寒の鯉     57句

寒の鯉ボストンバックに入れられて    金子蛙次郎

寒鯉 寒の鯉 冬の鯉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
むらくもの動くと見れば寒の鯉 鷹羽狩行 199902
寒の鯉描く薄墨を塗りかさね 能村登四郎 芒種 199911
湧水に力さづかり寒の鯉 鷹羽狩行 200002
黙秘権行使してゐる寒の鯉 市川舞 200005
我が影の底に影濃き寒の鯉 斉木永久 馬醉木 200104
見窄らしきかな売れ残る寒の鯉 八幡酔鵬 200106
薄墨がひろがり寒の鯉うかぶ 能村登四郎 200108
自重とも自愛とも大寒の鯉 鷹羽狩行 200202
水の中にも水尾曳きて寒の鯉 鷹羽狩行 200202
寒の鯉向きの揃ひて相寄らず 中根美保 風土 200202
寒の鯉細きところを細くして 山田六甲 六花 200202
真ん中ががら空きの雲寒の鯉 山田六甲 六花 200202
石の上に髭のつてをり寒の鯉 男波弘志 200204
寒の鯉じつと哲学してをれり 三嶋隆英 馬醉木 200204
目の前の餌を吸ひこめる寒の鯉 佐原正子 六花 200206
地方紙にくるまれて来し寒の鯉 山田禮子 遠嶺 200304
寒の鯉らしくしなさい鼻眼鏡 山田六甲 六花 200402
心字池おどろおどろに寒の鯉 水谷ひさ江 六花 200403
寒の鯉検査結果は太り過ぎ 射場智也 六花 200403
手を打てば底より浮ぶ寒の鯉 小林朱夏 200403
宮奥のかがよふ池に寒の鯉 関まさを 酸漿 200404
ありありと俎板の上寒の鯉 後藤立夫 ホトトギス 200405
牢として岩陰を出ず寒の鯉 鷹羽狩行 200502
寒の鯉沼の底より釣られけり 藤井昌治 200503
寒の鯉背なの唐獅子牡丹かな 山田六甲 六花 200503
何しても沈んでゆくか寒の鯉 山田六甲 六花 200503
寒の鯉水の重さになりきつて 田村みどり 京鹿子 200503
新聞紙ぬらして包む寒の鯉 南うみを 風土 200603
寒の鯉子鯉にひれのふれにけり 山田六甲 六花 200603
寒の鯉よろけしごとく退るかな 山田六甲 六花 200603
寒の鯉流れに向きて流されず 山中明子 対岸 200603
動く目をまづ包みけり寒の鯉 鷹羽狩行 200802
寒の鯉不動の行に入りけり 曷川克 遠嶺 200803
不動智の極みなりけり寒の鯉 近藤喜子 200904
己より濃き影とゐる寒の鯉 小山徳夫 遠嶺 201005
水底のぐらりと揺れて寒の鯉 藤田千枝子 末黒野 201005
寒の鯉けむりのごとき息を吐く 瀬戸悠 風土 201005
身の丈の影を脱ぎたる寒の鯉 笹村政子 六花 201005
無垢材の大俎板に寒の鯉 山田六甲 六花 201103
動かねば水の色して寒の鯉 芝尚子 あを 201103
日輪に呼び起されし寒の鯉 中川悦子 酸漿 201104
嵯峨野の泥吐かせし日数寒の鯉 河崎尚子 火星 201203
閑雲や枯木影さす寒の鯉 佐藤喜仙 かさね 201204
寒の鯉口・口・口出す池の面 福田かよ子 ぐろっけ 201204
色褪せし喉見せらるる寒の鯉 原田達夫 201205
寒の鯉もぐりもぐりて泥まみれ 三浦澄江 ぐろっけ 201205
動かずに顎で数へし寒の鯉 能村研三 201301
落口の泡に包まれ寒の鯉 山田六甲 六花 201302
寒の鯉投げやる餌をぱくつきぬ 筒井八重子 六花 201303
日の池に動かざるまま寒の鯉 小山繁子 春燈 201304
奪ひあふ気配などなし寒の鯉 山田六甲 六花 201402
金澤の宿の盥に寒の鯉 伊勢きみこ 火星 201403
息継ぎをしばし忘るる寒の鯉 菊地光子 201603
この池の主でござると寒の鯉 時澤藍 201603
反古焚いて気配ありけり寒の鯉 市村明代 馬醉木 201604
怠惰とも無想にゆるぶ寒の鯉 荒木甫 201704
水心たつぷり寒の鯉を呼ぶ 山田六甲 六花 201804
煩悩の泡は浮かず寒の鯉 鈴鹿呂仁 京鹿子 201903
弓なりに桶に張りつく寒の鯉 笹村政子 六花 202205

 

2023年1月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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