凍滝・冬の滝 4     73句

冬瀧のきけば相つぐこだまかな   飯田蛇笏   心象

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山襞に白線一本滝凍つる 久染康子 201503
滝凍てて鼓膜の奥も凍てにけり 藤沢秀永 201504
凍瀧を歓喜の風の過ぎゆけり 今瀬一博 201504
人の老いかくも美し瀧凍つる 福永尚子 ろんど 201504
音天に還して滝の凍りけり 水野恒彦 201504
凍滝の無言のままに流れ立つ 本多和子 201505
凍滝を見て来し夜の床柱 原友子 201505
谷川に楔を打てる凍り滝 平居澪子 六花 201505
凍滝のゆるび光となりにけり 藤井啓子 ホトトギス 201506
もどかしき距離冬滝の飛沫まで 高橋道子 201603
凍滝となり重心を失へり 吉田政江 201603
凍滝の余白に適ふ日の反射 甲州千草 201603
真ん中の出つ張り岩より瀧凍つる 久染康子 201603
メタリックに日ざしを返す凍り滝 田所節子 201603
凍滝や轟音とじこめ睡りをり 柴田靖子 201603
冬の滝昼の暗さに懸りをり 熊川暁子 201604
女滝かも凍てていよいよ白く透き 望月晴美 201604
気絶してゐるかに滝の凍てにけり 七種年男 201604
凍瀧や天の半分支へたる 岩下芳子 201604
立ち上る形に瀧の凍りけり 高倉和子 201604
滝つ瀬の勢ひ冬日を集めたり 松井佐枝子 万象 201605
凍瀧に閉ぢ込められし赤き紐 天谷翔子 201606
凍滝の刃のやうな威光かな 西村渾 201703
凍滝の鎖梯子を一人づつ 松原智津子 万象 201703
凍滝や心ゆるめば老いたちまち 岸洋子 201703
凍滝の罅より水の色にじむ 高山誓英 万象 201704
凍滝や地球の果を想ひたる 大日向幸江 あを 201703
凍滝に水の流るる音少し 内海良太 万象 201705
凍滝やひと山の音消えにけり 佐藤哲 万象 201705
凍滝→ 1      
大岩を乗り出して瀧凍てにけり 岸洋子 201706
凍瀧を山に立てかく琴のごと 神蔵器 風土 201712
がうがうと冬滝落つる流刑小屋 佐野和子 万象 201802
滝壺に微塵の冬日ありにけり 玉田瑞穗 万象 201803
凍滝をなほも育つる一夜かな 佐藤澄世 馬醉木 201805
凍滝のあたりは風の音ばかり 高倉和子 201806
滝ノ奥にも冬暖の二三日 後藤比奈夫 ホトトギス 201807
凍滝にある蒼白のこころざし 辻美奈子 201903
凍滝へ百の階段一歩づつ 天野美登里 やぶれ傘 201903
音捨てて霊気高まる冬の滝 及川照子 末黒野 201904
全山の静寂を統べて滝凍つる 大矢恒彦 201904
凍滝となりたる水に裏の音 宮内とし子 201904
凍滝の内に轟く勢かな 後藤眞由業 春燈 201904
朝日浴び凍瀧動きはじめけり 小林朱夏 201904
九割を凍らせたるも滝死なず 加藤静江 末黒野 201905
幾筋も風の形なし滝凍る 長谷英夫 馬醉木 201906
凍て滝に生きてゐる水見付けたり 山田正子 201909
月射して凍滝さらに凍つる刻 能村登四郎 201909
冬の瀧濡るるを忘れゐたりけり 吉田鴻司 202001
凍滝は青筋立ちの阿修羅なり 能村研三 202002
還らざる音を残して冬の滝 菊地光子 202002
枝を差し延べ滝を断つ冬紅葉 三輪温子 雨月 202002
放蕩の風の容に滝凍つる 宮岡弘 202003
凍滝の裸婦像のごと月に立つ 中村重幸 202003
神の意や華厳の滝を凍らしむ 岩田洋子 202003
凍滝を月光すべり落ちてゆく 高橋将夫 202003
竜神も眠り深山の滝凍る 夏生一暁 馬醉木 202004
袋田の僅かに凍る滝を兇に 加藤タミ 末黒野 202005
凍滝の凍て極めたる蒼さかな 及川照子 末黒野 202005
空の色入れて遥けし凍滝は 菊川俊朗 202101
凍て滝のなほ一筋の水の綺羅 石原孝人 京鹿子 202104
冬滝の衰へ見せぬ飛沫かな 西村やすし ホトトギス 202104
夜半句碑聖地めきたる冬の滝 西村やすし ホトトギス 202104
凍滝の刻を封じて修羅の相 能村研三 202104
凍瀧の融ける日の山重かりし 伊藤希眸 京鹿子 202105
凍滝に未だ決心のつかぬ水 平松うさぎ 202202
凍滝の静寂の芯を月渉る 富川明子 202204
岩肌に触るる端より滝凍つる 中根美保 風土 202204
凍滝の鳴咽を聴きてゐたりけり 雨宮桂子 風土 202204
凍て滝や風の瑕あと水のこゑ 石原孝人 京鹿子 202204
滝凍ててしろがね色の竜となる 藤井啓子 ホトトギス 202205
一瞬といふ永遠に滝凍つる 藤井啓子 ホトトギス 202205
凍滝や音もろともに閉ぢ込めて 森川享 末黒野 202205
凍滝の中に命の鼓動秘め 稲畑廣太郎 ホトトギス 202211
凍滝の有無を言はせぬ容なり 角野良生空   202211
凍滝→ 1

 

2023年2月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。