冬 桜 5      200句

月光に蛾の舞ひ出でし冬ざくら   高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
さざ波や水面の青き冬桜 今井弘雄 春燈 201101
一輛のローカル電車冬桜 水原春郎 馬醉木 201101
冬桜稚子みづこをくくりつけし胸 水野恒彦 201101
根の国もかくやと冬の桜かな 大島翠木 201101
神官の階降りて来る冬桜 神蔵器 風土 201101
冬桜に凭る若者求女塚 品川鈴子 ぐろっけ 201101
ひそひそと薄日をあつめ冬桜 西川保子 春燈 201102
寂寞と冬の桜の二三輪 田中芳夫 201102
御陵衛士屯所の跡や冬桜 直井たつろ 風土 201102
冬ざくら勢至菩薩に逢ひにゆく 雨宮桂子 風土 201102
愛日の夢を奏でる冬ざくら 鈴木直枝 ろんど 201102
川は音ふかくに鎮め冬桜 山尾玉藻 火星 201102
冬ざくら笑顔に裏の裏ありて 福島松子 ぐろっけ 201102
陵のしじまに咲ける冬桜 大里快子 酸漿 201102
診断に五分の安堵や冬ざくら 藤原照子 201103
つぶやけば妣がこたふる冬桜 楠原幹子 201103
己が分弁へてをり冬桜 大石誠 201103
うすらびや風ととけゆく冬桜 岡田史女 末黒野 201103
またの名をお会式ざくら冬桜 内藤静 風土 201103
玉抱く子授け観音冬ざくら 天野みゆき 風土 201103
冬ざくら愛でつつ喘ぐ豆腐坂 木千恵子 万象 201103
味噌蔵の瓦新し冬桜 小川明美 万象 201103
嵐電の昏きへ曲がる冬桜 杉浦典子 火星 201103
満開とふ華やぎ遠く冬桜 堀田こう 雨月 201103
多々羅橋袂に咲きし冬桜 大西ユリ子 ぐろっけ 201103
冬さくら由比白波の飛沫とも 田中貞雄 ろんど 201103
冬桜びつしりと積む一切経 川村文英 ろんど 201103
秘め事の二つ三つあり冬桜 池内結 ろんど 201103
武蔵野陵仄かに咲ける冬桜 網野茂子 酸漿 201103
車椅子の姉と仰げり冬桜 山田悦子 酸漿 201103
節くれの樹医の両手や冬櫻 庄司久美子 201104
鉢植の桜の冬芽遜色なし 井上春子 春燈 201104
地震あとの人なき邸冬桜 名取袿子 201104
生き様に器用不器用冬桜 西面和子 201104
先生の表札みえる冬桜 河隅惠子 201104
うすうすと枝くろぐろと冬桜 國保八江 やぶれ傘 201104
まだ硬き空やはらげて冬桜 小倉正穂 末黒野 201104
冬桜とうおうの田中絹代を詣でけり 松本文一郎 六花 201104
冬桜耐ふるさみしさ色淡く 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
冬桜精一杯の白さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
潮騒や闇に浮かびぬ冬桜 森理和 あを 201112
そのかみのドンの大砲冬桜 神蔵器 風土 201201
冬桜零となりし師の言葉 福永尚子 ろんど 201201
余生とは夕陽の端の冬桜 木山杏理 京鹿子 201201
補聴器で冬の桜を見上げてゐる 大島翠木 201202
曇天に吸いこまれゐる冬桜 辻紅葉 かさね 201202
空渓の風のひびきや冬ざくら 瀬戸悠 風土 201202
夕闇はローランサン色冬桜 岡本尚子 風土 201202
冬桜ふたつ三つ咲き時頼忌 堺昌子 末黒野 201202
池の端の冬の桜や淡き色 伴秋草 末黒野 201202
あわあわと稲荷神社の冬桜 塩千恵子 201203
群青の空に溶け込む冬桜 塩千恵子 201203
淡あはといろはにほへり冬桜 海野ふさ子 馬醉木 201203
冬桜誰がぐい呑みの黄瀬戸かな 神蔵器 風土 201203
参道に干す木簡や冬桜 山田春生 万象 201203
自然も人も穏やかであれ冬桜 赤座典子 あを 201203
ふり返ること多くなり冬桜 楠原幹子 201204
冬枯の桜の木々のたたずまひ 山内四郎 春燈 201204
病床に日数といふもの冬桜 雨宮桂子 風土 201204
冬ざくら級友よりの文届き 山崎稔子 末黒野 201204
青空の中の神殿冬ざくら 金田けいし ろんど 201204
蒼き空ぽつとういたる冬ざくら 吉弘恭子 あを 201204
はかなげな光放ちて冬桜 堀田恵美子 雨月 201204
北門に閂差され冬桜 瀬島洒望 やぶれ傘 201204
春浅し咲き残りをる冬桜 田島昭久 かさね 201205
塋墓の父の記憶豊かや冬桜 山口貴美子 雨月 201205
冬桜七度転んで恋をする 水貴 万華鏡 201206
リハビリの母を兄送る冬桜 頓所友枝 冬の金魚 201209
冬桜咲く古里の要金寺 須賀敏子 あを 201301
七浦に一小学校冬ざくら 浜福惠 風土 201302
湖の風を友とす冬桜 岩下芳子 201302
薄き日のたくはへらるる冬桜 箕輪カオル 201302
神苑のまだ明けきらぬ冬ざくら 根本ひろ子 火星 201303
茶柱に少し安堵や冬ざくら 西川春子 春燈 201303
音のなき谷戸の尼寺冬ざくら 落合絹代 雨月 201303
酒蔵の跡一本の冬桜 加藤和子 万象 201303
冬桜なにも言はずに夫逝きし 加藤和子 万象 201303
法隆寺南一丁目冬桜 門伝史会 風土 201303
千日回峰苦行の寺の冬桜 奥田茶々 風土 201303
まほろばの人のぬくみと冬桜 水野恒彦 201303
蒼天を虜にしたる冬桜 犬塚芳子 201303
冬桜異国言葉に道ゆづる 松本恒子 ぐろっけ 201303
冬桜湖に日の射すひとところ 師岡洋子 ぐろっけ 201303
だらだらと日向をくだり冬桜 大崎紀夫 やぶれ傘 201303
病床六尺子規の遠目に冬桜 山田正子 201303
伐られずに枯れずに残る冬桜 大島翠木 201304
茶畠に影を落しぬ冬桜 島谷征良 風土 201304
打ち放しに人影もなく冬桜 松木清川 ぐろっけ 201304
冬桜つかむに遠き真善美 布川直幸 201311
冬桜要としたる祠かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
声明に耳を澄ませば冬ざくら 塩貝朱千 京鹿子 201402
ひとり去りひとり寄りくる冬桜 小林成子 火星 201402
縁石は桑の茶屋跡冬ざくら 金田けいし ろんど 201402
濃く淡く生きてみませう冬桜 塩貝朱千 京鹿子 201402
師の句碑のまとふ日差や冬桜 小山繁子 春燈 201402
スカイツリーひかり優しき冬桜 吉田克美 ろんど 201402
空遠く一刷の紅冬桜 大日向幸江 あを 201402
渓谷の瀬音の深し冬桜 伊藤マサ子 ぐろっけ 201402
冬桜咲きそろひ色なかりけり 小林成子 火星 201402
縁石は桑の茶屋跡冬ざくら 金田けいし ろんど 201402
薄雲に消え入りさうな冬桜 今井洋子 雨月 201403
宝物や尚蔵館の冬桜 仙田孝子 風土 201403
本堂を夕影走り冬桜 榊山智惠 末黒野 201403
懐かしき人より着信冬桜 岡本尚子 風土 201403
海光にゐて満ち足るる冬桜 箕輪カオル 201403
橋ごとに句碑のある町冬桜 河原昭子 万象 201403
鏡なす池日溜りの冬桜 岡野里子 末黒野 201403
言ひ当てて縁深むる冬桜 相良牧人 201403
冬桜おのが心の色ならむ 望月晴美 201403
冬桜リュックサックは私だけ 林田麻裕 201403
冬桜健気に風に耐へてをり 中島知恵子 雨月 201403
冬桜天蓋とせる久女句碑 大橋淳一 雨月 201403
父の回忌はわが年の数冬桜 秋友昌子 雨月 201403
山の日も風も穏やか冬桜 水田壽子 雨月 201404
夢のまま果つるゆめかも冬桜 堀田順子 馬醉木 201404
羞ぢるとも媚びるともなき冬桜 河口仁志 201404
信楽にたつぷりと挿し冬桜 小林愛子 万象 201404
傾城の揺らぐまなざし冬桜 後藤眞由美 春燈 201404
冬桜空の淡きにまぎれたる 加藤静江 末黒野 201404
冬桜疎らに花は影持たず 飛高隆夫 万象 201404
行きすぎて気づく薄暮の冬桜 大橋伊佐子 末黒野 201405
冬櫻近藤勇の大き口 古川夏子 201406
ミステリーツアーの出会ひ冬桜 橋場美篶 末黒野 201411
一語発しおのれ濁りぬ冬櫻 ほんだゆき 馬醉木 201502
冬ざくら二三歩寄れば日に和して 甲州千草 201502
落城のあととどむ井や冬桜 山田春生 万象 201502
この辺り昔お狩場冬桜 石垣幸子 雨月 201502
御朱印へ長蛇の列や冬桜 田中藤穂 あを 201503
冬桜一葉の恋実らずに 山田正子 201503
冬櫻二足歩行の負をかばひ 丸井巴水 京鹿子 201503
冬ざくら奇遇は神の遊びごと 丸井巴水 京鹿子 201503
枯色の林泉を彩り冬桜 加藤静江 末黒野 201503
好日や空に融けさう冬桜 橋場美篶 末黒野 201503
一日が事なく過ぎて冬桜 楠原幹子 201503
嫁がせて終る父の座冬桜 河本功 201503
公園のそこだけ寂と冬桜 神田美千留 京鹿子 201504
風留むる艫綱の見ゆ冬ざくら 柳本渓光 ろんど 201504
城址あり風立ちそめし冬櫻 柳橋繁子 201504
掌に手の色となる冬桜 宮田香 201504
掌に手の色と看る冬桜 宮田香 201504
神武天皇へかく咲く冬桜 磯野しをり 雨月 201504
こもごもの悲喜を語らず冬桜 高木典子 雨月 201504
冬ざくら寂しきときは師を偲ぶ 鈴木鳳来 故山 201505
照り翳る山の気息や冬桜 堺昌子 末黒野 201505
ふり返る橋のたもとの冬桜 堺昌子 末黒野 201505
便利さに奪われしもの冬桜 大山夏子 201504
大神のかしこき黙や冬桜 竹下陶子 ホトトギス 201507
だらだらと日向をくだり冬桜 大崎紀夫 虻の昼 201510
冬桜雫も色の一部分 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
冬桜園の歳月知り尽し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
名をかへて大宮さくら冬ざくら 神蔵器 風土 201512
冬桜いよよ湖北の日が淡し ほんだゆき 馬醉木 201602
冬ざくら紫ばみて散りにけり 飛高隆夫 万象 201602
冬桜見えて夜中の幼稚園 藤井美晴 やぶれ傘 201602
茅門を過り確かむ冬桜 藤沢秀永 201602
冬桜空の青さに呼応せり 山本漾子 雨月 201603
細々の水音寂しき冬桜 足立典子 雨月 201603
冬桜吾が足音の中を行く 足立典子 雨月 201603
戯れに遺書を一行冬桜 荒井千佐代 201603
冬ざくら白ネクタイの三角形 丸井巴水 京鹿子 201603
変る体の儘ならず冬桜 柴田靖子 201603
夕照が秘かに消しぬ冬桜 山口ひろよ 201603
人のこゑ冬桜咲くあたりから 藤井美晴 やぶれ傘 201603
里山の日当るところ冬桜 黒滝志麻子 末黒野 201603
献木のあまたの心志冬桜 中村紀美子 春燈 201604
冬ざくら水のやうなる空の色 青谷小枝 やぶれ傘 201604
をんな坂男坂あり冬桜 亀井紀子 201604
公園の蛇口の堅し冬ざくら 古川夏子 201604
青空へ溶け出してゐる冬桜 原友子 201604
咲くも急かず散るも急がぬ冬桜 石田きよし 201605
不揃ひの眉を化粧ひぬ冬ざくら 伊藤希眸 京鹿子 201606
曇天を更に淋しめ冬桜 山本ひろ 雨月 201701
うんふうんかわりばんこに冬桜 津波古江津 船団 201701
これでもう満開かしら冬桜 木村美翠 201701
ひつそりと目立ちてをりぬ冬桜 須田千代 201701
冬桜もと料亭のケアハウス 横田敬子 201701
石段との戦ひなるも冬ざくら 山崎靖子 201702
がんしうか悟りの色か冬桜 内藤静 風土 201702
午後の日をかそけく返し冬桜 堤京子 馬醉木 201702
けやけくも佗しき花よ冬桜 内田順治 201702
露座仏の天蓋として冬桜 手島伸子 雨月 201702
夢ふつつか風に透きたる冬桜 村田あを衣 京鹿子 201703
あるなしの風の初恋冬桜 松井鶴子 京鹿子 201703
神域の白に徹して冬桜 山本漾子 雨月 201703
山を背の寺彩りぬ冬桜 吉田きみえ 末黒野 201703
うすら日にとけ入るばかり冬ざくら 有賀鈴乃 末黒野 201703
冬ざくらその健気さをこころざす 三橋玲子 末黒野 201703
突く杖の影の長々冬桜 稲垣佳子 末黒野 201703
旅人となりて愛でるや冬桜 内田梢 末黒野 201703
冬桜のほつほつほつと別れ道 堺昌子 末黒野 201703
蒼天に白き点描冬桜 菅野日出子 末黒野 201703
冬ざくら天日薄くかかりけり 水谷文謝子 雨月 201703
冬桜散ること知らず風の中 飛高隆夫 万象 201703
穏やかな風に来てをり冬桜 箕輪カオル 201703
種火ほど灯る火袋冬桜 宇都宮敦子 201703
冬ざくら前世もをんな首ほそし 伊藤希眸 京鹿子 201703
満開とならぬ恋あり冬桜 江島照美 201703
冬桜いまさら好きと言はれても 吉田悦子 201703
日表や小紋めきたる冬桜 塚越弥栄子 末黒野 201704
冬桜 →6

 

2021年1月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。