十 月 1    211句

十月の雲より薄し朝の月   今瀬剛一

作品
作者
掲載誌
掲載年月
十月の川を渡りし触れ太鼓
武久昭子
風土
199901
さまざまの人種あるもの十月盡
中川二毫子
遠嶺
199902
十月や最上階の赤ワイン
環順子
遠嶺
199902
十月の鞄の中にまた鞄
中林明美
船団
199903
安曇野よ九月十月風の橋
道悠喜
海程
199912
十月の空陰干しの草木染
城戸愛子
酸漿
199912
十月の河岸渡れば紫の雨
山岸みずき
船団
199912
ポップコーンはぜる十月幾何を解く
山本純子
船団
199912
十月や鳳凰竹に日の差して
晏梛みや子
200001
十月の葬に蚊柱立つことも
晏梛みや子
200001
十月の絨毯を踏む足の裏
水谷芳子
200001
十月の銀座に潮の匂ひかな
田畑幸子
火星
200001
十月や早着ぶくれし異国の子
中里カヨ
酸漿
200001
十月の雲焦したる峡の山
平田安生
風土
200001
十月を終へる用意をしてゐたり
吉野裕之
200002
十月の八衢の灯の蒼かりき
竹内悦子
200002
十月や祝ぎの投花が歩道越え
仲村青彦
200002
十月や老婆は鳩の余韻のよう
関田誓炎
海程
200004
十月も半ばの夕日丘に落つ
阿部ひろし
酸漿
200011
十月や異国の水の歯にしむる
菊地惠子
酸漿
200012
十月の店に積まるる日記帳
松宮幹彦
俳句通信
200012
十月の風がゆさぶる隅田川
熊谷みどり
いろり
200012
十月の道青くなり紅くなり
保田英太郎
風土
200101
十月やプールの底に子等遊ぶ
鈴木卓
風土
200101
十月や今年の出来の田を巡り
鈴木卓
風土
200101
十月の夜の窓辺やミントティ
土岐明子
遠嶺
200102
十月の桜小振りにぼかし紅
市橋章子
ぐろっけ
200102
十月の地球の重さガラス皿
成定紋子
船団
200103
十月のカッターナイフぎしぎしぎし
橋場千舟
船団
200103
十月や鰻抑へて古き溝
岡井省二
200105
魚がはね十月十日魚がはね
坪内稔典
船団
200105
十月の木椅子と男がたついて
坪内稔典
船団
200105
十月の記念切手や糊あまし
保坂加津夫
いろり
200111
十月も波郷を読みて終りたり
保坂加津夫
いろり
200111
庭木見てをり十月も半ばなり
小林あつ子
火星
200201
富士樹海十月の日のゆらぐなし
永田二三子
酸漿
200201
縁切寺に聞く十月の法師蝉
江木紀子
雨月
200201
十月や牛は真昼を独占す
天野きく江
200201
十月の白い海月と黒い船
男波弘志
200201
十月に生れて秋思は夕爾もまた
堀川千代子
百鳥
200201
十月の空神苑に馬の鈴
関口幹雄
遠嶺
200201
十月の空落葉松に日の匂ひ
高山瑞恵
200201
十月の朝湯誘ふ大太鼓
橋本佐智
円虹
200202
十月の竹林風の渦なせる
濱地恵理子
200202
十月や海が決めたる海の色
湯浅夏以
遠嶺
200203
周回忌つづく十月来たりけり
野沢しの武
風土
200205
十月の蛙背中に青のこす
水谷ひさえ
六花
200210
十月祭美女ビヤ樽と馬車に乗り
辰巳比呂史
200211
日々ダチュラ咲くを写して十月へ
松崎鉄之介
200212
十月の天に武者凧さだまれり
中村恭子
200301
うづくまるべし十月の木のざわめき
高田令子
200301
十月に入る校庭へ長靴で
数長藤代
200301
下駄音の消ゆる十月十四日
田村すゝむ
風土
200301
十月や睫毛のながき一歳児
中村洋子
風土
200301
十月や声よく通る裏通り
福島松子
ぐろっけ
200301
十月の闇おつかあの出で来たり
高田令子
200302
音もなく十月の炉の燃ゆる荘
今井千鶴子
ホトトギス
200303
十月やあめんぼひとつひた走る
西山美枝子
酸漿
200305
十月の歌や橋行く中之島
塩路隆子
花衣
200307
傘さして十月の木の立ちてをり
佐藤喜孝
あを
200310
十月やまた嵐めく風の中
島谷征良
風土
200310
十月一日点灯をありつたけ
伊藤白潮
200311
汲取屋来て十月の水使ふ
伊藤白潮
200311
雲と水きらきらとして十月へ
宮津昭彦
200311
十月の一日の胸赤い羽根
松崎鉄之介
200312
十月やドラマの筋はお見通し
岡正実
200312
十月や名水に喉うるほせり
宮川みね子
風土
200401
十月の鯛奉書紙の中にゐる
本多俊子
200401
十月の登りきつたる砂丘かな
谷村幸子
200401
十月や沼の光を鷺負ひ来
岩上とし子
200401
十月や砂の湿りに立ち止る
中村恭子
200401
玻璃沈めけり十月の水桶に
高田令子
200401
十月の貸出票へ全五巻
数長藤代
200401
北へ向かへり十月の海を背に
高田令子
200401
十月のひと日ひと日の重みかな
鈴木えり子
百鳥
200401
十月や二人を照らす華燭の灯
鎮田紅絲
200401
十月や白紙に躍るペンの文字
沼口蓬風
河鹿
200401
十月やはやくも開く寒椿
中村しげ
酸漿
200401
十月の風鈴の鳴る空家かな
小林希世子
200401
十月の日和を期待組む旅程
松尾緑富
ホトトギス
200412
十月の蠅と馴れ合ふ厨かな
佐々木しづ子
酸漿
200412
十月の手品に消ゆる銀コイン
川瀬さとゑ
春耕
200412
十月や誕生月のアップルパイ
安部里子
あを
200412
十月の日差しの海となる目覚め
山崎靖子
200501
十月の案内状の色見本
荒井和昭
200501
十月の髪刈りのぞむ会なりし
荒井和昭
200501
十月の蛇光りつつ振返る
田原陽子
200501
水底に魔女の足あと十月尽
星加克己
ぐろっけ
200502
十月の今は母無き四畳半
津田霧笛
ぐろっけ
200502
十月の気まぐれ天気サラダ盛る
田中聡子
遠嶺
200502
十月や風に実りの匂ひあり
山川里子
八千草
200504
丹田に溜む十月の怒涛音
伊藤白潮
200511
十月の棚田一枚づつ昏れぬ
川口襄
遠嶺
200601
十月の今日も朝顔いのちなが
泉田秋硯
200601
素のままにあり十月の手と足は
細川洋子
200601
花嫁に逢ふ十月の日の匂
佐々木よし子
200601
願ひ綱引けば十月響くかな
田村園子
200601
本棚の幅に十月満ちてをり
高田令子
200601
十月の夜の群青を離陸せり
高田令子
200601
十月や自重促す占ひ師
飛鳥由紀
200601
十月の富士よき姿見せてをり
大野ツネ子
酸漿
200601
十月や勅語尊し「父母ニ孝」
有田蟻太
200602
軽き靴さがしもとめて十月来
大村真佐子
遠嶺
200602
十月や記憶の中のをんな坂
宇都宮滴水
京鹿子
200611
十月の風に日の翳日の匂ひ
栗原公子
200612
十月や百鳥こゑを繋ぎける
安達実生子
馬醉木
200701
十月の空気ととのふ深層水
遠山みち子
200702
十月や物産展の来てるらし
岡垣佳子
遠嶺
200702
水餅や無沙汰十月は死の噂
野中亮介
馬醉木
200704
林火忌すぎ十月七日妻女の忌
松崎鉄之介
200712
十月や巣箱の穴のこちら向く
神蔵器
風土
200712
ひとり撓みて十月のあぶら紙
小形さとる
200801
十月や神戸に象の子の生れし
杉浦典子
火星
200801
十月やきらめく磯辺投網干し
大島寛治
雨月
200801
十月や天のととのふ山河あり
水井千鶴子
風土
200801
十月の大方埋まるカレンダー
柴田久子
風土
200801
十月の光あつめる斜面林
遠山みち子
200801
大木の影がさびしい十月は
坪内稔典
稔典句集
200804
昔々の十月の夢丹波壼
坪内稔典
稔典句集
200804
ブルームーンという薔薇へ行く十月は
坪内稔典
稔典句集
200804
十月の薔薇ランボーの腐乱体
坪内稔典
稔典句集
200804
十月の椋も榎も見上げる木
坪内稔典
稔典句集
200804
楽器店古ぶ十月の通り雨
井上信子
200812
十月や孔雀明王坐す孔雀
森戸柚斎
炎環
200812
十月の空ひろごれりクラクション
小梅順
炎環
200812
拘杞の実の十月三日色づけり
松崎鉄之介
200812
十月の蜂の出て来し藁の山
中田みなみ
200812
偽りはなし十月の水鏡
岩淵彰
遠嶺
200901
十月や水鏡して鷺不動
山崎靖子
200901
十月来けやき大樹の葉裏にも
高田令子
200901
十月や頭上を走る電車音
細川和子
炎環
200901
モニターの波一瞬に消ゆ十月の朝
徳植よう子
200901
十月や魔女を並べる飾り窓
下山田美江
風土
200902
十月や日差しななめに杉木立
樋口みのぶ
200902
十月を東京バナナぼんやりと
火箱游歩
船団
200903
十月や風のうつすら色づきし
山岸由佳
炎環
200912
十月歌舞伎千秋楽は玉三郎
宇賀令子
春燈
200912
大晴れの十月十日鴟尾・宝珠
田中貞雄
ろんど
200912
十月の潮で洗ふ魚の腸
山田美恵子
火星
200912
十月の庭に玉虫ひろひけり
伊藤一枝
酸漿
200912
十月の窓に切り取る日本海
長谷川友子
春燈
201001
十月や杉一身に日を拾ふ
川井秀夫
ろんど
201001
十月やきつと男は山の上
竹下昌子
201001
水汲めり十月の雲掬ふごと
服部早苗
201002
九月休まず十月は止まらずに
高橋将夫
201002
佳きことの待つ十月のカレンダー
栗原公子
201012
十月末蕾やうやく隼人瓜
阿部文子
酸漿
201012
十月や米研ぐ音の三拍子
宮川みね子
風土
201101
十月や烏賊干す風のひらひらと
浜福惠
風土
201101
十月や朝顔の種太りつつ
加古みちよ
火星
201101
十月の夕日色した鯉沈む
小林幹彦
201105
十月や不死男句掲げ径子の忌 布川直幸 201110
十月や云ひそびれしを黄泉宛に 布川直幸 201112
十月の白骨の湯に身を沈め 田村すゝむ 風土 201201
傾眠の夫の温顔十月尽 安永圭子 風土 201201
蛇笏忌の十月三日晴れにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201201
十月の真顔ばかりや蟹を食ふ 北崎展江 くりから 201209
ベイブリッジ越え十月の婚礼に 河口仁志 201212
父の忌の十月果つるしみじみと 大橋敦子 雨月 201212
十月の殺伐として終りけり 赤座典子 あを 201212
十月の陰陽石の円みかな 柳川晋 201301
十月の雨が狂はす耳飾り 鴨下昭 201301
十月や紫いろの殻うすし 谷さやん 船団 201304
十月や金魚の影を白壁に 鳥居おさむ ろんど 201310
十月はちよつとセーブをしなければ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
十月の海女小屋昼餉賑へり 長崎桂子 あを 201312
十月や寺にとどきて竹箒 神蔵器 風土 201312
十月やどこに立ちても透きとほり 神蔵器 風土 201312
十月や日時計に陽の赫奕と 秋葉雅治 201312
十月や娘が卵焼いてをり 松岡悠喜夫 ぐろっけ 201401
ハロウィンの贈りものして十月尽 荻野嘉代子 春燈 201401
十月のまぶしき空よ退院す 今井春生 201401
十月や遠流の島は波押へ 吉村摂護 201402
十月や武神の臍の要石 布川直幸 201410

 祥月命日

揺蕩うて十月十二日の汀

山田六甲 六花 201410
雨過天晴十月十日鳩の舞ふ 物江康平 春燈 201412
十月の汗かき伝ふ荒磯道 田中貞雄 ろんど 201412
十月の月光掬ひ水車 工藤義夫 馬醉木 201501
十月の避難袋にチョコレート 齋藤厚子 201501
途中下車のやうに十月病むでをり 江澤弘子 201501
十月の山野の急ぐ気配あり 松田泰子 末黒野 201501
十月や音なく朝の雨降れり 渡辺安酔 201501
十月の月なき空に雲流る 松村光典 やぶれ傘 201502
蛇笏忌の十月三日晴れにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
国旗掲揚十月のスニーカー 辻響子 201512
十月の空を云ふのに色見本 遠山みち子 201601
十月やときめきて待つ新刊書 大橋伊佐子 末黒野 201601
十月の聖護院に風渡る 前田美恵子 201601
十月の雪舞ふ地熱発電所 竹内悦子 201602
十月といふ忌心を重ね来し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201610
十月の空池底へどこまでも 大山夏子 201611
十月の雨に始むる一日かな 西岡啓子 春燈 201612
十月や打てばま直ぐに入る釘 熊川暁子 201701
十月の風に吹かれてボブ・デイラン 田村すゝむ 風土 201701
十月の昼の密会目白駅 竪山道助 風土 201701
十月果つ鯉跳ぬる音背に聞く 大嶋洋子 春燈 201701
十月の森に失意を置いてくる 直江裕子 京鹿子 201701
十月のバカ正直な自動ドア 早瀬淳一 船団 201701
吹奏楽聴く十月の風まとひ 落合由季女 雨月 201709
十月がスカート売り場にまぎれ込む 山本みち子 201712
十月や九条まもれの総選挙 高野昌代 201801
十月や天道虫が土を這ふ 飛高隆夫 万象 201801
十月のトマト鈴生り誰が植えし 秋川泉 あを 201801
かなかなかな十月十日を逆さまに 火箱ひろ 船団 201806
道草と云ふ十月の過ごし方 大谷昌子 馬醉木 201811
十月や一枚硝子磨きこむ 有賀昌子 やぶれ傘 201901
ひとり身にひそむ狂気や十月逝く 宮川みね子 風土 201901
十月のコキアの色はコキア色 贄田俊之 やぶれ傘 201902
十月→2      

 

2021年10月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。