柏 餅 1      223句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
柏餅母の手窪の小さかり 山田弘子 春節 199503
赤子とて氏子のひとり柏餅 尾崎マス子 雨月 199807
柏餅食ぶや天指す熊野みち 田中佐知子 風土 199807
味噌餡もある柏餅峡の茶屋 尾崎マス子 雨月 199807
人は何かに向かつて叫ぶ柏餅 小澤克己 遠嶺 199905
食ふことの新たなりけり柏餅 村越化石 199906
柏餅ずしりと力貰ひけり 山田弘子 円虹 199908
曲家に柏餅などとんできて 神田夏果 海程 199908
柏餅食うぶに作法など問はず 山田弘子 円虹 199908
母子家庭せめて祝ひの柏餅 岩崎憲二 京鹿子 199908
大きさがもつとも柏餅らしく 稲畑汀子 ホトトギス 200005
一つとは言べず柏餅二つ買ふ 正木光子 いろり 200006
柏餅今年は食べずじまいなり 篠田三七子 いろり 200007
柏餅大き手の平小さかり 後藤立夫 ホトトギス 200009
柏餅どろばう回りに配らるる 内田美紗 船団 200009
柏餅のみそあん残り仏壇へ 三池泉 船団 200011
身を折りて祝きの口上柏餅 しおやきみこ 船団 200102
あしがらや僧都の墓に柏餅 堀田政弘 200102
柏餅ほんまに一年生かいな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200105
柏餅投函口に手を挟む 山本純子 船団 200105
葉をおのが力でひらき柏餅 鷹羽狩行 200106
柏餅夫は味噌餡好きでした 芝尚子 あを 200107
出来たての柏餅買ふ城下町 森田ゆり 風土 200107
柏餅おのづと皿に葉をひらく 皆川盤水 春耕 200107
柏餅作る葉をまた浸しけり 桑田眞佐子 火星 200108
柏餅葉の嵩のみの残りけり 吉永とほる 円虹 200108
柏餅話のはづむ昼さがり 羽畑幸子 円虹 200108
彼待ちてじんわり乾く柏餅 泉田秋硯 200108
柏餅片手握りの指の跡 岡野峯代 ぐろっけ 200109
柏餅板の間に山すわりたる 木曽岳風子 六花 200109
親指は休憩時間柏餅 成定紋子 船団 200109
巡礼の母子へ恵む柏餅 嶋木勝次郎 遠嶺 200110
死の淵を見て来しと言ふ柏餅 朝妻力 雲の峰 200206
文具店前に並びし柏餅 平井幸子 帆船 200207
髯面の双子となれり柏餅 左々法子 百鳥 200207
柏餅食べる小さな正座かな 山下唐泉 百鳥 200208
鶯餅桜餅はや柏餅 宮原みさを 花月亭 200208
柏餅みそ餡こし餡つぶし餡 宮原みさを 花月亭 200208
柏餅の小ぶりや女性上位の世 川崎光一郎 京鹿子 200208
柏餅刀鍛冶師を夢見しも 勝亦年男 200209
虫喰の系図に供へ柏餅 三村純也 ホトトギス 200210
葉隠の極意を見たり柏餅 田村はじめ 銀化 200301
人力車の膝の上なる柏餅 吉田康子 青山椒 200303

 祝 浅井博志様御結婚

これよりは二人のための柏餅

稲畑汀子 ホトトギス 200304
柏餅をのこ優しくなりしかな 丹生をだまき 京鹿子 200307
地獄耳取り分けている柏餅 西塚成代 六花 200308
後継ぎの話あれこれ柏餅 藤原りくを 八千草 200311
剣学ぶことなく過ぎて柏餅 小山徳夫 小春の山河 200401
柏餅葉を買ひに来る菓子屋かな 吉沢かねよ 帆船 200406
口重き人に隣りて柏餅 和田一 雨月 200407
祖父母健在大皿に柏餅 斎藤くめお 対岸 200407
本郷の近江屋に買ふ柏餅 田中重子 雲の峰 200407
武士の血の脈々と柏餅 高橋照子 雨月 200407
柏餅母の忌過ぎて三十年 村尾キヌ 帆船 200407
叱られし頃の懐かし柏餅 長野純顕 対岸 200408
酒断ちてひとつ手がでる柏餅 小山香月 酸漿 200408
柏餅いまむきし葉の今さびれ 戸田和子 200408
歯形皆違ふも楽し柏餅 鈴木えり子 百鳥 200408
粒と味噌選んで買えり柏餅 中島英子 八千草 200411
げんこつの後の懐柔柏餅 泉田秋硯 黄色い風 200505
七教の人の和重し柏餅 鈴鹿仁 京鹿子 200506
柏餅包む大葉の茶褐色 水谷みつゑ 築港 200507
到来の柏餅歯にくつつけり 早川いま 築港 200507
柏餅になりてうたた寝してしまふ 荻野千枝 京鹿子 200508
母在すだけでしあはせ柏餅 元永高美 200508
雄心のとふに消えうせ柏餅 江崎成則 栴檀 200508
快晴の休暇となりぬ柏餅 石川英利 百鳥 200508
うしろ手に母の近寄り柏餅 徳丸峻二 風土 200508
白きもの隠しおほせず柏餅 鷹羽狩行 200606
あをぞらの欲しくなりたる柏餅 冨田正吉 200607
型紙通りの葉の柏餅亡国論 戸田和子 200607
父さんと妻に呼ばるる柏餅 冨田正吉 200607
男児なき我家二人の柏餅 木野裕美 ぐろっけ 200608
夕ベとは母に供へる柏餅 田中英子 火星 200608
柏餅頬張れる爺顔歪め 今井梔子 200608
めそめそと暮れてしまひぬ柏餅 石川笙児 200608
風あをき父の忌日や柏餅 長沼恒子 馬醉木 200609
昔吾に弟居りし柏餅 嶋田摩耶子 ホトトギス 200610
弟に母やさしかり柏餅 嶋田摩耶子 ホトトギス 200610
生意気盛りの子手の内の柏餅 本城布沙女 雨月 200611
ほんものの葉に包まれて柏餅 池崎るり子 六花 200704
葉脈の頼もしきかな柏餅 鷹羽狩行 200705
立て膝の母と包みし柏餅 荒木甫 200707
温みなほ残して届く柏餅 坂本知子 酸漿 200707
柏餅提げて隅田の橋渡る 大西八洲雄 万象 200707
時差ぼけの夕餉のあとの柏餅 木暮剛平 万象 200708
美濃市殿町に生まれて柏餅 岬雪夫 200708
柏餅山盛りにして円居かな 伊東政勝 遠嶺 200708
柏餅賢兄愚弟仲の良き 丹生をだまき 京鹿子 200709
初宮や赤飯に添へ柏餅 大畠政子 雨月 200710
手つかずのままに夜更の柏餅 ことり 六花 200805
二つ目は一人で食べる柏餅 青山丈 200806
柏餅老舗の幟の筆の文字 山川好美 春燈 200807
柏餅律儀に食める五日かな 赤座典子 あを 200807
柏餅大きく作り農婦老ゆ 関根洋子 風土 200807
柏餅よちよち歩む翔馬くん 須賀敏子 あを 200807
頑な雛のほころぶ柏餅 横松しげる 遠嶺 200808
老忘れ子の年忘れ柏餅 小國佐世子 遠嶺 200808
をのこにも手伝はせ蒸す柏餅 ことり 六花 200905
柏餅今日逆上り出来ました 稲畑廣太郎 ホトトギス 200905
食べ終へて葉の無惨なる柏餅 片山由美子 200905
餅肌といふはこれなり柏餅 片山由美子 200905
柏餅平家の裔は語らざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200905
ひたすらに父のやさしさ柏餅 西岡啓子 春燈 200908
独り身の子へ持たせやる柏餅 永島雅子 春燈 200908
柏餅日のぬくもりを食べにけり 山本無蓋 200908
にぎやかな隣の部屋や柏餅 涼野海音 火星 200908
切り捨ての網目大まか柏餅 高木晶子 京鹿子 200909
何をするにも兄の真似柏餅 仲田美智子 200909
残りをり葉の破れたる柏餅 涼野海音 火星 200910
柏餅一生に為さんことあまた 長谷川櫂 200910
柏餅母は教へぬ葉のありか 川鍋明子 201002
祖父の代に屋号は絶えて柏餅 片山由美子 201005
持ちてみて重きを選みぬ柏餅 ことり 六花 201005
大き手の人信じける柏餅 岡部名保子 馬醉木 201007
手土産の香の豊かなり柏餅 小松渓水 酸漿 201007
父をよく知る人来たり柏餅 近藤牧男 春燈 201007
表具師の弟子一人得て柏餅 内海良太 万象 201007
一族に男の子五人や柏餅 中川すみ子 201007
戒名の数だけ買ひぬ柏餅 白石善子 雨月 201008
味噌餡にこだはりし母柏餅 遠藤節子 201008
筆太の老舖の暖簾柏餅 細島孝子 末黒野 201008
柏餅遺影の祖父も数に入れ 丸山美奈子 馬醉木 201008
柏餅二児が二児共変声期 山中宏子 201008
甘さ節制それでも今日は柏餅 丹生をだまき 京鹿子 201009
生返事して味噌餡の柏餅 安藤久美子 やぶれ傘 201010
柏餅母が計りし身丈裄 佐藤喜孝 あを 201104
水筒を新茶あふるる柏餅 水原秋櫻子 馬醉木 201105
傾ぎぶり佳き黒松や柏餅 荒井千佐代 201107
連綿と由緒の書かれ柏餅 大橋晄 雨月 201107
茶の湯とて押しいただきぬ柏餅 磯崎清 201109
男ぶり良き葉脈の柏餅 丸井巴水 京鹿子 201109
小さき手をはみ出して受く柏餅 黒滝志麻子 末黒野 201109
東京のホテルにひとり柏餅 内藤三男 ぐろっけ 201109
柏餅児の食欲に癒さるる 北尾章郎 201109
母の顔となりし吾子かな柏餅 貫井照子 やぶれ傘 201110
葉の数に育ちゆく子や柏餅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
おん顔の欠けし地蔵に柏餅 山田美知 万象選集 201205
柏餅闘志包んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
跡継ぎといふ枷ありて柏餅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
電車ごっこ大好きな子よ柏餅 辺田たか子 万華鏡 201206
跡継ぎの男の子を持たず柏餅 伊東和子 201207
武具持たぬ人形が好き柏餅 木島茶筅子 かさね 201207
白味噌の餡望郷の柏餅 成宮紀代子 201207
柏餅食つて向かへるパソコンに 長島清山 かさね 201207
小豆餡ずんだ餡あり柏餅 河内桜人 京鹿子 201208
目つむると森の匂ひの柏餅 宮井知英 201208
仏壇に供へ忘れし柏餅 林美智 ぐろっけ 201208
山彦のよく返る日よ柏餅 荒井千佐代 201208
柏餅葉は本物かすかし見る 土屋青夢 ぐろっけ 201208
三姉妹夫を亡くして柏餅 林和子 万象 201208
兄弟に男はあらず柏餅 柴田久子 風土 201208
孫の手に余る柏餅あんまみれ 東秋茄子 京鹿子 201208
縮む背を比べ姉妹の柏餅 石井美智子 風土 201211
男の子でも涙見せるさ柏餅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
柏餅あれば数へてしまふなり 高橋将夫 如意宝珠 201306
昔はで話はじまる柏餅 鷹崎由未子 春燈 201307
手造りの至福のかたち柏餅 小山繁子 春燈 201307
次男には次男の役目柏餅 森下康子 201307
吉野ではちよつと甘党柏餅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
創業は昭和の初め柏餅 久世孝雄 やぶれ傘 201407
柏餅五行五列に並べ売る 常田希望 201407
葉の裏の夜はさびしき柏餅 藤原冬人 火星 201407
柏餅ガラスの血に盛られをり 中山静枝 201407
ほやほやを奨める店主柏餅 増田一代 201407
井川人つくりし赤き柏餅 阿部月山子 万象 201407
あるがまま生かされて生き柏餅 増田甚平 ろんど 201408
柏餅買ひぬ短歌の添へられて 小沼ゑみ子 末黒野 201408
柏餅三種類あり三種買う 鎌田慶子 ろんど 201408
素通りの出来ぬ老舗の柏餅 大村かし子 万象 201409
妣の香を心ゆくまで柏餅 日高孝 201508
叔母見舞ふ笑みて食べよと柏餅 石井雲雀 末黒野 201508
柏餅子の書く文字の我に似て 中嶋陽子 風土 201508
我が街に老舗の菓子屋柏餅 大橋晄 雨月 201508
幼稚園の六十周年柏餅 石谷淳子 雨月 201508
湯気立てて木箱に届く柏餅 久松和子 万象 201508
おほきめに包まれてゐて柏餅 後藤立夫 ホトトギス 201509
あすなろに赤き花咲き柏餅 中島陽華 201509
柏餅残りたる葉に旅惜む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
車座の一男三女柏餅 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607
柏の葉柏の香り柏餅 七郎衛門吉保 あを 201607
奈良町や右も左も柏餅 奥田茶々 風土 201608
柏餅先づ仏壇へ幼の手 横路尚子 末黒野 201608
柏餅伊勢千代紙に包まれて 雨村敏子 201608
若き日の母蘇りたり柏餅 田中信行 201608
後継ぎのことを話して柏餅 石原孝人 京鹿子 201609
乳張りし日の遠かりし柏餅 亀井福恵 京鹿子 201701
跡継ぎのことを話して柏餅 石原孝人 京鹿子 201701
店構へ宿場名残りや柏餅 松本鷹根 京鹿子 201707
柏餅床几に赤き小座布団 小沼ゑみ子 末黒野 201708
母の手の餡のはみ出す柏餅 荒木甫 201708
のれん守るをみな三代柏餅 藤沢秀永 201708
会へばすぐ昔の話柏餅 今井千鶴子 ホトトギス 201709
どの窓も山へ開いて柏餅 坪内稔典 船団 201802
柏餅にもひと工夫ふた工夫 稲畑汀子 ホトトギス 201805
文鎮はガラス作りや柏餅 天野美登里 やぶれ傘 201807
昼飯のしまひに柏餅ひとつ 根橋宏次 やぶれ傘 201807
前山の近づいてくる柏餅 府川昭子 春燈 201807
柏餅ほどの靴はき初節句 梅田武 末黒野 201808
ほのかなる葉の香妣の香柏餅 外山生子 末黒野 201808
柏餅 →2      

 

2022年5月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。