寒の水 1    215句

焼跡に透きとほりけり寒の水   石田波郷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水滴より滴々これも寒の水
鷹羽狩行
199902
寒の水ぶつつけて蜑魚料る
山田弘子
円虹
199903
看取りより戻り一気に寒の水
杉山瑞恵
雨月
199906
一・二・三・四・五・六腑寒の水
北原武巳
船団
199912
寒の水箍に力の張りにけり
能村研三
200002
暗闇に住む象に寒の水飲ます
村越化石
200003
寒の水に洗ひし青菜甘きかな
佐々木孝子
200003
寒の水大束にして打たせけり
禅京子
風土
200004
寒の水ほど旨きものなかりけり
二瓶洋子
六花
200005
深々と湧く富士よりの寒の水
三村純
ホトトギス
200006
生きる意味語る青年寒の水
西塚成代
六花
200006
寒の水かつゑしがごと飲み下せる
奥田節子
火星
200007
暗がりに満たして寒の水にほふ
高瀬哲夫
200102
世をつなぎ命をつなぎ寒の水
村越化石
200103
寒の水掬びて熱きたなごころ
山田天
雨月
200104
寒の水飲んで体に芯とほす
今村恵子
200104
起きがけの咽の在りど寒の水
小松誠一
200104
利酒のごと間々を寒の水
亀丸公俊
銀化
200201
寒の水飲みて腹案示すなり
能村研三
200202
工事場の柄杓新し寒の水
後藤志づ
あを
200202
呆け封じと一気に呷る寒の水
毛塚静枝
200204
父の忌や地酒と寒の水供へ
金子君枝
百鳥
200204
仕込み唄阿賀伏流の寒の水
菅井悦子
200204
杣人の錠の焼入れ寒の水
阿部月山子
春耕
200204
酒蔵の梁の太さや寒の水
水田清子
200204
千年の嗽ぎに耐へし寒の水
高木智
京鹿子
200205
寒の水噛んで右脳に皺ふやす
和田照海
京鹿子
200205
寒の水地震の記憶の巡り来し
稲畑汀子
ホトトギス
200301
寒の水とて喉もとを過ぎにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200301
健康にはじまる朝の寒の水
稲畑汀子
ホトトギス
200301
寒の水落ちて七滝なりしこと
稲畑汀子
ホトトギス
200301
天城越え寒の水音離さずに
稲畑汀子
ホトトギス
200301
大寒の水族館に回遊魚
中村洋子
風土
200301
道場の子ら競ひ飲む寒の水
島玲子
風土
200301
呑み込みてわたくしをなる寒の水
竹村悦子
銀化
200301
づかづかと夜が近づく寒の水
梅村達子
帆船
200301
節目にも気丈に生きむ寒の水
鈴鹿仁
京鹿子
200302
熊の胆の一片苦し寒の水
大橋敦子
雨月
200303
寒の水すくふ感性とらへむと
片山タケ子
200303
映る山風にゆがめり寒の水
村上一葉子
200303
寒の水したたるさぬきうどんかな
高橋将夫
200303
腸の在り処のしるき寒の水
島田妙子
200303
おもむろに硯に注ぐ寒の水
宮本道子
酸漿
200304
家事一切ゆめ怠らず寒の水
杉本美智江
雨月
200304
絵手紙の筆の吸ひたる寒の水
高柳かつを
百鳥
200304
ひもろぎやひたすら囲む寒の水
豊田都峰
京鹿子
200304
刺青の鯉寒の水隙間なし
佐藤喜孝
青寫眞
200304
麻痺の手に受けて呑み干す寒の水
千坂美津恵
200305
胡麻豆腐寒の水にて固めしと
南うみを
風土
200305
寒水に糊溶きし甕神棚へ
山田をがたま
京鹿子
200305
俎の傷跡深し寒の水
陶山泰子
ぐろっけ
200305
寒水に菜の生き生きと甦へる
竹内方乃
ぐろっけ
200305
寒の水ごくり胃の腑に水位かな
山元志津香
西の峰
200401
厳寒の水に沈みぬ楮重石
岩木茂
風土
200402
手加減で墨の濃淡寒の水
星野とみ
帆船
200403
銅ねの龍の顎より寒の水
祐森省造
雲の峰
200403
深き息つく寒の水飲み干して
吉田明
200403
寒の水胃の腋に棒のごとささる
楠原幹子
200403
なりはひのひと日を充たし寒の水
鈴鹿仁
京鹿子
200403
寒の水飲んで硬派を続けをり
伊藤白潮
200403
石投げて眠る寒水驚かす
三浦如水
ぐろっけ
200403
五臓六腑健やか寒の水うまし
金森信子
雨月
200404
寒水に動くまたぎの喉仏
北吉裕子
雲の峰
200404
命拾ひしてごくりと寒の水
高畠陽子
河鹿
200404
父の口濡らしてこぼれ寒の水
大山文子
火星
200404
墳山のぐるり吹かるる寒の水
大山里
200404
讃美歌の染みとほりたる寒の水
近藤喜子
200404
麻酔より醒めたる犬へ寒の水
しばかやこ
風土
200404
さわさわと触れ合へる和紙寒の水
的池遙
百鳥
200404
湯上りの喉にごくりと寒の水
並木重助
酸漿
200405
寒の水緋鯉は蔵の町浄め
佐藤ナオ子
遠嶺
200405
山の無垢集めて寒の水奔る
蒔元一草
河鹿
200405
寒の水ごくんと呑んで生きてゐる
石見邦慧
200405
嘘ひとつ喉元にあり寒の水
鳴海晴美
六花
200405
直線に喉をうるほす寒の水
東尾G子
馬醉木
200405
二兎を追ふほかなし酷寒の水を飲み
有馬朗人
河鹿
200406
風邪寄せず湯あがりに浴ぶ寒の水
橘澄男
山景
200408
酒搾る袋を浸けし寒の水
増田幸子
万象
200409
寒の水竹の柄杓の新しく
増田敏子
築港
200503
創始者の墓へたつぷり寒の水
伊藤白潮
200503
ひとすぢにまたひとすぢへ寒の水
豊田都峰
京鹿子
200503
口漱ぎ歯に滲み通る寒の水
辻川錫子
築港
200504
槐の木と魔除けの玉と寒の水
植木戴子
200504
仕上げのなまめかしさや寒の水
土肥屯蕪里
雲の峰
200504
寒水の豊かにこぼれ供花替へし
佐川あけみ
対岸
200504
寒の水食道滑る速さかな
水野範子
ぐろっけ
200504
ひと息に飲みたる寒の水甘露
松本圭司
200504
棒の如身ぬちをくだる寒の水
鈴掛穂
200504
青竹の樋快走す寒の水
長谷川春
200504
映し出す透明なもの寒の水
瀬下るか
200504
カセ鳥の寒の水浴びカッカッカー
沼沢破風
200505
父の忌や真夜中に飲む寒の水
松山佐治彦
河鹿
200506
能太夫大眉を引く寒の水
鈴木漱玉
馬醉木
200512
寒の水小顔のためのあいうえお
倉持梨恵
200601
曖昧にしておくことも寒の水
倉持梨恵
200601
大寒の水無きごとき流れかな
山田六甲
六花
200602
喉仏痩せ大寒の水を飲む
沼口蓬風
河鹿
200604
寒の水米うつくしく洗ひをり
芝生南天
河鹿
200604
鉢植の音たてて吸ふ寒の水
小林成子
火星
200604
寒の水呑み干す喉の動きかな
宮津昭彦
200604
寒の水五臓六腑に活入るる
西村しげ子
雨月
200604
寒の水二三滴にて足る写経
片山喜久子
雨月
200604
寒の水濁らせ金魚眠りをり
ことり
六花
200604
ひといきに飲み干す富士の寒の水
徳田正樹
河鹿
200605
寒の水噛みて姿勢を正しけり
塚越としを
百鳥
200605
寒の水友禅流し透けて見え
細川房代
百鳥
200605
厳寒の水音に歩を止めにけり
渡辺章子
200605
寒の水柄杓飲みして宮大工
原田しずえ
万象
200606
寒の水潜らせにけりゆで卵
山田六甲
六花
200702
臼取りのいくども寒の水叩く
山田六甲
六花
200702
百年の柱を磨く寒の水
ことり
六花
200702
寒の水くぐりし蕎麦をすすりけり
ことり
六花
200702
魂も心も洗ふ寒の水
高橋将夫
200703
寒の水仏心流れゐるごとし
高橋将夫
200703
寒の水まづ飲みて何なさむとす
村越化石
200703
一丁を寒の水ごと掬ひをり
須藤美智子
風土
200704
青竹の切り口白し寒の水
林友次郎
遠嶺
200704
なるやうになる寒の水飲みにけり
杉浦典子
火星
200704
寒の水注ぎて花の活け終はる
羽賀恭子
200704
寒の水しこたま飲みて癌検査
松嶋一洋
200704
寒の水枯れ苔の上流れけり
筒井八重子
六花
200705
目をつむりつつ飲み下す寒の水
山田六甲
六花
200802
山里に生きて米寿の寒の水
芝宮須磨子
あを
200802
寒の水飲みて運動始めたり
松嶋一洋
200803
寒の水湛へ鹿島の水垢離場
内海良太
万象
200803
寒の水曳き擦つて鮒釣り上げし
山崎祐子
万象
200803
寒の水壼中の闇にひびきける
藤井寿江子
馬醉木
200804
寒の水呑みほし朝の厨ごと
米山喜久子
200804
息災やゆるりと寒の水を飲む
内野俊子
春燈
200804
寒の水飲んで二度寝をいたしけり
田村園子
200804
飲み干してたましひ青し寒の水
宮島宏子
200804
寒水に晒しうどんのしことせり
梅原幸子
遠嶺
200804
寒水の白刃まざと飲みにけり
村田文一
遠嶺
200805
寒の水飲んで腹鳴る生きめやも
伊藤白潮
200811
泥酔の酔覚ましなる寒の水
山田六甲
六花
200902
寒の水鋼の如く喉を越す
塩路隆子
200903
忘れたきこと忘るるや寒の水
外川玲子
風土
200903
墨の色締まるを覚ゆ寒の水
加藤北天
雨月
200903
寒の水硯の上に毬を成し
加藤北天
雨月
200903
寒の水冠毛凛と小鷺立つ
伊藤いな栄
酸漿
200903
鬼が顔洗うてゐたる寒の水
高橋将夫
200904
寒の水五臓六腑を目覚めさす
木原今女
ぐろっけ
200904
寒の水うす紫と思ひけり
門伝史会
風土
200904
寒の水飲みて己れを正しうす
中村洋子
風土
200904
寒の水くみおく眠り深くする
服部早苗
200904
井戸端に泥芋洗ふ寒の水
小林馨
火星
200904
水掛地蔵乾く間のなし寒の水
小林れい
酸漿
200904
我が胸の決意確かむ寒の水
村田文一
遠嶺
200905
寒の水二度目ないこと師に学ぶ
伊吹之博
春燈
200905
百薬の寒の水呑み行者径
岡佳代子
201002
眠りをる細胞さます寒の水
佐々木群
201002
寒の水渦となりゐて米を研ぐ
山根征子
201003
際やかに体を過ぐる寒の水
沼田桂子
春燈
201003
烏骨鶏産卵あとの寒の水
塩路隆子
201004
菜を洗ふ指先赤し寒の水
田所昌代
201004
降圧剤飲む齢なり寒の水
竹内悦子
201004
ボトルヘと汲む寒の水酒どころ
増田一代
201004
鞭打つて百歳めざすや寒の水
林友次郎
遠嶺
201004
寒の水引つ張つて鯉沈みゆく
柴田佐知子
201004
服薬の解き放たれて寒の水
吉田政江
201004
寒の水濃きもも色の中の舌
寺田すず江
201004
ストローをのぼる重たき寒の水
冨松寛子
201004
寒の水ごくりと動く喉仏
田中臥石
末黒野
201004
寒の水透けて柾目の杓の底
森清尭
末黒野
201004
寒の水呑んで登るや男坂
男澤榮男
末黒野
201004
飲み干して魔性になりし寒の水
前田美恵子
201005
再びを全身麻酔寒の水
北村香朗
京鹿子
201005
刃の如き一葉を浮かべ寒の水
竪山道助
風土
201005
寒の水抱きし龍の眠りかな 前田美恵子 201103
寒の水供ふは白きかすみ草 森理和 あを 201103
大寒の水に禊の絹豆腐 宮崎左智子 201104
寒の水かたかた鳴らし芋水車 浜福惠 風土 201104
寒の水青き地球を一掬ひ 相良牧人 201104
飲み乾してしばし瞑目寒の水 堀田恵美子 雨月 201104
寒の水白磁の盤に張られけり 浅嶋肇 やぶれ傘 201105
水盤に波たたせ替ふ寒の水 笹村政子 初鼓 201105
大寒の水のくらりと鯉の鰭 秋葉貞子 やぶれ傘 201106
けふ一日空回りして寒の水 寺田すず江 201204
心根の渇きに寒の水一斗 中田禎子 201204
夜の厨砥石に垂らす寒の水 大木清美子 201204
大寒の水の器か昏き滋賀 服部郁史 京鹿子 201204
寒の水二合の米を研ぎ澄ます 三浦澄江 ぐろっけ 201204
寒の水こぼす蹲ひ群ら雀 三枝邦光 ぐろっけ 201204
風立ちてすれちがひける寒の水 蟻蜂 六花 201204
百年の木臼に満たす寒の水 小林美代子 万象選集 201205
空見上げ鳩くくくくと寒の水 橋本くに彦 ホトトギス 201206
連山を潜りてぬくき寒の水 下平誠子 万華鏡 201206
赤き実を沈めて寒の水となる 木村和也 船団 201212
寒の水吹きつけ象の発情す 丸山佳子 京鹿子 201302
岩穴に眼のごとき寒の水 矢野百合子 201302
分流は魚道や寒の水奔り 大竹淑子 風土 201303
身をすすぐ竜吐水なる寒の水 須藤美智子 風土 201303
寒の水ごくり喉元太りけり 久染康子 201303
陽に透かし光ごと飲む寒の水 和田紀夫 201304
寒の水ぐいと寝覚めの悪き身に 大橋晄 雨月 201304
身中をわづかに曲る寒の水 前田貴美子 万象 201304
仏壇の花に注ぎたす寒の水 山下とし子 万象 201304
垂直にのんど落ちゆく寒の水 藤岡紫水 京鹿子 201304
寒の水飲める少女の白き咽喉 松田泰子 末黒野 201304
寒の水身ぬちの箍を締め直す 森清堯 末黒野 201305
友禅師口にふくみし寒の水 池田華甲 201305
寒の水ゆつくり臍にとどきたり 亀田やす子 ははのこゑ 201306
藥罐たつぷり寒の水高野口 中島陽華 201306
シクラメン直ぐ甦る寒の水 瀧春一 花石榴 201312
寒の水ごくりと六腑清めけり 塩千恵子 201403
寒の水飲んでひらかむ心の眼 藤井寿江子 馬醉木 201403
端渓の海に注ぎし寒の水 岩下芳子 201403
飲み薬五色五粒に寒の水 松崎雨休 風土 201403
服薬のかすかに震へ寒の水 中尾安一 火星 201404
寒の水に切干浸す夕かな 近藤紀子 201404
寒の水吸うて陶土の艶ませり 大内和憲 万象 201404
寒の水吐いてをり貝の口 中村洋子 風土 201404
寒の水鳴る学生の喉仏 池田喜代持 六花 201404
寒の水竜の口より賜れり 今井弘雄 春燈 201404
閑話休題ぐびと呑みこむ寒の水 上野紫泉 京鹿子 201404
起き抜けの息足して飲む寒の水 柴田久子 風土 201404
青竹の御手洗芳し寒の水 中村紀美子 春燈 201404
寒の水落しどころを考へる 熊谷ふみを ろんど 201405
起き抜けの胃の腑に沁むる寒の水 中野久雄 末黒野 201405
起き抜けの喉をさ走る寒の水 堺昌子 末黒野 201405
操車場寒の水もて窓拭ける 升田ヤス子 六花 201405
藍染の色洗ひ上ぐ寒の水 山田佳乃 ホトトギス 201407
寒の水 →2      

 

2021年1月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。