河 鹿 4    206句

河鹿なき交す銀河の一支流   高島茂   鯨座


作品
作者
掲載誌
掲載年月
河鹿笛せせらぎに歩を休め聞く 山形悦子 万象 200810
自分史に革命はなし河鹿鳴く 松田都青 京鹿子 200810
卒寿まですこしと言はれ遠河鹿 狭川青史 馬醉木 200811
牛若の修行せし谷河鹿鳴く 伊藤靖彦 200811
語るとは懐しむこと河鹿宿 藤浦昭代 ホトトギス 200901
ひきとめて何告げむとす河鹿笛 吉野さと 酸漿 200907
沢音の聞ゆる中や鳴く河鹿 梅田秀子 酸漿 200908
廊下また一段下る河鹿宿 中村房子 馬醉木 200908
民宿の固き枕や遠河鹿 塩路五郎 200908
亡夫の忌に瀬音まぎれの初河鹿 名取袿子 200908
河鹿笛牛馬を呑みし谿覗く 山路紀子 風土 200908
亡夫の忌に瀬音まぎれの初河鹿 名取袿子 200908
河鹿鳴く宿の露天湯独占す 塩路五郎 200908
河鹿聞く小滝にしばしたたずめり 池田いつ子 酸漿 200908
河鹿聴く身は欄干の宙にあり 小澤克己 遠嶺 200908
山深し宿鳴きかはす夕河鹿 野田しげこ 200908
足湯して聞く清流の河鹿かな 川上成弥 遠嶺 200909
川風のすでに暮れをり河鹿笛 西村博子 馬醉木 200909
瀬の音に紛る河鹿の笛清し 大野三智子 200909
赦面地の村史を矜持河鹿鳴く 久保田雪枝 雨月 200909
河鹿鳴き止みて話の戻りたり 阪上多恵子 雨月 200909
河鹿笛風に流れて袋谷 福田慧香 200909
磐石の苔生す劫や河鹿笛 雨村敏子 200909
二日月の鋭き闇を河鹿笛 池端英子 ろんど 200909
招かれし久の坊村夕河鹿 岸本久栄 雨月 200910
川上に背なをあづけて夕河鹿 安斎久英 末黒野 200911
河鹿鳴く九重の里の湯の煙 岡円誠吾 200911
河鹿鳴く峡に住み居て世に疎き 藤村達江 春燈 200911
水音のあれば河鹿の瀬と思ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201006
河鹿鳴く間仕切はづし雑魚寝かな 秋千晴 201007
夕風や瀬音に和して遠河鹿 藤谷紫映 馬醉木 201008
仮の世へわたる継橋夕河鹿 コ田千鶴子 馬醉木 201008
雨戸繰るや瀬音まじりに初河鹿 名取袿子 201008
甲斐駒に夕日は入りぬ河鹿笛 田中藤穂 あを 201009
旅の夜の瀬音にまじる河鹿笛 片野美代子 酸漿 201009
河鹿なくテラスの木椅子谿に向け 和田一 雨月 201009
湯の里の瀬音をしのぐ河鹿笛 篠田純子 あを 201009
考への古びてきたり河鹿川 浜口高子 火星 201009
渡るたび橋細くなり河鹿笛 平居澪子 六花 201009
ころがつて来る声涼し河鹿沢 酒本八重 201009
謂ふならば素描の韻き夜の河鹿 永峰久比古 馬醉木 201009
峡住みの自足語れり夕河鹿 佐藤いね子 馬醉木 201010
夕河鹿三連竈湯気立てて 中条さゆり 201010
河鹿鳴き貴船祭の賑はへる 小林成子 201010
河鹿宿歌人晶子の色紙寂び 本多ちづ子 馬醉木 201010
湯の町にN社保養所河鹿鳴く 瀬島洒望 やぶれ傘 201010
せせらぎにひかり河鹿の背にひかり 大崎紀夫 やぶれ傘 201011
河鹿鳴く峡に錆びつく孤独かな 岸田爾子 201011
歩を返す牛尾杣道夕河鹿 杉本綾 201011
ありつたけの沢風入るる河鹿宿 久保久子 春燈 201011
妻恋ひて越ゆる山河鹿月夜 藤岡紫水 京鹿子 201101
初河鹿峯とつぷりと暮れてをり 大橋伊佐子 末黒野 201104
河鹿鳴く一乗谷に湯殿跡 鈴木照子 201107
河鹿鳴くなぜか親なき子のやうに 浜福惠 風土 201107
夕河鹿石の色して石の上 浅沼久男 201108
夜半さめてささやくごとき河鹿聴く 名取袿子 201108
暮るるにはまだ間のありて河鹿笛 松田明子 201109
渓流の音とひびかひ河鹿笛 堺昌子 末黒野 201110
しばらくは走り雨あり河鹿鳴く 石脇みはる 201110
ふるさとに遊子とし聞く河鹿かな 堀内五齢 春燈 201110
清滝の夜気ふるはせて河鹿鳴く 丹生をだまき 京鹿子 201111
仮の世の仮の傘さし河鹿聞く 岩岡中正 ホトトギス 201111
夕河鹿ことなき郷に安堵かな 篠原幸子 春燈 201112
大原女に扮してその気河鹿磴 鈴木照子 201207
渓流の闇を震はす河鹿笛 五十畑悦雄 201207
村つなぐ一本道や河鹿笛 黒滝志麻子 末黒野 201208
小雨降り出づるせせらぎ遠河鹿 杉本綾 201208
端然と化石の生家河鹿鳴く 東良子 201209
和紙の里闇の深きに河鹿鳴く 小渕二美江 春燈 201209
風音に瀬音にまぎる河鹿笛 松田明子 201209
二人でて一人湯にをり夕河鹿 北崎展江 くりから 201209
みどりごの寝息河鹿の鳴く夜かな 高野春子 京鹿子 201209
釣宿の早寝の耳に河鹿笛 佐藤喜仙 かさね 201210
河鹿鳴くホテルの裏のマンホール 大湾宗弘 万象 201210
宿の灯の瀬川にこぼれ河鹿笛 大橋伊佐子 末黒野 201210
樹々覆ふ渓の暗さや昼河鹿 大橋伊佐子 末黒野 201210
夕河鹿舟清流を遡る 前川美智子 末黒野 201211
河鹿笛波立つ程の流れなし 久保東海司 201211
せせらぎに交じる河鹿の高音かな 近昌夫 春燈 201212
河鹿鳴くなきやみてまたきょきょきょきょきょ 篠田純子 あを 201306
コロラトゥーラソプラノ競ふ河鹿かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
追ひついて又奥の呼ぶ河鹿かな 吉田克美 ろんど 201310
語り部の老女母似よ遠河鹿 松本恒子 ぐろっけ 201311
清澄の水音辿る河鹿宿 吉田克美 ろんど 201311
夕河鹿壷中の天の閑けさよ 犬塚李里子 201311
夕河鹿愛の賛歌のその積り 鷺山珀眉 京鹿子 201401
その声の河鹿と気づくまでのこと 稲畑汀子 ホトトギス 201406
明日は発つつもりの宿や河鹿笛 井上石動 あを 201406
河鹿聴く神も渡りしせせらぎに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
姿無く河鹿は頻り永観寺 篠田純子 あを 201406
河鹿鳴く川のほとりに耳澄まし 佐々木和子 璦別冊 201408
もてなしを胸にたたみて河鹿笛 川鍋絹子 馬醉木 201408
河鹿鳴く谷風加速してゆけり 種田果歩 201409
暮色濃き川瀬震はす河鹿笛 笹井康夫 201410
聞く音に仕分く夜分の河鹿笛 柳本渓光 ろんど 201410
竹林のたゆたふ渓や河鹿笛 吉田きみえ 末黒野 201412
河鹿鳴く夕餉仕度の峡の宿 遠藤清子 末黒野 201412
まどろみの指のさめゐる河鹿笛 鈴鹿けい子 京鹿子 201501
旅に出て瀬音の闇に河鹿鳴く 鶴濱節子 船団 201502
河鹿笛応へる音色ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
庭下駄の散らばつてをり河鹿鳴く 竹内悦子 201508
川隔つ檜仙杉山夕河鹿 大上充子 馬醉木 201509
対岸の湯宿の灯り河鹿笛 小松誠一 201509
河鹿鳴く峡の空間ひとり占め 内海良太 万象 201510
河鹿鳴く峠の悲話を聞きをれば 佐藤貞子 雨月 201510
渓流にはさむ休止符河鹿笛 藤沢秀永 201511
丹波路の河鹿に山気解けゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
平穏の明日は知らず遠河鹿 錫木妙子 馬醉木 201608
わが耳のまだ衰へず夕河鹿 山田六甲 六花 201608
鶏に河鹿の風の吹いてをり 山田六甲 六花 201608
河鹿笛眠るかたちの定まりぬ 高野春子 京鹿子 201608
田の神へ夕づつ招く河鹿笛 柴田近江 201608
河鹿笛室生の里の橋を越え 長谷川祥子 馬醉木 201609
み吉野の水と奏づる初河鹿 窪田粧子 馬醉木 201609
遠河鹿造り酒屋の水甘き 黒滝志麻子 末黒野 201609
寝つかれぬ大き枕や河鹿笛 岸洋子 201609
早発ちの旅の朝餉や河鹿鳴く 野畑さゆり 201609
瀬音聞き宿の徒然河鹿笛 川崎良平 雨月 201609
遠河鹿一輌電車過ぎしより 上野紫泉 京鹿子 201609
動かざる夜の雲あり遠河鹿 吉田順子 201609
水音に和して河鹿の声美しき 住田千代子 六花 201609
瀬の音の中聴きすます河鹿笛 久保東海司 201610
河鹿鳴く時空湛へて野に放つ 岡山敦子 京鹿子 201610
峡泊り山気深むる遠河鹿 森清堯 末黒野 201611
湯の宿や瀬音に混る夕河鹿 池谷鹿次 末黒野 201704
河鹿笛棘あるものも抜ける如 熊川暁子 201706
せせらぎのフーガ河鹿のアルペジオ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
余生かな昼の河鹿に耳委ね 岡崎伸 201707
河鹿笛きつと美人に違ひなし 熊川暁子 201708
床の宴河鹿ほうたる初鰹 小張昭一 春燈 201708
河鹿笛出小屋へ通ふ板の橋 大村峰子 万象 201709
紙干場高きに朽ちて夕河鹿 南うみを 風土 201709
ふるさとの夕暮あをし河鹿笛 杉田智榮子 馬醉木 201709
ふるさとの夕暮あをし河鹿笛 杉田智榮子 馬醉木 201709
釘一本使はぬ木橋河鹿の瀬 小川玉泉 末黒野 201709
河鹿笛にはかに高し沿うて行く 大沢美智子 201710
森番に声かけてゆく河鹿笛 木村みどり 春燈 201709
せせらぎの闇の深さや河鹿笛 中村千久 万象 201710
月を呑む雲の迅さや河鹿笛 森清信子 末黒野 201710
渓谷を眼下のホテル夕河鹿 菅野日出子 末黒野 201710
釘一本使はぬ木橋河鹿の瀬 小川玉泉 末黒野 201710
夜の帳降りて賑はふ河鹿の瀬 小川玉泉 末黒野 201710
河鹿川守りて町の古りにけり 湖東紀子 ホトトギス 201711
湯の宿のソファーに沈み夕河鹿 森清堯 末黒野 201711
水色に昏れてゆくなり河鹿笛 饗庭悳子 末黒野 201711
湯の宿や瀬音に混じる夕河鹿 中野大樹 末黒野 201711
河鹿鳴く一級河川狭めつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
河鹿鳴く時旋律となる瀬音 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
配膳の指美しき河鹿宿 柴田佐知子 201807
河鹿笛にはかに高し沿うて行く 大沢美智子 旬日 201808
旅の夜のうたた寝に聴く河鹿笛 栗原公子 201808
ゆふぐれの静寂震はし河鹿鳴く 三輪温子 雨月 201809
渓谷に声をころがし河鹿かな 吉田順子 201809
河鹿鳴く山河落人悲話をもつ 深川淑枝 201809
遠河鹿尼の下山の赤き橋 田丸千種 ホトトギス 201810
禁制の女人へ届く河鹿笛 田丸千種 ホトトギス 201810
河鹿川竜を鎮めし昔あり 田丸千種 ホトトギス 201810
人去りてひときは高し河鹿笛 安斎久英 末黒野 201810
一人野を行けばせり出す河鹿笛 沼田巴字 京鹿子 201906
里人へいとま乞ふ間の夕河鹿 橋添やよひ 風土 201906
くちびるに指立て河鹿聴いてをり 南うみを 風土 201908
三合の地酒酌み合ふ河鹿宿 池野つむぎ 馬醉木 201909
ゆふ空のささなみのごと河鹿鳴く 岩崎俊 201909
履きしまま長靴洗ふ夕河鹿 杉田智榮子 馬醉木 201910
送り火やこころけけれと河鹿鳴き 木村嘉男 201910
木道のひしめく人や河鹿笛 小野弘正 末黒野 201910
ひらがなの封書河鹿の沙汰を待つ 菊池和子 京鹿子 201910
時すぎゆくけけれこころと河鹿なき 木村嘉男 201911
宿下駄のゆるき鼻緒や夕河鹿 石黒興平 末黒野 201911
河鹿笛消えて夜鳴きの岩ばかり 鳥羽夕摩 京鹿子 201912
一椀の茶粥や近く河鹿の瀬 石川桂郎 風土 202004
対岸に潤む湯の宿夕河鹿 佐俣まさを 京鹿子 202008
河鹿笛むねの芯まで蒼みゆく 安田優歌 京鹿子 202009
仮の世に絹のひびきや河鹿笛 安田優歌 京鹿子 202009
旅先の川に降り立ち河鹿聞く 志方章子 六花 202009
文豪もきつと聴かれし河鹿宿 宮内とし子 202010
岩湯して河鹿の声を独り占む 谷田明日香 風土 202011
なほざりにせしこと多し夕河鹿 森清信子 末黒野 202011
河鹿鳴く瀬音奏でるレクイエム 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106
山風の鎮もる夕べ河鹿笛 久保久子 春燈 202108
旅情かな遠く間遠く河鹿笛 鷺山珀眉 京鹿子 202109
河鹿笛橡の巨木の立つあたり 小原芙美子 風土 202110
河鹿鳴く恋を哀しとおもふとき 中里よし子 春燈 202110
河鹿笛一本橋がせせらぎに 北村操 202110
せせらぎを対旋律に河鹿鳴く 稲畑廣太郎 ホトトギス 202206
補聴器に憂き音を拾ふ河鹿笛 鈴鹿呂仁 京鹿子 202207
熟田津を戻るや伊勢の河鹿笛 山田六甲 六花 202207
誰そかれや五十鈴の川の河鹿笛 山田六甲 六花 202207
やんごとなき闇この奥に河鹿笛 山田六甲 六花 202207
水切りの石さかりゆく夕河鹿 山田六甲 六花 202207
内宮ノ闇へ祝詞ヲ河鹿笛 山田六甲 六花 202207
河鹿笛天鈿女命かな 山田六甲 六花 202207
古き文時まきもどり河鹿笛 秋川泉 あを 202208
河鹿笛薄暮よせくる摂津峡 安田優歌 京鹿子 202208
箸とめて馳走となさむ河鹿笛 南うみを 風土 202209
露天湯の山の暮色や遠河鹿 岡野里子 末黒野 202209
夕河鹿裸電球灯るころ 笹村政子 六花 202209
河鹿鳴く川湯の宿の枕上み 笹村政子 六花 202209
河鹿笛ともに聞きたる夫は亡し 志方章子 六花 202209
川の面に揺るる篝火遠河鹿 森清堯 末黒野 202210
心地よき川風に乗り夕河鹿 森清信子 末黒野 202210
想ひ川瀬にひと声の初河鹿 谷口一献 六花 202210
吊橋の影を濃くして夕河鹿 森清堯 末黒野 202211
船頭の棹ゆつくりと河鹿笛 伊藤美伽 末黒野 202304
隠し湯に河鹿笛きく晴夜かな 深川淑枝 202304
河鹿 →1

 

2023年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。