霞 2        97句

白浪を一度かゝげぬ海霞    芝不器男

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春霞脱いでまぶしき鳥となる 篠原俊博 銀化 200105
来歴は霞がくれに置くものを 中塚龍之介 銀化 200106
遠霞ゆきの切符を手配せり 渡辺知美 銀化 200106
孤島なり霞のなかの落日は 金子兜太 海程 200107
金字塔上下に分かつ春霞 瀬川公馨 200107
さぬき山脈大霞してくさめ人 高重京子 200107
霞む中ブルーモスクに逢ひにけり 夏目満子 酸漿 200107
霞立つ父母眠る地の山遠く 桑垣信子 いろり 200107
車椅子霞の中を押されゆく 村越化石 200107
歩きつつ霞の中と思ひけり 橋本佐智 円虹 200107
ゆったりと霞の上の武甲山 須賀敏子 あを 200104
たばこ辞め今日で十日の春霞 河合笑子 あを 200105
霞より漁船の帰る下田港 赤羽正行 遠嶺 200107
すこしくは霞を吸つて生きてをり 能村登四郎 200108
瓜人先生羽化このかたの大霞 能村登四郎 200108
桐の花霞を食みて遠くなり 矢野千佳子 京鹿子 200108
野を遥かなるものとして霞みたる 岡田順子 ホトトギス 200109
夕霞どこかで水の匂ひけり 石田邦子 祭笛 200109
束稲山の霞のなかぞたなごころ 岡井省二 200110
霞みても祝ぎの色置く桜島 稲畑廣太郎 ホトトギス 200203
霞みても男体山でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200203
障壁に立ち来る霞松霞 伊丹さち子 馬醉木 200203
立雛に大和三山霞みをり 伊丹さち子 馬醉木 200203
人麻呂の湯抱鴨山霞立つ 神蔵器 風土 200203
ちいぽおぽんと鼓鳴り春霞 中島陽華 200204
そののちのことやたちまち霞みけり 宮津昭彦 200204
かすむ目に霞の深き山桜 喜多初枝 雨月 200204
人生の岐路に立ちたる霞かな 土井田晩聖 銀化 200204
春霞手ごたへ柔き紙を切る 井上三千女 200205
どれどれと霞の底へ下りてゆく 高橋将夫 200205
見当をつけて霞の山に入る 近藤きくえ 200205
逝く春の霞に入りて大人たり 伊丹さち子 馬醉木 200206
阿修羅なすいくさは遠し霞む海 小野喬樹 馬醉木 200206
濡れ霞夕ベの色は疲れいろ 宇都宮滴水 京鹿子 200206
霞む日は鴎けぶらひ神戸港 鷹羽狩行 200206
夕霞遠く多景島竹生島 上田尚義 雲の峰 200206
曳船の霞んで上る隅田川 及川澄江 風土 200206
アイヌ名の山も霞の中に在り 村越化石 200206
遠霞む開門橋までゆくところ 大東由美子 火星 200206
呼子鳥はるか呼子の海霞む 中島伊智子 酸漿 200206
遠霞見わたす町に塔一つ 阿部悦子 酸漿 200206
瑠璃鶲霞桜の谷に散り 阿部悦子 酸漿 200206
霞立ちかくも世隔て住みなすか 大橋敦子 雨月 200206
夕霞日輪白く落ちゆきて 高垣和惠 雨月 200206
山と河お粥色なる春霞 宮森毅 六花 200206
霞むほかなき山々の霞みけり 有働亨 馬醉木 200207
奇しき名の雁ヶ腹擦山霞む 有働亨 馬醉木 200207
甲斐路なほ雪嶺のぞく桃霞 川勝春 馬醉木 200207
学舎に逝きし子恋の夕霞 辻本みえ子 馬醉木 200207
すぐ合点ゆかざるほどに霞む富士 安原葉 ホトトギス 200207
霞みゐるところに橋を架けてあり 後藤立夫 ホトトギス 200207
夕霞くぐりてきたる川やはし 岩田育左右 遠嶺 200207
想望の峰影泛ぶ春霞 岩田育左右 遠嶺 200207
やはらかに土手の霞の裾踏めり 清水晃子 遠嶺 200207
鐘霞む今日一心に犬洗ふ 半澤佐緒里 百鳥 200207
高原に来て里の家霞みけり 羽根田和子 百鳥 200207
平家落人墓所の光陰霞むかな 久保晴子 雨月 200207
周防岬空を分かたず夕霞 喜多初枝 雨月 200207
歳月に匂ひありけり遠霞 小林希世子 200206
花霞ひと日丸ごと眠りたし 小島みつ代 200206
春霞遠流の島へ通ひ船 鰍澤真佐子 春耕 200207
春霞むかし政庁ありし跡 曷川克 遠嶺 200208
盧山寺のすやり霞に苔の花 渡辺玄子 酸漿 200208
すぐそこの島の霞める更衣 山尾玉藻 火星 200209
津々浦々さくら霞や秋津島 大浦ヤ 帆船 200209
鬼ヶ島猿岩ありて霞みけり 今井久良子 酸漿 200209
歌碑ありて岳の辻より霞む海 今井久良子 酸漿 200209
男岳猿石かこむ薄霞 今井久良子 酸漿 200209
聖塔の耀き初めし朝霞 辰巳比呂史 200211
鉄塔の連なる丘や春霞 高橋寛實 帆船 200212
尾根筋の込み合うてゐる霞かな 土井田晩聖 銀化 200301
遠霞地域振興券とやら 二瓶洋子 六花句集 200205
沖に沖あつて霞める船が航く 塩川雄三 潮路 200210
海峽の霞より現れ鷹渡る 丸川越司 円虹 200202
鉄路いま寄り添ひたくて霞むなり 長井順子 200302
富士山を霞の奥に見失ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200303
霞む富士見てゐるうちに見えて来し 稲畑汀子 ホトトギス 200303
朝霞より現れて海の色 稲畑汀子 ホトトギス 200303
霞みくる富士や一竹辻が花 太田昌子 馬醉木 200304
玉霞ポンパドールを襲ひけり 中原道夫 銀化 200303
朝霞富士どの辺りあの辺り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200304
二タ本の榧の木の谷霞みをる 石脇みはる 200304
山霞む母と蕨を採りし日の 清水節子 馬醉木 200305
夕霞耳にあてたる貝の殻 田中聡子 遠嶺 200305
飛鳥への旅近づきし遠霞 鈴木石花 風土 200305
荒鋤きの土の匂へる霞かな 南うみを 風土 200305
遠霞南アルプス空に浮く 飯田政子 築港 200305
一村は野鳥の保護区朝霞 田中せつ 帆船 200305
ひむかしに寧楽の都の霞かな 山田六甲 六花 200304
霞濃くて筆の運びがままならぬ 松山律子 六花 200304
霞より駈けて来し子の息使ひ 中野八重子 火星 200305
山河古り霞の中になほ親し 舩越美喜 京鹿子 200305
霞から糸を紡ぐがごときかな 高橋将夫 200306
春霞九絵の尾鰭もあら炊きも 雨村敏子 200306
八日ほど霞を吸うて杣ぐらし 小澤克己 遠嶺 200306
朝霞ヘッドライトの長き列 田中清子 遠嶺 200306
ふるさとの霞の中に烏城かな 中谷葉留 風土 200306
霞 3      

 

2021年3月17日 作成

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