案山子 3          105句

モジリアニの女の顔の案山子かな    阿波野青畝

作品
作者
掲載誌
掲載年月
役終るむつつり案山子の宙深し 宇都宮滴水 京鹿子 200609
山の田に目玉一つの大案山子 滝沢伊代次 万象 200610
棒となる女案山子の下半身 滝沢伊代次 万象 200610
雷雲や案山子笑ひて立ちゐたる 山田六甲 六花 200610
をさなげに案山子は眉を濃く引かる 山田六甲 六花 200610
捨案山子生涯里曲暮しかな 木多芙美子 春燈 200611
自尊心忘れてゐたる案山子かな 高橋将夫 200611
稗を抜く人突つ立ちて案山子めく 川上なみ子 200611
日の力残せしままや捨案山子 岡本崇 200612
宅地造成押し寄せ案山子とんと見ず 府川鈴 200612
捨案山子悠然と空眺めをり 久保栞 200612
長き棹利手に持てる案山子かな 工藤ミネ子 風土 200612
病廊真夜案山子のかげが動きだす 荻野千枝 京鹿子 200701
まだお前生きてゐたのか案山子君 岩松八重 六花 200701
エプロンの働き者の案山子立つ 青木民子 酸漿 200701
考へるさまに案山子の首かしげ 吉原一暁 200702
校庭の案山子の帽子バケツかな 高橋道子 200702
山案山子叱つてくれぬ父と母 瀬下るか 200702
無心にはなれないといふ案山子かな 高橋将夫 200702
若者も破れジーンズ案山子展 藤原りくを 八千草 200703
空睨むまなこ怯まず捨案山子 藤原りくを 八千草 200703
神の田の四隅の垂も苗案山子 八染藍子 200707
しまはれて案山子の役目終りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200710
目鼻なき案山子まなざしあることを 稲畑汀子 ホトトギス 200710
暮れてゆく案山子はいよよ紛れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200710
印南野の月の案山子を思ひけり 山尾玉藻 火星 200710
野分かな案山子またたく間に老ゆる ことり 六花 200710
山の端の日へ手をあげてゐる案山子 豊田都峰 京鹿子 200710
母さんの赤いエプロン案山子かな 工藤ミネ子 風土 200711
案山子立つ疲れて肩の斜めなり 中山静枝 200712
千枚田に催す案山子のコンテスト 安井和子 200712
ミス案山子ミスター案山子選ばるる 辻直美 200712
案山子には過ぎて雅な目鼻立ち 林昭太郎 200712
畦向かう人かと見れば案山子翁 近藤豊子 雨月 200712
離宮田や衛士と見紛ふ案山子立ち 乗光雅子 雨月 200712
湯沢駅稲架と案山子のお出迎へ 赤座典子 あを 200712
振り向けば笑ひ返して案山子立つ 守屋井蛙 酸漿 200712
案山子立ち賑はひ戻る母郷かな 山口順子 200801
酒落者の案山子ひたすら嶺仰ぐ 吉澤利治 遠嶺 200801
入賞の案山子の肩に鳥の糞 阪野徹 200801
飄々と野の風を聞き案山子翁 高橋照子 雨月 200801
今年限りとふ田を守りて案山子翁 丸尾和子 雨月 200801
村中の案山子にとどく弥撒の鐘 柴田佐知子 200801
山の田の並ぶ案山子に脅さるる あさなが捷 200801
海を恋ふ案山子の首の伸びてをり 飛鳥由紀 200801
黄昏が誰も案山子にしてしまふ 前川明子 200801
役終えて山田の隅に案山子塚 沖則文 ぐろっけ 200801
荼毘に付す案山子の嵩や珠なす日 梶浦玲良子 六花 200801
ずつしりと収穫重し案山子捨つ 奥村鷹尾 京鹿子 200803
まあまあの今年でありし案山子抜く 佐藤山人 200803
この辺を統べし案山子となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200810
案山子にも時代の流れあることを 稲畑汀子 ホトトギス 200810
人よりも案山子の老ゆる日ぐれ時 須田紅三郎 200810
平成の世をよそ見して案山子かな 鷹羽狩行 200811
口の紅艶やかなりし案山子かな 渡辺安酔 200811
少しづつ風にもまれる捨案山子 鴨下昭 200811
逝きし子の服着せ立つる案山子かな 長田憲一 200811
稲は穂になりて鬼太郎案山子かな 中里信司 酸漿 200811
二つ目の案山子の畦で待ち合す 酒本八重 200811
静けさに案山子居眠りしてゐたり 池上昌子 春燈 200812
案山子立つ電気の柵を供として 足立賢治 200812
年配の案山子とみえて風が寄る 吉岡一三 200812
案山子翁月光浴を欲しいまま 笠井敦子 200812
夫の背案山子にまぎれ消えにけり 折島光江 炎環 200812
北佐久の山田に早やも案山子立つ 木暮剛平 万象 200812
近頃は案山子もかぶるヘルメット 鈴木しのぶ 200901
山の田に背中合はせの案山子かな 工藤ミネ子 風土 200901
田じまひの案山子ならべて登呂の里 大西八洲雄 万象 200901
片方のズボンのみ揺る案山子かな 川合まさお ぐろっけ 200901
農夫かと案山子に声を掛けにけり 笹倉さえみ 雨月 200901
身ぐるみ剥がれて案山子はただの棒 小川凉 200901
樽鉢に案山子立ちをり野草展 鈴木良子 酸漿 200901
耳遠くなりし案山子を連れ帰る 梶浦玲良子 六花 200901
案山子の顔髭を刎ねても愚直な眼 瀧春一 深林 200901
豊かな穂波案山子いづれも貧寒と 瀧春一 深林 200901
天辺に鳥よけかかし柿撓わ 三原利枝 200901
鬼案山子役目を終へて倒れけり 上原朝子 200902
福相と悪相案山子にもありぬ 佐藤山人 200902
生真面目な案山子が故に侮られ 能村研三 200909
案山子立つ雀の私語の聞きもして 鈴鹿仁 京鹿子 200909
帽の上に雀遊ばせゐる案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
前世はトップモデルといふ案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
案山子には人間にない顔がある 山内四郎 春燈 200910
田に残る案山子に鴉来てとまる 山田六甲 六花 200910
笠ずらし案山子の眉を上げ直す 山田六甲 六花 200910
夕映えや案山子は肩を怒らせて あさなが捷 200910
羽黒山据ゑて案山子の傾ぎける 徳田千鶴子 馬醉木 200911
網持ちてわらんべ案山子嬉々と立つ 三浦百合子 200911
きつね目のをんな案山子に鳥寄らず 塩路隆子 200912
京の田に公家の顔せし案山子立つ 山本孝夫 200912
人間になるやも知れぬ案山子かな 松岡和子 200912
いつも逢ふ案山子の顔のもへ字かな 中貞子 200912
討たれたる様に眼を剥く捨案山子 松本三千夫 末黒野 200912
学習田案山子揃ひの野球帽 土田亮 末黒野 200912
案山子にも流行を着せて田を囲む 浅野恵美子 酸漿 200912
案山子にも古代ファッション奥明日香 井口淳子 201001
見覚えの服を着てゐる案山子かな 半澤正子 馬醉木 201001
見目よくて棄つるに惜しき捨案山子 寺村年明 春燈 201001
哨戒の任まだ解かぬ捨案山子 金子つとむ ろんど 201001
六年生案山子の眉目さらり書く 川井秀夫 ろんど 201001
一本足の案山子の思案左右どれ 井田実代子 雨月 201001
夕日浴ぶ後託されし案山子かな 米田正弘 201001
目をみはる案山子は夜も同じ顔 あさなが捷 201002
立たされて案山子の帽子すぐに飛ぶ 渡辺鴻 201002
丹波富士の影ひき寄せて案山子翁 細川コマヱ 雨月 201002
案山子→4      

 

2021年9月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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