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黴の宿頭上に橋の音すなり    久米正雄

作品
作者
掲載誌
掲載年月
食べ惜しみしてゐて黴に捉はれし 稲畑汀子 ホトトギス 199806
吾が癌の黴の如しや熔岩の苔 三浦勲 199808
なつかしき室生の里の黴の宿 稲畑汀子 ホトトギス 199906
黴の香を纏ひてヨハネ第二章 稲畑廣太郎 ホトトギス 199906
キーム湖の全容指呼に黴の宿 稲畑廣太郎 ホトトギス 199906
青黴と赤黴と混ぜ怨み言 中原道夫 銀化 199907
剥製の鷲の眼光のみ黴びず 鷹羽狩行 199908
黴の家の三つの口の恙なし 田畑幸子 火星 199908
黴にほふ牛方宿や銭葵 柳沢杏 酸漿 199908
辞書の黴いくさ経てきしわが人生 浜芳女 海程 199908
黴美し思ひ直して反故開き 亀丸公俊 銀化 199908
ぬれ雑布今年も黴と戦ひぬ 桑原敏枝 いろり 199908
確かめたき句のあり黴の書を探す 田所節子 199909
一家族黴びて黙せり通夜一夜 福井久生 199909
錆も黴も一脈通ずとこしなへ 中原道夫 銀化 199909
さういへば家伝てふものすべて黴 後藤比奈夫 ホトトギス 199911
あまりにもやさしすぎたのパンに黴 小枝恵美子 ポケット 199911
黴寒し家に言はざる会話満ち 本橋怜加 冬牡丹 200003
黴の壁外人ヌードピンナップ 塩見恵介 虹の種 200005
文豪の黴びぬ一書を借り出せる 藤井晴子 200008
吝嗇に徹せる家訓黴寄せず 松崎鉄之介 200008
山頭火の鉈豆煙管黴の家 池内けい吾 春耕 200008
風入れて見えぬ目泣かす黴の書庫 木村風師 馬醉木 200009
黴の香もおろそかならず資料室 山田弘子 円虹 200009
黴つひに魔の桃色と変りたる 鶴目鯛遊子 六花 200009
金丸座奈落は黴の匂ひ満つ 永野秀峰 ぐろっけ 200009
壺の口すでにも黴の来てをりぬ 奥田節子 火星 200010
黴の香やあと一章のサスペンス 中原幸子 遠くの山 200010
黴の夜ひらがなばかりのファクスくる 鳴海清美 六花 200010
黴辞典ひきていちいち手を洗ふ 浮田胤子 ぐろっけ 200010
猫もろとも降りこめられる黴の宿 林唯夫 海程 200101
黴の香のほのとかぐはし子規の部屋 内田美紗 船団 200101
子規堂の黴の畳に正座して 稲畑汀子 ホトトギス 200105
こころざすところに黴の生えゐたる 篠原俊博 銀化 200105
山荘の黴に出て来し資料また 稲畑汀子 ホトトギス 200106
毎日の暮らしを黴にねらはれし 稲畑汀子 ホトトギス 200106
この街に吹く風少し黴くさき 森景ともね 船団 200107
黴もまた靉靆に棲む目の弱り 中原道夫 銀化 200107
母子手帳いつより黴に付したる 下村志津子 銀化 200108
ブランドに触手をのばす黴の花 渡辺知美 銀化 200108
いくさの日の食ふや食はずの黴日記 下平しづ子 雨月 200109
黴の家の寝巻・タオルの在り所 田所節子 200110
黴の家ハローキティの部屋がある ゆにえす 船団 200112
黴の夜の聖書の朱線ゆがみたり 斉藤由美子 ぐろっけ 200206
仁右衛門島三十九代黴寄せず 松崎鉄之介 200207
人間になま身その他黴の花 中原道夫 銀化 200207
黴の花開花こころ得帳持たず 中原道夫 銀化 200207
風呂敷に包まれ黴の香の資料 肥田美枝子 200208
黴あはし指痕勁き捨絵具 岡田貞峰 馬醉木 200208
物置より出でし飯盒黴煙 勝亦年男 200208
三畳の黴の下宿やヘッセ読む 鈴木喜久一 帆船 200208
青春の只中の黴諾へる 中原道夫 銀化 200208
生業に咲かす培地の黴の華 木本准南子 銀化 200208
拾ひ帰りバイロン詩集の黴拭ふ 林翔 200208
ポリープに花が咲いたよ黴の家 山田六甲 六花 200208
夫婦旅帰りて家に黴満つる 渡邉友七 あを 200208
うしろ向きに降りる階段黴の宿 河口仁志 200209
黴の香や本陣跡の太き梁 林和子 雲の峰 200209
新風を入れてことばの黴を消す 川名将義 銀化 200209
毘沙門の黴寄せつけぬまなこかな 遠藤若狭男 200210
天金の書にして黴をまぬがれず 遠藤若狭男 200210
剥製の熊の出迎へ黴の宿 岡崎和子 200210
千年の黴寄せつけず御成の間 井上芙美子 円虹 200210
霊殿といふ小暗さと黴の香と 橋本佐智 円虹 200210
黴の堂騙し絵の眼がついてくる 橋本佐智 円虹 200210
探し出す黴の納戸の同人誌 小田道知 円虹 200210
母と寝しこと黴の香でありしこと 宮地玲子 円虹 200210
黴くさきものこまごまと寺宝展 藤池芳子 200211
名刹に黴ひとつなき句碑除幕 稲畑廣太郎 ホトトギス 200306
気になりし黴がきつかけなりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200306
黴といふことに気のつくまでのこと 稲畑汀子 ホトトギス 200306
黴寄せぬ仰臥漫録てふ展示 稲畑汀子 ホトトギス 200306
黴びさせぬ仰臥漫録展示して 稲畑汀子 ホトトギス 200306
老眼か日本中が黴だらけ 竹貫示虹 京鹿子 200306
塾古りて三畳半の黴に噎す 鈴鹿仁 京鹿子 200307
黴の家横積みの書をだまし抜き 山田六甲 六花 200307
黴としか言ひやうのない水辺花 山田六甲 六花 200307
黴くさき女神微笑む複刻画 片山タケ子 200308
隣室は湯治の夫婦黴の宿 河村岳葉 築港 200308
黴の香の淀む民具の資料館 川瀬さとゑ 雲の峯 200308
後手に閉めて別れて黴臭し 篠田純子 あを 200308
顕微鏡の中均一の黴模様 泉田秋硯 200309
抽出しに黴の三冊母子手帳 塩路隆子 200309
手を出さば発火しさうな黴の華 河口仁志 200309
黴の書の奥付にある定価かな 内山照久 200309
狛犬の「あ」の口黴を吐きにけり 蓮井崇男 対岸 200309
巻物へ黴のにほひも巻き込めり 太田寛郎 200310
拭うても机上の一書黴くさし 小川今日哉 200310
黴の書も父の遺してくれしもの 宮本俊子 雨月 200310
嫁ぎ来し日より目覚し黴もせず 乃美隆子 200310
骨董屋黴の匂ひを売りにけり 延川五十昭 六花 200310
もの黴びる日々荏苒とすごしをり 伊藤白潮 200310
黴の書に花袋の「蒲団」混じりをり 内藤三男 ぐろっけ 200310
黴の鞄かびを拭ひて捨てにけり 板橋智恵子 百鳥 200311
父の書を開き黴の香立ち上る 福島松子 ぐろっけ 200311
黴退治したるつもりの二三日 稲畑汀子 ホトトギス 200406
執拗な黴の仕業と思はるる 稲畑汀子 ホトトギス 200406
祝鯛下げて友来る黴の庵 山田六甲 六花 200407
遠き日の黴の詩集にラブレター 北尾章郎 200407
継ぐ者の無き床柱黴にけり 品川鈴子 ぐろっけ 200407
黴 →2      

 

2021年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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