寒 紅       201句
作品
作者
掲載誌
掲載年月
寒紅を引きてたくらみあるごとし 三浦美穂 199811
寒紅やのぞいてみたる油瓶 岡井省二 199902
寒紅や消壺の灰まみれなる 竹内悦子 199904
寒紅を引く表情のありにけり 粟津松彩子 ホトトギス 199905
寒紅や言葉の綾を飲み込みぬ 森義久 銀化 200003
初孫を得て寒紅をうすく引く 甲田雅子 200003
傷つけたくて寒紅の口乾く 三宅やよい 玩具帳 200004
寒紅を引きて冷たき色ならず 金澤明子 火星 200004
淋しかり寒紅を引く死顔に 堀田清江 雨月 200004
寒紅をさして淋しき夜なりき 大平保子 いろり 200004
寒紅や崖負ひし弁財天 栗栖恵通子 200004
寒紅を引き婚家には馴染まざる 鈴木ミヨコ 200005
寒紅をさして夢のあれこれと 大平保子 いろり 200005
見得を切る眼に寒紅の勧進帳 望月木綿子 200202
寒紅をつけぬいちにち終りけり 水野典子 200202
寒紅を引くしづけさのありにけり 鷹羽狩行 200202
ためらひをさっぱりと捨て寒紅を 侭田伊都希 いろり 200203
寒紅をちょんとさし終へ人形師 垣尾美智子 200204
寒紅を差してオーラもらひけり 尾崎マチ子 200204
寒紅をくっきり引けばファイト湧く 名取袿子 200204
寒紅や粋に生きるを夢とせむ 浅井勝子 200204
寒紅をさして初恋草とゐる 後藤比奈夫 ホトトギス 200206
寒紅をさしてこの世を去られけり 朝井きよ子 200206
寒紅をさし憎らしきこと言へり 梅村達子 帆船 200301
寒紅や火の酒にする口車 鈴鹿仁 京鹿子 200302
寒紅や長姉の責のおのづから 久保円雪枝 雨月 200303
寒紅や卒業論文仕上げしと 中原春代 百鳥 200304
寒紅や喜寿とふに濃くひきたたせ 青垣和子 雨月 200304
寒紅や半襟変へてみたくなり 山遊亭金太郎 百鳥 200305
寒紅で仕上げ顔師の銜え筆 竹内方乃 ぐろっけ 200305
寒紅の一歩も退かぬ構へなり 曷川克 遠嶺 200305
寒紅を整へ舞台の袖に佇つ 山田をがたま 京鹿子 200305
寒紅をさして素早く女なる 後藤立夫 ホトトギス 200306
寒紅濃しうぬぼれ鏡歪みたり 山元志津香 八千草 200307
寒紅やひと日ひと日を旅ごころ 中村房枝 六花 200401
寒紅や人生ひとり芝居やも 乗光雅子 雨月 200401
寒紅のくちびる奪ふ懐紙かな 大東由美子 火星 200403
寒紅をきりりと女兵士かな 酒井多加子 雲の峰 200403
寒紅が中央改札口出でく 田中英子 火星 200404
夫の忌の寒紅引きて泣かぬなり 尾堂Y 河鹿 200404
寒紅や描く晩節プログラム 笠井敦子 200404
寒紅に誓ひのキスの柔らかし 鈴木えり子 百鳥 200404
寒紅をさしたるのみの素顔かな 土屋ゆたか 帆船 200411
寒紅のはつか見返り美人の図 伊藤白潮 200503
寒紅や不思議でありし蘭の舌 鈴木勢津子 200503
寒紅を選ぶ小店に恋の歌 清わかば 雲の峰 200503
寒紅を引く息つめて少女かな 堀井英子 雨月 200504
寒紅や夜の銀座のクラス会 島元文 遠嶺 200504
寒紅をひいて女をとり戻す 鈴木あき子 築港 200504
寒紅を差して齢をたてなほす 大橋麻沙子 雨月 200504
辻褄は気にせず寒紅引きてをり 尾堂Y 河鹿 200504
寒紅や昨日は楽し今日は憂し 吉田小幸 ホトトギス 200506
寒紅や企業戦士も母となり 松村響子 四葩 200602
母の鏡台の寒紅に触れ少女たり 鈴木榮子 春潮 200602
寒紅やきりりと構へ一の弓 大沢美智子 200603
寒紅や何時もなにかが未完なり 尾堂Y 河鹿 200603
寒紅をひき微笑むを糧として 落合絹代 雨月 200604
罪を犯しては寒紅をひきなほす 荒井千佐代 200604
寒紅の二色を合はせ己が色 荒井慈 春燈 200604
寒紅をさして一病かくしけり 合川月林子 ぐろっけ 200604
寒紅を引くや生涯など一瞬 尾堂Y 河鹿 200604
寒紅を差し何事もなき一日 渡邊紅華 酸漿 200604
久に逢ふための寒紅ひきにけり 安田とし子 ぐろっけ 200604
寒紅を火のやうに引きまだ(ゆかず 田村和実 200606
すれちがふ寒紅も濃き舞妓かな 山村修 酸漿 200703
寒紅をさして仏壇開きけり 竹内水穂 火星 200704
買物へ寒紅と眉描き足せり 倉持梨恵 200704
寒紅をさして柩の閉ぢられし あさなが捷 200705
寒紅や背筋正しき母の琴 佐野静子 遠嶺 200705
寒紅を濃く引き弱気封じけり 隅田享子 200705
寒紅や自販機にをんな煙草買ふ 渡辺安酔 200706
寒紅さし名残のいのちひきたつる 稲次登美子 雨月 200803
寒紅や大正浪漫の代に生れて 若江千萱 雨月 200803
寒紅や別の半生ありしやも 久保田雪枝 雨月 200803
寒紅を引けばふくらむ鼓動かな 定藤素子 雨月 200803
言へぬことありて寒紅引きにけり 助口弘子 火星 200803
寒紅や花街は殊に彩あふれ 山田をがたま 京鹿子 200804
寒紅や寄りてつきない話種 和田政子 200804
源氏絵巻見む寒紅を少し濃く 水成玲子 春燈 200804
寒紅やときに瞳を潤ませて 西村純代 200805
寒紅や赤子の頬のほの赤し 岡垣佳子 遠嶺 200805
葬り来て寒紅足してゐたるなり 城孝子 飛火野 200808
寒紅をひくや夜叉の手弥勒の手 柴崎甲武信 月日 200811
寒紅の鏡にうつる色確か 倉持梨恵 200903
寒紅を濃く荒馬を乗りこなす 近藤喜子 200904
寒紅や神に仕へる髪束ね 小林和子 風土 200904
寒紅やひと日ひと日のいとほしき 近藤きくえ 200904
寒紅をきりりと氷上プリンセス 今中道子 200904
寒紅をひきて小言は言ふまじき 横井明子 200904
寒紅や風に乱れし髪も艶 立村霜衣 ホトトギス 200906
寒紅はピンク勝負服は真紅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201001
寒紅をひき退院の顔作る 岡佳代子 201002
饒舌の果て寒紅にかげり見ゆ 布川直幸 201003
噂違へず寒紅をあざやかに 布川直幸 201003
寒紅を濃く荒海に真向かへり 荒井千佐代 201003
寒紅や嘘と誠の使ひ分け 本田保 春燈 201004
寒紅をひく昼くらき祇園かな 丸山照子 火星 201004
決めかねる心寒紅ひいてみる 近藤節子 201004
寒紅や見付けられたる惚れ黒子 環順子 遠嶺 201005
寒紅や歯をもて筆をなだめける 松原仲子 201102
寒紅の母は本日退院す 遠藤実 あを 201103
懐剣のやうに寒紅抜きにけり 浅田光代 風土 201104
寒紅の口より零れ国なまり 和田森早苗 201104
なみだ癖かくす寒紅ひきにけり 浅木ノヱ 春燈 201104
寒紅を拭ひときめき鎮めけり 今井淨子 201105
寒紅の刀自のお点前まつたりと 藤田かもめ ぐろっけ 201105
寒紅や惚けてはならぬ呆けられぬ 岸田爾子 201105
きりり引く寒紅濃ゆき華甲かな 西川春子 春燈 201105
沈黙は金寒紅は真くれなゐ 古賀しぐれ ホトトギス 201105
嫁ぐ日を待つ寒紅の貝のふた コ田千鶴子 花の翼 201111
壁を塗るやうに寒紅引く女 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
寒紅引く立ちし噂も華として 柴田佐知子 201201
寒紅をさして吉野門入りにけり 宮川みね子 風土 201202
寒紅やスプーン取り落して響く 齋藤厚子 201204
寒紅の色たしかめる小指かな 橋本正二 201204
寒紅や言うていいこと悪いこと 加藤千春 春燈 201204
寒紅や今日一日を大切に 大泉美千代 雨月 201204
寒紅や花びら餅を手みやげに 山本正 京鹿子 201205
寒紅の濃ゆき唇意地を張る 長久保郁子 かさね 201207
寒紅や不惑の齢も疾うに過ぎ 北崎展江 くりから 201209
罪深き日の寒紅を拭き取りぬ 荒井千佐代 201212
寒紅に女の闘志見ゆる句座 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
寒紅を濃くして別れすんなりと 吉田葎 201302
寒紅をさして卒寿の笑顔かな 遠山のり子 201303
寒紅引き黒一色の女行く 渡辺安酔 201304
寒紅の濃さ鏡中に罪と罰 岩月優美子 201304
今日はこの寒紅君と会へるから 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
寒紅を引いて迷ひを断ち切りし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
なああんた寒紅ちよつと濃いんちやふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
寒紅の濃くて気になる鏡かな 呂秀文 春燈 201402
寒紅やロマンス多き若き日々 呂秀文 春燈 201403
寒紅やときに不逞の面がまへ 秋葉貞子 やぶれ傘 201404
寒紅や凛と生きむと凛とひき 磯野しをり 雨月 201404
寒紅をさすや小顔になりにける 柳川晋 201404
加齢とは空し寒紅させばなほ 大橋伊佐子 末黒野 201405
寒紅の言の葉よりも暮れなづむ 藤井杏愛 京鹿子 201501
寒紅や妓(こ)の訃を聞きし祇園町 竹中一花 201502
寒紅の濃き唇のよくしやべる 金子正道 京鹿子 201505
八十五の姉との別れ寒紅を 羽賀恭子 201506
寒紅をさして妻の座守りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
寒紅の揃ひてよりの句座となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
寒紅をさして妻の座守りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
寒紅の揃ひてよりの句座となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
寒紅を引いて美魔女の出来上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
寒紅や夢見る齢ではあらずとも 呂秀文 春燈 201602
寒紅をひきて毒舌吐きにけり 大木清美子 201604
寒紅や心はいつも旅路かる 阪倉孝子 201604
寒紅をさしで心に期するもの 堀田こう 雨月 201604
寒紅の妻の貫禄見直せり 山本無蓋 201604
寒紅の仄かに残る貝の底 宇都宮敦子 201604
寒紅や鏡にうつる古箪笥 井浦美佐子 201605
寒紅やをみなは神代より強し 古賀しぐれ ホトトギス 201606
寒紅も嘘も真赤でありにけり 古賀しぐれ ホトトギス 201606
寒紅やみめよき故の不幸せ 竹下陶子 ホトトギス 201606
嘘ついてきし寒紅を引き直す 湯川雅 ホトトギス 201606
寒紅やもう決意などせぬ齢 湯川雅 ホトトギス 201606
よく動く寒紅の口見てをりぬ 山田佳乃 ホトトギス 201607
病む夫に寒紅あはく逢ひに行く 栗原公子 銀の笛 201612
寒紅を差して出先のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201701
寒紅や画面の人の鼓打つ 赤座典子 あを 201701
寒紅のからくれなゐの妬ましき 宇都宮敦子 201704
寒紅や心に若さ欲しき日は 柴田昭子 雨月 201704
寒紅や彼女の愚痴の止らない 湯川雅 ホトトギス 201705
寒紅を引くや犬知るお留守番 中田みなみ 201705
寒紅をさす華やぎの少しあり 細島孝子 末黒野 201705
寒紅や心に若さ欲しき日は 柴田昭子 雨月 201801
コンビニヘ寒紅さして傘さして たかはしすなお 201803
古稀の人寒紅を引きコンサート 木村瑞枝 やぶれ傘 201804
寒紅を引いて言ふべきこと決まる 多田ユリ子 201804
月蝕を了へて寒紅梅月夜 根岸善雄 馬醉木 201804
寒紅やいのち囁くダイヤ婚 安田優歌 京鹿子 201804
転院の寒紅うすくさしにけり 深川敏子 春燈 201804
華やげる朝餉になりぬ寒紅梅 今村千年 末黒野 201805
蒼天をさらにまさをに寒紅梅 涌羅由美 ホトトギス 201805
寒紅に負けぬ赤色ダウンかな 七郎衛門吉保 あを 201903
荒行を見舞ふ檀家や寒紅梅 近藤真啓 春燈 201904
式台に寒紅梅の花明り 宮原悦子 雨月 201905
寒紅梅山の日差しのゆるやかに 荒井一代 201905
老の身に力を貰ふ寒紅梅 河合公八郎 201905
寒紅を拭ひ総身ゆるびけり 吉田葎 201905
寒紅にふつと殺気のやうなもの 岩岡中正 ホトトギス 201906
寒紅を引く寝たきりと見せぬやう 仲里奈央 201907
寒紅や義母の煙草のフィルター 篠田純子 あを 202003
寒紅やひらひらひら手を振り合ひて はしもと風里 202003
寒紅のグラス拭ひし別れかな 柴田佐知子 202003
寒紅をひく唇に熱の花 高橋将夫 202004
寒紅をちよとさしてより華やげる 高濱朋子 ホトトギス 202005
家移りや残る覚悟の寒紅梅 治部少輔 202006
寒紅や嬉しいときは何時も晴 保坂リエ ホトトギス 202006
寒紅や今日初めての口を利く 湯川雅 ホトトギス 202006
寒紅を引くこともなく日々マスク 橋添やよひ 風土 202104
口角を上ぐる寒紅久女の忌 池乗恵美子 末黒野 202104
寒紅は戦ひの色出社せり 苑実耶 202112
寒紅梅撫牛の目のくりくりと 森清信子 末黒野 202205
寒紅を指すに小指を些と汚す 小林輝子 風土 202205
寒紅や些細な嘘をつい吐きぬ 湯川雅 ホトトギス 202206
寒紅や秘仏に逢ひし日は淡く 安田優歌 京鹿子 202305
寒紅をさす別れ告ぐその前に 和田華凛 ホトトギス 202306
寒紅や闘志失せたる唇に 宮井知英 202308

 

2024年1月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。