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象の尻たちまち黴てしまひけり   中村正幸

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夫の遺書謹しみ読めば黴匂ふ 綿谷美那 雨月 200408
抽出しに黴の匂へる設計図 竪ヤエ子 雲の峰 200408
重ね置く絵本も黴をまぬがれず 神山ゆき子 200408
石室の飛鳥美人に黴迫る 塩路五郎 200409
置かれたる仏頭の廊黴くさし 大島翠木 200409
黴にほふシエイクスピアの書斎かな 佐野つたえ 風土 200409
職退きて黴の鞄の置きどころ 浅田浦蛙 対岸 200409
仏壇に埃も黴も寄せつけず 下平しづ子 雨月 200409
プーさんも星の王子も黴の書庫 長山あや ホトトギス 200410
黴の靴終身雇用の世は過ぎて 吉田かずや 春燈 200410
キトラ古墳一画壁画に黴きざし 多田生湖 春燈 200411
味噌樽の黴のしらじら人消ゆる 十川たかし 200411
山荘の黴の月日のはじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200506
雨を聴くわれ一片の黴の花 鈴木節子 200508
手品師の鳩出す手元黴臭き 松本恒子 ぐろっけ 200508
ないものをねだりて靴に黴育つ 風間史子 200509
黴の香に物置の物みな出して 吉村りつ子 築港 200509
黴拭いて人生いろいろとも言へず 金田きみ子 200509
叱られし記憶はるかや黴の蔵 吉田裕志 200510
爪弾くやギターの弦の黴くさし 飛鳥由紀 200510
失せ物はさておき黴の古写真 永塚尚代 ぐろっけ 200510
仕舞ひ湯の音の微かに黴の宿 岩淵彰 遠嶺 200510
船主の骨董なべて黴寄せず 西村しげ子 雨月 200510
黴匂ひ出すゆつくりととめどなく 野路斉子 200510
味噌壷を開ければ見事黴の花 山本千里 200511
啄木のインクの染みある黴机 渡邉民子 200511
浄土より使者ありさうな黴の宿 林友次郎 遠嶺 200511
怠りの絵筆に梅雨の黴固く 水野範子 ぐろっけ 200511
黴の香の奈落に江戸の暗さかな 石川笙児 200608
黴くさき朝一番の水を捨つ 伊藤白潮 200608
キリストに末裔ありや黴の史書 片山タケ子 200608
黴生ゆる父の歯ブラシ捨てず待つ 森田子月 ぐろっけ 200608
黴の香と木の香ほのかに夫の書架 白井友梨 馬醉木 200609
黴臭きアルバムひらく故郷かな 山口耕堂 万象 200609
停船の黴殖やしゐる密輸かな 河口仁志 200609
黴の香や奥に主の鼻眼鏡 菊地光子 200609
もう履かぬ履けぬダンスの靴の黴 安武晨子 200609
パソコンの机に載せて黴の辞書 桑島啓司 200610
黴生えるまで眠らせてチーズ小屋 ホボーム希子 200611
海霧幾重母の佃煮黴て着く 澤田緑生 馬醉木 200701
木偶の娘のざんばら髪や黴寄せず 山元志津香 八千草 200701
俺には俺の生存競争黴生える 網野月を 200704
流れくるシンセサイザー黴育つ 能村研三 200707
暗き堂に十二神将黴くさき 高田幸枝 200708
黴の香の燭絶やさずに穴稲荷 大信田梢月 万象 200708
ちちの署名ありて宝や黴の書も 林翔 200708
黴匂ふ蔵の奥より時計鳴る 高橋スミ子 万象 200709
龍之介全集殊に黴くさし 大橋晄 雨月 200709
如何にせん父の残せし黴の書を 出口賀律子 雨月 200709
栄養学黴の話に及びけり 服部早苗 200710
亡き母の下駄使はねど黴臭し 宝玉トシ子 200710
冷蔵庫に黴の嘲る芋羊羹 北村香朗 京鹿子 200710
亡き妻に叱られてをり厨黴 北村香朗 京鹿子 200710
黴の香に南朝玉座ありにけり 内山芳子 雨月 200710
残すべき父の書黴を拭ひては 大橋晄 雨月 200711
黴の書の桜坡子選の朱筆かな 山田夏子 雨月 200711
黴拭う疾うに履けないハイヒール 真木早苗 八千草 200712
黴匂ふことにも馴れて山の荘 稲畑汀子 ホトトギス 200806
わが青の時代いつまで黴の花 鷹羽狩行 200806
失せるときけがれり黴も思ひ出も 高崎武義 200806
玄武らの幻影抱き黴の宿 宮田香 200808
黴の花東京メトロ増殖中 小嶋洋子 200808
黴の階踏み外させる城の霊 品川鈴子 ぐろっけ 200808
申し分なくながらへて黴びにけり 芝尚子 あを 200808
黴生れし箱に昔のくらしぶり 青木ちづる 200809
黴の世にベルリオーズを聴きゐたり 水野恒彦 200809
原爆に星霜に堪へ黴の梁 築城百々平 馬醉木 200810
父の遺しし黴のシベリア俘囚の衣 柴崎甲武信 月日 200811
悲しさは勤めの鞄黴と化しぬ 瀧春一 深林 200901
黴の香に繙くヨハネ福音書 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
なほ残る黴の匂ひの生家蔵 伊藤憲子 200907
黴拭ひつつ子とうたふロシアの唄 伊藤白潮 200907
猫のみはかびるひまなし黴の家 森下賢一 春燈 200908
天窓に音し雨ふる黴の宿 八田木枯 晩紅 200908
黴の香の行間読めぬ日記かな 北尾章郎 200909
読みかけの本幾年の黴匂ふ 宮田香 200909
金丸座奈落の柱黴にほふ 奥野初枝 万象 200909
眠られぬ闇にさりさり黴殖ゆる 原田達夫 200909
心まで黴びさせまじく繙く書 出口賀律子 雨月 200909
庭箒握りて黴の香のほのか 伊藤敦子 末黒野 200910
黴の花此の方異端にはあらず 上山永晃 春燈 200910
離れにて込み入る話黴の宿 小松美保子 ぐろっけ 200910
戦前の祖父の行李や黴匂ふ 熊谷尚 200911
フェラガモのコンビの靴も黴湿り 鈴木てるみ ぐろっけ 200911
黴の香の畳ふはふは浮き沈み 上原重一 201008
漬梅に白き黴浮く訃の夜半 品川鈴子 ぐろっけ 201008
歳月の黴の香に立つ阿吽像 池元道雄 馬醉木 201009
黴臭ふ父の法學大全集 田中芳夫 201009
蔵跡や黴の匂ひを残したる 瀬川流一 六花 201009
郷土史の編纂黴の蔵巡り 北尾章郎 201010
黴の書に子曰く曰く 後藤比奈夫 ホトトギス 201010
黴の靴穿きてようやく退院す 鈴木てるみ ぐろっけ 201010
徐ろにマーラーを聴く黴の宿 水野恒彦 201011
黴の香やギロチンの刃を吊るす紐 大崎紀夫 やぶれ傘 201011
迂闊にも今更黴に笑はるる 北村香朗 京鹿子 201012
一病を得てふどし替ふ黴の中 伊藤白潮 201103
喪の旅の三日目となる黴の宿 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
吾のなぜ生きるか黴の書を売らむ 松岡三夫 201108
黴の香や薄れし父の蔵書印 中原敏雄 雨月 201108
黴の香を閉ざして木偶の衣装蔵 塩路隆子 201109
黴→ 3      

 

2021年6月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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