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雁の声のしばらく空に満ち  高野素十  初鴉

作 品
作 者
掲載誌
掲載年月
雁がねや土に石灰まぶしをる 谷村幸子 201001
古民家の土間の石臼雁のこゑ 曷川克 遠嶺 201001
夕尾の瞬くころや雁渡る 穴澤光江 遠嶺 201001
西海の大き落暉やはぐれ雁 尾野奈津子 春燈 201001
はんなりと意地を通すや雁の空 江草礼 春燈 201001
流されし橋を見に来し雁の空 坂口夫佐子 火星 201001
雁や汐木のからぶ御幸浜 宮川みね子 風土 201001
雁渡るその鉾先に賎ヶ岳 藤本一城 201001
騎馬像は人麻呂阿騎野雁わたる 小澤淳子 201001
雁の頸あげ風を聴いてをり 内藤呈念 ホトトギス 201002
雁の列大きメニューを閉づるとき 清海信子 末黒野 201002
塒へと雁去り時空静もれり 菅野蒔子 末黒野 201002
一竿の雁ゆくや夕茜 千葉惠美子 末黒野 201002
雁や灯ともしころの散居村 山路紀子 風土 201002
雁渡る芭蕉の旅の点と線 岩木茂 風土 201002
出航船点となりゆき雁渡る 河野尚子 万象 201002
ゆつくりと月を離るる雁の神 大平和男 201002
次の波までの足あと雁渡る 井上菜摘子 京鹿子 201003
雁の列墨濃淡の山水画 久保東海司 201003
出棺に釘打つわかれ雁の列 久保東海司 201003
おくれ雁入り隊列ととのひぬ 菅野蒔子 末黒野 201003
雁の棹指さして空遠くせり 藤木倶子 201004
雁落ちて凍星ひとつ殖やしけり コ田千鶴子 馬醉木 201004
里山のかはたれ時を雁の声 嘉住きよ美 末黒野 201004
燈台の光芒の上雁渡る 定梶じょう あを 201004
ふたつみつますほの小貝雁の頃 谷中弘子 201005
雁ゆくや納戸に古りし幻灯機 片山博介 春燈 201006
川灯台点して雁の別れかな 柴崎甲武信 春燈 201007
出航の一湾雁の別れ見き 水谷靖 雨月 201007
鶏頭や雁の来る時尚あかし 松尾芭蕉 ぐろっけ 201008
あと一字思ひ出せずに雁渡る 長田等 201009
雁の空星の空へと暮れゆけり 稲畑汀子 ホトトギス 201009
父子の情断ち切りがたし棹なす雁 成瀬櫻桃子 春燈 201010
油抜く竹あぶりをり雁のこゑ 藤原照子 201011
老人となりし父はは雁わたる 柴田佐知子 201011
雁渡る遠き大河の音連れて 本多俊子 201012
初島を手にとるばかり雁の棹 森清信子 末黒野 201012
円空佛夛き山里雁渡る 伊藤希眸 京鹿子 201012
みちのくに酌む酒辛し雁のこゑ 藤原たかを 馬醉木 201101
雁啼くや炉ぼこりに酌む夜の酒 藤原たかを 馬醉木 201101
空間に何をえがかう雁の棹 石脇みはる 201101
雁渡るいきなり蓮如の腓かな 久津見風牛 201101
何ゆえに落雁美しき火宅かな 西村純太 201101
関東の海べりに居り雁くるか 井上信子 201101
雁や案じながらの宛名書き 山崎靖子 201101
またしても同期先逝く雁の空 山崎靖子 201101
雁やエプロン似合ふ女優逝く 澤田美佐子 201101
舟屋根の藁繕はれ雁の空 浜福惠 風土 201101
雁渡るランプ灯して夫を待つ 岡山真澄 風土 201101
胸中のほとけを仰ぐ雁の空 中山純子 万象 201101
初雁や夜つぴて湖を均す風 吉田政江 201101
妻入りの並ぶ越後路雁渡る 宮内とし子 201101
雁渡るうす墨いろの水尾ひきて 松本圭司 201101
アルプスに南や北や雁渡る 藤原照子 201101
もう此処は君らの里ぞ雁の列 大石誠 201101
雁渡る一行ふえし処方筆 佐々木群 201101
遠筑波風強けれど雁の列 長谷川史郊 馬醉木 201102
舟洗ふ老漁夫ひとり雁のこゑ 高地勝峰 馬醉木 201102
雁の天その名に恥ぢず真青なり 上山永晃 春燈 201102
雁の列筑波の嶺を越えゆけり 池田光子 201102
師の影に添ふひととせや雁渡る 石田きよし 201102
一列に雁をつなげるものは何 高橋将夫 201102
雁わたりたる光年の夜空あり 水野恒彦 201102
大利根の河口間近や雁渡る 小川玉泉 末黒野 201102
陣解きて雁沼へ落ちにけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201102
しんがりはいつもしんがり雁の棹 清水美子 春燈 201103
築地松居並ぶ上を雁渡る 浜田南風 201103
雁や苔むす石の道標 谷貝美世 末黒野 201104
果てし無き紺碧の空雁渡る 堺昌子 末黒野 201104
雁やここより言葉変りける 大西まりゑ 酸漿 201104
人の世に代る日もある雁の空 久津見風牛 201105
ゆく雁や疣神に借る石ひとつ 柴田志津子 201107
雁渡るシカゴにカポネいた時代 岸千手 201108
病雁の句碑の五月雨ゐたりけり 雨村敏子 201108
明け初むや地響きたてて雁の発つ 鈴木千恵子 万象 201109
一枚の田に啄むや雁・白鳥 鈴木千恵子 万象 201109
雁が音を朝な夕なに蕎麦を打つ 鈴木千恵子 万象 201109
穀倉はいまレストラン雁の声 鈴木千恵子 万象 201109
雁のことあの子と云へり村人は 鈴木千恵子 万象 201109
空埋む雁にたましひ奪はれし 鈴木千恵子 万象 201109
雁ねむる沼の小道は灯さずに 鈴木千恵子 万象 201109
落つる雁見とどけ熱燗酌み交す 鈴木千恵子 万象 201109
初雁や地蔵に供ふ白だんご 山田春生 万象 201110
本日は直行直帰雁渡る 吉田希望 201111
野のものを卓に置きある雁のころ 小林成子 火星 201111
雁の棹声よりはるか先にあり 水谷靖 雨月 201111
渡り来る雁に見ゆるか子午線碑 塩路五郎 201112
風狂の旅かもしれず雁の列 神田恵琳 春燈 201112
亡き母の畳紙解くも雁のころ 堀田順子 馬醉木 201112
雁の現はれさうな山の畑 鴨下昭 201112
おとうとは今もおとうと雁渡る 松田泰子 末黒野 201112
雁のこゑうからの息に顔寄せし 深澤鱶 火星 201112
雁の空ぐるりを山に囲まれて 谷渡末枝 万象 201112
そば湯とふ濁るものあり雁のころ 西川織子 馬醉木 201201
雁の列雲染むる日の赤あかと 岡野里子 末黒野 201201
故山めく信濃や雁の夜はことに 安立公彦 春燈 201201
朽舟を焼く火の淋し雁のころ 下平しづ子 雨月 201201
畝立ての腰を伸ばせば雁渡る 水谷靖 雨月 201201
雁渡るやはらかき雲友として 武藤嘉子 201201
湖の面の星を褥に雁眠る 竹中一花 201202
あかあかと日の道湖に雁渡る 竹中一花 201202
耳しひに広野千里の雁渡る 伊地智浅江 春燈 201202
ながらへて果たせぬ夢や雁渡る 伊地智浅江 春燈 201202
瀬戸内の島はとび石雁わたる 佐藤美紀 ろんど 201202
切り漬けの水すぐあがる月の雁 中山純子 万象 201202
天守閣の上を雲ゆく雁のこゑ 有賀昌子 やぶれ傘 201202
川燈台佃に低く雁渡る 山口誠 馬醉木 201203
堂縁に座すひとときや雁の鳴く 豊田都峰 水の唄 201203
雁啼くやひとつ机に兄いもと 安住敦 春燈 201206
悠久の大和帰雁の空のこり 渡辺輝子 201206
雁渡るときの羽音や白枕 水野恒彦 201211
行宮の瓦占ひ雁渡る 中島陽華 201211
暮れ残る堅田の雁を見てをりぬ 西村純太 201211
隊列の羽音をのこし雁の棹 宮崎きみ枝 201212
雁のこゑ師の墓に酒つぎをれば 山田春生 万象 201212
一村に同姓多き雁渡る 水谷靖 雨月 201212
雁わたる榎大樹の一里塚 伊東和子 201301
雁や果てなく深き空の蒼 佐藤喜仙 かさね 201301
雁や生垣の日が移りゆく 宮川みね子 風土 201301
師と頒つ木橋の揺れも雁の頃 林いづみ 風土 201301
初雁や離島を包む波白し 竹田ひろ子 ろんど 201301
反り橋を渡るカップル雁のころ 藤田素子 火星 201301
雁行やいづれ劣らぬ加速つけ 秦和子 201302
雁渡るはるかをおもひ人を想ひ 中山純子 万象 201302
初雁や岬に声を落し過ぐ 占部美弥子 末黒野 201302
蒼天の天守仰ぐや雁渡る 福田禎子 末黒野 201302
雁のこゑを映せし近江の海 小林美登里 かさね 201302
川づらをひたすらに雁わたるかな 白石正躬 やぶれ傘 201302
たましひの一連なりに雁わたる 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
書くことの何もない遣書雁渡る 松田都青 京鹿子 201303
キリスト者弘達雁の空仰ぐ 高橋龍 201304
るんびにといふ森に来て月の雁 山田六甲 六花 201310
雁渡る軒に干さるる水枕 久染康子 201312
雁やしごきし反古の燃えゆるび 原友子 201312
雁の棹阿波路島へと曲げにけり 山田六甲 六花 201312
雁の列デカンショ節の歌うたう 石脇みはる 201312
雁の風を肌へに蔵守る 竹中一花 201312
雁の樟印南の野を過ぎりけり 山田六甲 六花 201312
薄墨の封書をひらく雁のころ 内藤静 風土 201312
とりたてて変りなき日や雁渡る 安田とし子 ぐろっけ 201401
雁渡る方や茜の常念岳 安立公彦 春燈 201401
雁が音の突如乱るる陣屋跡 塩路隆子 201401
かばかりの丹の橋の影雁の頃 田中貞雄 ろんど 201401
初雁の茫然と洲に突つ立てる 升田ヤス子 六花 201401
老齢に旅はもう無理雁仰ぐ 小倉正穂 末黒野 201401
銃のごと空向くカメラ雁の棹 古沢幸次 ろんど 201401
旅人に交じりて見上ぐ雁の棹 松本恒子 ぐろっけ 201401
りんご箱机の日々や雁渡る 野上杳 201401
夢の世は夢のままなり雁渡る 阪倉孝子 201401
米を研ぐ水の白さや雁渡る 瀬戸悠 風土 201401
耕雲斎京見据ゑ立つ雁の声 倉谷紫龍 万象 201401
むらさきに暮れゆく漁港雁渡る 黒滝志麻子 末黒野 201401
わが墓の未だからつぽ雁渡る 荒井千佐代 201401
ひと啼きに百羽呼び寄す雁の長 押田裕見子 201402
雁鳴くや友二碑の空雲ばかり 小倉正穂 末黒野 201402
風読みてへの字編隊雁の空 葉山彰 ろんど 201402
残照の海の平らに雁渡る 下平しづ子 雨月 201402
雁が音や目鼻分かたぬ磨崖仏 杉本裕子 末黒野 201402
点滴の玻璃の向かうの雁の列 竹内悦子 201402
雲よろふ湖上つぎつぎ雁渡る 小川玉泉 末黒野 201402
もう来ない今といふ今雁渡る 安田とし子 ぐろっけ 201402
巨石あり雁の帰りし田の面に 山田六甲 六花 201403
雁の群塒へかへる羽音過ぐ 菅野蒔子 末黒野 201403
雁行の一羽にレンズ絞りけり 斉藤マキ子 末黒野 201404
母の忌を修せり雁の渡る頃 塩路隆子 201411
山麓の牛舎をよぎる雁の声 塩路隆子 201412
日の丸に父の名のあり雁の声 十時和子 201412
使者ならむ朝一番の雁の声 川崎利子 201412
筑波嶺の空にかげ曳き雁来る 根岸善雄 馬醉木 201412
濃く淡く三筋の雲や雁渡る 小川玉泉 末黒野 201412
門に母待つ子が一人雁の空 高橋照子 雨月 201412
右比叡左大琵琶雁渡る 密門令子 雨月 201412
母天に昇り給へり雁渡る 藤原冬人 火星 201412
彌撒の座のしづかに混みて雁のこゑ 城台洋子 馬醉木 201412
雁が音の空へ四神の竹オブジェ 鈴木照子 201501
水に剥ぐ切手いちまい雁来月 服部早苗 201501
目配せは夫婦の絆雁渡る 安居正浩 201501
美しき瓦斯の焔も雁の頃 林昭太郎 201501
次からつぎへ影絵のやうに雁の列 清水佑実子 201501
雁や陶土こねゐる建築科 山田美恵子 火星 201501
床の間を灯して眠る雁のころ 山尾玉藻 火星 201501
雁を追うてゆきけり飛行船 山田美恵子 火星 201501
積み上ぐる俳誌の嵩や雁渡る 門伝史会 風土 201501
蕉翁の杖つやつやと雁渡る 岡本尚子 風土 201501
密約の雁の玉章ぬりつぶす 鈴鹿けい子 京鹿子 201501
焼け罅の天守の礎石雁のこゑ 山田和 京鹿子 201501
昼日中街空低く渡る雁 小川玉泉 末黒野 201502
雁渡る雲のたなびく八ヶ岳 岡田史女 末黒野 201502
月の雁跡取りのなき山の寺 古川夏子 201502
四捨ならず切手貼りたす雁のころ 和田照海 京鹿子 201502
雁渡り来てより波の尖り癖 和田照海 京鹿子 201502
初雁をひたすら待てば小鳥来て 高橋将夫 201502
遅れる一羽待ちて蛇行の雁の棹 甕秀麿 201502
雁寒きむかし廓の辨財天 相良牧人 201502
行く雁に登舷札の護衛艦 鈴木鳳来 故山 201505
雁渡る空透明に岬端 田中臥石 末黒野 201505
雁渡り来し被災の地忘れずに 稲畑汀子 ホトトギス 201509
雁待ちに鶏頭は火を飛ばしけり 山田六甲 六花 201510
バス停の椅子に座布団雁来たる きくちえみこ 港の鴉 201510
印南に二神山や雁の棹 山田六甲 六花 201511
雁 →7      

2016年11月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
17/11/14 2017年11月14日 2017年11月14日