雁渡し 2     210句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雁渡し新テレビ塔日々高く 塩田博久 風土 200912
雁渡し開ける人なき絵の具箱 関根洋子 風土 200912
雁渡し駅鈴の音秘めしまま 乙訓淑子 炎環 200912
漢方の木偶の人体雁渡し 丹間美智子 炎環 200912
流木の片側乾く雁渡し 久染康子 200912
那須岳に煙一筋雁渡し 佐治奈津 雨月 200912
わが書物売りに出てをり雁渡し 阪本哲弘 200912
神杉の梢の揺れゐる雁渡し 白数康弘 火星 201001
雁渡し潮入る川の膨らみぬ 後藤桂子 万象 201001
連れ立ちて海路七里や雁渡し 恒川とも子 201001
おほらかに吹くハモニカや雁渡し 小原徳男 遠嶺 201001
雁渡し灯台の裾波さわぐ 塩見育代 201002
山径もまた磯みちも雁渡し 大信田梢月 万象 201002
風紋は神の指紋よ雁渡し 高橋将夫 201003
雁渡し田端年譜に父の名も 能村研三 201010
大寺に多き小部屋や雁渡し 平賀扶人 馬醉木 201011
帰船みな位置に納まり雁渡し 松井志津子 201011
山なみは素顔の蒼さ雁渡し 益本三知子 馬醉木 201011
出航のちぎれテープや雁渡し 北川英子 201011
はらからの一人欠けたる雁渡し 水井千鶴子 風土 201012
契約を白紙に戻し雁渡し 吉田政江 201012
雁渡し土瓶の蓋に穴一つ 水井千鶴子 風土 201012
雁渡し鉄瓶下してもたぎる 岩永充三 201012
雁渡し今朝の琵琶湖を見に行かな 竹内悦子 201012
雁渡し陶土を被ふ濡れ布巾 横田初美 春燈 201012
石垣のしかと噛みあひ雁渡し 楠原幹子 201101
雁渡し友いくたりも病床に 島谷征良 風土 201101
雁渡し母の小さき肩を抱く 中島静子 酸漿 201101
雁渡し波数ふゆる日本海 小山繁子 春燈 201101
雁渡し街縫ふ川の利久色 高橋道子 201101
岸に寄る葉屑枝屑雁渡し 大崎紀夫 やぶれ傘 201101
里山の灯ともしころの雁渡し 豊田都峰 京鹿子 201101
大藪に日のこまごまと雁渡し 生田作 風土 201101
磯笛の息の緒澄める雁渡し 佐藤いね子 馬醉木 201101
淋しさの窓閉ざすなり雁渡し 橋爪隆 春燈 201103
雁渡し青き竹竿野良着干す 小野寺節子 風土 201111
雲低く不漁の先駆け雁渡し 長崎桂子 あを 201111
船霊はをみなの髪ぞ雁渡し 延広禎一 201112
半島の挟む半島雁渡し 藤原照子 201112
多分ここに父も来たはず雁渡し 井上菜摘子 京鹿子 201201
空缶一つころがしてゆく雁渡し 川村文英 ろんど 201201
雁渡し昭和の父母は働いて 辻直美 201201
雁渡し近くて遠き生家かな 鈴木一三 末黒野 201201
雁渡しロープウェーは駅三つ 下山田美江 風土 201201
黒松の幹の乾反りや雁渡し 久染康子 201201
湖の日が傾きぬ雁渡し 根岸善行 風土 201201
母と夫は同じ忌日や雁渡し 小野口正江 末黒野 201202
文のみに無事を問ひけり雁渡し 苑実耶 201202
雁渡し決めねばならぬわが青山 大西よしき 万華鏡 201206
雁渡し潮騒響く忘帰洞 宮元陽子 末黒野 201211
漂流瓦礫の遥かな旅路雁渡し 渕上千津 201211
奥の院に灯火ひとつ雁渡し 酒井秀郎 返り花 201211
道の辺の墓碑に銅貨や雁渡し 水野恒彦 201211
雁渡し越の山なみ眩しめば コ田千鶴子 馬醉木 201212
父母の声かも知れず雁渡し 鈴木良戈 201212
奥の院へ落つる賽銭雁渡し 南恵子 万象 201212
雁渡し飛騨の陣屋の高梯子 山本無蓋 201301
雁渡し埠頭に舫ふ観光船 上家弘子 ろんど 201301
抜錨の巨船の波紋雁渡し 古川千鶴 かさね 201301
豊漁の節回しのせ雁渡し 橋場美篶 末黒野 201304
黒砂の痩せし渚や雁渡し 柿本麗子 千の祈り 201307
父母在りて限界集落雁渡し 古川夏子 201311
引く波のつぶやく渚雁渡し 川村亘子 末黒野 201312
雁渡し大工道具を肩にして 戸田春月 火星 201312
音の無きひとりのたづき雁渡し 新海英二 春燈 201312
陶片の唐子が遊ぶ雁渡し 有本惠美子 ろんど 201312
見えぬ嶺を仰ぎ見立つや雁渡し 四條進 201312
われを待つともしびのあり雁渡し 田所節子 201401
針焼いて棘抜く夕べ雁渡し 師岡洋予 ぐろっけ 201401
寄せ書の亡き幾人や雁渡し 千手和子 馬醉木 201401
修復の進む大屋根雁渡し 菅野日出子 末黒野 201401
宿坊にネスカフェまずる雁渡し 藤田素子 火星 201401
雁渡し神在す湖を見て育ち 久保久子 湖心 201402
曳航の水脈がみを抱く雁渡し 柴田近江 201402
三角の黒きこんにやく雁渡し 本多俊子 光のうつは 201404
川よぎる江ノ電二両雁渡し 小川玉泉 末黒野 201411
葉物みな高値となりぬ雁渡し 岡田史女 末黒野 201412
突堤の赤灯台や雁渡し 菅野日出子 末黒野 201412
焦げ色に乾ぶる藻屑雁渡し 新谷フクヱ 末黒野 201412
船の帆のかたちのホテル雁渡し 太田良一 末黒野 201412
防潮堤の扉開きゐる雁渡し 小林成子 火星 201412
雁渡し母は病名知らされず 山田暢子 風土 201412
恋すでに煩のひとつや雁渡し 柴田佐知子 201501
釘抜けば錆びし釘穴雁渡し 柴田佐知子 201501
雁渡し仕舞はんと鎌研いでをり 今瀬一博 201501
一瞬に変はる風紋雁渡し 菅野日出子 末黒野 201501
荒磯に砕くる波や雁渡し 中野久雄 末黒野 201501
神池の鯉のごつたや雁渡し 根本ひろ子 火星 201501
四阿に箒吊らるる雁渡し 松井倫子 火星 201501
雁渡しホームの端に城見ゆる 涼野海音 火星 201501
産小屋の漆喰はがれ雁渡し 倉谷紫龍 万象 201501
母は横父は縦糸雁渡し 村田岳洋 ろんど 201501
芦の湖の和(な)ぎ乱し過ぐ雁渡し 西川みほ 末黒野 201502
雁渡し又三郎が戸を叩く 山田正子 201502
海原の色押し合へり雁渡し 岡野里子 末黒野 201502
刃物研ぎ現はるを待つ雁渡し 宮川みね子 風土 201510
夕鐘の鳴りわたるなり雁渡し 石原節子 春燈 201511
群となり点となりゆく雁渡し 大内マキ子 万象 201511
雁渡しそろそろ窓拭きでもするか 千田百里 201512
久遠寺の階天へ雁渡し 小林和世 201512
兄ちやんが叱られてゐる雁渡し 佐藤博重 春燈 201512
謙信の塩の道ゆく雁渡し 遠藤逍遙子 風土 201512
雁渡し魚干す塩の加減かな 津川かほる 風土 201512
農耕車優先道路雁渡し 鈴木庸子 風土 201512
ブルトーザー右へ左へ雁渡し 丑久保勲 やぶれ傘 201601
雁渡し松が枝透ける日影かな 後藤眞由美 春燈 201601
雁渡し青く塗られしかもめ丸 山田正子 201601
雁渡し羽づくろひして駝鳥老ゆ 和田照海 京鹿子 201602
子を祝ぎし生田の杜に雁渡し 竹中一花 201602
雁渡し風紋ずれてずれてゆく 原田達夫 201602
雁渡し竹杖ほうと鳴らしゆく 田中とし江 201603
ほほゑみに哀しみ透けて雁渡し 本多俊子 201610
雁渡し出さずじまひの若き文 大上充子 馬酔木 201611
潮頭しばし目で追ふ雁渡し 能村研三 201612
暮れなづむ大佐渡小佐渡雁渡し 橋本榮治 馬醉木 201612
たどり読む落城の譜や雁渡し 能勢俊子 馬醉木 201612
ふるさとの海辺を出でず雁渡し 高橋まき子 風土 201612
東京市道路元標雁渡し 佐藤博重 春燈 201612
雁渡し訃報といふは不意に来し 亀井福恵 京鹿子 201701
晩節へ助走の途中雁渡し 亀井福恵 京鹿子 201701
日の丸を掲ぐタンカー雁渡し 平野みち代 201701
茅屋根のみどり帯びたり雁渡し 原田しずえ 万象 201701
搾乳の牛の反芻雁渡し 石黒興平 末黒野 201702
関節のこきと鳴る日や雁渡し 岡田史女 末黒野 201702
横文字の野積みコンテナ雁渡し 斉藤マキ子 末黒野 201702
雁渡し梯子の脚にかませもの 中川句寿夫 ここのもん 201705
雁渡し息吹をとどむ円柱エンタシス 寺田すず江 201712
遥かより誰か呼ぶ声雁渡し 阪倉孝子 201712
雁渡し主の留守や鴫立庵 小林共代 風土 201712
ひとり居に望郷つのる雁渡し 北川孝子 京鹿子 201712
雁渡し口溶け悪きチョコレート 青谷小枝 やぶれ傘 201711
亡き父の笛の飴色雁渡し 樋口みのぶ 201712
老いたるを嘆く漁師や雁渡し 河原敬子 201801
水口の堰板乾く雁渡し 深川淑枝 201802
いささ群竹さはさはと雁渡し 近藤喜子 201811
朽ち舟の櫂そのままに雁渡し 森岡正作 201811
手斧削りは武士の荒振り雁渡し 森岡正作 201811
スマホ繰るあまたの孤独雁渡し 成宮紀代子 201811
善昭師の黒きベレーや雁渡し 栗坪和子 201811
雁渡し池一望の雨情の碑 山下健治 春燈 201811
酒となる米の真白や雁渡し 頓所友枝 201901
パドックの千の眼や雁渡し 仲里貞義 201901
港湾の埠頭に倉庫雁渡し 根橋宏次 やぶれ傘 201901
雁渡し角館にて宿を取る 瀬島洒望 やぶれ傘 201901
雁渡しどの風鐸もやや揺れて 坂本和穂 やぶれ傘 201902
電柱にビラのぱたつく雁渡し 佐津のぼる 六花 201902
稜線を凌ぐ聖塔雁渡し 荒井千佐代 201906
海鳴りを海が鎮めて雁渡し 亀井福恵 京鹿子 201910
雁渡し戻りて来たる遺失物 齊藤實 201912
天空に近道はなし雁渡し 寺田すず江 201912
干されある磯着小さき雁渡し 赤石梨花 風土 201912
雁渡し川かがやきて海に入る 石井秀一 風土 201912
けふの空深くなりたる雁渡し 中村洋子 風土 201912
雁渡し手紙の嵩の捨てられず 鷺山珀眉 京鹿子 202001
修復の木偶の半眼雁渡し 鈴木まゆ 馬醉木 202001
雁渡し後の始末をして措くか 松下道臣 202002
雁渡し手に載るほどの仏欲し 河原敬子 202003
防風林に隠れてオラショ雁渡し 荒井千佐代 202003
雁渡し磯の小石のもみ合うて 荒井千佐代 202009
父母の忌の遠くなりけり雁渡し 森岡正作 202011
雁渡るペルーへ帰る大使かな 堅山道助 風土 202011
雁渡し戻りて来たる遺失物 齊藤實 201911
雁渡し湖北に残る丸子船 橋添やよひ 風土 202012
灯台を越ゆれば牧場雁渡る 土井三乙 風土 202012
話したき事には触れず雁渡し 山森みちよ 風土 202012
いつよりか遠見癖あり雁渡し 森岡正作 202012
雁渡し一人身幅の切通し 頓所友枝 202012
雁渡し橋の一つは交差して 菊川俊朗 202012
国境のあらうはずなく雁渡る 大矢恒彦 202012
八十路兄あの世とやらに雁渡る 七郎衛門吉保 あを 202101
雁渡し天窓からの煙かな 江見巌 六花 202012
雁渡し文や日記を焼くころか 柴田佐知子 202101
後鳥羽院の声かも隠岐の雁渡し 吉田政江 202101
経度緯度山河違へず雁渡る 森村江風 202101
呼び交はす背山妹山雁渡し 七田文子 202101
スマホ繰るあまたの孤独雁渡し 成宮紀代子 202101
金網のフェンスは続く雁わたし 大島英昭 やぶれ傘 202101
雁渡るいくたびわが名記せしや 小島良子 202101
北窓の足踏ミシン雁渡る 西村洋平 春燈 202102
釣舟の揺蕩ふ静寂雁渡る 長尾タイ 末黒野 202102
自転車を引きて吊橋雁渡し 松川昌義 末黒野 202102
碧天を一棹の雁渡りけり 長尾タイ 末黒野 202103
手鏡の古き傷跡雁渡し 押田裕見子 202105
雁渡し夕餉の早き漁師町 森岡正作 202110
雁渡し野菊の墓に香の跡 北村操 202110
人の死もやがて薄るる雁渡し 小倉征子 202111
弘川寺只に莫たり雁渡し 農野憲一郎 春燈 202111
雁渡し父の本心つひぞ知らず 井上菜摘子 京鹿子 202111
見舞ふこと叶はぬ日々や雁渡し 岡田史女 末黒野 202112
雁渡し警策響く今朝の堂 長尾タイ 末黒野 202112
雁渡し →3

 

2022年10月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
2022年10月27日