十 薬 1      100句

十薬の蕊高くわが荒野なり    飯島晴子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
十薬の匂ひに雨意のとどまれる 稲畑汀子 ホトトギス 199806
測量の人十薬に踏み込みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199806
十薬の匂へる範囲広がりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199806
十薬咲くなりふりもなくわが半生 野田田美子 海程 199808
十薬をこまめに干して頼らるる 甲富代 199809
十薬や裏戸より来る出前持ち 河上麗子 春耕 199809
十薬に一薬たらぬ恋ぐすり 村田冨美子 京鹿子 199901
ととのつてゐて十薬のまぶしかり 野口光江 遠嶺 199905
十薬の匂ひこもりぬ雨もよひ 稲畑汀子 ホトトギス 199906
十薬をはびこらせたる庭に住む 稲畑汀子 ホトトギス 199906
十薬の匂ひに倦みて家居せる 稲畑汀子 ホトトギス 199906
はびこるといふ十薬の力かな 稲畑汀子 ホトトギス 199906
十薬やこはごは覗く空屋敷 林敏明 199908
十薬やうそと知りつつ口答へ 渡辺機染 199908
十薬の匂ひ広がる左千夫生家 岩上登代 春耕 199908
団地住まひの三とせで古参花十薬 金升富美子 199908
十薬の蕾の青き山雨かな 加瀬美代子 199908
十薬を一本生けて土間涼し 三村禮子 酸漿 199909
十薬に触れし匂ひの深夜まで 鈴木マキ子 ぐろっけ 199909
海女着干す軒十薬も吊しけり 山本雅子 馬醉木 199910
雨来るか十薬の香のややはげし 武井美代子 風土 199910
十薬は埋み火であり誕生日 吉川真実 海程 199911
十薬を干して疱瘡地蔵守る 片山喜久子 雨月 200001
いざこざの根は深かりき十藥も 中原道夫 銀化 200007
日曜日十薬全てなくなりぬ 高木伸一 六花 200007
茣蓙に干す十薬が香を昂ぶらす 朝妻力 俳句通信 200007
昼酒も世の常なるや花十薬 大山文子 火星 200008
愬えてゐし十薬の粗相かな 水澤竜星 200008
十薬や砂利敷きつめし変電所 唐沢静男 春耕 200008
十薬や庫裡の裏手の焼却炉 堀井より子 春耕 200008
十薬の束ね洗ひを繰返す 宮本道子 酸漿 200009
花十薬渦中はなれて見えて来し 北川孝子 京鹿子 200009
花十薬捨身これからかも知れず 北川孝子 京鹿子 200009
十薬を干して杣家を独り守る 谷榮子 雨月 200009
ドミニカや十薬抜いて捨ててある 中井和子 200010
十薬の路地の奥まで咲き満てる 細田いずほ 遠嶺 200010
古備前に十薬活けて母を待つ 桜井和子 遠嶺 200010
花十薬盥すすぎの亡母がゐる 福島美香子 京鹿子 200010
十薬の茎赤々と雨期長し 高橋さえ子 200011
十薬や津和野に古き漢方医 島田和子 風土 200101
十薬のひとつひとつに子規の座す あざ蓉子 船団 200101
十薬が虫喰いにあう子規の庭 蔵前幸子 船団 200101
身ほとりに母ゐて十薬よくかわく 武藤嘉子 木椅子 200102
一面の十薬混沌とんと消ゆ 葉月ひさ子 船団 200102
十薬の苞の白さや雨の前 和田祥子 馬酔木 200107
十薬や整骨院はいつも混み 神崎律子 200107
夜の白みつつ十薬の群れ咲きぬ 宮本俊子 雨月 200107
十薬の坂道行けば父母の墓 桑原敏枝 いろり 200107
十薬や湯気揚げてゐる饅頭屋 皆川盤水 春耕 200107
十薬の咲乱れをり猫走る 山荘慶子 あを 200107
路地に暮れのこり十薬咲きそろふ 入船亭扇橋 馬酔木 200108
十薬を引きし匂ひの濃き夕べ 外川玲子 風土 200108
十薬の雨に乱るることもなし 田宮勝代 酸漿 200108
十薬を刈って飛石通じけり 浅井青二 雨月 200108
十薬のいく歳ぶりの跋扈かな 浅井青二 雨月 200108
十薬の束匂はして艀出る 皆川盤水 春耕 200108
十薬の鴨場の跡にはびこれる 沢ふみ江 春耕 200108
やはやはと十薬長くる崩れ塀 木下節子 俳句通信 200108
十薬や貂の振り向く裏鬼門 高橋好温 馬酔木 200109
十薬や夫に似てゐる羅漢さま 野澤あき 火星 200109
雨大粒十薬蘂を高くせり 中西道子 百鳥 200109
十薬の花や汀に石の影 雨村敏子 200109
雨となること十薬の知つてをり 海輪久子 円虹 200109
十薬が生ふ漢方医たりし庭 永野秀峰 ぐろっけ 200109
身の老いの十薬の香を弁ずなり 有働亨 馬醉木 200110
十薬やダンスの教師老い見せず 二瓶洋子 六花 200110
十薬を吊していつも息災に 相沢健造 いろり 200110
十薬の咲くより暗き日のつづく 能村登四郎 羽化 200110
十薬や今一度読む「黒い雨」 橋場千舟 船団 200112
十薬や壁に黄ばみし養生訓 久保恵子 200202
十薬の花びら一枚北をさす 鳥居真里子 船団 200202
十薬や水のごとくに時ながれ 片山由美子 200205
十薬や太陽いつも素通りす 稲畑汀子 ホトトギス 200206
十薬の花やこの地に住み古りし 江倉京子 あを 200206
露坐仏として十薬の香を許す 有働亨 馬醉木 200208
十薬や物語めく闇の中 柏木公江 帆船 200208
峡の田に十薬白き畦のあり 阿部ひろし 酸漿 200208
シャガール展出で十薬の花盛 井上玉枝 酸漿 200208
十薬の花や源平盛衰記 柴田由乃 風土 200209
父訪へば煎十薬の香に座せる 大東由美子 火星 200209
十薬や遥かに聞きし母の声 新関澄子 遠嶺 200209
十薬のひそかにふゆる暮しむき 糸井芳子 200209
十薬の花の白さを残し昏る 鈴木喜三郎 ぐろっけ 200209
十薬の白き十字に昼の闇 松原仲子 200210
十薬や兄弟げんかとめもせで 百田早苗 六花 200211
刈り伏せの十薬に雨深大寺 鷹羽狩行 200306
無住寺の十薬匂ふ雨上り 朝妻力 雲の峯 200306
十薬を干してシンプルライフかな 芝尚子 あを 200306
十薬や遺稿へ朱筆はばかられ 鷹羽狩行 200307
女手に十薬の根を引き余す 柴田由乃 風土 200307
十薬を煎じて飲みし幼き日 五十嵐美穂 帆船 200308
山籠る里十薬をともし棲む 豊田都峰 京鹿子 200308
十薬や毒を止めるの濁音か 豊田都峰 京鹿子 200308
軒下に十薬吊す鍼灸院 森田久枝 築港 200308
十薬の根を押す雨となりにけり 岡本眸 200308
青洲庵軒に十薬杉菜吊る 田中嘉代子 ぐろっけ 200308
十薬の十字十字や空昏し 山戸暁子 円虹 200309
世の果てのやうな土砂降り十薬咲く 川島真砂夫 200309
十薬を干して指先ねむれぬ夜 武藤嘉子 200309
日の落ちて残る明るさ八重十薬 宮川みね子 風土 200309
十薬 2→      

 

2021年6月17日 作成

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