十三夜 4           148句

天安門掃かれてありし十三夜    黒田杏子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
十三夜羽織重たく人を待つ 小張志げ 春燈 200612
米山も佐渡も影濃し十三夜 斉藤みちよ 春燈 200612
寄り添はねば通れぬ小路十三夜 久保久子 春燈 200612
父として仕へし月日十三夜 大橋麻沙子 雨月 200612
見得をきる人形の首十三夜 渡邊美保 火星 200612
人違ひしては待ちをり十三夜 山田六甲 六甲 200612
ピアニストの靴底きれい十三夜 佐藤喜孝 あを 200612
大木の次つぎ伐られ十三夜 芝尚子 あを 200612
忍び音のハモニカは誰ぞ十三夜 山岸治子 馬醉木 200701
月を見て見らるる思ひ十三夜 浜野ナオヨ 200701
肩の荷をおろせぬままの十三夜 稲嶺法子 遠嶺 200701
チェロ肩に広場横切る十三夜 山内なつみ 万象 200701
みほとけと心一つに十三夜 大橋敦子 雨月 200701
ほとけと居ほとけ讃へて十三夜 大橋敦子 雨月 200701
安らぎに妻ありぬべし十三夜 大橋晄 雨月 200701
十三夜少しの零余子飯にして 内山芳子 雨月 200701
病窓のどこか満たざる十三夜 荻野千枝 京鹿子 200701
白々と胸の奥まで十三夜 奥田茶々 風土 200701
今年から一人ぼつちの十三夜 谷寿枝 酸漿 200701
言の葉の失せて母臥す十三夜 鈴木漱玉 馬醉木 200702
草むらの静まりかへり十三夜 小澤純子 200702
大陸のやうな雲湧く十三夜 中村恭子 200702
頑張ると熱の出てきて十三夜 竹下昌子 200702
覚えあるメンコする子や十三夜 中島陽華 200702
いづくより笛澄みわたる十三夜 三崎由紀子 遠嶺 200702
肩にそと衣掛け呉るる十三夜 森脇貞子 雨月 200702
尖塔の十字架皓と十三夜 水野節子 雨月 200702
野仏の頬ふくよかに十三夜 松林順子 雨月 200702
十三夜影絵の狐コンと啼く 吉田多美 京鹿子 200702
折りかけの紙の鶴翔つ十三夜 木山杏理 京鹿子 200702
彼の光惜しむに余る十三夜 牧原佳代子 酸漿 200702
九十の母のはな唄十三夜 野村智恵子 八千草 200704
水差しに水なみなみと十三夜 山田六甲 六花 200704
湯船より脚はみ出せる十三夜 山田六甲 六花 200704
野良猫にあとつけらるる十三夜 池崎るり子 六花 200704
聞ゆるは妻の足音十三夜 後藤比奈夫 ホトトギス 200705
がらがらと錨が海へ十三夜 百瀬七生子 海光 200705
船端をのぼる海藻十三夜 百瀬七生子 海光 200705
川風をいとひながらも十三夜 瀧春一 200706
少女にも祈ることあり十三夜 中野英歩 八千草 200708
風流を説きし虚子の座十三夜 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
十三夜待たずに逝かれたる君よ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
漁火の灯りほつほつ十三夜 中村悦子 200711
谷底にししうど枯るる十三夜 山尾玉藻 火星 200711
高階の理髪に居りて十三夜 宮津昭彦 200712
ちちははの影まなうらに十三夜 水原春郎 馬醉木 200712
十三夜ひと刷けの雲あればなり 風間史子 200712
父の忌の十三夜忌と申すべう 大橋敦子 雨月 200712
美(うるは)しの十三夜月目に涙 大橋敦子 雨月 200712
やをら打つ王手発止と十三夜 乗光雅子 雨月 200712
十三夜嬰児背負ふ子もまじり 木下忠雄 酸漿 200712
水ぐすり瓶に泡立つ十三夜 笹村政子 六花 200712
十三夜後ろから来るフランス語 鎌倉喜久恵 あを 200712
少年の鏡に笑みし十三夜 吉弘恭子 あを 200712
手をひかれ外に出てみる十三夜 上藤八重子 酸漿 200712
大寺の鴟尾の陰影十三夜 小林成子 200801
スッポンの生血を吸ひて十三夜 石岡祐子 200801
十三夜臍の緒何とせつなかり 大島翠木 200801
思考力空つぽにして十三夜 天野きく江 200801
真珠抱き浦曲眠れる十三夜 上野進 春燈 200801
十三夜ゆたかなる露地抜けにけり 西岡啓子 春燈 200801
事故といふ長き車列の十三夜 仁平則子 200801
今会うて来し人へ文十三夜 青森公子 200801
船頭の耳の遠さも十三夜 河崎尚子 火星 200801
十三夜月晧々と夫回顧 福盛悦子 雨月 200801
紫の母の悌十三夜 福盛悦子 雨月 200801
老蜑の遊廓語り十三夜 東野鈴子 雨月 200801
止め得ぬ月日の流れ十三夜 堀田こう 雨月 200801
十三夜師と由比ヶ浜踏みし日も 落合絹代 雨月 200801
折りかけの紙の雛翔つ十三夜 木山杏理 京鹿子 200801
人肌より少し冷たい十三夜 柴田朱美 京鹿子 200801
車椅子の吐息のやうな十三夜 柴田朱美 京鹿子 200801
点滴のとろとろ落ちる十三夜 柴田朱美 京鹿子 200801
玻璃の汚点やたら気になる十三夜 柴田朱美 京鹿子 200801
寝返へれば淋しい首よ十三夜 柴田朱美 京鹿子 200801
十三夜存へ来し身省みる 村越化石 200801
ダム跨ぐ吊橋に人十三夜 長谷柑生 200801
雲一つなきまま暮るる十三夜 橋本梢明 200801
十三夜薬草風呂に噎せにけり 鈴木ひろ子 200801
小流れのその音のみの十三夜 藤井昌治 200801
鳥籠の中に人形十三夜 花島陽子 遠嶺 200802
猫と待つプラットホーム十三夜 いしだゆか 遠嶺 200802
病む妻をベランダで呼ぶ十三夜 大坪景章 万象 200802
窓格子いま昇りたる十三夜 北村香朗 京鹿子 200802
十三夜見せずかくさず香袋 松井鶴子 京鹿子 200802
積まれたる角材匂ふ十三夜 中山皓雪 200802
十三夜遮るものの何も無し 筒井八重子 六花 200802
菓子屋にて芒もらへり十三夜 小林優子 酸漿 200802
句に集ふとは偲ぶこと十三夜 水田むつみ ホトトギス 200803
本棚に本の抜け穴十三夜 火箱遊歩 船団 200803
飛火野の鹿とわたくし十三夜 陽山道子 船団 200803
調べたのですが明日は十三夜 中原幸子 船団 200803
十三夜ここらにたしか落し穴 湯浅夏以 樹も鳥も 200806
学校の夢にめざめし十三夜 坂本緑 幸せのかたち 200808
十三夜近づく夜々を旅にあり 稲畑汀子 ホトトギス 200810
十三夜待つ夜の月の細さかな 阿部ひろし 酸漿 200811
晴れわたり星一つなし十三夜 阿部ひろし 酸漿 200811
篠山の豆栗そろふ十三夜 阿部ひろし 酸漿 200811
繋ぐ手の子の温もりや十三夜 永峰久比古 馬醉木 200812
染めあげて絹の手触り十三夜 和田政子 200812
木々の揺れ影法師となり十三夜 仁平則子 200812
聞き役に徹する受話器十三夜 岡野ひろ子 200812
たれかがつけし径らし十三夜 小堀寛 京鹿子 200812
捨て舟に水溜りゐる十三夜 高橋あさの 200812
十三夜全島石油備蓄基地 くらたけん 200812
葛飾に「萬斎」がくる十三夜 外川玲子 風土 200812
ほろ酔ひの電話かかりし十三夜 安本恵子 200901
年ごとに深む祷りや十三夜 芝山喜久子 馬醉木 200901
妻の肩ほとほと固し十三夜 倉科紫光 馬醉木 200901
十三夜黒外郎の歯形かな 大島翠木 200901
真つ白なご飯がうまし十三夜 山口速 200901
リアス式海岸が鳴く十三夜 坪内稔典 船団 200901
波音の湯舟に及ぶ十三夜 小山徳夫 遠嶺 200901
十三夜嬰抱くやうに笙の笛 大西洵子 遠嶺 200901
徳利の胴ほのぬくき十三夜 松野睦子 遠嶺 200901
姥捨てふ山の名哀し十三夜 山下佳子 200901
十三夜与謝野の山は海へ尽き 柴野静 200901
長汀に黒き潮さす十三夜 中村恭子 200901
十三夜熊手庭師の忘れもの 笠井敦子 200901
擦れ違ふフジコ・ヘミング十三夜 牧知子 炎環 200901
磨かれし千本格子十三夜 清水淑子 炎環 200901
戸車のすべりの軽し十三夜 細川和子 炎環 200901
海底の山脈うごく十三夜 藤井みち子 200901
十三夜ことばえらびて歩みけり 外川玲子 風土 200901
十三夜駅に端切の小座布団 津野洋子 京鹿子 200901
嫁ぐ娘の衣ぬふ杣十三夜 仲井多美江 京鹿子 200901
鍵穴に遊びのありて十三夜 林田紀子 京鹿子 200901
文机の灯一つ残し十三夜 片山喜久子 雨月 200901
月明りさむざむとして十三夜 大井彌雨 雨月 200901
庭師来て空広々と十三夜 古川さかえ 酸漿 200901
わが影の蔵壁にあり十三夜 石原光徳 酸漿 200901
つり舟の皆戻り来て十三夜 忽那みさ子 やぶれ傘 200901
倚りかかる柵の湿りや十三夜 笹村政子 六花 200901
カーテンの閉ざされしまま十三夜 池崎るり子 六花 200901
十三夜明けたる朝を山茶花咲く 松崎鉄之介 200901
みのむしの反り身なりけり十三夜 城孝子 火星 200902
風一陣光さやけき十三夜 大泉美千代 雨月 200902
帰途につく旅の名残の十三夜 高木典子 雨月 200902
磯の香に鼻慣らさるる十三夜 守屋井蛙 酸漿 200902
灯台の律儀に点る十三夜 守屋井蛙 酸漿 200902
お使ひの子の走り出す十三夜 知伊吹文江 200903
歯をあてて結び目ほどく十三夜 直江裕子 京鹿子 200903
十三夜われわれという一人称 中原幸子 船団 200903
稲架かげを翔ちし烏や十三夜 八田木枯 晩紅 200908
槙垣は高く戸毎の十三夜 八田木枯 晩紅 200908
この晴を夜々つなぎたし十三夜 稲畑汀子 ホトトギス 200910
午後は晴信じる予報十三夜 稲畑汀子 ホトトギス 200910
愛蔵の狸毛の筆や十三夜 小林呼渓 200910
十三夜 →5      

 

2021年10月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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