十 薬 4      34句

十薬の花より去らぬ日ざしかな    岩田由美

作品
作者
掲載誌
掲載年月
十薬の売家の札の埋りけり 白水良子 201609
十薬を活けて禅刹しづもれる 西村しげ子 雨月 201609
野放しの地に十薬の花万と 久保晴子 雨月 201609
十薬の白き岸へと石の橋 田中たつを 雨月 201609
十薬の生真面目すぎし寡黙なり 寺田すず江 201609
十薬は残して終はる庭手入 三輪敏夫 201610
十薬の抜きしが生える強さかな 本郷美代子 やぶれ傘 201610
薬師門十薬の花盛りなり 杉本薬王子 風土 201611
まなかいに十薬ありて道半ば 遠野あきこ 船団 201612
十薬を干して病魔を寄せつけず 原友子 201612
十薬の白より園の明け初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
溜め息のあと深呼吸花十薬 篠田純子 あを 201707
十薬の径を橋へと川の音 田中臥石 末黒野 201708
十薬の白厚くなる降りはじめ 高橋道子 201708
左岸一面十薬の花の白 藤井美晴 やぶれ傘 201708
十薬や鎮守の杜の長き磴 渡邊孝彦 やぶれ傘 201708
十薬の海の中なる異人館 頓所友枝 201709
住みつきて十薬もまた庭の花 黒滝志麻子 末黒野 201709
十薬の妖しき光夜の散歩 森清信子 末黒野 201709
十薬はみな天を恋ひ森の闇 堀江久子 末黒野 201709
十薬や詰め込みすぎし口上書 数長藤代 201709
十薬や言葉を痛く聞いてをり 坂場章子 201709
十薬や良薬の香を放ちをり 大橋晄 雨月 201709
十薬の香を八方に草刈機 大石よし子 雨月 201709
十薬や薬に頼る功と罪 久保田雪枝 雨月 201709
刈り残る十薬闇に白を挙げ 久保田雪枝 雨月 201709
十薬の根に生薬の底力 蒲田雅子 雨月 201709
八重咲の十薬もらひ来て植ゑる 泉一九 やぶれ傘 201709
裏庭の十薬の花一面に 伊藤更正 やぶれ傘 201709
十薬や壁に広がる雨のあと 高倉和子 201709
十薬の十字の花の香りけり 成田なな女 春燈 201710
十薬の白く匂へる小暗がり 正谷民夫 末黒野 201710
十薬てふよき名の花やはびこれる 磯部愛子 末黒野 201710
十薬の思ひのままや風致地区 加藤静江 末黒野 201711
十薬を引きけり長き根の力 外山生子 末黒野 201711
雨後の庭十薬の香のうつうつと 田代民子 201712
雨の日は家ぢゆう匂ふ干十薬 曽根富久恵 201712
ご聖体受くる十薬匂ふ手に 林徹也 201802
十薬のかすかに匂ふ仕舞風呂 林徹也 201802
十薬の香に名園の目覚めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
十薬の蕾みやつんと口細め 杉本薬王子 風土 201808
十薬の列なす白さ旧街道 安立公彦 春燈 201808
眠りたらぬ日十薬を刈り進む 能村研三 201808
十薬の領域確と真夜の庭 高木嘉久 201808
茅屋の闇に十薬浮いて浮いて 阿部眞佐朗 201808
十薬の鏤めらるる雨あがり 仲里貞義 201808
十薬や老いて用なきくすり指 藤岡紫水 京鹿子 201808
下草を引けば十薬香を放ち 堀江久子 末黒野 201808
一隅の十薬を道しるべとす 細川洋子 201809
さりげなく十薬活けて比丘尼寺 竹内喜代子 雨月 201809
十薬の花もて兵の墓囲む 堀井英子 雨月 201809
十薬や路地に疏水の水の音 蒲田雅子 雨月 201809
奔放に血縁ひろぐ花十薬 山西村滋子 京鹿子 201809
母の居ぬ庭一面の十薬や 遠山悟史 京鹿子 201809
十薬のひそかに咲きて急ぎをり 齋藤晴夫 春燈 201809
真白に微笑むや十薬の花 長崎桂子 あを 201808
十薬は物陰なれど真盛り 長崎桂子 あを 201808
十薬を活くる水盤絵画展 小倉純 末黒野 201810
十薬の押し寄せてくる日暮かな 岩岡中正 ホトトギス 201811
一輪の十薬を挿し足りてゐし 近藤紀子 201811
十薬に埋もれて一人暮しかな 田代貞香 201812
十薬の葉薬という母は今はなし 江口九星 201902
十薬や心の隙は埋められず コ田千鶴子 馬醉木 201908
十薬やここから上る芋峠 市村健夫 馬醉木 201908
十薬や茶筅供養の女文字 諸岡孝子 春燈 201908
十薬の明るき朝よ昨夜の雨 仲里貞義 201908
十薬の花庭中を占領す 寺田すず江 201909
犬走る十薬のにほひけちらして 工藤はる子 201909
十薬の百の明かりや御堂裏 市川夏子 末黒野 201909
十薬の咲きたいだけの白さかな 沼田桂子 春燈 201909
つつがなき日々十薬の花の白 瀬戸峰子 春燈 201909
外気舎を覗く十薬踏みあらし 南うみを 風土 201909
かたまれるうれしさ人も十薬も 雨宮桂子 風土 201909
十薬の香や外気舎は蔀揚ぐ 高橋まき子 風土 201909
十薬や全景に雨降りだせり 井上菜摘子 京鹿子 201909
十薬の陣の勝鬨生家かな 柏原篤子 京鹿子 201909
十薬と蛇口残っている空地 火箱ひろ 201910
十薬や廃屋の窓半開き 萩原渓人 やぶれ傘 201911
根つこから抜く十薬や匂ひ充つ 森美佐子 やぶれ傘 201911
十薬に日陰の匂ひありにけり 湖東紀子 ホトトギス 201911
独り居や十薬の香を友として 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
初孫の為に十薬咲かせもし 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
十薬を遠ざけてゐる二人の夜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
十薬の十字に祈る心ふと 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
十薬や人皆十字架を背負ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
十薬の香を引き摺つてゐる帰宅 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
群れ咲きて十薬の自負暮れ残る 卜部黎子 春燈 202009
十薬の花の匂ひの雨となる 山浦紀子 春燈 202009
十薬の蔓延り谷戸のパーキング 大川暉美 末黒野 202009
十薬のにほひを指に持ち帰る 大川ゆかり 202009
十薬の花のびつしり濡れ山河 小林輝子 風土 202009
塀ぎはを灯す十薬昏れんとす 林いづみ 風土 202009
十薬の匂ひ摘みたる雨上がり 原博美 風土 202009
十薬の踏み石縫うて咲き揃ふ 中内敏夫 202009
十薬の香りにむせつ谷詰める 平居澪子 六花 202009
十薬や憂さを解きたる白き闇 長尾タイ 末黒野 202009
幾千の祈りか雨の十薬野 松井季湖 202009
十薬の庭の一角占めてなほ 望月郁江 春燈 202009
十薬の花は純白傷いやす 長崎桂子 あを 202010
木戸押せば十薬の白こぞりけり 土井ゆう子 風土 202010
十薬の白を重ねてゐる昏さ 今橋眞理子 ホトトギス 202010
どこからかハミング十薬残す庭 小川弘子 202011
十薬のひそかにふゆる売屋敷 西本花音 春燈 202011
十薬の花びつしりと庭の黙 菊池和子 京鹿子 202011
武道館裏に十薬直立す 窪みち子 202101
十薬の花を可憐と見る時も 稲畑汀子 ホトトギス 202106
十薬に朽ちゆく庭の歴史かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106
十薬に庭園の香を明け渡す 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106
十薬の殖ゆ戦陣を組むごとく 中根美保 風土 202107
ひややかに十薬の花の純白 半谷洋子 202108
清貧な暮し十薬著りとす 小泉三枝 春燈 202108
暮れなづむ雨の十薬明りかな 里村梨邨 202109
十薬に明るい雨の降り来たる きくちきみえ やぶれ傘 202109
十薬の無頼派としてかく増ゆる 亀井福恵 京鹿子 202109
十薬の路肩繕ひ朝日影 森清堯 末黒野 202109
十薬や風の澱める庭の隅 大川暉美 末黒野 202109
十薬の群れて浮き立つ白さかな 村田敦子 末黒野 202109
十薬の陰干しばばの貌となり 橋添やよひ 風土 202109
十薬の香は裏道といふ証し 小林和子 202109
十薬の白きつぼみの続く土手 神山市実 やぶれ傘 202110
十薬を咲くだけ咲かせ蔵の裏 土井ゆう子 風土 202110
十薬や日差し戻らぬまま暮れて 大川ゆかり 202201
十薬の八重に羽音の集まり来 稲畑廣太郎 ホトトギス 202206
雨上がる十薬白を極めけり 高埜良子 春燈 202208
十薬にしづかに闇の降りてくる 府川昭子 春燈 202208
十薬にかがめば近し母のこゑ 南うみを 風土 202208
地境を越ゆ十薬の茎の赤 甲州千草 202208
十薬や母が干したる軒の棚 江口九星 202209
十薬や寺の階段多過ぎて 森高武 風土 202209
十薬の花の漢方説かれをり 浜福惠 風土 202209
十薬の花見るたびにいとほしく 臼居澄子 末黒野 202209
夕照の十薬白を尽くしけり 森清信子 末黒野 202210
十薬にかがみて腓返りかな 亀井福恵 京鹿子 202210
十薬の咲き鎮もれるひとところ 今橋眞理子 ホトトギス 202211
十薬の根を引く力失せにけり 菅野日出子 末黒野 202211
十薬の香より始まる散歩道 稲畑廣太郎 ホトトギス 202306
十薬 →1

 

2023年6月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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