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黴の香や探しあてたる去來抄   朴魯植   ホトトギス

作品
作者
掲載誌
掲載年月
遠き日や醤油の黴と婆さまと 塩路五郎 201109
黴の香の皮パスポート小抽出 塩路五郎 201109
黴くさき地下の茶房にミントティー 山路紀子 風土 201109
形見分けの黴の仏文コンサイス 七田文子 201109
微生物研究室の黴育つ 中沢三省 風土 201110
大梁の黴は宝と杜氏かな 能美昌二郎 201110
殺気充つ血染め鎧黴厚し 石田野武男 万象 201110
黴の書に満更ならぬわが一句 後藤比奈夫 ホトトギス 201111
経堂に立ち込む黴の香に拝す  黒川悦子 ホトトギス 201112
会場の黴を払はん開け放つ 稲畑汀子 ホトトギス 201112
円本の黴の匂ひや父の留守 吉田葎 201207
黴の香や染みある母の英語辞書 宮田香 故郷 201207
空つぽな心に黴の浸食す 栗原公子 201208
黴の香や跳ぬる勢の寺宝絵馬 高橋和女 春燈 201208
寝返りの蒲団に黴の重さかな 大湾宗弘 万象 201208
客座布団積んであるから黴臭い だいじみどり 201209
全集に黴生きてゐるニーチェかな 亀井紀子 201209
シヤーレに黴を殖やしてをりにけり 岩下芳子 201209
結納昆布黴かと捨つる勤め妻 品川鈴子 ぐろっけ 201209
黴退治薬あれこれ化学式 古林田鶴子 ぐろっけ 201209
黴の香に馴れねばならぬ新宿舎 稲岡長 ホトトギス 201210
読まれずに黴となりたる書のひとつ 井上浩一郎 ホトトギス 201210
洋館の錆びし鍵穴黴の門 橋本くに彦 ホトトギス 201210
亡き夫の往診鞄黴拭ふ 中島久子 馬醉木 201210
黴の世の生ある限り生を詠む 荒井千佐代 201210
忘られしトマト吾を呼ぶ黴まとひ 村田とくみ ぐろっけ 201210
黴の香や父の勲章捨て切れず 武田紀久 やぶれ傘 201210
見付け出す書簡の黴もなつかしく 小川凉 201211
拭く黴に父の残り香皮草履 尼嵜太一郎 ぐろっけ 201303
百八の音をひきずり餅に黴 中島讃良 ろんど 201305
黴の香の中に整理のはかどらず 稲畑汀子 ホトトギス 201305
黴といふ捨てる言訳ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201305
遺書はみな天を回らす文字の黴 和田照海 京鹿子 201310
季語探す大歳時記の黴臭し 田村嘉章 ぐろっけ 201310
毎日が日曜靴の黴を拭く 瀧春一 花石榴 201312
猫も亦黴ざらんとて身を拭ける 瀧春一 花石榴 201312
黴ぬぐふ指先やはらかくなりぬ 織田高暢 201402
黴拭ふ頑固な黴の字を思ひ 長節子 201404
運勢やけさも吉なる黴の日々 定梶じょう あを 201408
黴の香やメートル螺子とインチ螺子 篠田純子 あを 201408
運勢やけさも吉なる黴の日々 定梶じょう あを 201408
黴の香やメートル螺子とインチ螺子 篠田純子 あを 201408
棄教者や聖書の黴にたじろぎぬ 松本文一郎 六花 201409
黴の宿赤青黒黄桃もあり 松本文一郎 六花 201409
浮御堂黴の匂ひの灯かな 藤生不二男 六花 201409
靴沈む書斎に黴のほの香り 山田六甲 六花 201409
遺されし財布に小銭黴てあり 小林愛子 万象 201409
傍線に青春の黴利一の書 小河原清江 201409
黴生えし人間となりゐたりしか 中杉隆世 ホトトギス 201410
青春の詰るおもひの黴日記 下平しづ子 雨月 201410
鉾出でし蔵涼やかに黴匂ふ 南うみを 風土 201410
拭くほどに木目朱のさす黴の家 吉武千束 太古のこゑ 201411
黴に棲む者ら健やか吉田寮 石井耿太 火星 201411
黴の噴く旧家にひとり住まひかな だいじみどり 201411
やがて黴びやがて朽ちゆくわが句かな 岩岡中正 ホトトギス 201412
かく生きて身ほとり黴のものふやす 岩岡中正 ホトトギス 201412
とはいへどなほ黴びさせてならぬもの 岩岡中正 ホトトギス 201412
黴びさせてならぬ亡父の硯箱 上林純子 ホトトギス 201412
黴の宿明治の温みありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
三十五銭の俳誌「夏草」黴匂ふ 柴田近江 201508
浴室の目地の黴とる一日かな 仁平則子 201508
青春の疵にはふれず黴の花 黒澤登美枝 201508
黴の香の蔵の閂かたきかな 鈴木セツ 201508
クラインの壺にも黴がきてをりぬ 高橋将夫 201508
旅に出てこころの黴を晒しをり 岩月優美子 201509
黴の書に惹かれて一日神保町 及川照子 末黒野 201509
大正の漢和辞典の黴匂ふ 大橋晄 雨月 201509
黴拭ふ夫の遺愛の帽その他 大村仍子 雨月 201509
懐古沸々黴拭ふ手の滞る 大村仍子 雨月 201509
幹はしる新しいカビ古い黴 松村光典 やぶれ傘 201510
酒蔵の天窓高し黴の梁 田中たつを 雨月 201510
青春を賭けたる黴の一書かな 岩岡中正 ホトトギス 201512
発したる一語たちまち黴びにけり 岩岡中正 ホトトギス 201512
黴の香や原著に悟る進化論 近藤真啓 春燈 201512
黴匂ふ初任給料明細書 田岡千章 201512
掛取りの策練りて母黴びずをり 升田ヤス子 玫瑰 201604
乱音の喧騒渋谷黴の路地 井上石動 あを 201607
黴拭ふ捨つると決めし父の椅子 小張志げ 春燈 201608
トッカータとフーガに蒼む黴の花 荒井千佐代 201608
ペニシリン黴の御蔭と言ふことも 加藤みき 201608
黴の香の身ぬちに風を入れにけり 田嶋洋子 春燈 201609
忌に集ふ仏間少々黴臭く 渡辺やや 風土 201609
老いてゆく嗅覚もあり黴の花 湯橋喜美 201609
久々の漱石全集黴微か 大橋晄 雨月 201609
黴の書の九十銭といふ定価 斉藤マキ子 末黒野 201610
革張りの本の指あと黴びにけり 安藤久美子 やぶれ傘 201610
怠惰な日早や食パンに黴けむり 小林愛子 万象 201610
黴なんぞ一吹きで済む世代なり 原田達夫 201610
虚と実のあはひに咲いて黴の華 千田敬 201611
青黴におんなの隙を見透かされ 直江裕子 京鹿子 201611
家系図の五代目あたり黴匂ふ 直江裕子 京鹿子 201611
道成寺舞ひし扇に薄き黴 平林ひろこ 船団 201612
黴の書の侵食寝間におよびけり 井原美鳥 201708
ワイン王の館かすかに黴匂ふ 大山春江 万象 201709
黴の書の漢字カタカナ読み惑ひ 安部和子 雨月 201709
黴と紙魚色の変はりし大福帳 山本無蓋 201710
カナダ製応接椅子の脚の黴 山口ひろよ 201710
ぬぐはれて黴より出でし四神の竜 藤田美耶子 201710
天平の拈華微笑に黴の花 平野多聞 201711
幾代の土蔵の中の麹黴 笠井敦子 201711
学位記も修了証も黴びにけり 三村純也 ホトトギス 201711
父よりの最後の文や黴させじ 笹倉さえみ 雨月 201711
見えぬ黴坐してほとりへ漂はす 石川桂郎 風土 201803
薄紙に臍の緒なども黴をらむ 竹内弘子 あを 201805
黴の宿子規生れて百五十年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
黴の香を放ちSP音放ち 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
留守多き女主や黴の宿 稲畑汀子 ホトトギス 201806
      黴→4

 

2021年6月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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