亀鳴く 6       197句

飯どきや亀の鳴かうと鳴くまいと    飯島晴子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
亀鳴くや肩剥落の五智如来 榊山智惠 末黒野 201604
亀鳴くを待ちて気づけば独りなり 徳田千鶴子 馬醉木 201605
亀鳴くやマイナンバーの隠し場所 栗原公子 201605
楕円形に中心ふたつ亀鳴けり 七田文子 201605
身のどこか軋んでをりぬ亀鳴けり 林いづみ 風土 201605
ここよりの女人禁制亀鳴けり 黒滝志麻子 末黒野 201605
学校はむかし病院亀鳴けり きくちきみえ やぶれ傘 201605
囃しつつ亀鳴くを待つ昼下り 平野みち代 201606
びんずるの頭つるつる亀鳴けり 有賀昌子 やぶれ傘 201606
素粒子に重さのありと亀鳴けり 萩庭一幹 馬醉木 201606
亀鳴くや土に帰したる風木舎 山田春生 万象 201607
亀鳴きて文字二ポイント大きうす 山口ひろよ 201607
亀鳴けり部屋にグランドピアノ見え きくちきみえ やぶれ傘 201607
亀鳴くや鬼門の土塁隅落とし 鈴木庸子 風土 201607
密室の聴力検査亀鳴けり 浅岡麻實 末黒野 201607
亀鳴くをずつと待ちゐる万愚節 渡邊孝彦 やぶれ傘 201608
竹騒ぐ風は利休か亀鳴けり 橋添やよひ 風土 201608
亀鳴けりノアの方舟より落ちて 天谷翔子 201608
亀鳴いて釈迦の生まれてきたりけり 山口素基 万象 201608
亀鳴くを聞かな吉野に泊つからは 千原叡子 ホトトギス 201609
いつまでも伸びしろ待ってろ亀鳴かそ 阪野基道 船団 201612
古井戸は城の抜け道亀鳴けり 鈴木庸子 風土 201701
鳥獣の巻物ほどく亀鳴く夜 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703
亀鳴くや賽銭人に借りもして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
独り言呟く少女亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
朽ち果てし茶屋の裂け目に亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
亀鳴くや日の出前てふ蔵王堂 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
松之大廊下跡亀鳴く静寂 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
亀鳴くや結婚記念日の句会 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
鏡中に晩年の母亀鳴けり 高橋道子 201704
口開けて亀鳴きにけり聞き洩らす 大石誠 201704
亀鳴くや老の福耳地獄耳 柴田久子 風土 201705
亀の鳴く生きる途中の夕べかな 寺田すず江 201705
亀鳴くを聞いて前言撤回す 中川句寿夫 ここのもん 201705
貧乏で暇あり亀に鳴かれけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
前書も後がきもなく亀の鳴く 中川句寿夫 ここのもん 201705
本当に亀鳴くんやと言うた人 田尻勝子 六花 201705
亀鳴くや国東塔の夕闇に 栗山みどり 201705
人の世の面白可笑し亀の鳴く 宮沢治子 春燈 201705
亀鳴くや女の寿命延びつづき 新谷フクヱ 末黒野 201705
亀鳴くや甲骨文として残る 中村弘 末黒野 201705
亀鳴くや老化防止のトレーニング 岡村啓子 京鹿子 201706
亀鳴くや遊具を置かぬ小公園 太田良一 末黒野 201706
人間に聞こえぬやうに亀鳴けり 本多俊子 201706
心中の神か悪魔か亀の鳴く 平野多聞 201706
詮なくて笑ふほかなし亀が鳴く 渡邊千枝子 馬醉木 201707
亀鳴くを聞きに天神参りかな 小田嶋野笛 末黒野 201707
かかる野にソーラーパネル亀鳴けり 田辺博充 201707
亀鳴くや八十路といへどこれからぞ 山田春生 万象 201707
今さらの母への詫びごと亀鳴けり 荒井ハルエ 春燈 201707
亀鳴くや用事そのまま日の暮るる 秋川泉 あを 201707
長老に愛されて亀鳴きにけり 小林朱夏 201707
隠沼やあいろこいろに亀の鳴く 赤松有馬守破天龍正義 六花 201709
亀鳴いて連体形に余韻あり 服部早苗 201709
亀鳴いたさうな百寿の誕生日 後藤比奈夫 ホトトギス 201711
亀鳴くを桂郎逝きてより聞かず 神蔵器 風土 201712
亀鳴くやあなたの声を探しゆく 西村滋子 京鹿子 201801
白寿すぎまだ鳴く亀に会はずなり 後藤マツエ 201804
亀鳴くや自分の時間別にあり 稲畑汀子 ホトトギス 201804
亀鳴くや書きはじめたる写生文 稲畑汀子 ホトトギス 201804
亀鳴くや蔵王堂徒歩十五分 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
亀鳴くや俳句を世界遺産にと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
南南東亀鳴くこゑもうろくづも 雨村敏子 201805
亀鳴くや政せぬ三代目 林紀夫 春燈 201805
飛ぶやうに過ぐる七曜亀鳴けり 大沢美智子 201805
風流のはじめや亀の鳴くを待つ 遠山陽子 201805
亀の鳴く昼なり子らは校庭に 大崎紀夫 やぶれ傘 201805
注文の前に出る水亀鳴けり 根橋宏次 やぶれ傘 201805
亀鳴いて応募葉書が期限切れ 倉澤節子 やぶれ傘 201806
亀鳴くや三渓の夢苔むして 栗原公子 201806
亀鳴くや寺の寄進に剪定代 大沢美智子 201806
亀鳴くに似て衛兵の忠烈祠 七郎衛門吉保 あを 201805
大法螺を吹きて真顔や亀の鳴く 池谷鹿次 末黒野 201806
和服著てゆくところなし亀鳴けり 竹内弘子 あを 201806
余生などと思へば亀の鳴く日かな 水野恒彦 201807
亀鳴くやいのち三十八億年 江島照美 201807
よく鳴くやサド侯爵の池の亀 三木亨 201807
亀鳴くを昨日聞いたと学士どの 能美昌二郎 201807
亀鳴くや樋口夏子は執筆中 栗坪和子 201807
もどかしきぎつちよ矯正亀鳴けり 陳妹蓉 春燈 201807
亀鳴いてゐる溜め池の向う側 大崎紀夫 やぶれ傘 201807
亀鳴けどそこにある危機気がつかず 藤田美耶子 201808
亀鳴くや遅き歩みを見咎めず 杉井真由美 京鹿子 201808
亀なんて字は知らぬぞと龜鳴けり 金子正道 京鹿子 201808
亀鳴くや南海トラフやや動き 大西乃子 201808
エープリルフール亀鳴いてはならぬ 後藤比奈夫 ホトトギス 201809
閑人の一書世に出て亀鳴ける 浜崎素粒子 ホトトギス 201809
亀鳴くと造り酒屋の鬼子母神 岸洋子 201809
捨てきれぬ算盤一つ亀鳴けり 三井所美管子 201809
ひとり酌みゐて亀鳴くを聴く父か 田所節子 田所節子集 201810
亀鳴いてオムレツうつらうつらかな 津波古江津 船団 201811
単眼鏡買おうか亀が鳴いている 火箱ひろ 船団 201811
苑巡る亀鳴く方へ二往復 若泉真樹 201902
亀鳴くや一目千本青々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
亀鳴くや血気ばかりの隊士の死 鈴鹿仁 京鹿子 201904
亀鳴いて宝蔵金泥経眠る 谷陽右 馬醉木 201905
亀鳴くや通路に残る線路跡 大西由美子 春燈 201905
死後の妻ほめられてをり亀鳴けり 神蔵器 風土 201905
千社札貼りたる夕べ亀鳴ける 雨村敏子 201905
亀鳴きて二匹が共謀(ぐる)の兎かな 柳川晋 201905
亀鳴くや土塊揉んでほぐしゐる 農野憲一郎 春燈 201906
亀鳴くや竹馬の友の古写真 山本泰人 春燈 201906
万屋の看板娘亀鳴けり 中田禎子 201906
来賓の祝辞の途中亀鳴けり 仲里貞義 201906
俳号は持たないけれど亀鳴きぬ 内田美紗 船団 201906
亀鳴いて自動扉に捕らわれる 近藤綾 201906
亀鳴くや忘るるための酒利かず 成瀬櫻桃子 春燈 201907
太郎恋ひ乙姫老ゆと亀鳴けり 柴崎甲武信 春燈 201907
令和なほ生くる大望亀鳴けり 大室恵美子 春燈 201907
亀鳴くや笑うて終はる後日談 尾野奈津子 春燈 201907
舟杭のなき心字池亀鳴けり 栗坪和子 201907
亀鳴くや眠り初めたる前頭葉 岡野里子 末黒野 201908
亀鳴くや今日も葉書の待ちぼうけ 布施由岐子 末黒野 201908
亀鳴いてサチコはトルコライス食む 中島陽華 201909
裏がへる世の常なれど亀鳴けり 鈴鹿仁 京鹿子 202003
くつろぎといふ名の苦行亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
亀鳴くやさてこれよりの青写真 千田百里 202004
亀が鳴き八ツ橋歩く鳩がゐて 大崎紀夫 やぶれ傘 202005
亀鳴くや加賀の棒茶を濃くいれて 栗坪和子 202005
海鳴の夜なり亀の鳴く夜なり 栗坪和子 202005
亀鳴くや天上のこゑ耳奥に 雨村敏子 202005
今といふ刻の重さよ亀鳴けり 寺田すず江 202005
大鷺の見下ろす疎水亀の鳴く 延川笙子 六花 202005
惨憺たる百鬼夜行や亀の鳴く 山田六甲 六花 202005
亀鳴くや決意崩れてしまひける 前田美恵子 202005
亀が鳴くばたんばたんと木戸が鳴り 有賀昌子 やぶれ傘 202005
亀鳴くや黙の膨らむエレベーター 本池美佐子 202005
亀鳴いて明日香美人に疎まるる 西村白杼 京鹿子 202005
四の五のと言ひては亀に鳴かれをり 森岡正作 202006
眼を手術しても亀鳴くのは見える 山田六甲 六花 202006
ある人は亀鳴くといふ鳴くだらう 山田六甲 六花 202006
もともとは生物教師亀が鳴く 火箱ひろ 202006
亀鳴くを信じるほどの亀の数 増成栗人 202006
亀鳴くや遠景の海凪ぎてをり 両角富貴 末黒野 202006
亀鳴くや六年生で髪を切る 新沢伸夫 202006
食卓を仕事場として亀鳴けり 柿沼盟子 風土 202007
日差し受くアンテイック時計亀鳴ける 中田禎子 202007
亀鳴けり医者が患者となりしとは 中村月代 末黒野 202007
マスクいま今かと亀の鳴く夕べ 中村月代 末黒野 202007
亀鳴くや日毎に重る小銭入れ 平沢恵子 京鹿子 202008
亀鳴くや人の宝は人にあり 藤岡紫水 京鹿子 202008
電子辞書に夫の句みつけ亀鳴けり 菅野日出子 末黒野 202008
休校の続く学園亀鳴けり 和田慈子 末黒野 202008
亀鳴けり田面静かな日暮れとき 石原健二 やぶれ傘 202009
亀鳴かず十万年の放射能 今泉忠芳 日輪馬車のタクト 202009
首洗池の冥さや亀の鳴く 田岡千草 202010
亀鳴くや言葉足らずに別れ来て 中田みなみ 202010
本当に亀は交尾の絶頂ときに鳴く 柳川晋 202103
亀鳴くや力をくるる声と聞く 清水美子 春燈 202105
再読に新たなる謎亀鳴けり 千田百里 202105
ウィンウィンの胡散臭さよ亀の鳴く 森村江風 202106
誹諧を五十年とや亀鳴くよ 小林輝子 風土 202106
亀鳴くや死の字の読みは一つのみ 土井三乙 風土 202106
亀鳴くや「オンリーユー」をひとりの夜 溝越教子 春燈 202106
フクシマの復興五輪の亀鳴けり 室井津与志 春燈 202106
亀鳴くや自分史と言ふ嘘まこと 菅野日出子 末黒野 202107
どうといふ独得の文化や亀鳴かす 高野昌代 202107
亀鳴くや祖の化石を思ふとき 内藤静 風土 202107
亀鳴くや無人求人誌並ぶ 林いづみ 風土 202107
亀鳴くや仏間に亀の寝てゐたり 小林共代 風土 202107
桂郎と器の絆亀鳴けり 津川かほる 風土 202107
亀鳴くや月の兎に首伸ばし 津川かほる 風土 202107
岩の上甲羅干しつつ亀が鳴く 湯本正友 やぶれ傘 202108
師在せば百と四つや亀の鳴く 和田華凛 ホトトギス 202109
亀鳴くやボンドにつなぐ古墨かな 伊藤隆 202110
みよし野に人遠ざけて亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
街騒の減りゆく都心亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
亀鳴くや三分前のこと忘れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
リハビリのかかる立ち居や亀鳴ける 上野静子 末黒野 202204
潮入りの名残りの池や亀の鳴く 田中春江 末黒野 202204
足よろけいずこに亀の鳴きゐるや 山田六甲 六花 202204
亀鳴くや漆黒の闇もてあまし 小山繁子 春燈 202205
亀鳴かむとひそかに甲羅ふくらます 川崎真樹子 春燈 202205
トンネルの掘れぬ砂山亀鳴けり 千田百里 202205
甲羅脱ぐ夢みて亀の鳴きにけり 平松うさぎ 202205
パソコンの立ち上がるとき亀鳴けり きくちきみえ やぶれ傘 202205
亀鳴くや黙なる兄と一日旅 長尾タイ 末黒野 202205
源平の池を陣地に亀鳴けり 太田良一 末黒野 202205
靴箱に古き靴だけ亀鳴けり 鈴木直充 春燈 202206
亀鳴くや修養少し積みそこね 木村みどり 春燈 202206
泥亀の鳴きしか泡ののぼりくる 南うみを 風土 202206
亀鳴くや我が八十路余の応援歌 梅原ひろし 京鹿子 202206
物忘れ恐るる暮し亀鳴けり 菅野日出子 末黒野 202206
亀鳴くや百まで生くる志 今村千年 末黒野 202206
体温もプライバシーと亀鳴きぬ 森なほ子 あを 202206
亀鳴くや四方の山に日は高く 秋川泉 あを 202207
亀鳴くやカメのやうに歩むわたし 安田優歌 京鹿子 202207
平安の闇棲む邸址亀鳴けり 橋添やよひ 風土 202207
亀鳴くやかつてレシピの四人前 大森春子 202207
死ぬまでは言葉を求め亀鳴けり 高村令子 風土 202208
亀鳴き止まずレクイエム鳴り止まず 山西商平 ホトトギス 202209
亀鳴くやお伽の国のやうな街 玉手のり子 ホトトギス 202209
村は皆闇に沈みて亀の鳴く 湖東紀子 ホトトギス 202209
亀鳴くや世に文学のあるかぎり 湖東紀子 ホトトギス 202209
清正の積みし石垣亀の鳴く 祐森司 202210
手相なら死んでゐるころ亀鳴けり えとう樹里 202212
亀鳴かす捩れの位置の天の沙汰 鈴鹿呂仁 京鹿子 202303
亀鳴く→ 1

2023年4月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。