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雨すでに過ぎたる雷さわやかに   中村汀女   汀女句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雷霆の家揺るがして明けにけり 石井雲雀 末黒野 201508
雷鳴も仲間に加へ笑ひヨガ 布川孝子 京鹿子 201508
大雷雨そのあと震度3ありけり 橘正義 春燈 201508
迅雷に醒め遠雷に眠りをり 小林文良 春燈 201508
遠雷やはづしてひかる耳かざり 木下夕爾 春燈 201508
受話器置くあはひの黙や夜の雷 成田美代 201508
雷光や何か大事なものよぎる 有松洋子 201509
落ち込みし我に一喝夏の雷 塩千恵子 201509
雷去りて森に飛び交ふほととぎす 山崎郁子 万象 201509
高野みち登り詰めれば日雷 原田達夫 201509
落雷や箴言石に刻みたる 竹内弘子 あを 201509
恙なく夕餉の支度日雷 赤座典子 あを 201509
遠雷を舟にききゐる露伴の忌 大崎紀夫 虻の昼 201510
日雷ちぎれし雲のみな白く 大崎紀夫 虻の昼 201510
遠雷がそのまま去りし田んぼかな 大崎紀夫 虻の昼 201510
雷火立つ除染土砦なす荒野 渡部良子 馬醉木 201510
雷鳥の声さへ親し単独行 今田清三 馬醉木 201510
起き抜けのどんと一喝夏の雷 織田みさゑ 万象 201510
雷や天の岩戸は静もれり あさなが捷 201510
遠雷や出土の甕に煤のあと 田中佐知子 風土 201510
鉾頭斜に閃光日雷 橋添やよひ 風土 201510
遠雷やふともの思ふ石仏 水井千鶴子 風土 201510
子を叱る親の少なし日雷 内山照久 201510
実行は力雷神の一喝に 酒本八重 201510
迅雷に利根の大地の起ち上がり 内山花葉 201510
雷に裂かれし立木仁王像 近藤鉦子 201510
雷鳴に庖丁もつてゐたりけり 箕輪カオル 201510
轟然と離陸機雷雨跳ね飛ばし 大島寛治 雨月 201510
迅雷を伴ひ駆くる帰途なんぬ 浅井青二 雨月 201510
日雷遠のくままに畑に出づ 水谷文謝子 雨月 201510
大利根を越えて雷鳴轟きぬ 田中たつを 雨月 201510
雷鳴りて雨来て誰か我を呼ぶ 松嶋一洋 201510
御来光深眠り解く雷いくつ 岡田貞峰 馬醉木 201511
肉まんの臍の不揃ひ日雷 金子正道 京鹿子 201511
新涼や雷門の下駄の音 太田良一 末黒野 201511
雷鳴や地球を掴む大樹の根 稲垣佳子 末黒野 201511
遠雷や俗事にとんと鈍くをり 風間史子 201511
雷鳴に山羊を引きゆく女将かな 箕輪カオル 201511
遠雷に顔見合はせる富士下山 松本幸男 万象 201512
東西の雷が打ち合ふ雲の中 吉村摂護 201512
遠雷や侯爵邸の大鏡 古川夏子 201512
雷鳴と停電共に来りけり 石黒興平 末黒野 201512
枯るる中宗達風神雷神図 沼田桂子 春燈 201602
北海の初雪雷と雨霰 山口素基 万象 201602
遠雷のにぶき光や遠吠える 江口九星 201603
雷も知らぬ熟寝となりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201606
雷去りて客待つ心静もりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201607
雷雨去りあつけらかんと昏れ初むる 稲畑汀子 ホトトギス 201607
雷鳴の遠ざかりゆく逢瀬かな 柴田佐知子 201607
狛犬の耳立て尾立て日雷 定梶じょう あを 201607
小鳴門の闇をゆるがす梅雨の雷 綿谷ただ志 馬醉木 201608
挑戦は受けて立つべし大雷雨 貞吉直子 馬醉木 201609
遠雷やシンク磨ける妻の黙 生方義紹 春燈 201609
遠雷や調律の弦きゆきゆと締め はしもと風里 201609
炎帝の退位うながす雷ひとつ 能村研三 201609
横書きの俳句に惑ふ日雷 小松誠一 201609
落雷や己に戻るまでの刻 古山智子 201609
一幅の夜叉女と酔ひぬ夜の雷 伊藤武文 末黒野 201609
遠雷や経典ごとに神ほとけ 柴田佐知子 201609
養生は鮫の軟骨日雷 竹内悦子 201609
眦に雷ほとばしる遠青嶺 竹内弘子 あを 201609
燈台の白亜際立つ雷火かな 大上充子 馬醉木 201610
雷鳴の一つころがる海に出よ 田中臥石 末黒野 201610
小上りに過ぐるを念ず梅雨の雷 山口登 末黒野 201610
このごろの雷癖や雲一朶 小林文良 春燈 201610
遠雷やけふこそ返さう母の傘 池村禎子 京鹿子 201610
真夜中の雷雨激しき梅雨入かな 川村みよき 万象 201610
雷鳴の退き潮騒のかへりけり 川村みよき 万象 201610
梅雨の雷勝負どころの待つたかな 松本文一郎 六花 201610
わだかまり飛ばしてくれし日雷 風間史子 201610
少年の腰に鍵束日雷 成田美代 201610
絵本読む落雷の声気に入られ 島田喜郎 201610
遠雷や肩組みなほす山の樹々 中島あきら 201611
雷遠し仔犬の頭撫でてをる 近藤紀子 201611
落雷に神木の裂け顕なり 鈴木漱玉 馬酔木 201611
雷鳴や雀百羽を吐く大樹 塩貝朱千 京鹿子 201611
雷雲のたちまち迫り露座仏 小川玉泉 末黒野 201611
磧覆ふ川の土色梅雨の雷 森清信子 末黒野 201611
お互ひに嘘をいくつか日雷 木戸渥子 京鹿子 201612
違雷の雨戸の中にひとりかな 住田千代子 六花 201612
雷鳴の中オカリナの音の流れ 久世孝雄 やぶれ傘 201612
雷鳴を総身で受くる茅淳の海 平林ひろこ 船団 201612
梅雨の雷父の寝嵩の薄きこと 井上正子 童女 201701
雷鳴や額を飛び出す志功の画 石原孝人 京鹿子 201701
雷声を収む日晴れて赤とんぼ 荒井和昭 201701
日雷革命というピアノ曲 中居由美 船団 201702
初雷や佛具みがきの粉買うて 中川句寿夫 ここのもん 201705
遠雷や三里のつぼと言ふところ 中川句寿夫 ここのもん 201705
初雷やほぐして癒やす土不踏 中川句寿夫 ここのもん 201705
初雷や立った序での母使ふ 中川句寿夫 ここのもん 201705
雷一閃己が身の爪切りとばす 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707
雷が十兵衛杉を枯らしたる 後藤比奈夫 ホトトギス 201707
遠雷や日記に鍵の欲しくなり 小山田子鬼 201707
夜の雷去り花冷えのつのりたる 飛高隆夫 万象 201707
東京や古手の富士に日雷 加茂達彌 201707
遠雷や猫を描いて虎となす 黒川俊郎 201707
北上の逢魔が時よ遠き雷 吉田政江 201708
遠雷や風の漕ぎ出すブランコの 大日向幸江 あを 201707
日雷登場促すドラムソロ 赤座典子 あを 201707
錠剤のひとつぶ消えし夜の雷 那須淳男 馬醉木 201708
雷雨去り白藤の波うすみどり 江見悦子 万象 201708
雷鳴の縦横無尽大八洲 吉田葎 201708
遠雷や船にひとりの時どよむ 定梶じょう あを 201708
雷鳴に出鼻くじかれゐたりけり 佐藤淑子 雨月 201708
雷鳴や夫への小言癖反省 木戸渥子 京鹿子 201709
嬰のもの取り忘れゐし夜の雷 笹村政子 六花 201709
十階の窓より日雷の町 大崎紀夫 やぶれ傘 201708
信号の青に雷鳴つづきをり きくちきみえ やぶれ傘 201708
白絵具絞り出すなり日雷 吉田政江 201709
雷兆す下ごしらへの菜ころころ 甲州千草 201709
遠雷や開けつ放しの鈎括弧 井原美鳥 201709
雷雨来て鹿天平の簷の下 狭川青史 馬醉木 201709
遠雷やあれこれ迷ふ外出着 鍋島武彦 末黒野 201709
炎天や鉄塔つづく避雷針 中江月鈴子 201709
雷鳴の近づく米を研ぎにけり 柴田佐知子 201709
砂浴びの鶏が駆けだす日雷 柴田志津子 201709
脳髄の真上より来る日雷 辻美奈手 201710
あまつぼを一音の雷一と夕立 米田紀子 201710
散髪の椅子にねてゐる日雷 定梶じょう あを 201709
雷落ちて頷き止まぬ張子の虎 定梶じょう あを 201709
賽銭箱乾ききつたり日雷 石田阿畏子 馬醉木 201710
雷鳴の下に小さく孤り棲む 赤石梨花 風土 201710
迅雷に能面の眉動きしか 岩月優美子 201710
遠雷や水車は眠く回りをり 江草礼 春燈 201710
若人の居場所雷鳴するところ 高木晶子 京鹿子 201710
梅雨の雷うゐのおくやま妻こえて 禰寝瓶史 京鹿子 201710
遠雷や神に急かるる石百段 伊吹之博 京鹿子 201710
どぜう焼くけむり眼に沁む雷門 大坪あきら 万象 201710
遠雷や石仏を敷く大手道 須賀允子 万象 201710
雷のきらひな娘偲ばるる 溝渕弘志 六花 201710
五十猛の神の怒りの日雷 延川五十昭 六花 201710
生涯の一の烈しき日雷 谷村祐治 雨月 201710
沖の闇走る雷火に瀬戸更くる 水田壽子 雨月 201710
雷鳴の去り戻り来し夜の静寂 服部珠子 雨月 201710
嘘泣きのはたと止む児や日雷 佐藤喬風 末黒野 201710
雷雨急嬥歌の峰を呑み込めり 菅谷たけし 201711
遠雷のホルンのやうに近づき来 大沢美智子 201711
掻き混ぜて首都の雷臍曲り 相良牧人 201711
人の世のまさかの多し日雷 森清堯 末黒野 201711
雷の大音響や夜半の雨 吉田きみえ 末黒野 201711
雨好きの雷好きや淋しがり 小田嶋野笛 末黒野 201711
稿了はる雷遠くより去らず 土井三乙 風土 201711
目前で扉の閉る大雷雨 高木晶子 京鹿子 201711
遠雷を義父焼く音とかしこまり 伊藤希眸 京鹿子 201711
遠雷や雲がくれせし単語帳 奥田筆子 京鹿子 201711
遠鳴りのなきまま突と日雷 大橋晄 雨月 201711
遠雷に話の接ぎ穂失ひて 中原敏雄 雨月 201711
雷鳴や金平糖のつの立つる 荻巣純子 雨月 201711
六道の辻に一喝日雷 佐藤貞子 雨月 201711
遠雷や千度石据う真田庵 山田佳乃 ホトトギス 201712
稲妻は裂け雷は破るごと 小松敏郎 万象 201712
消ゆるともなく遠雷のきえゆけり 平沢恵子 春燈 201712
遠雷の音が近づき来る気配 安藤久美子 やぶれ傘 201710
突然の雷に逃げ込むガード下 枝みや子 やぶれ傘 201710
遠鳴りのなきまま突と日雷 大橋晄 ホトトギス 201802
遠雷や水のくぼんで死者の声 阪野基道 船団 201802
さつきありたる初雷のことなりし 稲畑汀子 ホトトギス 201803
初雷や旅路彩るものとして 稲畑汀子 ホトトギス 201803
梅雨明となるか雷鳴轟きぬ 外山生子 末黒野 201804
雷鳴の一瞬思わず正座して 中林明美 船団 201805
あの手紙燃やしたきっと明日雷雨 福岡貴子 船団 201805
悪を為すことのなかれと夜の雷 沼田巴字 京鹿子 201806
雷と青空鬩ぎ合ふ頭上 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
招かざる雷神招く水面かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
雷に打たれし城と聞くばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201807
快晴のいつ雷雲の育ちしや 稲畑汀子 ホトトギス 201807
雷雲の居座つてゐし空の果 稲畑汀子 ホトトギス 201807
この晴に雷予報出てをりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
チョコミントアイスクリーム日雷 きくちきみえ やぶれ傘 201807
雷鳥の牛耳る雲の中の空 柳川晋 201808
初雷のひとつ木霊を引き連れて 山田佳乃 ホトトギス 201808
地震あとのガラスのビルや日雷 中田禎子 201809
風神の宮の雷よぶ風迅し 長谷英夫 馬醉木 201809
入院同意書親子のサイン日雷 豊谷ゆき江 春燈 201809
雷鳴や神の椅子蹴る音かとも 川崎真樹子 春燈 201809
散髪の椅子に囚はれ遠く雷 定梶じょう あを 201808
ミント吊る百年の梁日雷 辻響子 201809
家計簿の帳尻合はす梅雨の雷 落合幸子 京鹿子 201810
大雷雨瀬戸縦横に駆け抜けし 水田壽子 雨月 201810
繰り返す雷火に凝らす夜目の闇 水田壽子 雨月 201810
朝の雷俄か新聞休刊日 齋藤朋子 六花 201810
日雷雷(いかづち)神社の御札受け 鈴木昌子 六花 201810
汗拭ふ客待ちの車夫雷門 贄田俊之 やぶれ傘 201810
日雷風樹にこもる鳥の数 森清堯 末黒野 201810
雷一つにぎはふ銀座けちらかす 橋本くに彦 ホトトギス 201811
雷の謂れは知らず諸蔓 後藤比奈夫 ホトトギス 201811
たまの雷なら激しさを善しとせり 大畑善昭 201811
雷鳥の親子に道を塞がるる 谷村祐治 雨月 201811
どどつと雨奔る雷火を消すやうに 伊藤希眸 京鹿子 201811
こほろぎの声遠雷のあはひかな 廣畑育子 六花 201812
万雷の蝉の中なる戻り橋 亀井福恵 京鹿子 201812
酸漿売雷門に待つてをり 橋本榮治 馬醉木 201812
遠雷や閉ぢしままなる井戸の蓋 布施政子 馬醉木 201812
雷鳴の一喝に散る烏どち 菅野日出子 末黒野 201812
息ひとつ置いて供華剪る雷の中 岡部名保子 馬醉木 201901
遠雷や言葉は独り歩きして 山内碧 201902
雷の夢の中まで鳴りにけり 荒井貞子 末黒野 201904
雷や切り裂く馬房柵の闇 楠本和弘 201904
奥羽街道虫出しの雷続けざま 増成栗人 201905
夜桜を仰ぐ一閃雷奔る 貞吉直子 馬醉木 201906
虫出しの雷打てり鬼の山 高野昌代 201906
虫出しの雷明け方に一度きり 佐津のぼる 六花 201906
梅雨の雷頬杖がくんとはづれけり コ田千鶴子 馬醉木 201907
棕櫚の葉が風に騒げり昼の雷 藤井美晴 やぶれ傘 201907
思はざる素顔を知りし梅雨の雷 コ田千鶴子 馬醉木 201908
雷→11      

 

2021年7月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。