寒 波 1      200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
騒がしき鴉の塒寒波来る 村瀬初実 春耕 199901
寒波来て大残照の富士くろき 山岸治子 馬醉木 199902
山脈をきざむ夕空寒波来 斎藤道子 馬醉木 199902
少年の匂ひのごとき寒波かな 近藤千雅 船団 199903
寒波くる枝の裂目の青みては ふけとしこ 船団 199903
寒波来て隠れんぼうのおどけ顔 細井隆子 199904
寒波来る老人力の正念場 渡辺純 京鹿子 199904
麻酔針眼に迫りくる寒波かな 立石萌木 雨月 199907
争ひし猫の縄張り寒波くる 鈴鹿仁 京鹿子 200003
紛れもなく年波といふ寒波かな 川名将義 銀化 200003
寒波来る気配は夜の風音に 佐藤千巻 円虹 200004
玻璃磨く寒波の顔の見ゆるまで 小澤克己 遠嶺 200004
沈丁の香を封じたる寒波来る 三浦みち子 200005
寒波刻々隣りの犬にパンをやる 和田悟朗 船団 200008
味噌樽の箍真青なり寒波来る 山本雅子 馬醉木 200101
釦穴までも絞りて寒波来る 甲州千草 200102
今朝も又寒波のニュースカフェオーレ 須賀敏子 あを 200103
斜交いに割れる板チョコ寒波来る 北川キヨ子 200104
残照の嶺より寒波なだれ来る 吉野トシ子 馬醉木 200104
海老形に跳ね列島に寒波来る 小澤克己 遠嶺 200105
青丹よし奈良も寒波をまぬがれず 遠藤若狭男 200202
寒波来て己が気力を試さるる 保田英太郎 風土 200202
蓋固きピクルスの瓶寒波来る 高橋あゆみ 200202
火酒一滴咽に留めし寒波来る 能村研三 200202
機関車の黒きかたまり寒波来る 遠藤若狭男 200202
寒波来て軋みだしたる膝小僧 辻本みえ子 馬醉木 200203
寒波来る窓正面の薬師岳 平田すみ子 風土 200203
南吉の詩集「墓碑銘」寒波来る 石城幸子 百鳥 200203
寒波来る丘に宇宙の観測所 遠藤和彦 遠嶺 200203
寒波くる淵のいろして夜の雲 吉田三保 200204
入院の世捨て心地や初寒波 伊藤稔代 200204
寒波来るぞと星ほしの瞬くか 池谷市江 200205
天気図の寒波楕円に砂糖壷 坂井法 200205
寒波来る鳥もけものも声を絶ち 高崎武義 200212
石鹸に真竹の香り寒波来る 高橋あゆみ 200302
真鍮の手すりの橋や寒波来る 辰巳陽子 雲の峰 200302
ジョギングの仲間を増やす寒波来る 加藤峰子 200302
甲板に吊られしピアノ寒波来る 若生まりあ 遠嶺 200303
クレープの生地に焼き斑寒波来る 高橋あゆみ 200303
金堂に一振りの太刀寒波来る 橋本良子 遠嶺 200304
パチンコの雑多な音へ寒波くる 廣畑忠明 火星 200304
沖波の黒き稜線寒波来る 小澤克己 遠嶺 200304
寒波くる声柔らかきアナウンサー 林裕美子 六花 200304
ごつんと寒波刺青の燃え上がる 滝沢環 京鹿子 200305
そゝくさと立話切る寒波急 恩塚典子 ぐろっけ 200306
寒波引き連れてからりと受賞せり 北川英子 200307
一枚の空翻し寒波来る 矢崎すみ子 200307
磨きこむナイフとフォーク寒波来る 高橋あゆみ 200401
創作のつまりはひとり寒波急 能村研三 200402
山国の空きしきしと寒波くる 宮坂恒子 200402
腰椎を真つ直ぐにして寒波来る 石平周蛙 対岸 200402
地境は崖となりけり大寒波 里中章子 200403
寒波来る天皇陛下手を上げて 堀内一郎 あを 200403
寒波来る座敷わらしの出さうな夜 福谷三保子 帆船 200403
崖に走り根あらは寒波来る 生方ふよう 200403
今一度陣立て直し寒波来 丸山敏幸 200403
のみ慣れし薬を飲めり寒波来る 冨村みと 対岸 200404
寒波連れオホーツクよりグルメ便 鈴木照子 200404
寒波来る北海道をわしづかみ 三浦香都子 対岸 200404
割箸の上手に割れず寒波来る 高田令子 200404
寒波来る屏風の枠の黒光り 藤田さち子 対岸 200404
利腕の肩に力や寒波くる 西村しげ子 雨月 200404
列島を二泊三日の寒波去る 塩路隆子 200405
暮れ際の雲の白さや寒波来る 飯森茂之 栴檀 200405
幻のオスマン軍鼓寒波呼ぶ 山下佳子 200405
篁の三日月の舟寒波来る 山元志津香 八千草 200407
大風車戻り寒波に弾みけり 浜田南風 200407
白銀の富士研ぎ澄ます大寒波 橘澄男 「山景」 200408
寒波来る海の上にある国道 松山律子 六花 200412
磐梯山映す湖寒波来る 神田一瓢 雨月 200412
寒波来と石階白き夜の闇 岡本眸 200501
寒波来る老犬ひたすら眠りけり 高木勝子 帆船 200502
大寒波ロック生誕五十年 小川えいいち 遠嶺 200503
寒波来る動脈瘤と診たてられ 古賀貞美 築港 200503
クリスマス寒波や星のまたたきて 榎本文代 万象 200503
大寒波息をひそめて凌ぎをり 三井公子 酸漿 200504
大寒波居座る鉛色の空 千田久美子 築港 200504
寒波来るらし銀紙の銀の音 坂ようこ 200504
寒波来て石狩原野静寂みつ 川越勢津子 200504
寒波急いまこそ腹のくくりどき 須佐薫子 帆船 200504
寒波来る鬼心仏心闘へる 芝生南天 河鹿 200504
縦縞の櫻の化石寒波くる 近藤きくえ 200505
寒波来る竹の切つ先天に向く 濱田萬里子 河鹿 200505
火の山はおとこのすがた寒波来る 九万田一海 河鹿 200505
遠吠えの犬や寒波の月あがる 山村桂子 遠嶺 200505
寒波来る只中に七味唐辛子 河内桜人 京鹿子 200506
船寄場のこる米蔵寒波来る 鈴木漱玉 馬醉木 200512
航空路直下の学府寒波来る 青山悠 200601
寒波来て鼻のアンテナありにけり 齋藤實 200602
寒波急板を泣かせて釘を抜く 鶴見遊太 200602
耐震疑惑つぎつぎ寒波居座れり 太田絵津子 200603
軍配の返されしかに寒波来 大橋敦子 雨月 200603
極月の加ふる寒波たたら踏む 溝内健乃 雨月 200603
寒波来妻は子のことばかり言ふ 淵脇護 河鹿 200603
寒波きてフォッサマグナの深まれり 菅原健一 200603
眉寄する仁王や寒波到来す 中桐葉子 春燈 200603
しんしんと寒波来し夜の鴨の声 片山喜久子 雨月 200603
大寒波南下の予感との曇り 三反田輝夫 河鹿 200604
寒波来て塒離れぬ鶴の群 大塚初江 200604
立春寒波といふことありと老の言ふ 安陪青人 雨月 200604
羅漢みな見開いてゐる寒波なり 今瀬剛一 対岸 200604
寒波くるらし雑巾の堅しぼり 望月晴美 200604
緬羊のもこもこ寒波居座れり 池元道雄 馬醉木 200604
能登半島は吠える怪獣寒波去る 松本圭司 200604
寒波来と深夜ラジオの時報かな 福地初江 200605
寒波急漬物の塩わしづかみ 服部早苗 200605
寒波急真夜救急車妻に呼ぶ 廣瀬義一 雨月 200605
音たてて筋書崩る大寒波 松田都青 京鹿子 200605
電飾もふるへてをりぬ寒波急 島田宣子 八千草 200607
寒波来てゐるを承知の外出かな 稲畑汀子 ホトトギス 200612
寒波急翅振るはせて虫死ぬる 川越勢津子 200701
からつぽの厩灯れり寒波来る 杉浦典子 火星 200703
寒波近づく逆光の鴨百羽 山尾玉藻 火星 200703
宝くじ買いたい日には寒波来る 貝森光洋 六甲 200703
猫背なりけり海べりに寒波来て 市場基巳 200703
寒波来る60階の風の色 掛井広通 200704
米を研ぐ水が鋼となる寒波 宮脇ちづる 200704
反り強き石橋寒波来たりけり 柴田佐知子 200704
寒波が洗ふ幟は合羽大明神 金井充 百日紅 200711
沈金の月と思ひき寒波来 勝見玲子 200802
残照の比良の紺碧寒波くる 山田美恵子 火星 200802
兜煮の鯉の飴いろ寒波くる ほんだゆき 馬醉木 200802
寒波きて右脳左脳もなかりけり 野澤あき 火星 200803
海中の柱状節理寒波来る 柴田佐知子 200803
まほろばの夕日なびける寒波かな 山田美恵子 火星 200803
寒波来る響動もす波の華と散り 峰幸子 200804
寒波来て通奏低音よく響く 荒井千佐代 200804
寒波去る耳のほてりの火種ほど 坪内稔典 稔典句集 200804
出番待つ大釜小釜寒波来る 府川房江 遠嶺 200804
寒波来る夜の橋しんと水位下げ 柴崎英子 200901
就活のいよよ厳しや初寒波 北尾章郎 200901
寒波くる渦巻状の金束子 小嶋洋子 200902
寒波来大気突き抜け天蒼き 仙石君子 雨月 200902
火の上に大魚の切り身寒波来る 柴田佐知子 200902
片頬へ刺さる寒波のなじみ橋 丸井巴水 京鹿子 200902
一斗壜飾る酒蔵寒波来 小林成子 200903
寒波来るシートベルトの金属音 藤原はる美 200903
寒波襲来それほどでない空腹感 丸山佳子 京鹿子 200903
大寒波思案の種を太らせる 宮崎高根 200904
桂郎の三寒波郷の四温かな 竪山道助 風土 200904
飛行機雲一直線に寒波来る 伊東恵美子 馬醉木 200904
星連れて寒波の底を帰りけり 松吉惠子 遠嶺 200905
吸ふ息の鼻腔すぎゆく大寒波 渡邉美保 火星 200905
寒波急きずつきやすきステンレス 小嶋洋子 泡の音色 200912
昼の陽を抱ける石に大寒波 森下康子 201002
寒波来る温顔の師の訃報もて 辻直美 201002
寒波来るか階なす雲の遠山に 峰幸子 201002
寒波にもめげぬ生足女子高生 棗怜子 春燈 201002
産毛濃く生れて男の子や寒波晴 田所節子 201002
ごり押しに強気に寒波襲来す 黒澤登美枝 201002
寒波来る孫それぞれに塾通ひ 久米なるを 201003
寒波来ていよいよ尖る妙義山 大西八洲雄 万象 201003
北国の人驚かす大寒波 西垣順子 201003
東京の街光らせて寒波くる 安居正浩 201003
ペンギンの子のブラボーと寒波来る 新江たか ろんど 201004
許す気はなしと寒波の来りけり 柴田佐知子 201004
化粧なき顔で一日寒波来る 小山紫乃布 末黒野 201004
結界に剛の一竿寒波来る 柴田志津子 201004
上空に氷室ありけり寒波くる 瀬川公馨 201005
罅入りし仁王の目玉寒波来る 松井佐枝子 万象 201005
佛壇の花は寒波を寄せつけず 樋口正輝 ぐろっけ 201005
来る勿れてふ勿来関寒波来る 館容子 201005
スルメ焼く北半球に寒波来る 櫻木道代 ぐろっけ 201005
強烈な寒波に震へ御所桜 泉田秋硯 201007
列島の反りを極めて寒波急 能村研三 201102
地球儀に日本は赤し寒波来る 紀川和子 201103
寒波くるしづかに夫の忌なりけり 外川玲子 風土 201103
日輪に雲のうすぎぬ寒波来る 辻美奈子 201103
曲り屋の土間の凹凸寒波来る 松井志津子 201103
灯台の益荒男立や寒波来る 松井志津子 201103
寒波来エプロンパステル色にして 宮田香 201104
備長炭かーんと割れて寒波晴 田所節子 201104
ボルシチの鍋沸々と寒波来る 豊谷ゆき江 春燈 201104
天気図に渦巻二つ寒波来る 能美昌二郎 201106
ランタンの下の豚足寒波くる 山尾玉藻 火星 201201
松の瘤あらくれだちて寒波来る 高橋あさの 201202
寒波来て草木おののく山野かな 宇治重郎 201202
ぐい呑の糸尻粗し寒波来る 矢口笑子 春燈 201202
弟は白髪ふさふさ寒波来る 山田六甲 六花 201202
寒波来る根菜縦に持ち替へて 吉田政江 201203
寒波来ぬ鍵束に鍵ひとつ足し 丹羽啓子 馬醉木 201203
寒波来て宇宙ふるへる眉の月 渡辺安酔 201203
獣らの牙磨かむと寒波来る 柴田佐知子 201203
奉納の錨直立寒波来る 遠藤真砂明 201203
ドーナツの穴の整列寒波来る 安居正浩 201203
天気図のまことしやかに寒波来る 塩田博久 風土 201203
男にも保湿クリーム寒波来る 塩田博久 風土 201204
大寒波山から小僧がとんで来る 塩田博久 風土 201204
赤い実は赤を極めて寒波来る 福島茂 201204
寒波来る電線空に張りつめて 塩田博久 風土 201204
ただなはる等圧線や寒波来る 塩田博久 風土 201204
街路樹に梢の仔細寒波来る 塩田博久 風土 201204
門ごとに春聯紅く寒波来る 塩田博久 風土 201204
耳鳴りの今日は高音寒波晴 楠原幹子 201204
残月を吹き落したる寒波かな 竹下陶子 ホトトギス 201204
赤福本店大寒波居座りぬ 藤田素子 火星 201204
大寒波庭の錆@色極まれる 塩田博久 風土 201204
列島に寒波居据り春や遅々 大久保弘子 雨月 201205
久を忌の鞭のごとくに寒波来る 岩岡中正 ホトトギス 201208
刃渡りは三千余キロ寒波来る 林昭太郎 あまねく 201210
寒波 →2      

 

2021年1月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。