寒月〈寒の月〉2     100句

寒月や穴の如くに黒き犬   川端茅舎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寒月の下黙黙と歩みけり 山本静江 築港 200305
待ちをれば水取寒の月真上 杉浦典子 火星 200306
まだ若き寒月あればふり仰ぐ 阿部ひろし 酸漿 200401
寒月や骨格しかと蝦夷の樹々 佐々木幸 200401
寒月を愛でし煙草の口実に 三井孝子 六花 200402
寒月や潮目はつきりしてきたる 前田美恵子 200403
僧一人耳門より出る寒の月 池田光子 風土 200403
踏切の警報響く寒月下 辻由紀 雨月 200403
観音の肩巾ひれはんなりと寒の月 祐森省造 雲の峰 200403
寒月下併走鉄路離れ出す 岡本眸 200403
寒月や玻璃の酒盃に海の色 浜田はるみ 遠嶺 200404
詠めるまで詩嚢を晒す寒月下 能村研三 200404
寒月に表面張力感じをり 今瀬一博 200404
寒月を仰ぎて棒のごとくゐる 片山喜久子 雨月 200404
寒の月次男夫の枕辺に 金澤明子 200404
寒月光大灘の渦照しけり 関まさを 酸漿 200404
背後より視らるる気配寒の月 橘沙希 月の雫 200404
寒月と声をかけ合ふ夕餉の灯 渡辺民親 遠嶺 200405
木に触れし寒月光の折れる音 湯浅夏以 遠嶺 200405
寒月に李白の一詩吟じたり 村田文一 遠嶺 200405
仁王門抜け中天の寒の月 角南知子 栴檀 200405
葛桶に研ぎ澄まされし寒の月 長沼冨久子 馬醉木 200405
寒月に八方の嶺かしづきぬ 若井新一 200412
寒月に従ふ星のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200501
寒月や仕事の枷の消えぬまま 稲畑汀子 ホトトギス 200501
寒月の記憶隈なく照らしけり 稲畑汀子 ホトトギス 200501
寒月を抱く夜空の深さかな 稲畑汀子 ホトトギス 200501
寒月に影置く梢の細かりし 稲畑汀子 ホトトギス 200501
寒月や群れることなき友が居り 菅原健一 200502
餓鬼にかじられ半輪の寒の月 鷹羽狩行 200502
寒月に陶狸侍らす和尚かな 北圃愛子 帆船 200503
寒月を見上げ一人の露店風呂 町田喜久 帆船 200503
寒月も妻もゆいいつ玻璃に酒 川崎洋吉 遠嶺 200503
倒壊の村に寒月のぼりけり 渡辺隆 遠嶺 200503
寒月や俺あ男と独りごつ 石田きよし 200503
寒月の裏に亡母居て燭ゆらす 吉田多美 京鹿子 200504
ざうざうと明智の藪や寒の月 橋添やよひ 風土 200504
とろ箱にパセリの育つ寒月光 荒井千佐代 200504
痩するほど詫びたき思ひ寒の月 小澤克己 遠嶺 200504
背で叱る父夙に亡し寒の月 佐々木恭子 遠嶺 200504
人住まぬ老舗の看板寒月光 今井浄子 200505
誓ひたる俳句元年寒の月 島元文 遠嶺 200505
書割のやうな町並寒月光 藤原絹子 百鳥 200505
寒月や骨の髄まで透かされて 冨永道子 百鳥 200505
寒月は叶わぬ恋に満ちにけり ことり 六花 200505
寒月夜犬の尿まりさえ美しく 平野きぬ子 八千草 200507
寒月の瀬にのしかかる峯暗し 瀧春一 菜園 200509
直言のあと寒月に身を晒す 宮澤さくら 今生 200510
大本山寒月光を返しけり 藤井寿江子 馬醉木 200601
寒月や優しい言葉のほしき夜 濱崎悪美子 河鹿 200602
瞑りて脈とられをり寒の月 渡邉友七 あを 200602
寒月の雲一片も近づけず 前田陽子 200603
昼の月そのまま寒の月となる 福島茂 200603
波となり粒子となりて寒月光 高橋将夫 200603
赤き星ついと寄り添ふ寒の月 大橋晄 雨月 200603
寒の月母といのちを分けあひて 高千夏子 200603
寒月に大手門開く城星座 禰寝瓶史 京鹿子 200603
強風にさらされ褪せし寒の月 武田ミヨ 四葩 200603
寒月の位置たしかめて雨戸閉づ 早崎泰江 あを 200603
寒月や木立の影は息潜め 清原彰子 河鹿 200604
寒月や眼きらりと石の龍 飛山ますみ 遠嶺 200604
寒月や雑木林の異人館 赤池英津子 遠嶺 200604
天心に来て寒月となりにけり 根岸善行 風土 200604
老松の枝の疎らに寒の月 三反田輝夫 河鹿 200605
大欅伐られ寒月彷徨へり 和田照子 200605
寒月が眩しいと戸を閉めにけり 瀧青佳 ホトトギス 200605
寒月光別れてよりの歩を早め 清水裕子 200605
寒月は叶はぬ恋に満ちにけり ことり 六花 200605
銀座歩す人に高しや寒の月 嶋田一歩 ホトトギス 200606
円月橋寒月かゝる頃いかに 松尾緑富 ホトトギス 200606
父を埋め大寒の月にまかせる子等 八田木枯 晩紅 200606
寒月と外燈と地を照らし減らす 八田木枯 晩紅 200606
直言のあと寒月に身を晒す 宮澤さくら 遠嶺 200606
戌年の犬の気やすさ寒月夜 平野きぬ子 八千草 200607
柴門に二人の法師寒月光 小澤克己 塩竃 200608
寒月や山羊白くゐる福木闇 前田貴美子 万象 200610
ガリレオの頭蓋もかくや寒の月 鷹羽狩行 200702
寒月や賞味期限のある手紙 前川明子 200702
寒月や野面に死花の遊びせり 瀬川公馨 200702
寒月に決意のほどを図られし 小澤克己 遠嶺 200703
寒月光枕辺に浴び無心なり 塩野きみ 遠嶺 200703
寒月や木々の根の浮く切り通し 山田六甲 六甲 200703
寒月に布巾しぼりて水仕終へ 佐藤喜代子 200703
残されて寝化粧もなし寒月見る 金升富美子 200703
寒月の細さたしかめ窓閉ぢぬ 渡邉友七 あを 200703
たわむほど絵馬のかけられ寒の月 田中藤穂 あを 200703
涅槃図へ鹿の鳴きたる寒月夜 小林成子 200704
喪の家へ足の躓く寒の月 竹久みなみ 風土 200704
庭の木々寒月光に影絵めく 鈴木竹 200704
風舞へど波頭統ぶ寒の月 吉田多美 京鹿子 200704
わが胸の余白にしまふ寒の月 竹下昌子 200704
寒の月ビルの谷間をこうこうと 池崎るり子 六花 200704
寒の月迦楼羅まとひし不動かな 中島陽華 200705
砂蒸しに五体よ寒の月と星 竹内悦子 200705
大寒の月の明るき刃物店 小林愛子 万象 200705
ミステリー旅行に赤き寒の月 根岸善行 風土 200705
寒月と同じ高さに鬼瓦 小林朱夏 200705
空鞘そらさやを持ちて生きたや寒の月 大谷茂 遠嶺 200705
寒月や龍馬の像に波の音 峯桜子 遠嶺 200705
寒月を右に左に祝ぎの旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
大都会には寒月の似合ふビル 稲畑汀子 ホトトギス 200801
寒月→ 3      

 

2021年2月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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