寒 月〈寒の月〉3     121句

寒月に焚火ひとひらづゝのぼる   橋本多佳子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寒月に東京タワー凛とあり 稲畑汀子 ホトトギス 200801
激痛に歪む口許寒月光 峰尾秀之 200802
寒月光沖に一条迷ひなし 千田敬 200803
残生を寒月照らす忍び坂 築城百々平 馬醉木 200804
時計塔に文字の煌き寒月夜 吉田晴子 200804
地球の影受けて寒月尖りけり 坂上香菜 200804
寒月へつつかい棒のしてありぬ 大島翠木 200804
母の忌や皓々とある寒の月 堀田清江 雨月 200804
寒月下雪が落とせる雪の翳 藤岡紫水 京鹿子 200804
衛兵のやうな樹影や寒の月 加藤峰子 200804
寒月を讃へ銀座の「卯波」閉づ 小澤克己 遠嶺 200804
寛容でありたし寒の月まろし 竹内文子 遠嶺 200804
寒月に孤独の美学語りをり 横田実 遠嶺 200804
寒月光浴び一草もそよがざる 東良子 首座星 200804
東京の色の足りなき寒の月 橋本くに彦 ホトトギス 200805
指で拭く小窓の結露寒の月 橋本くに彦 ホトトギス 200805
藪原の起伏を照らす寒の月 米屋道子 200805
国と国繋ぐ流れや寒月夜 津田礼乃 遠嶺 200806
明け方の町に影なす寒月光 久永つう 六花 200806
喪の旅といふは一人や寒の月 木村享史 ホトトギス 200808
寒月に辻り込みたる夜の航 稲畑汀子 ホトトギス 200901
寒月のこれより満ちてゆけるもの 稲畑汀子 ホトトギス 200901
豊かなる寒月に守られて旅 稲畑汀子 ホトトギス 200901
傷心を見すかされをり寒の月 伊藤憲子 200902
神宿る那智の大滝寒月下 小林成子 200902
寒月のかけらのごとき水たまり 片山由美子 200902
磨かれし丸太に寒の月冴ゆる 西村博子 馬醉木 200902
寒月下脱稿の窓開きけり 片岡宏文 炎環 200902
遠ざかる法螺の音色や寒の月 水船みどり 200903
寒月の地上は嵐となりにけり 仁平則子 200903
子へ送る感謝のメール寒月光 真中てるよ 炎環 200903
しづかなる影が集る寒月光 外川玲子 風土 200903
寒月や遠チに太白配すのみ 大橋晄 雨月 200903
寒月に呼応するかにツリーの灯 加藤峰子 200903
寒月光ひと棟残る隅やぐら 森道子 京鹿子 200903
寒月や声を詰まらす長電話 木村美猫 ぐろっけ 200903
鎮痛剤寒月明りに手さぐりで 林陽子 万象 200903
英虞の海寒月光をあまねくし 粟倉昌子 200904
青白き雲侍らせて寒の月 宮田香 200904
白銀色の銀座和光や寒の月 宮田香 200904

 愛犬太郎逝く

寒月や息細りゆく犬を撫づ

岡田満壽美 夢のごとしと 200904
目標は生涯青春寒の月 筏愛子 200904
寒月や焚出しの列青きりん 島田麻衣 炎環 200904
玄関の亡き人の靴寒月光 伊藤季実 炎環 200904
キューポラの街てふ昔寒の月 高木嘉久 200904
寒月に触れて最終便らしき 高木嘉久 200904
寒月の吾が影を踏む男坂 近藤敏子 200904
青鷺の首たたみをり寒の月 堀志皋 火星 200904
朝まだき山に向へば寒の月 須賀敏子 あを 200904
寒月や地上のものは息潜め 陌間みどり 200905
寒月下マンモスの牙担ぎ出す 小山徳夫 遠嶺 200905
曲玉の触れる音して寒月光 坪内稔典 船団 200906
寒月を吸ひこんでゐる手水鉢 八田木枯 晩紅 200908
寒月の彼の日忘るること勿れ 稲畑汀子 ホトトギス 201001
寒月を背負ひて伊賀へ峠越え 松岡和子 201002
街遁れ来し寒月の終電車 古屋元 201002
谿谷の音がうがうと寒の月 ことり 六花 201002
銀山を戴く湖に寒の月 ことり 六花 201002
寒月の欠けはじめたる渡月橋 岬雪夫 201003
寒の月金波と白紙委任状 瀬川公馨 201003
伊勢えびのひげが動いて寒の月 鈴木多枝子 あを 201003
寒の月駅へ送りし歩を返す 田中藤穂 あを 201003
金星を生み給ひけり寒の月 松岡和子 201003
大寒の月に寄り添ひ金の星 北條清子 201004
帰路急ぐ背に煌々と寒の月 三川美代子 201004
寒月の甍撞木の揺れてをり 川口襄 遠嶺 201004
寒月下空つぽの罠にほひけり 杉浦典子 火星 201004
寒月と出窓の卵光り合ふ 米澤光子 火星 201004
寒月光みちて秘密の部屋めける 栗原公子 201004
降り立ちて空気の痛さ寒月光 川上久美 ろんど 201004
寒月に打つ返信のなきメール 陶山泰子 ぐろっけ 201004
鹿介贔屓の祖父や寒の月 片山博介 春燈 201004
地を行くはあねといもうと寒の月 坂本依誌子 春燈 201004
風落ちて池面の捉ふ寒の月 小川玉泉 末黒野 201004
寒月の明るき庭の静寂かな 中山良子 末黒野 201004
寒月の足元照らすいそぐなと 秋田建三 201004
出勤の子は寒月を背にしたる 青木政江 酸漿 201004
寒月に汽車の音聞ゆ露天の湯 工藤美和子 酸漿 201004
寒月は夜行フェリーのナビゲーター 宮田香 201005
岩礁に波の白刃や寒の月 薮脇晴美 馬醉木 201005
ソーラーパネル夜は寒月を宿すのみ 金山藤之助 201005
尖塔のクルスに触れて寒の月 村上沙央 201005
真つ直ぐに来て寒月の交差点 遠藤和彦 遠嶺 201005
寒月や剪定終へし五葉松 熊切光子 末黒野 201005
寒月や彫りを深むる磨崖仏 鍋島武彦 末黒野 201005
大寒の月光に映ゆ里の山 矢崎暉文 酸漿 201005
下げ潮に晒す川底寒の月 鳳蛮華 201005
燈台の先は道なし寒の月 松井千鶴子 201005
遺る我に大道を指す寒の月 湯川雅 ホトトギス 201006
あるがまま生きると言うて寒の月 柴崎秋峰 ホトトギス 201006
寒月やチロルの山の谷深し 岡田誠吾 201006
寒月を離さず万有引力よ 辻美奈子 201101
寒月や柳生の郷の夕間暮 笠井清佑 201102
ブロンズの指さすかなた寒の月 本多游子 春燈 201102
寒月やコツコツ渡る跨線橋 大木清美子 201102
寒月やひたひたひたと来るもの 加藤みき 201102
寒月の一枝余さず照らしけり 藤生昇三 六花 201102
駅を出て寒月に肩いからせぬ 鎌倉喜久恵 あを 201102
鼻唄とすれ違ふなり寒の月 常田創 201103
寒月光塔の心木の軋む音 相澤和子 ろんど 201103
一片の雲も寄せずに寒の月 木村茂登子 あを 201103
産声の君は姫なり寒の月 笹井康夫 201104
寒月光甘納豆に降りそそぐ 高橋将夫 201104
寒月光夢の一兎も追へずゐる 栗栖恵通子 201104
寒月に似て一病の潜伏期 中山純子 万象 201104
寒月の神の域ゆく高さかな 小林朱夏 201104
刃こぼれの無き刀身や寒の月 山本久江 201104
寒月や幹に忘れし竹箒 乙坂きみ子 末黒野 201104
寒の月ふと胸騒ぎ覚えたる 渋谷ひろ子 酸漿 201104
大寒の月まるまると明るき夜 和南城ふみえ 酸漿 201104
人の世に見送る慣ひ寒の月 水谷芳子 雨月 201104
寒月光ひたと湖面に沁みついて 千田敬 201104
黒松の闇夜に続く寒の月 續木文子 あを 201104
寒月や突つ立つてゐる竹箒 菅原末野 風土 201105
ひび割れの影極寒の月に出づ 服部早苗 201105
歳月の過ぎゆく早さ寒の月 小田ひろ ホトトギス 201106
しくしくと寒月光にある匂い 火箱游歩 船団 201107
寒月に黒船白く照らさるる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
寒月を窓辺に置きて偲ぶ人 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
寒月の満ちゆく旅の帰路となる 稲畑汀子 ホトトギス 201201
寒月の山の端にあり暁けそむる 稲畑汀子 ホトトギス 201201
寒月→4      

 

2021年2月25日 作成

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