 今井充子 201705
春霞たなびきにけり明日香村 井上石動 あを 201704
春霞まとひし山の重くなる 柴田佐知子 201705
連なれる嶺の限りを春霞 柴田佐知子 201705
山羊曳いて母が出て行く霞かな 宮井知英 201705
鐘霞むまだいくらでも眠れさう 大川ゆかり 201705
輪郭さへ見えぬ生駒や遠霞 大橋晄 雨月 201706
返還のままならぬ島遠霞 稲岡みち子 雨月 201706
上皇と後鳥羽以来の遠霞 七郎衛門吉保 あを 201705
稜線の重なる出羽や遠霞 長谷川はまゆう 末黒野 201706
仙人の食み残したる遠霞 岩下芳子 201706
佐用姫の赤き鼻緒に春霞 近藤紀子 201706
三面鏡きのふとけふと春霞 有松洋子 201706
一山の背を浮かべたる棚霞 佐藤保子 馬醉木 201707
河童出て来さうな水辺夕霞 神谷さうび 末黒野 201707
霞む夜のガス灯パリの旅はるか 木戸渥子 京鹿子 201707
一島の霞めば瀬戸の縁起めく 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707
原宿の陸橋遥かに霞む富士 神田惣介 京鹿子 201707
沖霞めくれ出で来し漁舟 湯川雅 ホトトギス 201707
西山を秘色に染めし夕霞 涌羅由美 ホトトギス 201707
春霞記憶の壷のふたを閉づ 藤田美耶子 201707
丘に出て連山遠く春霞 早川八重子 末黒野 201708
霞むだけ霞み心に富士の位置 河野美奇 ホトトギス 201708
青空を傷つけぬやう霞みけり 山内碧 201707
海霞みをりネモフィラの丘の果て 江見悦子 万象 201708
瀬戸内の島々浮かせ沖霞 稲岡みち子 雨月 201708
立山は霞の奥や松の芯 田中道江 万象 201709
傘打つてたちまち消ゆる霞かな 永田万年青 六花 201804
とめどなく霞まじりの湯のけむり 能村研三 201804
子は遠きと思ふや海に夕霞 コ田千鶴子 馬醉木 201804
切墨の杉の香に咽す棚霞 平子公一 馬醉木 201805
鐘霞む鎌倉すでに旅の果 高橋泰子 末黒野 201805
一山の箍の緩める春霞 森岡正作 201806
ハロン湾墨を零して大霞 七郎衛門吉保 あを 201805
丸く見ゆ南シナ海遠霞 七郎衛門吉保 あを 201805
街へ出る遠山霞愛でながら 高村令子 風土 201806
父の鍬いまも霞の底を打ち 南うみを 風土 201806
中空に鳶を放てる霞かな 安斎久英 末黒野 201806
踏み出せばなんとかなるよ遠霞 寺田すず江 201807
春霞記憶の壺のふたを閉づ 藤田美耶子 201808
国引の伝説曳きて春霞 川内谷育代 馬醉木 201808
春霞山里すべて夢の中 藤波松山 京鹿子 201808
信仰の鋸山や沖霞む 田中臥石 末黒野 201808
明けやらぬ甲府盆地や朝霞 鍋島武彦 末黒野 201808
旧道を抜ければ堤山霞 竹内文夫 やぶれ傘 201808
二た岬霞にかくれ無音界 佐久間由子 201810
句碑を得て一山霞み易きかな 田辺博充 201901
ゆらゆらと船が空航く花霞 安田優歌 京鹿子 201901
六甲山霞の中にある所在 稲畑汀子 ホトトギス 201903
初霞晴れ松原に光射す 田中藤穂 あを 201903
扇骨を干して霞の中にをり 岩木茂 風土 201905
遠山の霞み暮れけり梅二月 藤生不二男 六花 201905
この霞ぬけて地獄か極楽か 高橋将夫 201905
連山の天突く鉄塔遠霞 杉原ツタ子 201906
春霞天地をつなぐ衣かな 江島照美 201906
神獣鏡に卑弥呼の祈り春霞 藤田美耶子 201906
今更に娘が欲しき夕霞 田代貞香 201906
蔵まちの利き酒時の鐘霞む 仲里貞義 201906
霞→ 8      

2021年4月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。