案山子 5      100句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
田に案山子ひとつだになし遠筑波 松林依子 201712
夫の服着せて案山子を立たせをり 福島茂 201712
人間にあつて案山子に無き余生 高橋将夫 201712
国訛出さうな案山子の面構 高橋榮子 京鹿子 201712
無表情に担がれてゆく古案山子 岡田正義 雨月 201801
案山子言ふ抑止力とは我のこと 高橋将夫 201801
正せども傾きたがる案山子かな 近藤紀子 201801
ジーンズの案山子見張れる学習田 藤田美耶子 201801
学帽をかむり胸はる案山子かな 山田春生 万象 201801
丹田の力抜きたる捨案山子 内海良太 万象 201802
思ひ出し笑ひを案山子見咎める 久保夢女 201802
一反を任されてゐる案山子かな 三村純也 ホトトギス 201803
一揆なら加はりさうな案山子かな 柴田佐知子 201801
捨て案山子身包み剥がれ火の中に 高倉和子 201801
母に似る案山子と交はす国言葉 長尾タイ 末黒野 201804
鳥よりも人驚かす案山子かな 森田明成 201803
台風に吹き寄せられて来た案山子 中林明美 船団 201805
ひもすがら海を見てゐる種案山子 森岡正作 201805
夜は宇宙旅行夢見て立つ案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
都心の田守る七体の案山子かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
足跡を一本遺し案山子逝く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
夜は宇宙旅行夢見て立つ案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
欄干の気長な釣や案山子どち 吉武美子 201811
棒立ちの案山子や金も知恵もなく 三上程子 春燈 201811
役終てアートに転身する案山子 七郎衛門吉保 あを 201811
着古しのシャツうしろまへ案山子立つ 佐津のぼる 六花 201812
捨案山子ピエタのやうに抱きかかヘ 夏生一暁 馬醉木 201812
歩み出しさうなる案山子母の郷 宮之原隆雄 末黒野 201812
へのへのも生死流転の捨案山子 平野多聞 201812
鍵穴を失くした鍵とか案山子とか 笹村恵美子 201812
抱かれて家路につけり案山子翁 森岡正作 201812
一張羅着せられ案山子コンクール 宮内とし子 201812
ユニクロのシャツを着てゐる案山子かな 青柳雅子 春燈 201812
ふと出会ふ山田の案山子におどろきぬ 大石喜美子 雨月 201901
捨て案山子すゞめがあたらしびにけり 定梶じょう あを 201901
忖度をしなかつたのね捨案山子 柳川晋 201902
捨てられて天を仰いでゐる案山子 岩岡中正 ホトトギス 201904
案山子にも時代流れてをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201910
俯きて案山子に目鼻なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201910
表情のなきが表情なる案山子 稲畑汀子 ホトトギス 201910
夜は星の使者ともなりて捨案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
目鼻描くより魂宿る案山子かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
遠見には案山子とみえて動き出す 大矢恒彦 201911
もめ事は案山子に貸した子の帽子 中田みなみ 201911
案山子指し僕の帽子と言ひだせり 中田みなみ 201911

寅さんを真似て案山子のおどけ顔

山田六甲 六花 201912
括られし案山子見てゐる案山子かな 池田光子 風土 202001
片脚はうしろに隠しある案山子 笹村政子 六花 202001
京外れの案山子やさすが着道楽 犬嶋テル子 春燈 202001
晩稲刈る案山子一本残りけり 江見巌 六花 202001
大熔岩の影倒れくる捨案山子 岩木茂 風土 202001
高だかと令和掲げる案山子かな 田中美恵子 202001
傾げても踏んばりをるやあの案山子 高野昌代 202001
案山子にも個人情報ありにけり 高橋将夫 202001
漂泊の詩人のごとき案山子ゐて 山岸明子 202002
押入れを開けて案山子を出してみる 木村和也 船団 202003
胸元に食べこぼし跡案山子翁 服部早苗 202003
役立ちてゐるとも見えぬ案山子かな 安原葉 ホトトギス 202004
捨案山子置いてきぼりをくはされて 仲里奈央 202005
ひとり居の家に連れたき案山子かな 栗原京子 202005
行倒れはた落人か捨案山子 林徹也 202006
稲藁の荼毘に加ふる捨案山子 林徹也 202006
案山子立つ借景として富嶽かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
空席に案山子を立てて応援す 森岡正作 202010
峠越え温泉街の案山子祭 鈴木石花 風土 202011
捨案山子日陰にかつと眼開け 大矢恒彦 202012
学校田クラスの数の案山子立ち 佐藤克江 202012
詭弁ともなほ眼を張りぬ捨て案山子 伊藤希脾 京鹿子 202101
腹太き案山子と出合ふ米どころ 田丸千種 ホトトギス 202101
捨案山子雲の行方を追うてゐる 吉清和代 202101
捨案山子すこし夜遊びしてきたり 足立枝里 202101
亡き父の帽子を被り案山子立つ 高倉和子 202102
夜は肩の力を抜いて案山子翁 荒井千佐代 202102
校長に似し学校田の案山子 角野良生 202102
気の毒なほど痩せてゐる案山子かな 河原敬子 202102
担がれて棚田を降るる案山子かな 服部早苗 202104
鳥獣に威されさうな案山子かな 曽根富久恵 202104
黄門の案山子の視線未来へと 稲畑廣太郎 ホトトギス 202109
寺近く念仏を聴く案山子かな 沼田巴字 京鹿子 202110
山峡や案山子は孤独守りきる 沼田巴字 京鹿子 202110
月明の案山子は何を思ひしか 山岸明子 202110
ジーパンを穿かせ案山子の若作り 森岡正作 202111
つれづれに夕日へ凭るる案山子かな 澤田英紀 202111
校庭で生徒案山子を組んでゐる 瀬島洒望 やぶれ傘 202111
へのへのもへじ案山子にもある子の心 小張志げ 春燈 202111
遠案山子声をかけたき夕まぐれ 小泉三枝 春燈 202112
傾ぎ癖つきたる案山子又なほす 三代川玲子 春燈 202112
金メダル下ぐる案山子の笑顔かな 橋本貴美代 春燈 202112
実る田を見守る案山子とりどりに 久島しんの 末黒野 202112
案山子殿今年の作を喜びぬ 梅津まり子 末黒野 202112
磔の如く案山子の負はれゆく 赤石梨花 風土 202112
案山子翁何まとうても痩せてをり 柴田佐知子 202112
つれづれに夕日へ凭るる案山子かな 澤田英紀 202201
御料田の小さきに案山子大きかり 今井千鶴子 ホトトギス 202202
片足は神に捧げし案山子かな 笹村政子 六花 202202
抜け殻のやうな生家や捨案山子 志方章子 六花 202202
案山子のみ納屋に残して田を売れる 升田ヤス子 六花 202202
右肩に竹の節見す案山子かな 住田千代子 六花 202202
片腕の骨現はるる案山子かな 山田佳乃 ホトトギス 202203
作業着の洗ひざらしを案山子翁 青木朋子 202206
案山子 →6      

 

2023年9月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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