枯 野 5     107句

足高に橋は残りて枯野かな   中川乙由

作品
作者
掲載誌
掲載年月
降り立てば足裏にやさし枯野かな 近藤公子 200901
黒点が揺れて鴉や大枯野 林翔 200901
過去へ発つ「あづさ七号」枯野まで 山田暢子 風土 200901
加速なき音掻き消して大枯野 松田都青 京鹿子 200901
肩寄せて通夜の帰りの枯野星 水谷靖 雨月 200901
枯野に下りし鷺に一羽の友もなし 瀧春一 深林 200901
寒肥の杓ねもごろに枯野を擦る 瀧春一 深林 200901
枯野をはしりはしりロマンスカー帰る 瀧春一 深林 200901
額に汗して枯野に遊ぶ安息日 瀧春一 深林 200901
自然公園枯野を水が蛇行せり 瀧春一 深林 200901
ジエツト機の飛び出す枯野書も霧らふ 瀧春一 深林 200901
赤線基地ジヤズ鳴らしても枯野は枯野 瀧春一 深林 200901
菓子買ふ枯野老婆が駄菓子掴み出す 瀧春一 深林 200901
枯野いま亡ろびの色の灰と黒 瀧春一 深林 200901
人を訪ひ四囲の枯野を直ぐ忘る 瀧春一 深林 200901
深呼吸枯野の匂ひ丹田に 塩路五郎 200902
とこしへの言霊さがす枯野中 近藤喜子 200902
大枯野つぎなる夢を抱きつつ 岩月優美子 200902
雨の色ならぬを加へゆく枯野 片山由美子 200902
こぼれ来るボレロの曲や枯野道 村上ひで香 炎環 200902
いまも祈るよ音楽の枯野を牛 田島健一 炎環 200902
かくれんぼの子のもどり来ず枯野道 藤原冬人 火星 200902
あるいは朱し名もなき草の枯野道 三代川玲子 春燈 200902
賀茂川の水透き通る枯野かな 佐藤博重 春燈 200902
雲の影過る野づかさ大枯野 川崎良平 雨月 200902
鷺一羽佇む枯野古稀迎へ 河村武信 ぐろっけ 200902
枯野ゆく二足歩行の頼りなし 辻美奈子 200902
枯野見て来しを眼科に覗かるる 古屋元 200902
踏切の枯野始まる向かう側 定梶じょう あを 200902
枯野来て親し札所の道標 浅野惠美子 酸漿 200902
枯野とは歩き続けるところなり 高橋将夫 200903
碑に枯野ひかり殺到す 水野恒彦 200903
枯野道あれこれ思ひ出しにけり 安田久太朗 遠嶺 200903
蕭条と影長々し枯野原 薗田英冶 遠嶺 200903
鳥籠が鳥を探しに来る枯野 丹沢亜郎 炎環 200903
昇りきつては枯野を独りじめの月 中西咲央 炎環 200903
枯野原測量跡の赤き杭 鈴木友寄枝 炎環 200903
潮騒の高まり来たり枯野道 鈴木とおる 風土 200903
枯野ゆく眠れぬ枕うらがへす 外川玲子 風土 200903
みちのくの枯野はじまる上野駅 竪山道助 風土 200903
大枯野トロイ栄えし夢のあと 高木典子 雨月 200903
一瞬の日差輝く枯野かな 森洋子 京鹿子 200903
枯野来て原発村過ぎまた枯野 岩木眞澄 ぐろっけ 200903
シフォンケーキ八切枯野のひろごれり 佐藤喜孝 あを 200903
米塚を乗せてはるかな枯野かな 吉村摂護 200903
転車台八方枯野指してをり 田中芳夫 200904
ジオラマの枯野行く汽車急発進 田中芳夫 200904
川あれば川に沿ひゆく枯野人 飯塚洋 遠嶺 200904
利根少し痩せて枯野を貫けり 木山白洋 馬醉木 200904
枯野原犬に負けじと走り出す 奈佐幸子 200904
病棟の音消えてより大枯野 山田暢子 風土 200904
枯野来て拝す阿修羅の腕細き 宮平静子 雨月 200904
枯野道犬を抱へて立ち尽す 東亜未 あを 200904
犬埋めし枯野を包む夕日かな 東亜未 あを 200904
夕星を梢に置いて枯野道 陌間みどり 200905
枯野道男無口のよかりけり 安永圭子 風土 200905
河口まで続く枯野や夜舟の灯 梶浦玲良子 六花 200905
むかし魔の踏切ありし枯野かな 鷹羽狩行 200912
灯の箱の一輌電車枯野過ぐ 鷹羽狩行 200912
枯野行く皆無頼派の顔持てり 森岡正作 200101
師の灯す枯野あかりを踏み行かな 酒本八重 200912
飛行船の影に越さるる枯野中 久染康子 200912
足裏を火照らせて行く枯野かな 宮崎紗伎 春燈 200912
昭和史を至極大事に枯野行く 塩路隆子 201001
鳥総松枯野の犬が来てねむる 水原秋櫻子 馬醉木 201001
枯野来し男加はる丸き卓 山尾玉藻 火星 201001
翔句碑のそびら枯野のひろごれり 村上光子 馬醉木 201002
一人来て流離ごころや枯野道 松本三千夫 末黒野 201002
冥府「沖」顔ぶれ揃ふ遠枯野 北川英子 201002
一枚の風作りをり大枯野 竹田ひろ子 ろんど 201002
枯野来て眼鏡くもらす屋台かな 堀内五齢 春燈 201002
さまざまなシンフォニー生れ枯野原 加藤みき 201002
太古より刻止るかの枯野かな 大橋晄 雨月 201002
枯れ極め枯野は刻を止めたる 高橋照子 雨月 201002
大枯野来て大阿蘇の火口かな 高橋照子 雨月 201002
訪れるものは風のみ大枯野 綿谷美那 雨月 201002
柿はみな熟るるにまかせ枯野原 田中喜久子 酸奬 201002
斜め読みしてどこまでも枯野なり 井上菜摘子 京鹿子 201003
枯野とは風の一息つくところ 高橋将夫 201003
枯野には枯野の歌がありにけり 高橋将夫 201003
蛇行せる川を抱きて大枯野 谷村祐治 雨月 201003
寂寥の枯野の自然法爾かな 落合由季女 雨月 201003
枯野出て枯野へ二輌電車かな 上田明子 雨月 201003
ポケットに入るる夢なし枯野道 松本三千夫 末黒野 201003
無理せずに生きよ詠めよと枯野星 小澤克己 遠嶺 201003
枯野原芭蕉を超ゆる人現れよ 清水晃子 遠嶺 201003
宇宙より見下ろしてゐる大枯野 清水晃子 遠嶺 201003
枯野より戻りしづかにペンをとる 清水晃子 遠嶺 201003
くれなゐの枯野へ喪主の一礼す 山尾玉藻 火星 201003
雉鍋の湯気のむかうの枯野かな 小林成子 火星 201003
富士山のはみ出してゐる枯野かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201003
腑に落ちぬこと増えにけり枯野道 渡邊泰子 春燈 201003
夕雲の日矢突き刺さる枯野かな 堀正男 春燈 201003
引き寄する枯野の厚み双眼鏡 上野進 春燈 201003
夕日射す枯野の端に鳥衾 谷川爽 ぐろっけ 201003
雑踏へ枯野の人と引返へす 吉弘恭子 あを 201003
里山に夕日落ちゆく枯野かな 田中浅子 201004
北へ行く汽笛いま無し大枯野 小野恵美子 馬醉木 201004
翔逝けり枯野いつまで風の声 木山白洋 馬醉木 201004
とはうもなきさみしさとなり枯野の灯 太田寛郎 201004
解決の道なほ遠く枯野行く 呂秀文 春燈 201004
枯野原伏しても春を待つ形 福田房子 末黒野 201004
大枯野落つる日紅に染まりつつ 小島三恵 酸漿 201004
童心に戻りて走る枯野原 嵐弥生 末黒野 201005
落日や枯野の沖の水明り 鍋島武彦 末黒野 201005
村遠し一灯ともる枯野駅 本田耕造 末黒野 201005
誰にでも愛されたくはない枯野 松田都青 京鹿子 201006
枯野 →6      

 

2020年12月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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