5       100句

雁の束の間に蕎麦刈られけり   石田波郷   雨覆

作 品
作 者
掲載誌
掲載年月
身を離る一羽や二羽やはぐれ雁 鈴木榮子 春燈 200712
天窓や雁の来るころ待たれしよ 中山純子 万象 200712
人集ひ雁は渡りて言祝げり 小澤克己 遠嶺 200712
済州島滄浪の空雁渡る 水野節子 雨月 200712
雁渡るロマン揺がぬ駅屋跡 禰寝瓶史 京鹿子 200712
喪の服をたたみて遠く雁のこゑ 加藤奈那 ぐろっけ 200712
君恋ふる歌碑へ翳曳き雁の雨 安武晨子 200712
大崎観音います雁月夜かな 芝山喜久子 馬醉木 200801
御旅所の水のさわだち雁わたる 栗栖恵通子 200801
千切れ雲の沖の芯へと雁の棹 大島翠木 200801
乗り継ぎのホームを雁の渡りかな 金澤明子 200801
まなうらの虚空を雁の渡りかな 川口襄 遠嶺 200801
釣人に雁の棹くづれけり 河崎尚子 火星 200801
雁や本棚に置く虫眼鏡 外川玲子 風土 200801
雁渡る浮き桟橋に灯のともり 上村和子 200801
一里来ても波音雁の空昏れぬ 渡邉友七 あを 200801
うとうとと凭れし椅子も雁のころ 藤井昌治 200801
ブロンズの天女の舞や雁の声 中川すみ子 200802
尖塔をはるかに雁の渡りけり 渡辺立男 馬醉木 200802
雁渡る北前船の祈願寺 曷川克 遠嶺 200802
雁渡る淋しい人から行く寝床 松田都青 京鹿子 200802
雁渡る峡の一戸に水の音 間島あきら 風土 200802
文楽の太夫に軋み雁渡る 南敦子 200802
塒へ入る雁を待ちをり撮影陣 木村ひろ美 200802
夕闇に万と湧き立つ雁の群れ 木村ひろ美 200802
曙を立つ雁天への打網めく 木村ひろ美 200802
天皇の抱きし琵琶なり雁渡る 垣岡暎子 火星 200802
落雁を湖心に収め月まどか 佐藤國夫 馬醉木 200803
暁光に雁先陣の羽音かな 鈴木漱玉 馬醉木 200803
雁渡る捨てたる夢のいくばくや 上林孝子 200803
先頭の引率力や雁渡る 和田崎増美 雨月 200804
去る雁の声を夕日のひろげたる 西村博子 馬醉木 200806
漢江ハンガンの堰の白波雁渡る 中原幸子 船団 200806
雁渡る海に白波立つ日なり 泉田秋硯 二重唱 200806
蘆の芽の育ちて雁の声とどく 岡田真澄 風土 200807

 「狩」創刊三十周年

雁行の翼びらきとなりにけり

鷹羽狩行 200810
雁仰ぎ南千住は暗き駅 岡本眸 200810
ダブルスの雁行陣や鳥渡る 陳錫恭 春燈 200811
待ち合せ天は雁くる邃さ ほんだゆき 馬醉木 200811
北に見る遠き一燈雁の声 西川五郎 馬醉木 200811
旅寝して枕のなかを雁のこゑ 水野恒彦 200811
雁秋や朝鐘撞くは誰が逝きし 松林順子 雨月 200811
禰宜さんが合羽召さるる雁渡 山田美恵子 火星 200811
磯波のさばさば冷えて雁のころ 岡本眸 200811
雁わたる貨車の連結旗をふり 定梶じょう あを 200811
松虫草雁ヶ腹摺山雁未だ 須賀敏子 あを 200811
雁の棹手をふる子等に応へけり 藤野力 馬醉木 200812
畦川で洗ふ農具や雁のこゑ 藤野力 馬醉木 200812
遅れゆく一羽に二羽の雁添ひて 藤野力 馬醉木 200812
雁渡る人はしばらく歩をとどめ 藤野力 馬醉木 200812
夫の待つあの世へつづく雁の棹 藤見佳楠子 200812
モーツアルトの幼きころや雁渡る 森戸柚斎 炎環 200812
いしぶみに刻む哀史や雁渡る 星井千恵子 遠嶺 200812
夕映の雲の百態雁渡る 峰幸子 200812
雁渡る琺瑯の空くきと折れ 梶川智恵子 200812
海坂をはるかにしたり雁渡 中島陽華 200901
雁渡る真空管の蓄音機 新井田晃 遠嶺 200901
心眼に神の標や雁渡る 石山雅之 遠嶺 200901
東京は坂多き街雁わたる 刈米育子 200901
雁の棹灘越しゆくも崩るなし 山崎靖子 200901
たうたうと七ヶ用水雁渡る 伊川玉子 万象 200901
山墓のなべて苔むし雁の声 津野洋子 京鹿子 200901
恋路ヶ浜夕日に透けて雁の棹 村上美智子 雨月 200901
雁やはらからの死を父は忘れ 柴田佐知子 200901
雁渡る高き山より白くなる 東亜未 あを 200901
初雁に堅田の水の透き通る  橋本くに彦 ホトトギス 200902
三井寺の鐘の音遠く雁渡る  橋本くに彦 ホトトギス 200902
湖に浮く雁や旅程の頁閉ぢ 泉田秋硯 200902
雁待つや髪の根に沁む風のこゑ 鈴木まゆ 馬醉木 200902
茶の花や油土塀の雁の寺 門伝史会 風土 200902
雁の棹絹雲かかる裏妙義 鍋島広子 万象 200902
抽斗に挟まれしごと雁のこゑ 八田木枯 晩紅 200902
ひづみたる時空を雁の渡るなり 高橋将夫 真髄 200907
渡り来し雁の先陣らしきもの 稲畑汀子 ホトトギス 200909
星条旗高く仰ぐや雁渡る 泉田秋硯 200909
燕去り雁来るころの山河かな 鷹羽狩行 200909
遙かへと見送る雁の渡りかな ことり 六花 200909
神南備に足踏み入るも雁の頃 徳田千鶴子 馬醉木 200911
乱るるもまた美しき雁の列 高橋将夫 200911
廣重の東海道中雁渡る 瀬川公馨 200911
天領の村や初雁渡りゆく 室伏みどり 雨月 200911
夕焼の伊良湖へかかり初の雁 伊藤敬子 200911
過ぎ去りし刻のごとくに雁渡る 伊藤敬子 200911
雁の棹組みかへてまた組みかへて 伊藤敬子 200911
雁や貧しきわれは土に立ち 伊藤敬子 200911
きらきらと夕ベうち晴れ雁のころ 伊藤敬子 200911
いちまいのわたつみのあり雁渡る 伊藤敬子 200911
吹かれては寄り雁の棹の先 伊藤敬子 200911
眼裏に雁の棹あり羽打ちをり 伊藤敬子 200911
雁や古人にならひ月を待つ 伊藤敬子 200911
初雁や北指す丘の望郷碑 塩見育代 200912
雁や法円坂のハイウエー 加藤みき 200912
曇れども雁の渡りのまぎれなし 横川泰子 酸漿 200912
雁渡る空に灯の入る大提燈 富田範保 200912
夕闇のにはかに深み雁渡る 小川玉泉 末黒野 201001
雁鳴くや比企丘陵の闇緊まる 大橋伊佐子 末黒野 201001
刈り田直ぐ雁の餌場となりにけり 菅野蒔子 末黒野 201001
刈り田に餌ついばむ雁をかくまぢか 菅野蒔子 末黒野 201001
多羅葉の文託したし月の雁 菅野蒔子 末黒野 201001
雁やひとりの夕餉あっさりと 菅野蒔子 末黒野 201001
雁→ 6      

 

2021年11月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。