雁渡し 1      200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
青磁器の縁の透きゆく雁渡し 山田禮子 きらら 199810
火渡りの僧に血の差す雁渡し 南出律子 199811
篆刻の甲骨文字雁渡し 平橋昌子 199812
和菓子屋に豆煮る匂ひ雁渡し 前田陶代子 199901
放哉の小浜の寺の雁渡し 深澤鱶 火星 199901
人追へば人の追ひくる雁渡し 丸山海道 京鹿子 199901
雁渡し山の生活の夕けむり 有賀かをり 遠嶺 199903
青磁器の縁の透ぎゆく雁渡し 山田禮子 遠嶺 199905
竹林に葉擦れの音や雁渡し 遠藤和彦 遠嶺 199905
海坂の藍の深さや雁渡し 水原春郎 馬醉木 199911
日時計の影濃くなれり雁渡し 鈴木良戈 199912
文を書く低き灯の聞く雁渡し 豊田都峰 京鹿子 199912
頭塔より望む三笠山や雁渡し 谷野由紀子 俳句通信 199912
木の国はアメリカ村の雁渡し 戸田春月 火星 200001
眼球を包む水膜雁渡し 岡崎るり子 銀化 200001
今もつて去就きまらず雁渡し 鈴鹿百合子 京鹿子 200001
雁渡し芦の合間に人の声 仲村菜花 200002
旅の服藍を選ばむ雁渡し 田中藤穂 水瓶座 200002
雁渡し奈良七口の常夜灯 塩路隆子 精鋭選集 200008
師の沖は弟子の未来ぞ雁渡し 鷹羽狩行 200010
雁渡しささくれだちて蘇鉄の葉 伊藤妙 200010
帆船へ真水も積んで雁渡し 石井則明 200011

 長女結婚

矢のやうにいつてしまひぬ雁渡し

鷹羽狩行 200011
雁渡し乳母車押す畑の道 林田加杜子 いろり 200011
雁渡し坂にゆかりの旧町名 能村研三 200011
露天湯のランプの曇る雁渡し 山県總子 銀化 200011
雁渡し押し出されたる岩一つ 村越化石 200012
長崎に海の名五つ雁渡し 能村研三 200012
高空にきらめく水路雁渡し 小澤克己 遠嶺 200012
肩あげのとれし子の背に雁渡し 岡和絵 火星 200012
耶蘇墓の十字架見えず雁渡し 二神節子 200101
眉太く潮目を読むや雁渡し 甲州千草 200101
遠縁の忌に合ふだけや雁渡し 星佳子 200102
雁渡し駱駝が急に立ち上がる 松永典子 船団 200103
水門はいつ開けられし雁渡し 笠松浩子 200110
人はみな力尽せり雁渡し 水原春郎 馬醉木 200110
雁渡し赤提灯の揺れやまず 保坂加津夫 いろり 200111
雁渡しそば屋のせいろ並べ干し 小野寺和子 200111
大いなるものに引かるる雁渡し 保坂加津夫 いろり 200111
大敷網の歪みてゐたる雁渡し 岩木茂 風土 200112
煙草の火借りに相寄る雁渡し 仲村青彦 200112
娘の歌に夫は目瞑る雁渡し 川端和子 星月夜 200112

 「沖長崎」十五周年

西海の波に勢ひや雁渡し

能村研三 200112
坂道は海へ落ち行く雁渡し 岩木茂 風土 200112
三日分の郵便の束雁渡し 田辺レイ 200112
復員の後杳として雁渡し 武田菜美 銀化 200112
雁渡しさゆらぎもせぬダムの水 伊藤宇太子 200201
国後は息のむ近さ雁渡し 岡田貞峰 馬醉木 200201
海蝕の陸押すちから雁渡し 斎藤棹歌 200201
灯台は白黒縞や雁渡し 児玉素朋 京鹿子 200201
本能寺の百余の位牌雁渡し 柳本洋右子 200202
有明海と不知火海通ず雁渡し 松崎鉄之介 200202
蔵にあるゆたかな時間雁渡し 柴田朱美 京鹿子 200202
黒松の鱗の反りや雁渡し 荒井千佐代 「系図」 200203
雁渡し萱の葎の括らるる 伊藤多恵子 火星 200210
雁渡しやすんばといふ神の木々 中御門あや 雲の峰 200211
素謡のはじまる杜や雁渡し 小澤克己 遠嶺 200211
雁渡し古刹の塔の影濃ゆし 石渡雁聲 築港 200211
雁渡し古刹に残る煙出し 望月栄美 200212
雁渡し火口は碧き水湛へ 堤京子 馬醉木 200212
雁渡し電話どこへもつながらず 藤井晴子 200212
つぎつぎに織りなす水輪雁渡し 大谷茂 遠嶺 200212
ふと声に出でし人の名雁渡し 利根川博 銀化 200212
雁渡し重ねて青き板硝子 仲村洋子 百鳥 200301
雁渡し弟の顔みたくなる 田原陽子 200301
締め直す楡の養生雁渡し 安藤しおん 200301
反り身して軍手をはづす雁渡し 田村園子 200301
岬まで一筋みちや雁渡し 山口順子 200302
雁渡し陶人形の指撓ふ 西村葉子 京鹿子 200302
定位置の椅子一つ空く雁渡し 柴田朱美 京鹿子 200302
みんなみは日本海や雁渡し 和田照海 京鹿子 200302
濤しぶく波止に灯ともる雁渡し 根岸善雄 馬醉木 200303
海底に魚眠りゐむ雁渡し 根岸善雄 馬醉木 200303
雁渡し沼の真中の白き杭 阿部正枝 絵具箱 200304
雁渡し赤きベンチの端に坐し 浦川聡子 水の宅急便 200305
灯台は島のまなざし雁渡し 高崎武義 200308
とつくにの路銀に替へる雁渡し 伊藤白潮 200311
白波の走る湖尻や雁渡し 渡辺周子 雲の峰 200311
雁渡しきのふとおなじ船が着く 小澤克己 遠嶺 200311
海へ向く汽車の道なり雁渡し 石平周蛙 対岸 200312
雁渡し錨四つのペリーの碑 牧悦子 200312
雁渡し天領つなぐ恵蘇の宿 十河波津 200312
眼光の鋭き男雁渡し 星加克己 ぐろっけ 200312
拭けばすぐ乾く子の髪雁渡し 永井収子 200312
雁渡し蚕屋の天窓鳴りにけり 鈴木綾子 百鳥 200312
城跡に道の神あり雁渡し 遠藤和彦 遠汽笛 200312
人麻呂の鴨山いづこ雁渡し 長谷川史郊 馬醉木 200312
漆黒の巨大な錨雁渡し 石平周蛙 対岸 200312
レントゲンに病巣まざと雁渡し 斎藤節子 馬醉木 200312
持統陵まはる坂道雁渡し あさなが捷 200312
八十弦の琴柱波めく雁渡し 新倉舒子 200312
競ひ峙つ北信五岳雁渡し 山口順子 200401
幾世経し梁の手斧目雁渡し 羽根嘉津 200401
萩焼の白釉垂るる雁渡し 中村洋子 風土 200401
雁渡し立てかけて干す釜の蓋 久保知音 対岸 200402
支度なき死などもあらむ雁渡し 能村研三 滑翔 200402
雁渡し鳥居に波の体当り 小橋末吉 対岸 200402
灯台の外に灯のなし雁渡し 有吉桜雲 200402
流木の乾ききつたり雁渡し 佐々木よし子 200402
腹の兒が動くと云へり雁渡し 滝沢伊代次 万象 200409
橋立の松の青さや雁渡し 池尻足穂 雲の峰 200410
雁渡し青竹を組むいぼ結び 栗原梅子 対岸 200410
測定儀越しに目こらす雁渡し 井上紘 雲の峰 200411
魚食べしあとの夜の町雁渡し 永嶋みね子 火星 200411
山肌に眠る古窯や雁渡し 長谷川翠 馬醉木 200411
杖を抱くわが晩年や雁渡し 村越化石 200411
大仏の胎内出るに雁渡し 雨宮一路 200412
雁渡し遠流の島の能舞台 竹中昭子 百鳥 200412
出漁の米運びをり雁渡し 野々村紫 百鳥 200412
旅に買ふ大学ノート雁渡し 中谷葉留 風土 200412
雁渡し訪米の子の発ちゆけり 渡邊睦夫 200412
百幹の竹のさざめき雁渡し 熊岡俊子 雨月 200412
敦盛を語る須磨琴雁渡し 小泉三枝 春燈 200412
釜飯の栗一粒や雁渡し 水原春郎 馬醉木 200412
父遺ししシベリヤの匙雁渡し 柴崎甲武信 春燈 200412
稲荷社の鈴鳴らし過ぐ雁渡し 辰巳陽子 春耕 200412
雁渡し渡つたあとの一つ星 鎌倉喜久恵 あを 200412
列柱の木目うきたつ雁渡し 密田真理子 200501
雁渡し千手観音羽搏かむ 工藤進 200501
組み直す堰の丸太や雁渡し 中里とも子 百鳥 200502
新しき旅の手配や雁渡し 赤池英津子 遠嶺 200503
雁渡し疊の上に洗面器 佐藤喜孝 あを 200509
木のどれもこれもずん胴雁渡し 中村房枝 六花 200510
斧入れぬ樹は神となり雁渡し 柴田佐知子 200511
ためらひの二歩目は軽く雁渡し 瀬下るか 200512
白山の上を渡しぬ雁渡し 鷹羽狩行 200512
きつぱりと割るる板チヨコ雁渡し 柿沼盟子 風土 200512
雁渡し琵琶湖の船に揺れをれば 小松鈴子 酸漿 200512
雁渡し低い枕で寝ねにけり 城孝子 火星 200512
道真の望郷の丘雁渡し 松崎鉄之介 200512
太平洋へ没せる古墳雁渡し 松崎鉄之介 200601
桑の葉の靡く秩父の雁渡し 須永トシ 栴檀 200601
絶筆の六行ほかは雁渡し 岡崎桂子 対岸 200601
清流の先は結界雁渡し 小林眞彦 遠嶺 200601
雁渡し競技ピストル天に打ち 赤木真理 ぐろっけ 200601
戒名の短かき嫁や雁渡し 田中俊子 四葩 200601
海峡を日矢の貫く雁渡し 一民江 馬醉木 200601
火山灰少しふもとへ靡く雁渡し 淵脇護 河鹿 200601
入院のリュックひとつや雁渡し 荒井千佐代 200601
歳時記に遺る夫の字雁渡し 田中藤穂 あを 200601
雁渡し維新の志士の跡を訪ふ 望月久美子 200602
浴槽の縁に尻置き雁渡し 小林正史 200602
雁渡し外貨コインを溜めし壜 山元志津香 八千草 200604
七つ島は岩礁なれや雁渡し 水原秋櫻子 馬醉木 200610
逝く人のあらば訪ふ郷雁渡し 飯田明己 遠嶺 200611
しつらへのやや華美すぎて雁渡し 能村研三 200611
大寺の礎ぬくし雁渡し 大山文子 火星 200612
雁渡し太閤の城日々に見て 加藤みき 200612
味噌蔵の重たく閉まり雁渡し 藤井寿江子 馬醉木 200612
喉仏押へ髭そる雁渡し 小林正史 200612
ロシア見ゆ峠に立てば雁渡し 佐藤哲 万象 200612
遣唐使出で発ちし島雁渡し 松崎鉄之介 200701
雁渡し深井戸の蓋ずれてをり 田中藤穂 あを 200701
雁渡しトレンチ跡の鉤形に 甲田雅子 200701
妹も杖持ちそむる雁渡し 宮野照子 馬醉木 200702
潜水服汐吹き乾く雁渡し 綱川恵子 万象句集 200703
税関は海に真向かひ雁渡し 矢島久栄 200703
ライターのなかなか点かぬ雁渡し 須田紅三郎 200709
雁渡し口のぐるりのきな粉かな 石脇みはる 200711
光陰を束ねて太し雁渡し 根岸善行 風土 200712
雁渡し結びなほして生簀舟 和田照海 京鹿子 200712
面舵の帆船きしむ雁渡し 松本幹雄 馬醉木 200712
鈍根のこめかみを押す雁渡し 風間史子 200712
未だ名を持たぬ草庵雁渡し 酒本八重 200712
綱担ぎ帰る庭師に雁渡し 松崎鉄之介 200712
天竜の川波けぶる雁渡し 平賀扶人 馬醉木 200712
まばたきの緑眼一沼雁渡し 鈴木まゆ 馬醉木 200712
ふるさとの戸を打つ音も雁渡し 内山花葉 200712
御香水こぼす如来や雁渡し 関根洋子 風土 200801
水切の石の勢ひ雁渡し 大川ゆかり 200801
筬音のいまは寂れて雁渡し 芝山喜久子 馬醉木 200801
手さぐりの食餌療法雁渡し 若槻妙子 200801
雁渡し父母の音して道具蔵 近藤きくえ 200802
雁渡し桃源郷へ続く橋 小泉三枝 春燈 200802
川原石ことごとく白雁渡し 松井倫子 火星 200803
雁渡し連峯の雲吹き分ち 高瀬史 馬醉木 200811
抱へては余るカーテン雁渡し 酒本八重 200811
明日からの闘病一二十日雁渡し 北川英子 200811
雁渡し拇印の朱の残る指 伊藤無迅 炎環 200811
塔九輪数へつつ無我雁渡し 小澤菜美 200811
鉄塔は手をとりあつて雁渡し 鷹羽狩行 200811
雁渡し埴輪の耳のピアス跡 風間史子 200812
雁渡し今日のしまひの出刃を研ぐ 稲葉ちよこ 風土 200812
雁渡し解き放されし五感かな 岩月優美子 200812
山陰にひとつ灯ともる雁渡し 一民江 馬醉木 200812
一番線のみのホームや雁渡し 柿沼盟子 風土 200901
相伝の塗師の工房雁渡し 環順子 遠嶺 200901
船端に凭る乱れ髪雁渡し 栗田武三 ぐろっけ 200901
吸ひ出しの本舗通りや雁渡し 下山田美江 風土 200901
あの尾根で折り合ひつける雁渡し 丹羽武正 京鹿子 200901
噴煙を一日ながむ雁渡し 木内博一 春燈 200901
産小屋に原初のこゑや雁渡し 冨松寛子 200901
山の音聴いてをりけり雁渡し 雨村敏子 200901
余生なほ多き節目や雁渡し 倉科紫光 馬醉木 200901
この船で来ねばもう来ず雁渡し 木村公子 花貝母 200911
この船で来ねばもう来す雁渡し 木村公子 花貝母 200911
川添ひの朝の散歩や雁渡し 谷寿枝 酸漿 200911
雁渡し母を迎へに車椅子 今井弘雄 春燈 200911
雁渡し画鋲ばかりの町内板 成宮紀代子 200911
銭置いて釣鐘を撞く雁渡し 坂場章子 200912
雁渡し →2      

 

2021年10月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。