冬の蝶 2   133句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
操りの手の止まるとき冬の蝶 田中一美 ろんど 201102
郷愁の水車音あり冬の蝶 前川ユキ子 201102
崖のある町に住みをり冬の蝶 井上信子 201102
火袋を覗いてゆきぬ冬の蝶 岡和絵 火星 201102
雑木山ときをり冬の蝶放つ 中根美保 風土 201102
冬蝶や耳底に及ぶ低き音 成田美代 201102
冬蝶の空にしづけさ極まれり 宮川みね子 風土 201102
冬の蝶黄を灯しけり石の上 田中久仁子 万象 201102
ふと消えて木の葉とまがふ冬黄蝶 上原重一 201102
まちがえて船乗り替える冬の蝶 田中佳子 ぐろっけ 201102
語らむと吾に寄り添ふ冬蝶よ 岩月優美子 201103
夢のなか冬蝶どこまでも行ける 近藤喜子 201103
今生の高さをとべり冬の蝶 荻野加壽子 万象 201103
結界を越えてしまつた冬の蝶 西村滋子 京鹿子 201103
羽閉ぢて地をゆらゆらと冬の蝶 山荘慶子 あを 201103
茶臼山へ冬蝶ひとつ還りゆく 長山あや ホトトギス 201104
右頬に来てひやひやと冬の蝶 浅井敦子 万象 201104
冬蝶の地に下りて羽根息づける 藤井美晴 やぶれ傘 201104
冬蝶の地球はなれてゆきにけり 竹内悦子 201104
冬の蝶まだ飛ぶことを諦めず 井上春子 春燈 201104
日が差して鱗粉こぼす越冬蝶 久染康子 201105
神名備の草真青なり冬の蝶 中條睦子 万象 201110
生きてゐる影を落として冬の蝶 佐橋敏子 春燈 201202
踊り場に午前の日差し冬の蝶 瀬戸悠 風土 201202
網膜に残るうすずみ冬の蝶 辻美奈子 201202
冬蝶の黄の消えゆくや仁王門 浅井敦子 万象 201202
低く来て日向をたどる冬の蝶 岡野里子 末黒野 201203
冬蝶のまさか港のレンガ街 井上信子 201203
露座仏膝に冬蝶翅たたむ 山本麓潮 万象 201203
飛ぶよりも吹かれてをりぬ冬の蝶 岡部名保子 馬醉木 201203
冬蝶や恋の終りを唄ひ来て 塩貝朱千 京鹿子 201203
冬蝶や期限のせまるパスポート 田中一美 ろんど 201203
英霊碑いとしむやうに冬の蝶 西村滋子 京鹿子 201203
ビニール片冬の蝶かと思ひけり 山荘慶子 あを 201203
今日以後も余生にあらず冬の蝶 町山公孝 201204
父在らば百歳墓に冬の蝶 須賀充子 パミール越え 201206
菜畑の陽の揺れてをり冬の蝶 河村啓花 万華鏡 201206
青空にとけてゆくなり冬の蝶 吉弘恭子 あを 201301
甦る口三味線や冬の蝶 川崎利子 201301
傾ぐ身を翅で支へて冬の蝶 古川千鶴 かさね 201302
あはれかな蟻に引かるる冬の蝶 橋本修平 かさね 201302
冬の蝶あやつりのごと日を享けて 石川寿夫 ろんど 201302
地のぬくみ恋ひてさ迷ふ冬の蝶 川村清子 馬醉木 201303
岐れ路おもひもかけぬ冬の蝶 堺昌子 末黒野 201303
頑張れよ生きる努力を冬の蝶 田村元 ホトトギス 201303
蕉翁の面影塚に冬の蝶 林いづみ 風土 201303
捨て鐘の京の一打や冬の蝶 下山田美江 風土 201303
敦盛の手綱曳く手に冬の蝶 山本麓潮 万象 201303
薄日射す籬を巡り冬の蝶 服部珠子 雨月 201303
冬蝶や厚き手紙の封を切り 秋葉貞子 やぶれ傘 201303
冬蝶の舞ふやはらかき日差しかな 黒滝志麻子 末黒野 201303
冬蝶の気配かすかにおさむの忌 竹田ひろ子 ろんど 201303
冬蝶のしばし瞑想日だまりに 河口仁志 201303
冬蝶に誘はれ人る白洲邸 堀光子 春燈 201303
冬蝶としばらく同じ風にゐる 本多俊子 201303
あをぞらや零れてゐたる冬の蝶 水野恒彦 201303
林中の日差しに浮いて冬の蝶 熊切光子 末黒野 201304
三尺を飛び初蝶か冬蝶か 神蔵器 風土 201304
童子墓の並ぶ辺りを冬の蝶 國保八江 やぶれ傘 201304
冬蝶の春のいろして飛びにけり 竹内悦子 201305
白きものあれば冬蝶飛んで来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
冬の蝶結界といふ二メートル 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
息触るるほどに近づき冬の蝶 植田桂子 馬醉木 201401
冬蝶の淡き影追ふ眼の疲れ 安立公彦 春燈 201401
茶畑の律儀を遊ぶ冬の蝶 甲州千草 201402
幻の見ゆ冬の蝶なればこそ 近藤喜子 201402
存へてこの世の外の冬の蝶 水野恒彦 201402
水音を遠くに聞ける冬の蝶 杉浦典子 火星 201402
冬の蝶アトリエ館に削り鑿 布施まさ子 風土 201402
いまいちど羽閉ぢなほす冬の蝶 宮川みね子 風土 201402
溜息のあと冬蝶にちよつと詫ぶ 辻美奈子 201402
夕ぐれは暗きへゆけり冬の蝶 佐々木紗知 京鹿子 201402
露座仏と頒つ日だまり冬の蝶 小山繁子 春燈 201402
菩提樹の葉末をめざす冬の蝶 大坪景章 万象 201402
夫の忌や墓碑に縋れる冬の蝶 嵐弥生 末黒野 201402
残る葉をよろよろ渡る冬の蝶 石原健二 やぶれ傘 201402

妹急逝

冬蝶の消えて色なほ眼裏に

松本三千夫 末黒野 201402
冬の蝶吹かれて来たり関の跡 山田春生 万象 201402
後れ毛に時折の風冬の蝶 大空純子 ぐろっけ 201403
埋るるもありにし礎石冬の蝶 田中佐知子 風土 201403
時の重さを冬蝶の翅にかな 近藤喜子 201403
日だまりの冬蝶の黄の淡きかな 加藤静江 末黒野 201403
冬蝶の小さき息もて開く翅 齊部千里 ぐろっけ 201403
声出せば命の失せる冬の蝶 西村滋子 京鹿子 201404
結界の影ひそかなり冬の蝶 田中淺子 201404
冬蝶の紛れてゐたる神籤の木 升田ヤエ子 六花 201404
冬蝶の生き抜く鼓動ありにけり 河口仁志 201404
冬蝶の空深ければ空へ消ゆ 田村愛子 万象 201404
冬蝶のとまる石みな円くなる 本多俊子 光のうつは 201404
皇后のお歌より翔ち冬の蝶 河野美奇 ホトトギス 201404
冬の蝶まことに薄き影を生む 島谷征良 風土 201405
冬蝶の縺るるほどの日和かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
冬の蝶日向の岩に溶けてゆく 有松洋子 緑光 201411
おくれしか三尺とんで冬の蝶 神蔵器 風土 201501
エンデイングドレスは黄いろ冬の蝶 澤近栄子 京鹿子 201501
束の間の路地の夕映え冬の蝶 西岡啓子 春燈 201502
ぬくき日は翅を小振りに冬の蝶 中村紀美子 春燈 201502
木洩れ日のやうにただよふ冬の蝶 田所節子 201502
胸の火を燃やし続けて冬の蝶 近藤喜子 201502
冬の蝶受難のごとく翅ひろげ 内藤静 風土 201502
荒神谷へゆつくり沈む冬の蝶 浜口高子 火星 201502
東京都珊瑚の海へ冬の蝶 熊谷ふみを ろんど 201502
何さがす終の栖か冬の蝶 柴田靖子 201503
海光に命透きゆく冬の蝶 水野恒彦 201503
その死には事件性なし冬の蝶 高橋将夫 201503
つまみしは紙より薄き冬の蝶 村田岳洋 ろんど 201503
燐光を残像として冬の蝶 辻美奈子 201503
葉裏へと取り縋りたる冬の蝶 吉村幸子 雨月 201503
手を合はす阿弥陀三尊冬の蝶 小松ひろし 風土 201505
冬の蝶破れし翅の日を弾く 沢辺たけし 万象 201505
冬蝶や村をはなるる後生道(グソーミチ) 比嘉半升 万象 201505
夕映に冬蝶のいま地に還る 岩月優美子 グピドの瞳 201506
冬の蝶棺桶に日のまはるころ 大崎紀夫 虻の昼 201510
海ひかり冬蝶畝を越えにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
冬の蝶橋なき川を渡りゆく 吉永すみれ 風土 201511
山廬とは永遠に冬蝶舞ふところ 宮崎洋 春燈 201512
白き蝶二つしきりに冬菜畑 上原重一 201601
我が影に入けて動かぬ冬の蝶 藤岡紫水 京鹿子 201602
黄の花に寄り添ひ舞へり冬の蝶 岩月優美子 201602
冬蝶の日溜りにゐて身じろがず 吉田順子 201602
露天湯の湯気に夢かと冬の蝶 田中道江 万象 201602
神前へ長き参道冬の蝶 磯野しをり 雨月 201602
目耳口塞がれて翔つ冬の蝶 鴨下昭 201602
冬ぬくし低く横切る蝶々が 飯田ひでを 201602
冬黄蝶どこまで飛べばゴールかな 上原重一 201602
閉ぢきれず開ききれずに冬蝶は 下平しづ子 雨月 201603
身の上は謎多きほど冬の蝶 塩貝朱千 京鹿子 201603
冬の蝶いつしか時流はづれゐし 佐藤千恵 京鹿子 201603
負の時の弱音ははかず冬の蝶 田渕昌子 京鹿子 201603
冬蝶の大きく息をはきにけり 遠山みち子 201603
冬蝶や想定外の里日和 高村令子 風土 201603
冬蝶や未完の塔にひとり来て 雨宮桂子 風土 201603
冬の蝶空をふはりとひらくかな おーたえつこ 201603
冬の蝶 →3      

 

2021年1月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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