枯 野 4          108句

八方に山のしかかる枯野かな    松本たかし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
にぎみたま枯野わたるは狐火か 西村純太 200602
海光へ近づいてゆく枯野かな 堀木基之 百鳥 200602
定年の夢捨てにゆく枯野かな 古賀勇理央 百鳥 200602
七不思議ありし枯野の地蔵尊 小澤克己 遠嶺 200602
いのちとは去りゆく刻か枯野行く 狭川青史 馬醉木 200602
枯野来て木偶のお弓と泣きあへり 大坪景章 万象 200602
草千里枯野千里となりて阿蘇 高橋照子 雨月 200602
急がばや大枯野はや日が沈む 高橋照子 雨月 200602
うさぎ的体質枯野走るなり 門脇なづな 対岸 200602
すれ違ふルビーの指輪枯野みち 戸栗末廣 火星 200602
枯野来て男もすなる忍び泣き 尾堂Y 河鹿 200603
鳶の笛透きとほりたる枯野かな 中條今日子 万象 200603
枯野遠く鍋より掬ふ白子かな 渡邉美保 火星 200603
一望の枯野に立てり玄奘塔 土田祈久男 200603
繭のごと新駅ありぬ大枯野 若林杜紀子 百鳥 200603
其処此処に生み捨て卵枯野中 篠崎荘市 酸漿 200603
枯野ゆく日暮の風に背を押され 谷村祐治 雨月 200603
ブルドーザーに拓かれてゆく枯野かな 西村操 雨月 200603
たけなはといふ美しきこと枯野にも 岡本眸 200603
枯野原途切れるように径消えて 諸橋廣子 対岸 200603
東京のお下がり電車枯野行く 岡谷栄子 200604
詩のかけら身ぬちに溜めて枯野行く 田中春生 200604
枯野風ひとにも匂ありにける 岡部名保子 馬醉木 200604
徳川の遺構の茶室枯野道 寺内佶 遠嶺 200604
枯野原野仏ぬつと姿見ゆ 宮原利代 ぐろっけ 200604
吹き荒れて枯野の果ての二日月 西村勝美 春燈 200605
神鏡から枯野からのの舟が漕ぎ出せり 伊藤希眸 京鹿子 200605
枯野明るしちまちまと草吹かれ 山元志津香 八千草 200605
枯野行く己れの見ゆるところまで 松岡隆子 200605
冬田枯野其の上に天そそる富士 瀧春一 常念 200606
枯野の土とおなじ夜中の混凝土 八田木枯 晩紅 200606
夕枯野大スクリーンの早送り 中野英歩 八千草 200606
広すぎる枯野に残照ありったけ 中野英歩 八千草 200606
恋つなぐ嘘を云ひ得ず枯野星 瀧春一 瓦礫 200606
枯野来て帰路は枯野に星仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200612
枯野より枯野抜けゆく旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 200612
歩むべし枯野に続く翁道 岡本まち子 馬醉木 200701
枯野行く手荷物何も持たぬ主義 伊藤白潮 200701
枯野ゆく白い太陽まんなかに 外川玲子 風土 200701
枯野から一目散に猫が來る 佐藤喜孝 あを 200701
神の布石一糸紊れず枯野星 渡邊千枝子 馬醉木 200702
逆光も順光も神枯野原 奥村邦子 200702
けだものの舌めらめらと夜の枯野 近藤喜子 200702
どこまでも獣の細き枯野みち 齋部千里 ぐろっけ 200702
枯野中漢と漢すれ違ふ 石崎浄 風土 200702
ひとごゑの吹かれて遠き枯野かな 宮尾直美 200702
枯野来るきのふの色の雲移り 上林孝子 200702
枯野ゆく潮騒の中行くやうに 白井友梨 馬醉木 200703
肩寄する道産子と行く枯野径 佐藤哲 万象 200703
あたたかなものに包まれ大枯野 高橋将夫 200703
標的となるかもしれぬ枯野行く 小嶋洋子 200703
考への途中枯野の拡がりぬ 浅田光代 風土 200703
風押して来る一本の枯野道 生田作 風土 200703
枯いろに濃き淡きあり大枯野 佐藤淑子 雨月 200703
青空を行きて枯野に突き当る 環順子 遠嶺 200703
願はくは枯野さすらふ荒法師 川口襄 遠嶺 200703
過りたる野鵐枯野に沈みけり 松元末則 酸漿 200703
カンバスの枯野遠近法の線 泉田秋硯 200704
眠る人乗せて枯野の列車かな 清水晃子 遠嶺 200704
虜れの毛布枯野に垂したり 松崎豊 200704
枯野怖る声かけざるに吾が身の声 八田木枯 晩紅 200704
枯野原あした生るるものひそむ 長崎桂子 あを 200704
鉄路一閃枯野の不安貫けり 中野さき江 春燈 200705
大枯野星の匂ひの満つるまで 関口幹雄 遠嶺 200705
大枯野空の青さを吸ひきって 金井充 百日紅 200711
枯野驛烏をながめうごきだす 佐藤喜孝 あを 200711
大枯野驛のはづれはそぼぬるる 佐藤喜孝 あを 200711
枯野原おのが胸の火見えてくる 奥山絢子 風土 200801
標的となるかもしれぬ枯野行く 小嶋洋子 200801
枯野ゆく透明になる処まで 須田紅三郎 200801
牧閉す枯野へも道とざしけり 遠山みち子 200801
枯野に日どこ走つても走つても 松岡隆子 200801
わが影の他人めきたる大枯野 松岡隆子 200801
枯野より枯野色なる犬来たり 藤井彰二 馬醉木 200802
じつくりと生きゆつくりと枯野行く 小澤克己 遠嶺 200802
雨去りて枯野を華と見たりけり 本田俊子 200802
自らを枯野人とし歌枕 天野みゆき 風土 200802
風も日も枯野とどまるもののなき 北川英子 200802
ポケットに眠剤どこまでも枯野 古屋元 200802
飛機の影枯野にうつり着陸せり 大沼トシ子 200802
大枯野風のささやき笛となる 塚本泰子 酸漿 200802
枯野なる国境兵舎にチャーチ立つ 大西まりゑ 酸漿 200802
枯野原たんぽぽいくつ咲きゐたり 柿崎寿恵子 酸漿 200802
叫びても己小さし大枯野 和田照子 200803
見はるかす戦場ヶ原大枯野 山口順子 200803
火を落とすやうに枯野の夕日かな 太田寛郎 200803
正面に北斗立ちたる枯野かな 赤堀洋子 万象 200803
翁の里尋ぬ枯野をゆきいゆき 溝内健乃 雨月 200803
東雲の枯野の月を仰ぎけり 小澤克己 遠嶺 200803
大いなる山並大いなる枯野 石山惠子 遠嶺 200803
枯野道飛脚らしきと擦れ違ふ 川口襄 遠嶺 200803
枯野来て霊峰の風さそひだす 小宮山勇 遠嶺 200803
銀翼の重さ地を這ふ大枯野 山田美恵子 火星 200803
蕭条の枯野に生命ひそみをり 長屋璃子 火星 200803
浮雲の裏がは暗き枯野かな 小島みつ代 200803
吾を呼ぶらしき枯野の遠鴉鳴(あめい) 小山徳夫 遠嶺 200804
枯野道雲を探してをりにけり 府川房江 遠嶺 200804
眼鏡屋を出て五、六歩の枯野かな 坪内稔典 坪内稔典句集U 200804
枯野ゆく心に燃ゆるもの秘めて 小山徳夫 遠嶺 200805
枯野人熱く芭蕉を語りけり 小林幸子 遠嶺 200805
明日焼かるる枯野にありし孤愁かな 西川五郎 馬醉木 200805
川瀬鳴る方へ枯野を歩くかな 藤井美晴 やぶれ傘 200805
枯野の句書くにたばさむ旅鞄 佐藤喜孝 あを 200805
独り唄聞かせて行きし枯野人 泉田秋硯 二重唱 200806
大枯野踏切一つ抱いてゐる 吉村摂護 200806
枯野往く嶺のひかりをしるべとし 邑橋節夫 菊揃へ 200806
人に影鷺に水ある枯野かな 鈴木直充 素影 200811
枯野 →5      

 

2020年12月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。