冬の蝶 1    200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬蝶の日を拾ひつつ消えにけり 松本松魚 円虹 199809
巴塚より木曾塚へ冬の蝶 塩田博久 風土 199901
冬蝶の止まるもすべる石敢当 酒井ひろ子 199902
冬の蝶をぐるまの黄に染まらむか 奥田節子 火星 199902
冬蝶と山に行きつくところまで 市場基巳 199902
疾風辺ぐ惰性飛びして冬の蝶 黒坂紫陽 馬醉木 199903
かの記憶あいまいのまま冬の蝶 荻野美佐子 船団 199903
冬の蝶俺を助ける自由の子 大谷昌弘 海程 199905
岩の上に翅をたたみて冬の蝶 中村祭生 ぐろっけ 200001
冬の蝶けふも舞ひくる動機あり 鈴鹿仁 京鹿子 200001
切株に旦暮きざめり冬の蝶 宇都宮滴水 京鹿子 200001
低う舞へ今日よりそなたは冬の蝶 林翔 馬醉木 200002
見失ふほどには飛ばず冬の蝶 高橋さえ子 200002
朽葉より剥がれては舞ふ冬の蝶 岡田貞峰 馬醉木 200002
とぶ夢を見つつ冬蝶掃かれけり 田中藤穂 水瓶座 200002
冬蝶の問診に膝折りにけり 中原道夫 銀化 200002
冬蝶の影の離るる青柳寺 林裕子 風土 200002
冬蝶の紙ごろも着て退院す 禰寝瓶史 京鹿子 200002
冬蝶の黄を吐く島の原始林 山田弘子 円虹 200003
冬蝶や心にしみる一茶の句 今井松子 遠嶺 200003
これからのことを思へり冬の蝶 今瀬剛一 200003
冬蝶の行方私の行方かな 渡辺延子 200003
冬の蝶羽さかしまにすでに一刻 斉木ギニ 海程 200004
冬の蝶浄土ヶ池をわたりきる 神蔵器 風土 200101
冬麗の今し掲げよ蝶の翅 坂本敏子 京鹿子 200101
坂道を下り冬蝶と出逢ひけり 三橋泥太 遠嶺 200102
冬の蝶北条系の花押かな 関根洋子 風土 200102
子の興味引き付けてゐる冬の蝶 森裕子 円虹 200102
石の芯なにを身籠る冬の蝶 中原道夫 銀化 200103
冬蝶の土塊つかみ吹かれおり 成定紋子 船団 200103
盗聴を探り当てれば冬の蝶 ゆにえす 船団 200103
千枚田より日を負ひて冬の蝶 三代川次郎 俳句通信 200103
冬蝶に分厚き沖のひかりかな 小形さとる 200105
ひらひらと濁世に向かう冬の蝶 武馬久仁裕 船団 200106
愛し合うときてのひらは冬の蝶 九堂夜想 海程 200106
冬蝶のときの一切経蔵ぞ 岡井省二 200108
冬蝶の翅伏せてあり真つ平 能村登四郎 羽化 200110
千年の法燈不滅冬の蝶 神蔵器 風土 200201
陪冢の濠渡り来る冬の蝶 木村てる代 雲の峰 200202
蝶翔ちて冬山に霧動き出す 岡本眸 200202
紙片のごと死す冬蝶の紋美しき 阪上多恵子 雨月 200202
南縁に冬蝶の来る忌明けかな 小林あつ子 火星 200202
冬の蝶屋上園を翔ち行かず 熊口三兄子 ぐろっけ 200202
冬の蝶これより先は滝の界 森田蝌蚪 200202
井戸神は女神で在す冬の蝶 嶋木勝次郎 遠嶺 200202
日のぬくみ重し重しと冬の蝶 柴田奈美 銀化 200203
歩き初む健太の高さ冬の蝶 荒井千佐代 「系図」 200203
冬蝶の飛びたたんとし落ちにけり 小澤スミエ 200203
縋るものあれば冬蝶来て止る 下平しづ子 雨月 200203
立ち眩みせし一瞬を冬の蝶 代田青鳥 風土 200203
韃靼の夢を見てゐる冬の蝶 湯浅夏以 遠嶺 200205
縁側を冬蝶の這ふ忌明けかな 小林あつ子 火星 200207
銀山湖風笹舟に冬の蝶 山田六甲 六花 200212
黄蝶一つ冬の日向を広げゆく 神蔵器 風土 200301
冬の蝶ゼンマイ切れしやうに飛ぶ 塩川雄三 築港 200301
一瞬の不安よぎりぬ冬の蝶 早崎泰江 あを 200301
冬蝶にかそけき呼吸ああ生きてをり 林翔 200301
石の上の冬日に閉ぢし蝶の翅 桑田眞佐子 火星 200302
機長の忌庭をたゆたふ冬の蝶 品川鈴子 ぐろっけ 200302
冬蝶や大志くづして退院す 戸田和子 200302
冬の蝶思ひもかけず高く飛ぶ 樋口美津子 築港 200302
冬の蝶一尺飛んで凍りけり 神蔵器 風土 200302
冬の蝶北山杉に消えにけり 小石秀子 酸漿 200302
歌詠の墓を離れず冬の蝶 深川知子 雲の峰 200302
冬の蝶道元荼毘の地に降りて 林裕子 風土 200303
やはらかき日差しを辿る冬の蝶 岩崎真理子 遠嶺 200303
冬蝶の影を水面に心字池 水井千鶴子 風土 200303
もの忘れせしごと冬の蝶止まる 市場基巳 200303
佳き日なり畦を零るる冬の蝶 村松快 円虹 200303
半月ののぼりそめたる冬の蝶 初竈 200304
しあはせごつこすりぬけてきし冬の蝶 井上菜摘子 京鹿子 200304
日を弾く力の失せて冬の蝶 松永和 円虹 200305
ときに翅大きく広げ冬の蝶 有吉桜雲 200305
風のなき日ざしに抱かれ冬の蝶 松永和 円虹 200305
山姥の秘薬で覚める冬の蝶 柴田朱美 京鹿子 200305
浄閑寺地べたにうごく冬の蝶 八田木枯 晩紅 200307
松島に一夜を明かす冬の蝶 阿部みどり女 200307
母刀自の墓に動かぬ冬の蝶 木浅川正 雲の峰 200401
冬蝶の翅あたたむる雨上り 金子つとむ 雲の峰 200401
つくろひのひととび日なたの冬の蝶 豊田都峰 京鹿子 200401
近づいて眼鏡のくもる冬の蝶 荒井和昭 200402
不意と来て水に添ひゆく冬の蝶 荒井和昭 200402
瞑目の様に羽閉ぢ冬の蝶 高垣和恵 雨月 200402
冬蝶の身じろぎ土に伝はりて 加藤みき 200402
冬の蝶高く上がりて別れけり 鍬形幸子 百鳥 200402
飛びさうで飛ばずじまひに冬の蝶 高垣和恵 雨月 200402
枯芝にとまればまぎれ冬の蝶 岡崎桂子 対岸 200403
冬の蝶そこはわたしの坐る場所 小林あけみ 200403
冬蝶に付かれ帽子を阿弥陀にす 松本鷹根 京鹿子 200403
冬の蝶コンクリートの車庫渡る 高木武人 百鳥 200404
山気満つ草のいろして冬の蝶 前田陶代子 200404
遠山に光るものあり冬の蝶 吉田順子 200404
日溜りの草の丈とぶ冬の蝶 前迫寛子 河鹿 200404
欠伸せし目の捕まへし冬の蝶 西塚成代 六花 200407
朝鮮の甘えられぬ子冬の蝶 寺門丈明 あを 200412
易々として冬蝶に追ひ越さるるも 伊藤白潮 200412
新曲の一葉恋歌冬の蝶 白鳥義岳 帆船 200501
冬の蝶階洗はむと水打てば 岡本眸 200501
足下の覚束なくて冬の蝶 根岸善行 風土 200502
ねね像の裳裾離れぬ冬の蝶 立脇操 雲の峰 200502
忙中の閑日だまりに冬蝶と 坂ようこ 200502
冬の蝶よぎる長谷寺の門前町 佐藤よしい 風土 200502
冬蝶や伊逹家寄進の能舞台 林裕子 風土 200502
冬蝶の日差したつぷり吸ひにけり 宮倉浅子 遠嶺 200502
冬支度蝶の入り口開けてをく 直江裕子 京鹿子 200502
冬越しの場所を求めて黄蝶去る 早崎泰江 あを 200502
砲口に付かず離れず冬の蝶 石田きよし 200503
冬蝶や喪中はがきを出しにでて 高野日佐子 200503
冬蝶の曼陀羅色に飛びゆけり 九万田一海 河鹿 200503
冬蝶の匂ひ消えたる顎かな 水野恒彦 200503
冬の蝶何もつかんでをらぬなり 秋岡朝子 200503
冬の蝶グレゴリオ聖歌弾きをれば 荒井千佐代 200504
地震避けて迷い入りくる冬の蝶 東暁雲 200505
冬の蝶追うて浮世絵師の墓に 大山夏子 200505
しばらくは日当たる石に冬の蝶 前迫寛子 河鹿 200506
冬の蝶日を背に思ふこと多し 原田達夫 虫合せ 200506
冬蝶のあとを追はずに帰りたる 高橋将夫 星の渦 200507
道草や花にうもれる冬の蝶 安部里子 あを 200601
冬蝶に一念あるも愛は哀 鈴鹿仁 京鹿子 200601
やはらかきガラスの吐息冬の蝶 安田優子 京鹿子 200601
冬の蝶うしろ姿を見送りぬ 吉弘恭子 あを 200602
冬蝶と日向の椅子を分ち合ふ 星井千恵子 遠嶺 200602
吹かれゐて翅立てとほす冬の蝶 井口三千子 百鳥 200602
里山のみ使ひのやう冬の蝶 瀬戸かづこ 200602
小銭拾ひ冬蝶の死を知らさるる 禰寝瓶史 京鹿子 200602
菜畑に冬蝶舞ひて日差し分け 荻野寿子 四葩 200602
その中の一碑に執す冬の蝶 白神知恵子 春潮 200602
冬の蝶退け際に置くねまり石 杉田春雄 風土 200602
谷川の神代のひかり冬の蝶 奥村邦子 200603
冬の蝶己の影の上に休む 江崎成則 栴檀 200603
冬蝶の風に掬はれ日の方へ 奥村邦子 200603
冬蝶の来てやはらかになる日差し 高橋将夫 200604
生きるでもなく風に免る冬の蝶 直江裕子 京鹿子 200605
冬の蝶青き籬を慕ひくる 瀧春一 瓦礫 200606
冬蝶に縺るる力ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200611
日向より日向へ大地冬の蝶 稲畑汀子 ホトトギス 200612
ガラス窓拭けば覗きにくる冬蝶 竹貫示虹 京鹿子 200612
忘れもの探す目で追ふ冬の蝶 松本鷹根 京鹿子 200701
沼一望の急勾配を冬蝶来 山崎靖子 200702
M・R・I冬蝶を追ひきれず 神蔵器 風土 200702
冬蝶のまま空海の肩にゐる 栗栖恵通子 200702
陽のかけら詩のかけらを冬の蝶 小島とよ子 遠嶺 200703
冬蝶の夢の中なる翅ひらき 松井ふみ 風土 200703
冬蝶の影引き歩く石畳 橋本寒郎 火星 200703
冬の蝶払へばすでに風のもの 城石美津子 京鹿子 200704
さらばへて黄のにじみをり冬の蝶 鎌倉喜久恵 あを 200705
行き戻る黄泉平坂冬の蝶 横松しげる 遠嶺 200705
茶畠の冬蝶細き息をせり 舟橋千枝子 八千草 200705
庭といふ隠れ家めきて冬の蝶 稲畑汀子 ホトトギス 200712
竹さやぐ日ざしの中を冬の蝶 菊地惠子 酸漿 200802
青空の芯硬くなる冬の蝶 宮川みね子 風土 200802
親しげに昼の窓辺に冬の蝶 長崎桂子 あを 200802
真間の里訪れ来たり冬の蝶 小松鈴子 酸漿 200802
標本の形に止まる冬の蝶 富沢敏子 200802
瀬がしらの光となりぬ冬の蝶 遠藤和彦 遠嶺 200803
牡蠣殻の山なす処冬の蝶 定梶じょう あを 200803
冬蝶の恍惚と日にちから抜く 内山花葉 200803
冬蝶の行方見守る畦のみち 高尾幸子 遠嶺 200803
冬の蝶三尺飛んで天といふ 神蔵器 風土 200803
敷石の冬蝶そっと跨ぎけり 田中藤穂 あを 200804
日当れる石を離れず冬の蝶 笹倉さえみ 雨月 200805
冬蝶の仮面のほかは知らざりき 杉田桂 頂点 200806
冬蝶と打ち解けてきし木椅子かな 府川房江 母の空 200808
一輪の花に執して冬の蝶 山下由理子 200810
冬蝶に対岸までの修羅場かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812
ぽつねんと野中の地蔵冬の蝶 葦原葭切 春燈 200902
業火にも隙閧フありぬ冬の蝶 佐藤喜孝 あを 200902
日を恋うて高くはとばず冬の蝶 渡邉友七 あを 200902
冬の蝶兄と遊びし記憶なく 鈴木阿久 200902
冬蝶の小さきが落ち葉色をして 大島英昭 やぶれ傘 200903
冬の蝶弱き日射しに舞ふしばし 青垣和子 雨月 200903
冬の蝶鬼と知らずについて行く 高橋将夫 200903
羽根少し欠けてをりけり冬の蝶 松本善一 やぶれ傘 200903
生きてゐる証に飛んで冬の蝶 今橋眞理子 ホトトギス 200904
神苑の日の斑を拾ひ冬の蝶 松野睦子 遠嶺 200904
生くるとは孤独なること冬の蝶 上原恒子 雨月 201001
息づかひ翅にありけり冬の蝶 山田美恵子 火星 201002
こきざみに今日より汝は冬の蝶 中村恭子 201002
神木の洞ふかぶかと冬の蝶 栗原完爾 春燈 201002
密かなるもの冬蝶の翅の筋 神戸京子 ろんど 201002
日の来たり金の冬蝶めまぐるし 長崎桂子 あを 201002
冬蝶の色ともならず落ちにけり 栗原完爾 春燈 201002
冬の蝶夢幻の如消ゆる 成田なな女 春燈 201002
地の神の息吹にひかれ冬の蝶 板稿昭子 201003
少年を待ち続けゐる冬の蝶 近藤喜子 201003
冬の蝶駆け込み寺に翅たたむ 山下佳子 201003
冬の蝶依るべきものに迷ひけり 藤兼静子 201003
冬の蝶よぎる大雁塔の前 工藤はるみ 風土 201003
乞食の鉢に入りたる冬の蝶 竪山道助 風土 201004
蝶の飛ぶ日和の中の冬支度 白石正躬 やぶれ傘 201004
しばらくは飛ぶ力ため冬の蝶 大谷昌子 馬醉木 201004
涅槃てふまぼろしを視て冬の蝶 西村純太 201004
落ちかけて風にまた浮く冬の蝶 日置正樹 ホトトギス 201004
日溜りの消え冬蝶の消えてをり 日置正樹 ホトトギス 201004
日溜りに翅が息する冬の蝶 日置正樹 ホトトギス 201004
二月堂に日がさしてをり冬の蝶 鶴原妙 ろんど 201004
ランタナに来てより軽し冬の蝶 新妻奎子 万象 201005
冬の果日に舞ひ上る蝶ひとつ 浅野恵美子 酸漿 201005
砂浜に伏せし朽ち舟冬の蝶 島津治子 万象 201005
冬蝶とひとり遊びの寺の子よ 斎藤道子 馬醉木 201101
      冬の蝶→2

 

2020年12月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。