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雁の声のしばらく空に満ち  高野素十  初鴉

作 品
作 者
掲載誌
掲載年月
仏間の燈厨の火雁渡りけり 柴田佐知子 201511
美しき瓦斯の焔も雁の頃 林昭太郎 201512
シベリアの風をまとひて雁渡る 山下健治 春燈 201512
雁の列遠近法もて西へ 岸上道也 京鹿子 201512
佇みて吾子を見送る雁のころ 中道愛子 201512
雁渡るいつもどこかで戦あり 山田正子 201512
翁堂苔のしめりも雁のころ 石川倜子 馬醉木 201601
天上大風風の形に雁の棹 粛藤晴夫 春燈 201601
ゆく雁を追うて発車の白手套 中田みなみ 201601
雁渡る運河に夕陽こぼしつつ 山田正子 201601
夕闇の蜑が荒ごゑ雁わたる 小田司 馬醉木 201602
曙や雁の一羽に田の緊る 田部明子 馬醉木 201602
船頭の水棹さす音雁の空 白石正躬 やぶれ傘 201602
雁渡る他郷の墓を訪ふ途中 井浦美佐子 201602
ときとして列を離るる雁もをり 押田裕見子 201602
あかつきや塔越ゆる雁の列 雨村敏子 201711
懐かしや吉田の山を雁渡り 山田六甲 六花 201711
信号のなき七辻や雁の空 夏生一暁 馬醉木 201712
北浦の葦の深みに雁のこゑ 内海良太 万象 201712
雁鳴くや棚田にけふの日をのこし 安立公彦 春燈 201712
密教仏胴の細きや雁渡る 宮田豊子 春燈 201712
湖凪ぐや遥か比良嶺に雁渡る 松本鷹根 京鹿子 201801
雁行や郷愁淡くそそりゆく 松本鷹根 京鹿子 201801
柩窓夫と目くばせ冬の雁 大塚文枝 京鹿子 201801
雁の声あの家この家人病める 小林愛子 万象 201801
初雁や干せばかがやく長白衣 大内和憲 万象 201801
入り舟に残る夕日や雁渡る 市村明代 馬醉木 201802
祖師堂の檜皮のいろも雁の頃 磯貝尚孝 清閑 201804
大橋の落暉の中を雁帰る 赤松赤彦 六花 201805
初雁に湖襟を正しゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
大琵琶の水面母とし雁来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
湖中句碑淋しがらせず雁渡る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
鎖場は雁の渡しの空にあり 山田六甲 六花 201809
亡き人の恋しき日なり雁の空 高橋和女 春燈 201812
行合ひの雲やはらかに雁渡る 高橋和女 春燈 201812
日を返す蚕屋の高窓雁渡る 布施政子 馬醉木 201812
夜々待ちし初雁のこゑ聴き眠る 根岸善雄 馬醉木 201812
夕照や雁渡り行く伊豆の海 高木邦雄 末黒野 201902
一夜さに見送る命雁の声 井上和子 201902
読経には別の声帯雁わたる 鳥居美代 京鹿子 201902
灯の奥の人影ゆるる雁のころ 村田あを衣 京鹿子 201902
雁渡る交しあふ声湖に降り 伊藤希眸 京鹿子 201902
雁わたる大和恋しとこゑ降らし 亀井福恵 京鹿子 201903
会ふ人のみななつかしき雁のころ 岩岡中正 ホトトギス 201903
人逝きし空より雁の来りけり 岩岡中正 ホトトギス 201903
雁供養浜の暮色を奪うては 増成栗人 201905
雁の竿山手線を俯瞰して 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
渡り来る尾越の雁や湖青し 木村梨花 春燈 201911
棚吊ってものが片づく雁の頃 定梶じょう あを 201912
手賀沼を雁啼き渡る直哉の忌 河口仁志 201912
夕映の越の白山雁わたる 齊藤いさを 馬醉木 201912
湯治場に噴く白粥や雁渡る 岡汀子 馬醉木 201912
雁の棹金北山に乱れけり 山田六甲 六花 201912
房総の山並低く雁渡る 丸山千穂子 末黒野 202001
被災すも彼の地思へば雁渡る 坂下成紘 202001
一雁の列をそれたる羽音かな 能村登四郎 202001
釈迦堂の遺墨をたどる雁のこゑ 本郷 公子 京鹿子 202001
雁や届かぬ声と思へども 三上程子 春燈 202001
天道の角を曲がりし雁の列 熊川暁子 202001
利かせたるそば湯の山葵雁のころ 伊藤ふみ 馬醉木 202001
雁や波郷師逝きて半世紀 石黒興平 末黒野 202002
山門を凌ぐ松が枝雁渡る 菅野日出子 末黒野 202002
雁渡る日の出の近き遊水池 本田武 やぶれ傘 202002
吉良の地をゆくうつくしき雁の列 荒川心星 202002
蔵はいま麹の息吹雁渡る 中貞子 202002
緑青の欄干比叡に雁渡る 竹中一花 202002
任せるといふも力や雁わたる 西川麻規 馬醉木 202002
錐揉みに沼へ落ちゆく雁の影 小森泰子 馬醉木 202002
雁渡る令和の空は自在なり 片山煕子 京鹿子 202002
雁渡る恩ある人を又増やし 山中志津子 京鹿子 202002
雁の声天へ広げる倭棲み 伊藤希眸 京鹿子 202002
雁渡る湖はさざ波日和かな 亀井福恵 京鹿子 202003
雁の乱数のごとおり急ぐ 野村宏 202003
山坂は越ゆべし雁が列を組む 増成栗人 202003
雁の闇つれてくる山上湖 岩永みはる 追伸 202003
寒雁の夜の静寂を固めたり 一民江 馬醉木 202003
海原の七島掠め雁渡る 長尾タイ 末黒野 202004
雁来る山手線を追ひ抜いて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
灯台を越ゆれば牧場雁渡る 土井三乙 風土 202012
国境のあらうはずなく雁渡る 大矢恒彦 202012
八十路兄あの世とやらに雁渡る 七郎衛門吉保 あを 202101
経度緯度山河違へず雁渡る 森村江風 202101
雁渡るいくたびわが名記せしや 小島良子 202101
みちのくの浄土の池に憩ふ雁 新沢伸夫 202101
北窓の足踏ミシン雁渡る 西村洋平 春燈 202102
雁や酒倉二百有余年 岡田史女 末黒野 202102
釣舟の揺蕩ふ静寂雁渡る 長尾タイ 末黒野 202102
落雁の今まさに湖踏まんとす 山田六甲 六花 202102
碧天を一棹の雁渡りけり 長尾タイ 末黒野 202103
行く雁や透きし机のインク壺 橋添やよひ 風土 202106
雁帰る常磐線に今も貨車 近藤牧男 春燈 202107
大空へ楔打つやに雁帰る 森川享 末黒野 202107
ゆく雁や透きし机のインク壺 橋添やよひ 風土 202107
薬売りの越中なまり雁渡る 門間としゑ 末黒野 202112
棹急にくづれて雁の落ちにけり 山田六甲 六花 202112
天界の声を聞きたき雁月夜 阪倉孝子 202112
籠り居の無聊やことに雁の夜は 千田百里 202112
兄の忌はふるさとに雁渡るころ 片山博介 春燈 202201
終着駅見えず見えさう雁わたる 山田暢子 風土 202201
雁→1

 

2023年11月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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