案山子 4          200句

夕陽影道まで出づる案山子かな   召波

作品
作者
掲載誌
掲載年月
案山子立ついま正念場の中にをり 鈴鹿仁 京鹿子 201010
仰向けの空のしじまや捨案山子 佐久間由子 201010
それらしき竜馬の案山子二人見ゆ 遠藤実 あを 201010
捨案山子母を待つごと田に伏せり 小山繁子 春燈 201011
仰臥して雲見つめゐる捨案山子 森岡正作 201011
案山子いま静かな村の賑はひや 辻直美 201011
スカートの案山子に列車通り過ぐ 米澤光子 火星 201011
国道の竹屋に販ぐ案山子かな 川崎利子 201012
丸き眼の案山子に票を投じけり 片岡久美子 201012
役終へて納屋に収まる案山子翁 冨田ヒナ江 201012
案山子らの談合戦術鴉鳴く 宮田香 201012
一仕事終へたる案山子連れ帰る 森岡正作 201012
着流しの案山子仕事をせぬつもり 千田百里 201012
うなだれて雨遣り過ごす案山子かな 矢口笑子 春燈 201012
ジーパンの似合ふ案山子のをりにけり 内田梢 末黒野 201012
直立に倦みて倒れし案山子かな 竹内弘子 あを 201012
風貌は父に似てをり案山子翁 城戸愛子 酸漿 201012
庭に立てしばし楽しむ案山子かな 城戸愛子 酸漿 201012
痩身のイケ面案山子顎にひげ 桂敦子 201101
膝で穂をかき分け立てる案山子かな 木内博一 春燈 201101
出展案山子残る晩稲田取り囲む 泉田秋硯 201101
田圃より畑へと案山子転勤す 佐藤山人 201101
残されてうつむく案山子胡麻の畑 大坪景章 万象 201101
とり入れの済みし田守る案山子かな 荻野加壽子 万象 201101
捨て案山子俗世に生きて立ち話 鴨下昭 201101
隠田の公達貌の案山子かな 和田照海 京鹿子 201101
稲妻やいまだ案山子の脚湿り 丸井巴水 京鹿子 201101
昨日よりまこと顔なる捨案山子 松本文一郎 六花 201101
雀また止まる案山子の怒り肩 長憲一 201101
倒れたる稲は起こさず案山子翁 内藤三男 ぐろっけ 201101
ブランドのへのへのもへじ破案山子 竹田ひろ子 ろんど 201101
大往生にて案山子翁積まれゆく 山口ひろよ 201102
跡継ぐは案山子だけだと老農夫 内藤三男 ぐろっけ 201102
魂を鴉啄む捨案山子 野口喜久子 ぐろっけ 201102
旅に出て案山子に並ぶVサイン 平田恵美子 ぐろっけ 201102
捨て案山子僧形もあり高野口 土屋青夢 ぐろっけ 201102
案山子にも男と女生まれけり 松田明子 201104
月仰ぐ畦を枕の捨案山子 亀掛川菊枝 末黒野 201104
種案山子ちよつとお酒落なベレー帽 藤田かもめ ぐろっけ 201107
信濃路の畦の案山子の夫婦とも 北崎展江 くりから 201209
出羽の田の大案山子目を剥きてをり 北崎展江 くりから 201209
捨て案山子姉さ被りをまだ解かず 北崎展江 くりから 201209
役終へて竿に戻りし案山子かな 稲畑汀子 ホトトギス 201210
着流しの案山子カップル雀寄る 辻香秀 201211
酒米の守りの神や案山子んぼ 松田和子 201211
里山の案山子井戸端会議して 中井登喜子 201211
村雨に借りる軒なき案山子かな 堀田順子 馬醉木 201211
睨み利く美人案山子のアイメイク 岩下芳子 201211
ヘルメットしつかと被り案山子立つ 岡野ひろ子 201211
案山子伏す乳房のやうな山の裾 山尾玉藻 火星 201211
ジーンズのズボン案山子の屯する 赤座典子 あを 201211
ぽつねんと脳をほしがる案山子翁 熊川暁子 201211
黄金の波かしぐ案山子の越後平野 川井素山 かさね 201212
鳥さへもすぐに見破る案山子かな 橋本修平 かさね 201212
挨拶をしてしまひさう案山子立つ 松本恒子 ぐろっけ 201212
捨て案山子働きすぎの日本人 村田岳洋 ろんど 201212
イチローの案山子に怯む雀かな 杉本綾 201301
棚田畦にお役御免の案山子かな 吉田宏之 201301
句材にもなりたる案山子役終る 中山静枝 201301
乗り出して棚田を覗く案山子かな 古川千鶴 かさね 201301
捨案山子ヘッドライトを睨みたる 菊川俊朗 201301
弓を引く案山子の先の雀かな 長憲一 201301
雨あとの匂ふ案山子でありにけり きくちきみえ やぶれ傘 201301
寒雀傾ぐ案山子に止まりをり 川井素山 かさね 201302
体幹の鍛え抜かれている案山子 静誠司 船団 201304
ワイシャツの釦きちんと案山子立つ 亀田やす子 ははのこゑ 201306
耳ふたつ描いて貰ひし種案山子 岩木茂 風土 201306
ワイシャツの釦きちんと案山子立つ 亀田やす子 ははのこゑ 201306
旅あはれ早稲の案山子に向ひあふ 丸山佳子 京鹿子 201310
考ふることの悲しき案山子かな 常田創 201311
チエツクシヤツ粋に着こなし里案山子 塩貝朱千 京鹿子 201311
近寄れば雑な案山子でありにけり 根橋宏次 やぶれ傘 201311
目鼻無き案山子笑.うてゐるやうな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201311
いぢめの記事続き案山子の顔がない 関根瑶華 201311
イケメンの案山子を無視の雀どち 中山静枝 201311
白日に歳偽れぬ案山子翁 阪本哲弘 201311
案山子へ向く運動場の鼓笛隊 山田美恵子 火星 201311
田男のやうに佑く案山子たち 数長藤代 201312
むしのいい話案山子も耳かさず 高橋将夫 201312
十字架のやうに案山子を負ひ帰る 森岡正作 201312
役立たぬ案山子を立てて去りにけり 物江康平 春燈 201312
盆の墓こぞの案山子も葬られ 瀧春一 花石榴 201312
暴風に片手飛ばさる老案山子 水野範子 ぐろっけ 201312
日々暮す仕掛け種なし里案山子 都菊池和子 京鹿子 201312
再雇用待てる棚田の捨て案山子 塩路五郎 201312
曇天を見上げてゐたる案山子かな 大日向幸江 あを 201312
銅賞の案山子は笑ひ上戸なり 森岡正作 201312
磯風に阿波の案山子の踊振り 植田桂子 馬醉木 201312
案山子らの今風フアッション晴舞台 伊藤和子 201312
案山子らの今風ファッション晴舞台 伊藤和子 201312
案山子翁減農薬の旗掲げ あさなが捷 201312
晴着著て人になりたき案山子かな 中井登喜子 201401
鴉鳴く案山子の思ひ知りつくし 中井弘一 201401
刈り終へし田に律儀なる案山子かな 大橋晄 雨月 201401
両手拡げ疲れはせぬか案山子翁 大橋晄 雨月 201401
もののふのこころを今も遠案山子 和田照海 京鹿子 201401
田の神を送り淋しき案山子かな 田中一美 ろんど 201402
金賞を胸に仰臥の捨て案山子 今井忍 ぐろっけ 201402
寝かされて御役御免の案山子かな 長田厚子 末黒野 201402
十字架を背負ふ案山子は頭垂れ 石橋萬里 ぐろっけ 201402
黄昏に案山子の歪む火照りかな 日下部亞こ ろんど 201402
阿武隈おろし傾ぐ案山子をゆさぶれる 安井和恵 201402
逝きし子の服着る案山子持ち帰る 長憲一 201403
眼をあけて眠つてをりし案山子かな 竹下陶子 ホトトギス 201403
濡れ案山子束ねて仕舞う納屋の中 水野弘 ぐろっけ 201403
濡れ案山子畦に並んで居眠りを 水野弘 ぐろっけ 201403
横抱きに遠ざかりゆく捨案山子 鴨下昭 201403
引き抜かれ脚長くなる案山子かな 長憲一 201403
種案山子ぽつりと佇ちぬ過疎の村 庵原敏典 末黒野 201404
世に立てる心とてなき案山子かな 竹下陶子 ホトトギス 201405
貴婦人になり損ねたる案山子かな 森下康子 璦別冊 201408
案山子今あけっぴろげの空が不安 定梶じょう あを 201409
見開きし眼哀れや捨案山子 上野進 春燈 201411
雀らと何を語らん捨案山子 岡野ひろ子 201411
鳥語氾濫案山子のにらむ田んぼかな 黒澤登美枝 201411
頬かむりして堂々の案山子かな 黒澤登美枝 201411
案山子あまた野菜畑に踊りをり 上原重一 201411
真夜中の案山子は隣田へも行ける 柴田佐知子 201411
縦のもの横にしただけ捨案山子 高橋将夫 201411
一列に小学校の案山子かな きくちきみえ やぶれ傘 201411
母と子の案山子の守り学習田 岡田史女 末黒野 201412
案山子まづ畦に寝かせて刈り始む 菅野蒔子 末黒野 201412
役目終へ服脱がさるる案山子かな 小林朱夏 201412
役目終へ服脱がさるる案山子かな 小林朱夏 201412
さまざまの世相映して案山子立つ 降幡加津 ろんど 201412
案山子消え野州の平野のつぺらぼう 松林依子 201412
案山子消え野州の平野のつぺらぼう 松林依子 201412
案山子の着る学生服の金釦 黒住康晴 201412
イケメンの案山子を唯す雀どち 岡野ひろ子 201412
畦道に弓矢突き立て捨案山子 兼久ちわき 馬醉木 201501
星の数かぞへてゐたり捨案山子 甕秀麿 201501
今どきの歌聞かされて案山子かな 原友子 201501
ハロウィンに駆り出されたる捨案山子 柳川晋 201501
地声にて叫んでゐるかも捨案山子 鴨下昭 201501
人迎ふやうにマネキン案山子かな 祖山正子 風土 201501
人らしき形のままの捨案山子 村田岳洋 ろんど 201501
そこ此処に案山子寝そべる夕茜 長崎桂子 あを 201501
青空に立て掛けられてゐる案山子 大川ゆかり 201502
肩肘を張れる案山子の不精髭 押田裕見子 201502
隠田の案山子某日つかひ切り 和田照海 京鹿子 201502
捨案山子風葬のごと置かれたる 下平しづ子 雨月 201502
俯きて仰向きて田へ案山子来る 柴田佐知子 201503
役終へて星と存問する案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
捨案山子猫の顔して身をそらす 鴨下昭 201511
沿線の案山子電車に向いて立つ 廣瀬雅男 やぶれ傘 201511
食べる事寝ること忘る案山子翁 佐々木秀子 201511
牛に径どいて貰ひて案山子来る 中田みなみ 201511
食べる事寝ること忘る案山子翁 佐々木秀子 201511
遠つ嶺の雪の一刷け捨案山子 橋本榮治 馬醉木 201512
故郷は案山子の記憶米寿祝ぐ 松本鷹根 京鹿子 201512
人に有り案山子には無き眠りかな 高橋将夫 201512
小糠雨ビエンナーレの案山子かな 七郎衛門吉保 あを 201512
園庭に稔田ありて案山子立つ 石井ケエ子 風土 201512
今までと違ふ案山子の出来上がり 中嶋陽子 風土 201512
刈り終へし田に胸を張る案山子翁 大橋晄 雨月 201512
遙かなるものを見続け破案山子 高村令子 風土 201512
破案山子忘れ上手となりにけり 高村令子 風土 201512
案山子立つ休耕田や雀くる 堺昌子 末黒野 201601
ハロウインの化粧が残る案山子かな 柳川晋 201601
山里の人より多き案山子かな 柳橋繁子 201601
星の数かぞへてゐたか捨案山子 甕秀麿 201602
如何様をまじめに勤め捨案山子 山口ひろよ 201602
役終へし案山子膝折る棚田かな 辻井ミナミ 末黒野 201602
放心の時を地でゆく案山子 中川のぼる 201603
あきらかに案山子と分かる案山子かな 今橋眞理子 ホトトギス 201604
うら若き案山子を恋ふる月のあり 竹下陶子 ホトトギス 201604
刈取られ途方に暮れてゐる案山子 七種年男 201611
古着着て胸板薄き捨案山子 水谷文謝子 雨月 201611
任侠の案山子に頼る農なさけ 鈴鹿仁 京鹿子 201611
風止んで目の玉大き案山子かな 亀田やす子 万象 201611
しつかりと富士に真向かふ案山子かな 佐藤まさ子 春燈 201611
役終へし案山子が凄み利かせゐる 大畑善昭 201612
三つ編みの藁のほどけし案山子の娘 吉武美子 201612
捨案山子まとめて置かれ日の落つる 中貞子 201612
ずぶ濡れの案山子を朝日包みをり 平田はつみ 馬醉木 201612
バランスを崩し夕べの案山子翁 齋藤厚子 201612
案山子なら一本足がよかりけり 片桐てい女 春燈 201612
天領の山田見下ろす案山子かな 井村和子 万象 201612
案山子田の遠く遠くに武甲山 須賀敏子 あを 201612
ちと傾ぎ案山子ひよひよめく日和かな 荒井和昭 201701
仰向けも俯きも投げ案山子焚く 大木茂 万象 201701
空腹で死にさうに見ゆ捨案山子 仲里奈央 201612
子の帽子かむりしままに捨案山子 柴田志津子 201701
くまもんが案山子になって彩の国 須賀敏子 あを 201701
となり家の案山子軍服よく似あふ 中川句寿夫 あを 201701
雨含む方へ傾むく案山子かな 住田千代子 六花 201702
生きてゐる真似してをりぬ案山子かな 溝渕弘志 六花 201702
出し抜けに案山子と見しが動き出す 金子正道 京鹿子 201702
案山子立つ虚仮の一念ありて立つ 角野良生 201702
帰り来し案山子に苔の不精髭 原友子 201703
農婦ゐて案山子と紛ふ里の昼 栗原京子 201704
することはしてからのこと種案山子 中川句寿夫 ここのもん 201705
捨案山子大きな月が上りけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
嫁さんを貰ひし家の案山子かな 中川句寿夫 ここのもん 201705
何もないところですよと案山子立つ 中川句寿夫 ここのもん 201705
案山子担ぎて挨拶をしてゆきぬ 中川句寿夫 ここのもん 201705
台本のト書のように案山子いる 陽山道子 船団 201707
阿蘇谷の案山子のけぞる地鳴かな 穐好樹菟男 馬醉木 201710
案山子翁口描かれてもの言はず 森岡正作 201711
背番号十八番の案山子かな 篠藤千佳子 201711
声高に語らふ様の案山子かな 布施由岐子 末黒野 201712
案山子 →5      

 

2021年9月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。