亀鳴く 5       216句

飯どきや亀の鳴かうと鳴くまいと    飯島晴子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
亀鳴くや時には師とも会はぬ事 郡山真帆 かさね 201205
詳細は坊主に問へと亀鳴けり 矢野百合子 201205
亀鳴くや衛星センターそらを突く 上原重一 201205
反る写真伸しをれば亀鳴きにけり 山田六甲 六花 201205
累累と休眠口座亀鳴けり 安藤しおん 201205
身に水の滞ほる憂さ亀鳴けり 来海雅子 201205
亀鳴く日グイと押さえる足のつぼ 鶴濱節子 始祖鳥 201206
詳細は坊主に問へと亀鳴けり 矢野百合子 201206
亀鳴くを聞きもらせしか八十路まで 野坂民子 馬醉木 201206
亀の鳴く悠々自適の道なりし 高橋将夫 201206
亀鳴くか雨夜の二日続く朝 大島翠木 201206
亀鳴くや夕日は青き匂ひして 本多俊子 201206
亀鳴くや深吉野遠く想ふ夜は 北川英子 201206
亀の鳴く耳鳴り夕べ待たるるよ 品川鈴子 ぐろっけ 201206
何せんと来しか厨辺亀鳴けり 安田とし子 ぐろっけ 201206
剣客と謂ふ名眩しき亀鳴かす 鈴鹿仁 京鹿子 201206
亀鳴くと葦の根許の暮れにけり 山田六甲 六花 201206
意地張つて亀の鳴くまで酌みにけり 西谷良樹 春燈 201207
意地張るでなきほどの意地亀鳴けり 中野英伴 春燈 201207
出る釘になれずじまひの亀鳴けり 中野英伴 春燈 201207
亀鳴くや明るきうちに湯浴して 鈴木直充 春燈 201207
亀鳴くや生命線を描き足して 栗栖恵通子 201207
亀鳴くやゆるる瓔珞ちぎり棄つ 西村純太 201207
亀鳴いて雨の匂ひを連れて来し 熊川暁子 201207
亀鳴くや飛鳥に遊び疲れたる 杉浦典子 火星 201207
亀鳴くと蔵へ入りゆく父と母 城孝子 火星 201207
私小説のいまどのあたり亀鳴かす 直江裕子 京鹿子 201207
継がれたる歴史の外や亀鳴けり 相澤和子 ろんど 201207
言ひ訳は胸におさめん亀鳴けり 福田房子 末黒野 201207
ゆるぎなきものなぞありや亀の鳴く 浅岡麻實 末黒野 201207
亀鳴くや夫と同じ夢を見て 高倉恵美子 201208
亀鳴けば耳遠き人頷ける 和田郁子 粥の味 201209
亀鳴いてそののち烏城ぐもりなる 和田照海 京鹿子 201209
亀鳴くや水琴窟を覗く児に 北崎展江 くりから 201209
こつこつと歩むがこつと亀鳴けり 桜三奈子 201210
亀鳴くや句碑除幕する雨男 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
亀鳴くやかんぬき古び音もせず 中山純子 万象 201303
亀鳴くやアンケート結果惑ふなよ 能村研三 201303
亀鳴くや勝手知つたる館の庭 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
朽ち果てし茶屋の奥より亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
亀鳴くや鳴かずや通す自分流 上山永晃 鶴翼 201305
余生とは土曜ばかりや亀が鳴く 水原春郎 馬醉木 201305
さやうなら白洲次郎の亀鳴けり 神蔵器 風土 201305
銀いろはいつも二番手亀鳴けり 千田敬 201305
亀鳴くや出席日数足りをれば 吉田政江 201305
隕石は星の散骨亀鳴けり 安藤しおん 201305
千枚の半紙一締め亀鳴けり 坂口夫佐子 火星 201305
亀鳴くやおほかた読めぬ碑の文字 竹内弘子 あを 201305
銅鏡に映りし顔や亀鳴けり 矢野百合子 201305
亀鳴くや優しすぎるといふ怖さ 三上程子 春燈 201306
亀に向かひ鳴けと言つたと四月馬鹿 佐藤喜仙 かさね 201306
水がれの石の水門亀の鳴く 上原悦子 火星 201306
点検の補聴器忘れ亀鳴けり 大坪景章 万象 201306
亀鳴くやみなとにサーカス小屋の開く 中島讃良 ろんど 201306
亀鳴くや知恵熱の子のまた愚図り 松本三千夫 末黒野 201306
亀鳴くや銀の器のうすぐもり 水野恒彦 夢寐 201306
貝のひも噛みゐて亀の鳴けるなり 水野恒彦 夢寐 201306
亀鳴いていま西方は胞衣のいろ 水野恒彦 夢寐 201306
バケツにて飼うて亀まだ鳴かずけり 定梶じょう あを 201306
亀鳴くや買ふより高き修理代 中村風信子 馬醉木 201307
不老水に喉潤せば亀鳴けり 藤井君江 馬醉木 201307
へそくりの隠し場忘れ亀の鳴く 森下康子 201307
思ひのたけを鳴き尽くしたる亀ならむ 中村嵐楓子 春燈 201307
亀鳴くや駅名変はり塔が建ち 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
亀鳴くや親には敵はぬことばかり 石井美智子 風土 201401
松の尾の古地図の真中亀鳴かす 鷺山珀眉 京鹿子 201401
ひとりの夜爪切りをれば亀鳴けり 荒井書子 馬醉木 201404
みよし野の夜は亀鳴く静寂かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
亀鳴いて歩行の月光仮面かな 井上石動 あを 201404
亀鳴くやミサイル飛ばす飛ばさぬと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
亀鳴くや額剃り込む少年に 山本耀子 絵襖 201404
亀鳴くや幾つも溜る片耳輪 千田百里 201404
亀鳴くや皇居の濠といふ天地 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
亀鳴くや今日で結婚三十年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
亀鳴くや大東京の一詩人 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
亀鳴くや電波散らばる東京都 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
亀鳴くや道路工事を三つ抜け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
学校の隣は墓場亀鳴けり きくちきみえ やぶれ傘 201405
膏薬を剥がすたまゆら亀の鳴く 植村一雄 201405
岩にゐるいづれの亀も鳴きにけり 根橋宏次 やぶれ傘 201405
起きてみつ寝てみつ亀の鳴けるなり 神蔵器 風土 201405

 四月一日淑桜忌・三鬼忌六甲結婚記念日

亀鳴くや眠くなるまで本読んで

山田六甲 六花 201405
億年の後を語れば亀鳴けり 西村節子 火星 201406
鳴きさうもなき顔や亀甲羅干す 飛高隆夫 万象 201406
根の国の放生池の亀鳴けり 後藤眞由美 春燈 201406
電子辞書亀を鳴かせてくれまいか 森岡正作 201406
真贋を問へばばうばう亀鳴けり 高橋道子 201406
亀鳴いて被曝青桐天を突く 橋添やよひ 風土 201406
亀鳴くやたも網もちて子ら帰る 鈴木阿久 201406
亀鳴くや掘らばほるほど史跡出て 丸井巴水 京鹿子 201406
亀鳴くや捲ればちぎれさうな古書 田所節子 201406
亀鳴くや最年長は淋しきと 多田文子 201406
亀鳴くや薔薇の香りのトイレ紙 藤田素子 火星 201406
亀鳴くを聞きたく亀を裏がへす 鶴巻誉白 ろんど 201406
天と地と分れがたきに龜鳴けり 佐藤喜孝 あを 201407
今はなき比丘尼の姿亀鳴けり 岩月優美子 201407
採茶庵声なき亀の鳴きにけり 神蔵器 風土 201407
箱書の文字のくづしや亀鳴けり 生田恵美子 風土 201407
亀鳴くやまだ髭結へぬ前相撲 古賀しぐれ ホトトギス 201407
亀鳴くや軽き眠気の取れずゐて 有松洋子 201407
聴覚の検査さ中や亀の鳴く 粟倉昌子 201407
晩年は亀にもありぬ鳴けるなり 河口仁志 201408
命二つこゑなき亀の鳴きにけり 神蔵器 風土 201408
鳴いてみよ築山泉水庭の亀 田中貞雄 ろんど 201408
古文書に失せし一文字亀の鳴く 藤井啓子 ホトトギス 201408
テンプルやガーター騎士団亀鳴けり 中村洋子 風土 201409
亀鳴くも鳴かぬも独りつまらなし 熊谷ふみを ろんど 201409
日本のヘソてふ杉並亀鳴けり 神蔵器 風土 201411
亀鳴くを待ちて晩成遠ざかる 福島照子 京鹿子 201501
亀鳴くや口伝といふはもどかしく 千田百里 201503
亀鳴くや長寿祝ひの大広間 布川直幸 201504
重き顔上げて不死男の亀鳴けり 布川直幸 201504
亀鳴くといふ少年の鼻に皺 伊藤白潮 201504
タイガース快進撃に亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
亀鳴くや軍艦島といふ遺産 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
人生の踏んばりどころ亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
亀鳴くや百歳までは健やかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
システィーナ礼拝堂に亀鳴けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
亀鳴くや主宰就任六ヶ月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
亀鳴くと宿下駄の音ひそめけり 稲畑汀子 ホトトギス 201504
寝つかれぬ夜ははるかより亀鳴けり 田所節子 201504
亀鳴けばゆつくりのびる生命線 貝森光洋 六花 201504
「ひようたん」てふ店のランチや亀鳴けり 中島玉五郎 201505
暗がりの艶めき亀の鳴く気配 内山照久 201505
みちのくの亀と田螺の鳴き交はす 高橋将夫 201505
亀鳴きし夕暮れ星の潤みけり 近藤喜子 201505
亀鳴くてほんまでつか番頭はん 岩下芳子 201506
亀鳴くと道満塚の細下り 山田六甲 六花 201506
うら返る掃除ロボット亀鳴けり 長谷川信也 万象 201506
読書坂の大学図書館亀の鳴く 下山田美江 風土 201506
両岸の千住論争亀鳴けり 大西由美子 春燈 201506
亀鳴くや数独の穴あとひとつ 秋川泉 あを 201506
亀鳴くや液肥を注ぐ植木鉢 田村園子 201506
病歴の癌のいつまで亀鳴けり 吉田政江 201506
亀鳴くや男の料理教室に 富川明子 201506
山頭火踏みゆきし道亀鳴けり 水野恒彦 201507
亀鳴くと言へばそこいら星の渦 雨村敏子 201507
林道に亀鳴くこゑのしてゐたり 瀬川公馨 201507
恋ふ人を想へば亀の鳴きにけり 岩月優美子 201507
亀鳴くや太く短き生命線 柳橋繁子 201507
何にでもなれる細胞亀鳴けり 山本雅子 馬醉木 201507
亀鳴くや千史万巻文字秘めて 神蔵器 風土 201507
命より大切なもの亀鳴けり 小林輝子 風土 201507
亀鳴けり敷石にある経の文字 中村洋子 風土 201507
締め切りは明日となりぬ亀の鳴く 中村洋子 風土 201507
亀鳴くや永久に清しき五十鈴川 鈴木庸子 風土 201507
お年玉葉書一等亀鳴けり 遠藤逍遙子 風土 201507
盥打ち亀よ鳴けよと下校の児 漆山浩一 末黒野 201507
亀鳴くや川越城の七不思議 鈴木静恵 花こぶし 201508
亀鳴くや都大路は鬼棲むと 織田高暢 201508
亀鳴くを聞きたく石人佇めり 矢野百合子 201508
太鼓橋亀鳴くを待つ良き日かな 小林和子 風土 201508
亀鳴けりその日暮らしの道極め 赤松赤彦 六花 201508
亀鳴くや水子地歳を暮れのこし 笹村政子 六花 201509
亀鳴いてをみなの髪を匂はしむ 笹村政子 六花 201509
亀鳴きしからはすつぽん鳴きたさう 後藤立夫 ホトトギス 201510
下げ潮や晴れれば亀の鳴くこゑも 大崎紀夫 虻の昼 201510
甲羅干すとなりの亀の鳴きにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
日は高しお濠に亀の鳴くころは 大崎紀夫 虻の昼 201510
亀鳴くやチェロより重きチェロケース 林昭太郎 201510
吊りさがる束子は乾く亀は鳴く きくちえみこ 港の鴉 201510
ほどほどに乾びし甲羅亀鳴けり きくちえみこ 港の鴉 201510
亀鳴けり竿の向こうに泡付けが きくちえみこ 港の鴉 201510
亀鳴くや七畳小屋に徹夜の灯 神蔵器 風土 201511
国際アルツハイマー学会亀鳴けり 火箱ひろ 船団 201512
蓄ふる髭と勲章亀の鳴く 内藤静 風土 201512
彩茶庵ぶつきらぼうに亀鳴いて 神蔵器 風土 201603
亀鳴くや君はやつぱり謎の人 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
文書の裁断一気亀鳴けり 能村研三 201604
亀鳴けり躓くはずのなきところ 森岡正作 201604
亀鳴けり蒼天一枚沼ひとつ 甲州千草 201604
亀鳴く→ 6      

2021年4月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。