十 薬 3      200句

十薬の花より去らぬ日ざしかな    岩田由美

作品
作者
掲載誌
掲載年月
十薬の匂ひ黒衣にすれ違ふ 伊藤早苗 200709
えご落花まねて十薬花つけし 小林清之介 風土 200709
十薬や向ひ合はせに歯科と外科 瀬戸悠 風土 200709
天守なき二の丸跡や十薬咲く 布施まさ子 風土 200709
陰干しの十薬匂ふ御師の家 向井芳子 春燈 200709
十薬の白し比叡の登り口 西村しげ子 雨月 200709
十薬のすっくと意志の花十字 水谷芳子 雨月 200709
効きさうな十薬の葉の香かな 山田夏子 雨月 200709
十薬の花が薬師の露座囲む 齋部千里 ぐろっけ 200709
淡泊な食事を終えて十薬臭 大空純子 ぐろっけ 200709
十薬の旧道の垣かざり咲く 阿部ひろし 酸漿 200709
友逝けり十薬の花白き夜 天田美保子 酸漿 200709
十薬の濡るる湯島の切通し 篠田純子 あを 200709
十薬を干して通院怠らず 古賀幹人 200710
十薬のにほひも神のおぼしめし 丸山佳子 京鹿子 200710
十薬や閻魔が裁く首二つ 角直指 京鹿子 200711
十薬の抜かるるときの素直さよ 垣内薫 200712
十薬の門扉に干され偕老かな 芦川まり 八千草 200712
十薬のそこはかとなき夕あかり 芝尚子 あを 200807
疎まれてなほしたたかに花十薬 竹内悦子 200808
十薬の白の暗さを愛しむ 久保田美智子 200808
十薬の繁みに足を踏み入るる 雨村敏子 200808
十薬よ汝は雨待つか吾は待たず 林翔 200808
隣家を隔つ十薬花ざかり 奥田順子 火星 200808
十薬の花美しく日暮れけり 城戸愛子 酸漿 200808
十薬や路地の板塀にのぞき穴 江本路代 酸漿 200808
縁側に十薬干せしまま逝けり 水谷芳子 雨月 200808
捨て切れぬ背広がありぬ花十薬 遠藤実 あを 200808
十薬にふれし掌拭かず古墳径 安立公彦 春燈 200809
十薬の花や参禅の中学生 乙訓淑子 炎環 200809
はびこりし十薬抜けば根も真白 木暮剛平 万象 200809
軒に吊る十薬の根の長きかな 井島郷雲 万象 200809
母逝きてより十薬に根負けす 平川倫子 ぐろっけ 200809
十薬のはな地の星か夕間暮れ 平川倫子 ぐろっけ 200809
十薬の花のあはひをせせらげる 藤井美晴 やぶれ傘 200809
谷間の十薬らしき白さかな 山田京子 200810
傷つきし鳩十薬に身を沈め 藤田満枝 万象 200810
十薬に月上りゐる帰郷かな 藤原冬人 火星 200810
十薬にされてをりけり通せん坊 高田令子 200810
捨て置きし鉢に十薬咲きにけり 時田義勝 やぶれ傘 200810
旅終へて庭の十薬白きはむ 三好かほる 万象 200812
闇を濃くして十薬の咲きにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
十薬の匂ふ夕べや雨上り 稲畑汀子 ホトトギス 200906
十薬の群れ咲く疑ひなき秩序 石黒一憲 200907
十薬を刈りたる夜の湯の匂ひ 雨村敏子 200908
十藥の真中に御座す屋敷神 奥太雅 万象 200908
十薬のひぐれいろして星を恋ふ 鈴鹿仁 京鹿子 200908
十薬を抜く力萎へ父母の墓 荒木甫 200908
騒雨いくたび十薬を打つ太宰の忌 入澤正 春燈 200908
十薬の抜かれて匂ひ残りけり 山口裕子 万象 200909
十薬をふんできつねの祠みち 豊田都峰 京鹿子 200909
珍らしき五弁の苞の十薬が 北村香朗 京鹿子 200909
十薬の五弁の苞よ幸くるや 北村香朗 京鹿子 200909
十薬の十字かざして意地を見す 北村香朗 京鹿子 200909
薪小屋を犇と十薬囲みけり 大島英昭 やぶれ傘 200909
十薬の匂ひをまとひ庭師来る 佐治奈津 雨月 200909
十薬を刈りたる鎌の強く匂ふ 南うみを 風土 200909
をちこちに十薬群るる白さかな 石川元子 酸漿 200909
十薬の路地残照のありにけり 桜井葉子 遠嶺 200910
十薬や墓地隔てたる野面積 瀬島洒望 やぶれ傘 200910
十薬や捧げて担ぐ米五升 伊藤白潮 200910
十薬の点描白き夕ごころ 石田きよし 200910
目覚めよき日の十薬の白さかな 佐藤博美 200911
十薬のたちまち所在知られけり 稲畑汀子 ホトトギス 201006
十薬干す婆の十指のひらひらと 神蔵器 風土 201007
十薬を煎じてしのぶ母の愛 山本節子 201009
十薬や根性大事と生きて来し 筏愛子 201008
十薬や広野にあらば振りむかず 和田政子 201008
かはたれの十薬の花明かりかな 中貞子 201009
十薬に囲まれてゐる一軒家 中島昌子 201009
十薬を干すや谷中の行き止まり 山崎祐子 万象 201009
十薬を汚し気圧の谷通る 安居正浩 201009
答でぬ問ひ十薬の根の長し 栗原公子 201009
十薬の咲きそろふ日よ夫忌日 森道子 京鹿子 201009
をんな主は十薬の花の中 原田達夫 201009
十薬を一輪挿しに飾る妻 山本無蓋 201009
天に星地に十薬の花明り 小泉欣也 ろんど 201009
十薬の雨に烟れる香となりぬ 滝川あい子 雨月 201009
十薬を干して一人で住まはるる 上田明子 雨月 201009
足元に十薬咲けり喜雨亭忌 田中喜久子 酸奬 201009
十薬の籬に寄する波頭 冨松寛子 201010
十薬や検針員の遠眼鏡 相良牧人 201010
十薬の匂ひ刈り込む草刈機 仁平則子 201010
十薬や十字の挽歌満つる朝 宮崎裕子 春燈 201010
十薬の命ひしめく香なりけり 都丸美陽子 春燈 201012
活けられて十薬の花らしからず 稲畑汀子 ホトトギス 201106
十薬を刈り牛相撲見にゆくと 山尾玉藻 火星 201106
十薬の白花をこそ夏はじめ 井上信子 201107
十薬の花の遍満たるを踏む 井上信子 201107
十薬の咲ける色香の庭静か 中里カヨ 酸漿 201107
負け牛のきて十薬の花ざかり 深澤鱶 火星 201108
世辞一言貰うてうれし花十薬 飯塚ゑ子 火星 201108
花十薬一直線に走り出す 篠田純子 あを 201108
緑濃き瓶に十薬朝烏 森理和 あを 201108
花十藥こぞりて放つ息のあり 篠田純子 あを 201108
暮れなづむ一隅仄と花十薬 新実貞子 201109
十薬や大峰山の登口 坂上香菜 201109
十薬のこぞり真昼の忘れもの 山崎靖子 201109
十薬に小径半分占めらるる 福島松子 ぐろっけ 201109
植込みの十薬ばかり西洋館 藤井久仁子 ぐろっけ 201109
傘に雨十薬に雨伝ひけり 安藤久美子 やぶれ傘 201109
十薬の干され杣が家がらんどう 安武晨子 201110
十薬や母に告げたきこといくつも 野畑小百合 201110
風やみて十薬の花白さ増す 近藤紀子 201110
十藥を残しをきたり草を引く 安部里子 あを 201110
十薬の十字に闇のととのひぬ 藤岡紫水 京鹿子 201110
十薬の花のあたりに乱気流 木山杏理 京鹿子 201201
追い分けの溝に十薬鈴鹿関 長谷川鮎 ぐろっけ 201207
十藥の花揺らす猫濡れねずみ 篠田純子 あを 201207
十薬の花叢の中観音堂 加藤みき 201208
十薬の匂ひ馴染んで目の涼し 菊地崇之 かさね 201208
十薬の喝采バイオ研究所 千田百里 201208
捨て車か否か十薬とり囲む 湯橋喜美 201208
十薬ののびのびビジネス街の裏 甲州千草 201208
十薬の意志あるごとくにほひけり 宇都宮敦子 201208
十薬や視力戻りし試歩の道 野畑さゆり 201209
地境を消して十薬葉畳に 鈴木セツ 201209
十薬の花攻めて来るせめてくる 上野進 春燈 201209
暮れて雨十薬の白またたくよ 上谷昌憲 201209
いちめん十藥無人の家となる 吉成美代子 あを 201209
足ぬぐふ母に十薬花ざかり 城孝子 火星 201209
十薬の続く裏道風白き 能勢栄子 201210
十薬やイエスは清き血を流す 岩月優美子 201210
路違へしか十薬の花明り 岡野里子 末黒野 201210
陰干しの下着のしづく十薬に 南うみを 風土 201210
十薬の一薬あれば足るうれひ 相良牧人 201210
十薬や鳩の五六羽雀二羽 きくちきみえ やぶれ傘 201210
干してある竿の十薬くぐり訪ふ 武政礼子 雨月 201210
十薬の花にも誇りあるやうに 村田岳洋 ろんど 201211
裏口に十薬干せし漢方医 江見巌 六花 201212
一病を得て十薬の花白し 蒲田豊彦 雨月 201301
十薬やいつもの猫の居らざりし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
十薬で足裏を冷やし瓦葺く 亀田やす子 ははのこゑ 201306
花十薬丘なす裾に遊水池 森理和 あを 201307
消火器とバケツと箒花十薬 吉成美代子 あを 201307
雑草に伍して丈余の八重十薬 田中貞雄 ろんど 201309
十薬を刈りたるあとの水の音 雨村敏子 201310
十薬や朽ちたるままの空家札 野畑さゆり 201312
老人ホーム十薬などもコップに挿し 瀧春一 花石榴 201312
十薬や胸中すいと晴れてをり 日下部亞こ ろんど 201402
中腰になり十薬と話し込む 篠田純子 あを 201407
十薬の花ほうたるにぼんやりと 山田六甲 六花 201407
十薬を抜くに躊躇ひごころかな 能村研三 201408
十薬や母へ煎じしことありて 鈴木良戈 201408
十薬の匂ひあふるる背負籠 根本ひろ子 火星 201408
十薬のここよここよといふごとく 黒澤登美枝 201408
十薬を心ならずも刈りにけり 四條進 201408
花十薬勢ひありて庭占むる 竹内悦子 201408
名前負けせし十薬の踏まれやう 渕上千津 201408
闇に浮く十薬の白忌日くる 辻美奈子 201408
十薬を吊す軒端の竿長し 高野昌代 201409
十薬も干され色失せ青き空 柴田靖子 201409
十薬の花砥部焼の片口に 近藤紀子 201409
夕暮れや花十薬の道案内 伊藤和子 201409
夜目に白く十薬咲きし塒かな 近藤紀子 201409
十薬や北条廟のをぐらきに 岡田史女 末黒野 201410
十薬の花を夜風の揺らし行く 後藤マツエ 201411
十薬の花や業平座せし石 田岡千章 201412
十薬の白よりくらきものもなし 堀内一郎 堀内一郎集 201412
十薬やひらたく残る鳥の墓 佐渡谷秀一 対座 201505
壺に活けて十薬らしくなくなりし 稲畑汀子 ホトトギス 201506
十薬を踏みゆく闇のにほひかな 宮崎紗伎 春燈 201507
ひたすらに咲き十薬の愛されず 松田泰子 末黒野 201508
十薬の花や箒の反りつよき 中野あぐり 春燈 201508
十薬と詠みどくだみと引き抜けり 松井志津子 201508
十薬の有り難がられ疎まれて 赤松赤彦 六花 201508
十薬の花に空家の守られて 大坪景章 万象 201508
十薬の雨となりゆく神の杜 清水美恵 馬醉木 201509
八重咲きの十薬にある翡翠色 中谷富子 201509
十薬の真水のやうに咲いてゐる 有松洋子 201509
十薬の花ふり分けて蔭の道 飯田ひでを 201509
十薬やここを先途とめかしをり 山本明彦 201509
溝埋めて十薬の白日は亭午 松本三千夫 末黒野 201509
雨意の風十薬の香の極まりぬ 及川照子 末黒野 201509
廃屋を囲む十薬花あかり 福永幸子 末黒野 201509
十薬の人欺かぬ白さかな 鷹崎由未子 春燈 201509
群がれる花十薬の暮るるかな 赤岡茂子 春燈 201509
十薬の匂ひやはらぐ雨の道 河島坦 京鹿子 201510
十薬の花の低きに雨つづく 吉澤恵美子 春燈 201510
ひつそりと八重の十薬シヨパン弾く 岡山敦子 京鹿子 201511
十薬のさきわだつ八幡宮 植木やす子 201602
十薬の咲くにまかせて主留守 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
あの頑固頭十薬煎じたく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
十薬の花の眞白やながらへぬ 井上信子 201606
下闇の十薬ほのと花明り 山本無蓋 201608
脇役に徹し十薬の茂るかな 本多遊方 春燈 201608
十薬を沈めきれずよ谷戸の闇 中根美保 風土 201608
十薬や夢二の墓の「埋む」文字 雨宮桂子 風土 201608
十薬を引けば不屈の香りあり 内藤静 風土 201608
十薬や母のまなざし父の聲 小林朱夏 201608
十薬の誰が名づけし鬼っ子名 七郎衛門吉保 あを 201608
しらじらと十薬の根の執念しや 細川洋子 201608
誰もみな旬の時持ち花十薬 七田文子 201608
十薬の真水のやうに咲いてゐる 有松洋子 201608
じりじりと十薬陣地広げけり 中谷富子 201608
十薬の八重の湿りを渡さるる 加藤峰子 201609
病み勝ちの媼十薬干し連ね 薮脇晴美 馬醉木 201609
十薬の匂や人に好き不好き 長谷川歌子 春燈 201609
財産は無形もあるぞ十薬干す 杉本薬王子 風土 201609
十薬を煎じ了へたる深眠り 荒井千佐代 201609
十薬の売家の札の埋りけり 白水良子 201609
十薬→ 4      

 

2021年6月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。