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雨すでに過ぎたる雷さわやかに   中村汀女   汀女句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雷さまの激語嬥歌の山響動もす 内山花葉 201207
駆け出せと雷雨が肩をたたきけり 加納淳子 六花 201207
雷鳴の轟く湖上昼の闇 中川すみ子 201208
雷神の集まつて来る雅塔 吉田政江 201208
突然の雷雨に崩れ組み体操 奥田茶々 風土 201208
竜巻と雷雨の極み獣めく 鴨下昭 201208
雷落ちて煙の中の乳母車 鴨下昭 201208
砂塵渦まく筑波の裾の雷雨かな 鴨下昭 201208
落雷や過去と未来を分け合へり 鴨下昭 201208
雷雨の夜明けて法要善光寺 四條進 201208
なにごともあきらめは不可日雷 上原重一 201208
遠雷や明日焼く麺麭の生地ねかせ 宮崎紗伎 春燈 201208
遠雷やリハビリ終へて車椅子 小川玉泉 末黒野 201208
大雷雨猫の憂ひの目とあひぬ 丸山佳子 京鹿子 201208
深爪にほのと血の色日雷 師岡洋子 ぐろっけ 201208
来し方の悔まざまざと日雷 コ田千鶴子 馬醉木 201209
水嵩を増す雷神のパーカッション 熊川暁子 201209
僧ひとり黙礼の門雷兆す 辻美奈子 201209
電光も雷鳴も呑む夜の川 甲州千草 201209
遠雷や犬の背中を撫でゐたる 森岡恵子 万象 201209
昨夜の雷呉れたるトロッコ日和かな 高橋道子 201209
遠雷や兄の『疎開記』読み返す 代田青鳥 風土 201209
遠雷や体温計を隠し持つ 代田青鳥 風土 201209
遠雷や海の生簀の揺らぎゐて 田中佐知子 風土 201209
樋に穴一か所ありて大雷雨 根岸善行 風土 201209
ひとり居に昨夜迅雷容赦なく 林美智 ぐろっけ 201209
雷鳴や無人の駅に鴉二羽 水野弘 ぐろっけ 201209
遠雷を犬聞き分けて引き返す 松本周一 かさね 201210
獅子岩の雷に吠え立つ熊野灘 川村清子 馬醉木 201210
落雷に五感もろもろ狂はさる 秋千晴 201210
水辺行く鎌のちらりと日雷 石川叔子 201210
雷が転げまはつて雨ざんざ 丹生をだまき 京鹿子 201210
梅雨の雷耳なし芳一語る午後 福島松子 ぐろっけ 201210
夜を残す大雷鳴に悪夢覚め 福島松子 ぐろっけ 201210
雷近し骨の罅まで沁みとほる 水野範子 ぐろっけ 201210
雷激し己が点滴早めをり 水野範子 ぐろっけ 201210
雷鳴に愛犬メタボ荒き息 水野弘 ぐろっけ 201210
天馬もて駆くる夢覚む梅雨の雷 小川玉泉 末黒野 201210
荒雷雨去りて日の濃き朝の空 松嶋一洋 201210
日雷てんと虫翅開きしまま 浜口高子 火星 201210
日雷生簀の底のあらはなる 大山文子 火星 201210
遠雷や板場にはかに水使ふ 大山文子 火星 201210
雷の怒りに己が身を正し 服部珠子 雨月 201210
雷鳴に宗達の図の甦り 服部珠子 雨月 201210
遠雷や余生の余生とはなれり 神田千枝女 雨月 201210
納得のゆかぬ入院夜の雷 高倉恵美子 201210
雷鳴に猫パニックの爪の痕 宮田香 201211
突発のゲリラ雷雨に呪文言ふ 飯田美千子 201211
励ましと聞く起き抜けの雷雨かな 今村征一 ホトトギス 201211
雷火走りし峡道を往き来して 上辻蒼人 風土 201211
くろがねの井の竹の蓋日雷 加藤静江 末黒野 201211
落雷に赤くなりたる田一枚 大村かし子 万象 201211
遠雷や死なればケリのつかぬこと 丹生をだまき 京鹿子 201211
かたつむり人間魚雷のどてつ腹 直江裕子 京鹿子 201211
採血のナースの手元雷遠し 黒澤登美枝 201211
雷雨急流燈胸に抱きて待つ 室伏みどり 雨月 201211
雷鳴に心経の筆とどこほり 山本漾子 雨月 201211
雷雲に翳るスタンドあと一球 林哲夫 ぐろっけ 201211
雷の音して犬の離れざる 前田玲子 ぐろっけ 201211
雷や鉄塔狙い急掃射 長谷川たかお ろんど 201211
遠雷やふたかみやまは入日中 佐藤美紀 ろんど 201211
遠雷ややまとくんなか雲奔り 佐藤美紀 ろんど 201211
雷神の褌にある西日かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201212
ラムネ売る露店雷門前に 瀬島洒望 やぶれ傘 201212
雷鳴の俄に近し奥の院 松井洋子 ぐろっけ 201212
日雷小学校の声高し 水野弘 ぐろっけ 201301
起重機の坐高育つや梅雨の雷 田中貞雄 自註句集 201301
武蔵野に親相模野に子雷 木村享史 ホトトギス 201302
通夜の客帰したくなき雷の鳴る 木村享史 ホトトギス 201303
遠雷に浮かび上がりし大都会 木暮陶句郎 ホトトギス 201304
夕刻の雷雨予報を聞く出先 稲畑汀子 ホトトギス 201305

 栃木県壬生町に転居

毛の国に百雷育つ季来にけり

上山永晃 鶴翼 201305
雷の予報今晩あらうとは 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
一閃に始まる雷の怒りかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
雷鳴や余命は天の意のままに 阿部寒林 あを 201308
遠雷に白粥の蓋ずらしけり 浜口高子 火星 201309
午後三時雷ぐせのつきし峡 松岡和子 201310
炎帝と雷神競ふ大都会 江草礼 春燈 201310
梅雨の雷出羽丘陵を冥めたり 見田英子 春燈 201310
雷のどこぞに落ちて腰うかす 船山東子 ろんど 201310
遠雷や寝椅子に顔を剃られをり 村上すみ子 201310
激雷やポストの口に手を噛まれ 神蔵器 風土 201310
雷除けのお札に遠くはたた神 内藤静 風土 201310
遠雷や家系図横に拡がらず 頓所友枝 201310
日雷暗証番号また忘れ 頓所友枝 201310
雷遠しコツプに氷丸く浮く 藤岡紫水 京鹿子 201310
不発弾魚雷の眠る珊瑚礁 大日向幸江 あを 201310
父を待つやうに雷待つ信濃の夜 長山あや ホトトギス 201311
遠雷は大津あたりや湖昏み 小澤菜美 201311
遠雷や締切近きものばかり 伊吹之博 京鹿子 201311
大利根の流れ曲げをり雷雨くる 上野紫泉 京鹿子 201311
雷激し降雨は花に水やるほど 佐藤喜仙 かさね 201311
雷鳴の首に巻きつく家路かな 大木清美子 201311
雷去りて宿の広場の作り滝 吉田きみえ 末黒野 201311
雷鳴の雨をこぼさず去りにけり 小倉純 末黒野 201311
遠雷はお天道様の掴みつ屁 荒木甫 201311
遠雷や骨揚げの骨折れやすし 明石文子 ぐろっけ 201311
激雷やゲーテの魔王迫り来る 鳥居美智子 ろんど 201311
雷雲の峙つ西ヘハイウェー 千原叡子 ホトトギス 201312
雷神の雲踏みはづしたる音か 千原叡子 ホトトギス 201312
四阿に迅雷しのぎ小半時 加瀬伸子 末黒野 201312
雷神の咆哮メトロの地上駅 金田けいし ろんど 201312
遠雷や訃報回覧廻りくる 久世孝雄 やぶれ傘 201312
遠雷に干し物しまふ昼下がり 伊藤更正 やぶれ傘 201312
雷鳴や耳疎き身の肌を刺す 後藤マツエ 201312
昼の雷陽のさしながら豪雨来る 松本アイ ぐろっけ 201312
雷はげしマザーテレサの祈りの図 岩岡中正 ホトトギス 201401
遠雷にあをむ鱵の一夜干し 山尾玉藻 火星 201403
雷の鳴ればビル風新しく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
六甲といふ雷神山に句碑一基 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
一降りの雷までが待たれゐし 稲畑汀子 ホトトギス 201407
雷鳴を誘ふ寸時を光りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201407
雷のための齟齬あり遅れ着く 稲畑汀子 ホトトギス 201407
雷の近づく如く遠ざかる 稲畑汀子 ホトトギス 201407
いつせいに甘蔗の葉さわぐ日雷 呉屋菜々 万象 201407
一降りの雷までが待たれゐし 稲畑汀子 ホトトギス 201407
眼鏡はづし総身に浴びる日雷 浜口高子 火星 201408
たまごかけ御飯はるかに夏の雷 中山純子 万象 201408
雷雨去り嫩葉ひろぐる牧檞 沼澤石次 馬醉木 201408
北夜空ひらひら光る梅雨の雷 上原重一 201408
母親の大会の後雷雨あり 須賀敏子 あを 201408
三味線の兵隊稽古日雷 篠田純子 あを 201408
梅雨の雷若き阿修羅に近づき来 山田美恵子 火星 201408
日雷定規を当てて紙を切る 丑久保勲 やぶれ傘 201408
大雷雨一日の計狂はさる 村田岳洋 ろんど 201409
会話なきままに一人居夏の雷 中山静枝 201409
雷鳴の轟く空のスクリーン 森下康子 201409
雷鳴の遠ざかりゆく逢瀬かな 柴田佐知子 201409
友見舞ふ我を足止め夏の雷 中山静枝 201409
若竹に一雷ひびく中尊寺 原田しずえ 万象 201409
晩年の運傾けて雷雨かな 根岸善行 風土 201409
遠雷や喪主の喉の黒真珠 大山文子 火星 201409
遠雷や散歩の犬の思案顔 早崎泰江 あを 201409
遠雷の向ひの空の青さかな 黒澤登美枝 201409
天平の甍つやめく雷一過 白井友梨 馬醉木 201409
大津絵の鬼の念佛雷近し 中谷富子 201410
空暗む雷雨たちまち窓を打つ 羽賀恭子 201410
日雷鯉は大きく身をかはし 笹村政子 六花 201410
雷鳴のビルの屋上作業員 増田幸子 万象 201410
雷鳴に競ふ声張り伝導師 布川孝子 京鹿子 201410
雷雨去りちらすバイクの排気ガス 中里昌江 末黒野 201410
雷ひびく根岸の路地を足早に 亀田やす子 万象 201410
夜の雷雨見てゐて心静まりぬ 飛高隆夫 万象 201410
雷走る全山消えてしまひけり 藤本節子 万象 201410
明けやらぬ八月六日の大雷雨 貞吉直子 馬醉木 201410
夢の世の夢にはあらず落雷は 高橋将夫 201410
遠雷や庭木一本づつ減らす 田村園子 201410
遠雷や岩屋に千の石仏 江見悦子 万象 201410
那須に住む那須ならではの雷の夜 古川忠利 ろんど 201410
耳覆ふ雷鳴に箸置きにけり 小川玉泉 末黒野 201410
風ありて雷雨のありて晴れあがる 松村光典 やぶれ傘 201410
よどみなき葬の司会や日雷 松川悠乃 ろんど 201410
遠雷や明るく使う持ち時間 金田けいし ろんど 201410
遠雷や職の退き際ちらちらす 細川洋子 201410
遠雷やぴくりと動く河馬の耳 忽那みさ子 やぶれ傘 201410
遠雷に逞しきかな梁の反り 定梶じょう あを 201410
那須に住む那須ならではの雷の夜 古川忠利 ろんど 201410
双の目の雷火のごとき閻魔王 横山昭子 雨月 201410
マンネリの介護一喝落雷す 河本由紀子 春燈 201410
雨つれて来よと遠雷呼びにけり 松岡和子 201410
雷猛り天地創造かくのごと 内藤呈念 ホトトギス 201411
喪続きの二日を雷のはげしかり 岡田史女 末黒野 201411
雷の一打に畳み屋台店 杉本裕子 末黒野 201411
雷の遠のく軒のしづくかな 高橋明 末黒野 201411
雷鳥の霧より出でて霧に入る 布施由岐子 末黒野 201411
遠雷やぽつんと黒田杏子句碑 古川忠利 ろんど 201411
風神も雷神も来よ祭笛 雨村敏子 201411
遠雷へ鼓膜を合はせ不眠なり 柳本渓光 ろんど 201411
下校時の子どもの走る日雷 服部早苗 201411
砂浴びの鶏が駆けだす日雷 柴田志津子 201411
雷鳥の足元低く飛び立てり 滋野暁 末黒野 201411
師の声のほどの遠さに夜の雷 高橋道子 201411
雷神を御する役目の山の神 元橋孝之 京鹿子 201411
一呼吸置く雷鳴の気取りかな 金子正道 京鹿子 201411
雷光や泥眼ひかる女面 三輪温子 雨月 201411
正直な梅雨雷の一暴れ 岸本久栄 雨月 201411
日雷大緑蔭にこもりゐし 竹下陶子 ホトトギス 201412
駅前の路上ライブや秋の雷 菅野日出子 末黒野 201412
雷鳴はBGMと酒を酌む 黒木東吾 やぶれ傘 201412
雷に睨み利かせし城の鯱 高野昌代 201412
遠雷や禽舎の上の楷大樹 後藤眞由美 春燈 201412
雷火立ち切り裂く浦の闇深し 水田壽子 雨月 201412
只ならぬ雷雨の闇にひとり座し 水田壽子 雨月 201412
避雷針ぴいんと伸びて秋の空 出口誠 六花 201412
近き雷一瞬暗くなりし空 野沢しの武 風土 201501
雷鳴や友の個展は終ひけり 市川伊團次 六花 201502
雷鳥の白さに惚れて髪染めず 丸井巴水 京鹿子 201503
虫出しの雷のこゑあり嬥歌の地 立澤清 馬醉木 201505
青き踏むどこにも地雷なき青さ 樋口英子 201505
虫出しの雷金物屋落ちつかず 定梶じょう あを 201505
虫出しの雷てのひらの乾きかな 寺田すず江 201506
遠雷に列の乱れし一年生 山荘慶子 あを 201506
日雷転移再発想定内 斉藤裕子 あを 201506
六甲に生まるる雷のある如く 稲畑汀子 ホトトギス 201507
雷のはじまつてゐし雨の音 稲畑汀子 ホトトギス 201507
さざなみを雷雨の叩きゆく早さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
アンタレスより放たれし雷かとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
遠雷や近づいてくる救急音 中山静枝 201507
雷→ 10      

 

2021年8月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。