悴 む 1     100句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
悴んで言葉失ひゐるばかり 山田弘子 春節 199503
どの手より悴みはじむ千手仏 亀田虎童子 199804
一力の客なき広間悴みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199901
悴みてをれば無口でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199901
悴みて独り居の鍵取り落とす 小島緑泉 199903
保育所へ悴める子の手を放つ 船木みち子 風土 199903
かじかむ手彼のポケットでぬくめおり 吉岡世志子 船団 199903
悴みて納棺の父抱きし日や 水島夜雨 京鹿子 199904
悴みて大きな薬袋提げ 吉川郁美 199905
悴みし手にて紅茶の茶椀抱く 稲木款冬子 ヒッポ千番地 199906
鞄置き子の悴みし手を握る 稲畑廣太郎 「廣太郎句集」 199912
キリストもユダも悴む核のはて 渡邊千枝子 馬醉木 199912
悴める手に鍵盤は重かりし 稲畑廣太郎 「廣太郎句集」 199912
悴める手でエチュードは弾き難し 稲畑廣太郎 「廣太郎句集」 199912
悴みて川向く目線皆寡黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
悴みし記憶は消えず地震の街 稲畑汀子 ホトトギス 200001
乾杯や悴みし指高く上げ 稲畑汀子 ホトトギス 200001
下田節前列で見て悴める 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
悴みのたちまちほどけゆくホテル 稲畑汀子 ホトトギス 200001
旅立の心のどこか悴める 稲畑汀子 ホトトギス 200001
悴みてをれぬ外出となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200001
悴みてゐしこと忘れ稿を継ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200001
さつきまで悴んでゐし庭を見る 稲畑汀子 ホトトギス 200001
悴みしほど段取の遅れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200001
悴みて予定変更する旅路 稲畑汀子 ホトトギス 200001
悴みて若き命を惜しみけり 稲畑汀子 ホトトギス 200001
悴みし手に口づけをせし別れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
悴む手こすりて嬰を受けにけり 高野清風 俳句通信 200002
悴みて数へ余せる武者落し 武久昭子 風土 200003
悴みて口で紐解く行商女 宮城白路 風土 200003
悴んでをりし両手を預かる手 黒川悦子 円虹 200004
悴みし指で鍵穴探しけり 小池とみを 俳句通信 200004
傍らに造花かじかむ雪の夜話 富田美和 200005
棒組のひとりが病みて悴かめり 金子里美 船団 200006
悴みて五年目といふ時刻み 稲畑廣太郎 ホトトギス 200007
悴みて古雑巾を憎みけり 三池泉 船団 200008
悴みて五年目といふ時刻み 稲畑廣太郎 ホトトギス 200101
悴む手ほどきて拝す虚子遺墨 稲畑汀子 ホトトギス 200101
悴みてをられず仕事山積みす 稲畑汀子 ホトトギス 200101
東京の悴む朝に渋滞す 稲畑汀子 ホトトギス 200101
明るさや悴みてゐし背をのばす 稲畑汀子 ホトトギス 200101
悴みて鍵を回せば待てる部屋 稲畑汀子 ホトトギス 200101
悴みて夜明待ちたる記憶なほ 稲畑汀子 ホトトギス 200101
爺に会ひたくて悴みきたりしか 朝妻力 俳句通信 200102
ゆたかなる白息ありて悴まず 神蔵器 風土 200102
悴みて真似る大日如来の印 品川鈴子 船出 200104
悴む手握り返せし別れかな 岩村節子 200104
悴みて甘え上手な犬とをり 竹内美智代 酸漿 200104
八十九歳の悴む御尤 粟津松彩子 ホトトギス 200105
蟇出でてかくかくしかじかと言へり 鈴木鷹夫 200107
悴みて輪禍の供華を見てをりぬ 坊城俊樹 ホトトギス 200107

 二児没後久しくして男子を得たり研三と名付く

悴みてあやふみ擁く新珠吾子

能村登四郎 200108
悴まず受く往生の札一枚 神蔵器 風土 200201
悴んで喪中の家のベルを押す 木場田秀俊 200201
悴めば月の兎も悴める 大久保白村 円虹 200201
悴んでばかりもをれず雲仰ぐ 松島不二夫 200202
悴んでをれずまだまだ頼られて 山田弘子 円虹 200203
幼子の悴みし手を温めやる 河野政恵 酸漿 200203
悴みしオルガンの音や海の町 若生まりあ 遠嶺 200203
悴みてこぼれ落ちたる心とも 塙告冬 ホトトギス 200204
悴むや言葉尽しても尽しても 西美知子 円虹 200204
悴みし十指に包む紙コップ 川野喜代子 雲の峰 200204
悴みてあと一軒の安堵かな 市川伊團次 六花 200205
万の雁落ちつぎ山河憔悴す ほんだゆき 馬醉木 200303
悴むを手風呂になだめ紙漉女 長沼冨久子 馬醉木 200303
囁きの耳朶に届かず悴めり 小林あけみ 200303
悴んで奉納試合豆剣士 安部しずほ 築港 200303
悴みし媼の手取る渡舟守 神宮きよい 馬醉木 200303
悴みて句帳の文字の乱れ勝ち 二村蘭秋 雨月 200303
悴みて待つ最終のローカル線 森脇恵香 雲の峰 200303
旅信受く字の悴みや能登はさぞ 吉村春風子 遠嶺 200303
悴みをほぐし波たつ濠を見る 二村蘭秋 雨月 200303
病名を医師に告げられ悴めり 久保田妙 百鳥 200303
吊革で悴みし指ストレッチ 赤座典子 あを 200303
悴みし喜寿の十指をなだめけり 林和子 200305
悴みし手の経穴に試し灸 谷泰子 ぐろっけ 200306
かじか聴く会へ河鹿の鳴きくれし 坂ようこ 200309
悴みて白潮論を読みはじむ 伊藤白潮 200401
悴みて心の裡を覗かるる 白岩三郎 馬醉木 200402
けふはこれこれしかじかとメモ懐炉貼る 浜明史 風土 200402
悴みて抹香こぼす留め焼香 品川鈴子 ぐろっけ 200403
悴みし指紋老とどめ操縦桿 品川鈴子 ぐろっけ 200403
悴みて観る一竹の辻ヶ花 矢野節子 草の花 200403
悴みて祈願の絵馬を落しけり 井上道子 百鳥 200404
悴みて釣りの借り舟戻し置く 蓮尾あきら 風土 200404
暁の武甲屹立かじかめり 前田陶代子 200404
パンクせし自転車曳きて悴めり 市川十二代 ぐろっけ 200404
悴みし手を吹き最終走者待つ 原田伸夫 雲の峰 200404
悴みて言はねばならぬことを言ふ 岩崎慶子 200405
かじかみし手をあたためて孫を抱く 栢森定男 風よ 200407
すれ違ふたびに合掌悴みて 品川鈴子 ぐろっけ 200412
川を見る君の唇悴めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200501
悴みて聞く消息を諾へる 稲畑汀子 ホトトギス 200501
擦り傷の膝のイエスも悴める 品川鈴子 六香 200501
風強き日の着陸に悴みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200501
スケジュール通りにいかず悴める 稲畑汀子 ホトトギス 200501
日を返す岩に小用悴めり 相馬計太 帆船 200502
悴みし指なだめつつ辞書を繰る 赤座典子 あを 200502
悴みの風態のまま留守まもる 宇都宮滴水 京鹿子 200503
悴みて丁稚奉公せし頃も 武内沢仙 遠嶺 200503
悴む→ 2      

 

2021年1月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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