寒林     138句

九九となへつつ寒林へまぎれ入る    早野和子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
寒林の雲につかへて傾ける 塙告冬 ホトトギス 199806  
寒林を抜けてやうやく切手貼る 井上菜摘子 京鹿子 199901  
寒林や根つこのごとく鹿まどろむ 田中佐知子 風土 199903  
いぶし鍋とも寒林に日当るは  栃内和江 199903  
寒林の雨滴に余生見透かせり 松本鷹根 京鹿子 199906  
海を見るとき寒林を見てをりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200001  
寒林の入口らしき鳥の羽根 山尾玉藻 火星 200001  
寒林に日の当る峰乗つてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200001  
岬山の寒林に日矢差しにけり 加藤あけみ 円虹 200002  
小鳥よく見え寒林に鼓動あり 田中藤穂 水瓶座 200002  
寒林の囚人たるをうべなへり 岡本眸 200002  
寒林の遠いところの暮れてをり 坊城俊樹 円虹 200003  
まじりつ気なく寒林にはりつく日 豊田都峰 京鹿子 200003  
寒林の根方に集む日のひかり 吉村幸子 雨月 200003  
僧院の玻璃寒林を映しをり 山本耀子 火星 200004  
寒林や日の斑をまとふ墓一基 塩田博久 風土 200004  
寒林の影さだまるや十日月 定藤素子 雨月 200004  
朝日今寒林の中昇りくる 大塚洋子 酸漿 200004  
寒林のいづくの音や仰ぎけり 二宮恵子 200005  
寒林や湯気の糞して木曳馬 和田照海 京鹿子 200101  
寒林の意の侭となる人と犬 鈴鹿仁 京鹿子 200102  
鳥らいま寒林といふ籠ぐらし かとうゆき 銀化 200102  
寒林に入口ありて出口なし 保田英太郎 風土 200103  
寒林の枝葉末節にてわれは 行方克巳 知音 200103  
寒林ににぎはふ楽屋とふがあり 華明日香 銀化 200103  
寒林にカーブミラーが待ちくれし 丸山佳子 京鹿子 200103  
寒林へかついで来たる杭の束 夏秋明子 火星 200105  
寒林にF氏いるらし逢いにいく 入江一月 船団 200105 M氏もO氏も
寒林の影来てをりぬ父祖の墓 小泉晴露 酸漿 200105  
寒林に夜明けの星座捕まった 河原珠美 海程 200107  
寒林や十歩ゆきては立ち止まり 平子公一 馬醉木 200201  
寒林や一語は重し二語軽し 鈴鹿仁 京鹿子 200202  
寒林を抜けてバージンロードヘと 朱間繭生 銀化 200202  
寒林や木霊は白く眠り居り 佐藤節子 銀化 200202  
寒林や空さへいらぬもののうち 豊田都峰 京鹿子 200202  
寒林のさてもカンカン踊りかな 栗栖恵通子 200203  
寒林に瀬音ありけり蚕神 延広禎一 200203  
寒林の深沈として年迎ふ 伊丹さち子 馬醉木 200203  
寒林を抜けて明るき道探す 芳賀雅子 遠嶺 200203  
人声のする寒林の星明り 豊岡清子 遠嶺 200203  
寒林や呪縛の蔓のあからさま 公山礼子 200203  
寒林に透きて明治の異人館 伊藤洋子 200203  
寒林を鳥の塒としてゐたり 雨村敏子 200204  
寒林の暗み明るみ大師道 奥田節子 火星 200204  
ぴしぴしっと鳴る寒林の木霊かな 岡淑子 雨月 200204  
寒林の影動き雲動くかな 中島知惠子 雨月 200204  
みぞおちへ底なしの寂び暾の寒林 伊藤希眸 京鹿子 200204  
寒林の奥にふれあひ広場かな 川口利夫 ホトトギス 200205  
寒林の踏み入るほどにセピア色 辻田明 200205  
寒林出づる吾子よ上衣の黄色もて 藤井勢津子 200209  
懐に寒林抱き山暮るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200211  
寒林となりて波音近づきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200211  
寒林を抜け青き海広き空 稲畑汀子 ホトトギス 200301  
寒林に溜めて山の日なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200301  
寒林の明るさ山の日を集め 稲畑汀子 ホトトギス 200301  
はればれと寒林長き影引けり 須佐薫子 帆船 200301  
寒林をS字に迂廻したくなる 加藤峰子 200302  
寒林に透く町の灯の淡きかな 峰幸子 200302  
寒林を抜けて素顔を置いて来る 長井順子 200302  
耳の位置確と寒林抜けにけり 長井順子 200302  
寒林や影も光も月が 小島紅雅 雲の峰 200302  
寒林を出できし汽車の真顔かな 小澤克己 遠嶺 200303  
寒林やドーベルマンの眼の赤く 鈴木綾子 百鳥 200303  
寒林や気弱な猫のうづくまり 江坂衣代 百鳥 200303  
寒林を抜けて火となる犬の舌 百瀬虚吹 風土 200303  
寒林の風おさまりぬ箒星 飯塚ゑ子 火星 200303  
寒林や音の抜けたる後しづか 守屋井蛙 酸漿 200303  
寒林を行く残照の汀まで 若生まりあ 遠嶺 200304  
寒林を一気に抜けてしまひけり 上野孝行 百鳥 200304  
寒林へ落暉の自縄自縛かな 田谷はる恵 200304  
寒林やキャッチボールの硬き音 江坂衣代 百鳥 200305  
寒林の上うすうすと朝の月 加美明美 200305  
寒林を越えてゆきたる鳥の群 雨村敏子 200305  
寒林に樹液流るる音かとも 山田をがたま 京鹿子 200305  
寒林を一気に駈けて旗となる 城石美津子 京鹿子 200305  
寒林を抜け来し老の背に力 鈴掛穂 200307  
寒林に月のしづくのごときもの 吉原一暁 200402  
寒林の深々として朝月夜 中川悦子 酸漿 200403  
寒林を出るにムンクの顔になり 伊藤白潮 200403  
寒林のどの樹撃ちしや石礫 泉田秋硯 200404  
寒林に曝す二人の本音かな 井内佳代子 遠嶺 200404  
思はざる光のオブジェ寒林に 鈴掛穂 200404  
寒林と二三歩ごとの影問答 豊田都峰 京鹿子 200404  
寒林の近道知るももう行かず 村越化石 200404  
寒林を出て白砂のまぶしかり 永井由利子 百鳥 200404  
寒林を抜ける坂道窯どころ 中島瑞枝 百鳥 200404  
寒林の影消え茶粥吹きこぼれ 鹿志村正子 対岸 200404  
寒林の奥に家あり畑あり 赤尾杉昌子 対岸 200404  
寒林の下枝渡りして鳴かず 松本鷹根 京鹿子 200405  
寒林の夜の香を作る水の精 蒔元一草 河鹿 200405  
寒林に日の匂ひせるひとところ 館容子 200405  
寒林をもどりて来たる父の息 山尾玉藻 火星 200501  
寒林やマティスの赤を着て歩む 田中藤穂 あを 200502  
寒林の無色透明風吹ける 今瀬剛一 対岸 200503  
寒林や蛇口上向きにて乾く 今瀬剛一 対岸 200503  
どこまでも日の走り行く寒林 信崎和葉 六花 200503  
寒林に己の影を重ね行く 江崎成則 栴檀 200503  
寒林に入り渦をなす想ひかな 横松しげる 遠嶺 200503  
寒林にきんきんと声はじかるる 大橋敦子 雨月 200504  
寒林に昆虫館の灯の入りし 浜口高子 火星 200504  
寒林にリュックの入りてそれつきり 西畑敦子 火星 200504  
寒林に入るべく心たて直す 木内憲子 200504  
寒林に入るや今なほ父の声 田中矢水 遠嶺 200505  
身を清めるため寒林に入りにけり 中嶋陽子 風土 200505  
寒林のヒト一匹を群鴉 浦野里山 200505  
寒林や捨てきれぬ古書殖えもして 中島英子 八千草 200508  
寒林の日ざしに想ひ綻びぬ 瀧春一 菜園 200509  
寒林に石打の羽拾ひけり 宮澤さくら 今生 200510  
寒林を真つ正面にくしけづる 鈴木満喜子 対岸 200602  
寒林の日当たりて空軽くなる 奥村邦子 200603  
寒林や明恵の夢をふと追ひぬ 岩月優美子 200603  
寒林の明るさ海に移りけり 雨村敏子 200604  
寒林の色となりたる樵かな 中田禎子 200604  
寒林を透かして大き朝日かな 林佳枝 酸漿 200604  
寒林を突つ切つて来し子を抱く 古賀直子 百鳥 200604  
寒林を抜け来て鉄のオブジェかな 小林とみゑ 百鳥 200604  
寒林に空仰ぎゐる喉仏 山県照江 百鳥 200604  
浮雲へ寒林を翔つ鳥の群 酒井美津 遠嶺 200605  
寒林を見上げて抜けて細く生く 松本鷹根 京鹿子 200605  
寒林に両手を拡げ立ちにけり 浅田光喜 対岸 200605  
落葉松の寒林あかく芽ぐみそむ 瀧春一 常念 200606  
寒林を抜け正面に光る富士 与川やよい 遠嶺 200606  
寒林や谺の精はいま不在 山元志津香 八千草 200606  
寒林を滝の地鳴りの揺らしけり 金居欽一 万象 200608  
寒林やひとり歩めば耳聡く 清水裕子 200702  
透けきりて寒林といふつきあたり 豊田都峰 京鹿子 200703  
寒林や火を吐くやうに鳥の声 浜田はるみ 遠嶺 200703  
寒林の木洩れ日あはし山路かな 渡辺安酔 200703  
寒林の日影加へてあたたかし 鴨下昭 200703  
寒林をひびかせ宮の朝太鼓 桑島啓司 200704  
寒林を抜け少年の匂ひ出す 水野恒彦 200704  
立ち泳ぐやうに寒林ぬけにけり 服部早苗 200704  
のぼる日を背に寒林の動かざる 佐々木幸 200704  
寒林の構図の一歩づつ傾ぐ 湯川雅 ホトトギス 200705  
立昏みせり寒林を来し如く 井上信子 200705  
寒林に光を集め玉しづく 大北昌子 200705  
寒林の彼方槌音ひびきけり 今井松子 遠嶺 200705  
白銀を統べ寒林でありにけり 稲畑廣太郎 ほととぎす 200801

 

08/01/11 制作

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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