冬ざれ 2    215句

冬ざれや郭につづく漁師町  石原舟月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬ざれや外れ馬券を手放さず 遠藤実 あを 200712
冬ざれの庭に箒目新しく 稲畑汀子 ホトトギス 200801
冬ざれや顔の殺がれし磨崖仏 諸岡孝子 春燈 200801
切り株の芯まで朽ちて冬ざるる 吉沢陽子 200801
イルミネーション冬ざれの街輝かす 中村悦子 200801
先見えぬ父の看病冬ざるる 峰尾秀之 200802
冬ざるる深き山峡守る生活 須藤トモ子 200802
冬ざれのケーキ切る手の震へかな 中山静枝 200802
冬ざれや先の不安の増すばかり 馬場宏一 春燈 200802
冬ざれや臥龍廊へは往かしめず 宮川みね子 風土 200802
冬ざれの森にかそけき鳥の鳴く 本間羊山 風土 200802
雪吊の壮厳界も冬ざるる 泉田秋硯 200803
冬ざれの墓に香煙分かちけり 神山志堂 春燈 200803
冬ざるるプラツトホームの喫煙所 山本浪子 風土 200803
冬ざるる山懐の生活守る 須藤トモ子 200803
冬ざるる河口に紡ふ漁船小さき 山田をがたま 京鹿子 200803
冬ざれや高張担ぐ男振り 内藤紀子 遠嶺 200803
冬ざるるひとつ多めの角砂糖 津田礼乃 遠嶺 200803
ゆりかもめの止まらぬ杭の冬ざるる 松井倫子 火星 200803
冬ざるる輪島朝市婆が店 奥田妙子 ぐろっけ 200803
冬ざれの寺領に芥焼く煙 川合まさお ぐろっけ 200803
冬ざれや空ゆくときの鳥の脚 柴田佐知子 200803
冬ざれや焙じ茶うまき里の茶屋 松元末則 酸漿 200803
ぺージ繰る音も冬ざれまぎれなし 木内憲子 200803
一の橋五の橋渡し冬ざるる 鈴木榮子 春燈 200804
冬ざれの「ムンクの叫び」聞く夜かな 菅澤陽子 春燈 200804
冬ざれや地を踏み鳴らす野馬の群 七種年男 200803
冬ざれの川に張りつく樹影かな 峰幸子 200804
竹生島より望む伊吹山や冬ざるる 池田加寿子 200805
冬ざるる城に二つの謎の井戸 中村碧泉 ぐろっけ 200805
トラ展望台冬ざれのDMZ 陽山道子 船団 200806
紐ながき母の巾着冬ざるる 宮崎すみ 神々の交信 200808
冬ざれし土にごろ寢のカンガルー 佐藤喜孝 あを 200808
冬ざれといふ名園のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200812
冬ざれの灯数へつつ歩む 新関一杜 京鹿子 200812
男山駅の箒の冬ざるる 山尾玉藻 火星 200812
突堤にしぶく白波冬ざるる 吉沢陽子 200901
胃の中をくまなく照らし冬ざるる 篠田純子 あを 200901
冬ざれに男はひとり澄みて立つ 水野恒彦 200902
林中の一茶の墓の冬ざるる 小澤克己 遠嶺 200902
冬ざるる謙信物見の巨岩かな 門伝史会 風土 200902
どぜうやの昼も灯こぼし冬ざるる 柿沼盟子 風土 200902
冬ざれや忘れぬためのメモ忘れ 折島光江 炎環 200902
冬ざれや丘の夕雲空へ出で 藤原冬人 火星 200902
冬ざるる折鶴の嘴折りてより 定梶じょう あを 200902
般若面右も左も冬ざるる 中村洋子 風土 200903
名産のこんにゃく村の冬ざるる 松林順子 雨月 200903
冬ざれの路上に踏めり青葉くづ 渡邉友七 あを 200903
冬ざれや松坂城の穴太積 井口淳子 200904
冬ざるる野に漂へり長汽笛 田中芳夫 200904
冬ざるも芒は姿正しをり 宮崎正 ホトトギス 200904
朱雀門より冬ざれのはじまれり 岬雪夫 200904
群鳩の羽音残して冬ざるる 吉村さよ子 春燈 200904
冬ざれやバッグの中の正露丸 荒井千佐代 200904
冬ざるるお白州跡も古井戸も 佐藤博美 200905
冬ざれや例へば色のなき絵の具 松田都青 春燈 200905
招提寺和上のお留守冬ざるる 水谷洋子 十進法 200911
人にくち鳥に嘴冬ざるる 片山由美子 200911
冬ざれてかへりみるなし下剋上 林日圓 京鹿子 200911
冬ざれといふ人生の一頁 稲畑汀子 ホトトギス 200912
滞在の一と日の雨に冬ざるる 稲畑汀子 ホトトギス 200912
冬ざれの庭垣間見て旅帰り 稲畑汀子 ホトトギス 200912
冬ざれや喉飴常に持ち歩き 竹内悦子 201002
冬ざれや朱の落書のアートめく 安居正浩 201002
人の別荘冬ざれのにほひする 遠山みち子 201002
冬ざれやすつくと佇ちし大師像 成田なな女 春燈 201002
冬ざれや近況問はる長電話 森山のりこ あを 201002
冬ざれや軍手のごときわが両手 佐藤玲華 ろんど 201003
冬ざれや金襴にくるまれてゐる死 佐々木良玄 春燈 201003
冬ざれば人恋しくて逢いたくて 山崎里美 201003
冬ざれや孔雀は羽根を全開す 川端俊雄 火星 201004
寺町と謂ひ冬ざれの寺いくつ 井上浩一郎 ホトトギス 201005
冬ざれのこころに適ふ塩饅頭 中山純子 万象 201101
冬ざれて脳細胞も目減りせり 芝尚子 あを 201101
夜雨の詩碑常総かくも冬ざれて 鳴下昭 201102
冬ざれや巌も波も切り立てり 岩月優美子 201102
冬ざれや閉ぢて久しき鍾乳洞 阿部眞佐朗 201102
冬ざれや野辺に乾ぶる牛の糞 正谷民夫 末黒野 201102
冬ざれて音短調でありにけり 湯川雅 ホトトギス 201103
左見右見して冬ざれの野と思ふ 園部蕗郷 春燈 201103
冬ざれや牛乳今日より沸かし飲む 飯出ひでを 201103
働きしてのひらもつとも冬ざれて 北川孝子 京鹿子 201103
冬ざれて石鎚山と見定めず 嘉悦洋子 ぐろっけ 201103
冬ざれのど真中ゆくスニーカー 宮田香 201104
冬ざれの吉野古道に人の影 佐野和子 万象 201104
冬ざれや移動は点滴ベッドごと 苑実耶 201104
冬ざれや水輪の如き鐘の音 鶴見董子 末黒野 201104
冬ざれや毛生え薬が眼の中へ 山本鬼之介 201105
冬ざれの寄せ来る波や無人駅 鈴木芙蓉 末黒野 201105
冬ざれの力ーブゆるりと霊園バス 恒成久美子 ぐろっけ 201105
冬ざれや鐘つき堂の階軋む 石川叔子 201105
冬ざれや子らの声なきジャングルジム 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
冬ざれの庭に水音新しく 稲畑汀子 ホトトギス 201109
冬ざれを風情としたる手入かな 稲畑汀子 ホトトギス 201112
冬ざれや両手を膝に加齢する 鴨下昭 201201
冬ざれや地震痕いまだ整はず 岡野ひろ子 201201
冬ざれの門を早めに閉ぢてをり 秋千晴 201201
冬ざれて梵鐘わたる大湖かな 石谷淳子 雨月 201201
訪ふ人も無し冬ざれの石切場 伊藤純子 201202
冬ざれや破顔崩さぬ羅漢像 米田文彦 かさね 201202
冬ざれや取り壊されし屋敷跡 小野寺節斤 風土 201202
冬ざれのお百度参り明烏 藤田かもめ ぐろっけ 201202
冬ざれや峠の茶屋の灯の点る 宮崎@みゆき 万象 201202
冬ざれの流れに小さき水ぐるま 柴田志津子 201203
外来に手錠の患者冬ざれる 鈴木セツ 201203
冬ざれの涅槃図箱の長長し 奥田茶々 風土 201203
冬ざれて言葉少なく別れけり 仙石君子 雨月 201203
ホ句に痴れ冬ざれ城址逍遥す 東野鈴子 雨月 201203
冬ざれや失ふもののなき強さ 北川英子 201204
冬ざれてをり率川いさかわの舟地蔵 上辻蒼人 風土 201204
冬ざれや瞑れば彼の山河あり 笠井敦子 201205
冬ざれや肌削られし武甲山 秋山信行 やぶれ傘 201206
信号の赤冬ざれてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
冬ざれて髪の乱るる瞽女の木偶 田下宮子 201301
廃屋の鮴屋冬ざれ烏瓜 中山純子 万象 201302
冬ざれの箱積み上げて魚の店 井上信子 201302
冬ざれの庭にハーブの赤一輪 服部珠子 雨月 201302
冬ざれのドナウに川鵜群れ来たる 松村光典 やぶれ傘 201302
冬ざれの地下は工事の真つ只中 秋千晴 201302
冬ざれの湯の街匂ふ硫黄かな 小林美登里 かさね 201303
冬ざれの野の色薄く山水画 山本達人 かさね 201303
冬ざれの波音高し智恵子の碑 岡井マスミ 末黒野 201303
トンネルヘ入るたび途切れ冬ざれ野 成田美代 201303
冬ざれや心の和む四季桜 後藤マツエ 201303
冬ざれの道に客待つ人力車 中村紘 ぐろっけ 201303

韓国

冬ざれの自由の橋の行き止まり

陽山道子 おーい雲 201304
丹田を締む冬ざれの橋長く 布川孝子 京鹿子 201304
冬ざれの川面白鳥は点るごと 松村光典 やぶれ傘 201304
冬ざれといへぬ華やぎありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201312
冬ざれといふには黄色多過ぎる 稲畑汀子 ホトトギス 201312
冬ざれやひときは赤きフラミンゴ 伊藤純子 201402
微笑みて冬ざれを来る修道尼 近藤喜子 201402
冬ざれの風吹きとほし鴛鴦ねむる 丸山佳子 京鹿子 201402
冬ざれや煙草の匂ひ残し去る 鈴木良戈 201402
冬ざれや猿の群がる露天風呂 塩路五郎 201402
冬ざれに蘖ひとつ見つけたり 中井弘一 201403
冬ざれの水琴窟のひびきかな 田中淺子 201403
冬ざれの日はとびとびにささくれぬ 村田岳洋 ろんど 201403
冬ざれの野に光りたる目玉かな 佐々木紗知 京鹿子 201403
冬ざれの老杉透かす霊気かな 有本南陵 ろんど 201403
冬ざれや田の面を漁る夕鴉 前川美智子 末黒野 201403
冬ざれやドーベルマンに首輪なく 山内碧 201404
冬ざれの新興住宅老いにけり 久世孝雄 やぶれ傘 201404
冬ざれて慕ひし影を見失ふ 鈴鹿けい子 京鹿子 201404
冬ざれの渓に湧きつぐ日の出靄 田所節子 201404
冬ざれの森を騒がす鳥の声 池谷鹿次 末黒野 201404
冬ざれの庭に一輪紅つばき 原田たづゑ 春燈 201404
冬ざれの岬の入江舟屋満つ 田村愛子 万象 201404
冬ざれや腰をひねりて天燈鬼 倉谷紫龍 万象 201404
冬ざれや夜中に襲ふ歯の痛み 藤波松山 京鹿子 201405
ご近所の夜ふかしの灯や冬ざるる 成宮紀代子 201501
噴煙の嶽荒寥と冬ざるる 室伏みどり 雨月 201501
水郷の冬ざれてゆくものばかり 水谷文謝子 雨月 201501
飛び石をひとすぢに庫裡冬ざるる 山尾玉藻 火星 201501
冬ざれや青竹かつぎゆく法被 山尾玉藻 火星 201501
捌け口が見つからなくて冬ざるる 鈴鹿けい子 京鹿子 201501
冬ざれやうしろ姿にまかせおく 藤井杏愛 京鹿子 201501
冬ざれや志ん朝の居ぬ落語國 井上石動 あを 201501
冬ざるる前歯の抜けた夢を見し 大日向幸江 あを 201501
冬ざれや居場所を探す野良の猫 黒住康晴 201502
冬ざれや地をゆるがせて長き貨車 米山のり子 馬醉木 201502
消火器のぽつねんと冬ざれてをり 細川洋子 201502
冬ざれや立礼古ぶ分譲地 小野寺節子 風土 201502
巻尺の戻る一瞬冬ざるる 浜口高子 火星 201502
迷路めく水路に田舟冬ざるる 湯谷良 火星 201502
冬ざれや悔ゆること多き八十年 四條進 201502
冬ざれやいとこ煮の材一つ欠け 折田京子 風土 201502
冬ざるる球体重しガスタンク 円城寺清 201502
謂れ聞く残念石も冬ざるる 滝澤圭子 雨月 201502
滝を背の句碑の歳月冬ざるる 阪上多恵子 雨月 201503
震災の刻遺す園冬ざるる 三輪温子 雨月 201503
火碎流の跡まざまざと冬ざるる 野上杏 201503
欠礼の通知の届く冬ざるる 仙田孝子 風土 201503
凛として鳥居足石冬ざるる 井口ふみ緒 風土 201503
陸舟の五葉の松や冬ざるる 杉原ツタ子 201503
秦野路や実朝首塚冬ざるる 小林文良 春燈 201503
冬ざれて信じぬ地球青きなど 栗原京子 201503
冬ざるる石段多き古刹かな 三川美代子 201503
真贋を問ふ焼物や冬ざるる 宮田豊子 春燈 201503
冬ざれの八坂に並ぶ御輿庫 永田圭子 ろんど 201504
冬ざれの水郷を守る観世音 水谷文謝子 雨月 201504
冬ざるる祈りにも似た静けさに 今橋眞理子 ホトトギス 201505
托鉢のごと冬ざれの書舗巡る 中島芳郎 201505
冬ざれやはぐれ鵜杭を動かざる 岩崎眉乃 万象 201505
冬ざれの解放空間遊水地 田中一美 ろんど 201505
浦の淋しさは冬ざれのみならず 岩由公次 ホトトギス 201507
仕事また一つふやして冬ざるる 稲畑汀子 ホトトギス 201511
君のその一言だけは冬ざるる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
冬ざるる山手線の発車ベル 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
冬ざれの名苑として掃かれあり 稲畑汀子 ホトトギス 201512
黙祷に鋸のひと引き冬ざるる 近藤真啓 春燈 201512
冬ざるる小夜の中山夜泣石 コ田千鶴子 馬醉木 201601
冬ざれや省くものなき森の堂 中田みなみ 201601
冬ざれや天水溜の底見えて 生田作 風土 201602
冬ざれや穴を掘りたる日の記憶 近藤喜子 201602
月も星もとどまらぬなり冬ざるる 柴田靖子 201602
冬ざるるふるさとに来て川明り 飛高隆夫 万象 201602
湖西線まはりに余呉や冬ざれて 今井妙子 雨月 201602
冬ざれの墓地より帰る吾ひとり 邑田のり子 末黒野 201602
庭隅を犬の墓とし冬ざるる 中原敏雄 雨月 201603
冬ざるる鷺の羽裏は桃色に 宮井知英 201603
冬ざれや明日につながる残る月 江島照美 201603
冬ざれや焦げ目の著き維新の書 加藤峰子 201603
冬ざるる庭に開きし花鳥の間 林いづみ 風土 201603
冬ざるる空より水の蒼さかな 小林共代 風土 201603
己が影踏みしだき象冬ざるる 古賀しぐれ ホトトギス 201604
マンションの庭に点燈冬ざるる 唐澤春城 ホトトギス 201604
冬ざるる苑や鴉声のほしいまま 森清堯 末黒野 201604
冬ざれや風筋変はる舫舟 吉田きみえ 末黒野 201604
冬ざれや野づらを渡る風の音 佐々木永子 末黒野 201604
透けて骨見ゆる魚や冬ざるる 天谷翔子 201604
釣瓶なき井戸の竹蓋冬ざるる 矢野百合子 201604
冬ざれや花屋は色を溢れしめ 志方章子 六花 201604
漁できぬいわき七浜冬ざるる 森高武 風土 201604
冬ざれの野に餌争ふ鴉かな 後藤マツエ 201605
冬ざれ →3      

 

2020年12月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。