冬の空 2  〈冬空〉    200句

ベル押せば冬空に足音おこり    波多野爽波

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬空のどこを指しても一人ぼつち 宇都宮滴水 京鹿子 200602
金星のほかなにもない冬の空 木村茂登子 あを 200602
冬天へ寝息くすぶる桜島 有島夛美 河鹿 200603
福耳の干支の犬ゐる冬の空 高尾豊子 火星 200603
北国の白々無言の冬の空 対馬正子 四葩 200603
校庭の梢揃ひし冬の空 山荘慶子 あを 200603
冬空や亭々として翁椰子 松山佐治彦 河鹿 200604
窓に来る冬空をわが空とせり あさなが捷 200604
冬空が耳鳴をしてリれわたる 佐藤喜孝 あを 200605
ボジョレーヌーボーいま冬空を来つつあり 北川英子 200611
猛禽の檻の高きや冬の空 森理和 あを 200701
屋上に父とゐた日の冬の空 安居正浩 200702
初冬の空一塔の際立てり 山田景司 遠嶺 200702
湖へ拡がり初冬の空の青 坪井洋子 200702
冬天に何を語らむ聖母像 岩月優美子 200703
この町に父母在さず冬の空 小林優子 酸漿 200703
金色の月柔らぎし冬の空 牧原佳代子 酸漿 200703
冬天の闇はひのぼる山火かな 中野京子 200704
花灯路竹あかりに細き冬空 山田をがたま 京鹿子 200704
冬空や人骨なんと軽きこと 高倉恵美子 200704
冬空へ大本山の鐘響く 山本明彦 遠嶺 200705
冬空へ螺旋階段詩を継ぐ 星井千恵子 遠嶺 200705
冬天に連嶺置きし深呼吸 竹貫示虹 京鹿子 200711
雲重き冬空抜けし旅路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200712
東京へつなぎて冬の空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200712
冬空に養老の滝音静か 矢崎暉文 酸漿 200712
冬空にヘリコプターの音高し 中山静枝 200802
冬空に干されて魚の腸透けり 吉沢陽子 200802
土器文様の呪文めきたる冬の空 本多俊子 200802
鳥寄せの指笛ひびく冬の空 瀬戸悠 風土 200802
冬空のせつせつと青守りけり 辻美奈子 200802
冬空のここぞといへる沼の上 青山丈 200802
冬天の月は鋭くみどりいろ 鎌倉喜久恵 あを 200802
冬天へ煙ひとすぢ大浅間 水原春郎 馬醉木 200803
ビュフエ展出て冬天を舞ふ思ひ 本多俊子 200803
全身と冬空廻す朝かな 阿部昭子 遠嶺 200803
冬空に遊ぶ真白な飛行船 森佳子 遠嶺 200803
銀杏の木骨で突き刺す冬の空 大空純子 ぐろっけ 200803
冬天を飛行機雲の貫けり 坂本知子 酸漿 200803
冬空の余白を鳶の急降下 神原徳茂 遠嶺 200804
冬天に相思の鳶の隠れなし 東良子 首座星 200804
冬空にぬっとクレーンの突き出せり 山荘慶子 あを 200804
冬空へ向ひて深く息を吸ふ 久永つう 六花 200806
冬空の青きを見惚る喉仏 吉弘恭子 あを 200812

藤田宏君結婚

新郎の肩幅冬の空玲瓏

瀧春一 深林 200901
望郷の雲のひと片冬の空 笹井康夫 200902
冬空へ「雪やこんこ」の灯油売り 小澤菜美 200902
通夜までの冬空どこまでも碧 殖栗歩 炎環 200902
人恋へば冬天高く煙立つ 柳生千枝子 火星 200902
冬空へ巨躯千年の銀杏かな 阿部ひろし 酸漿 200902
冬空の透析室の血のにほひ 近間雄道 やぶれ傘 200902
冬空の澄みわたりたる旧城址 加藤克 200903
冬空やピカソの青のありどころ 西村純太 200903
冬の空一句を追うてゆく渚 吉野のぶ子 遠嶺 200903
冬天に淡き昼月四季桜 大森尚子 風土 200903
冬天に久女の谺よみがへる 大森尚子 風土 200903
署名する芳志瓦や冬の空 河崎國代 春燈 200903
御導師の声冬空に友送る 伊藤公子 酸漿 200903
冬空のかすかな色のさまざまに 木村茂登子 あを 200903
冬空に行き逢ふ星と飛行船 國保八江 やぶれ傘 200903
冬空の星を数へて宣教師 林友次郎 遠嶺 200904
冬空のまばゆきばかり高嶺星 桑田忠男 遠嶺 200904
ごみ焼の規制の強化冬の空 佐藤健伍 200904
冬空へ飴切る音を響かせり 仁平則子 200904
冬空を舞ひをる鳶の翼かな 阿部文子 酸漿 200905
孫を乗せ飛行機冬の空へ消え 湯本実 やぶれ傘 200905
冬天や病の母の瞳澄み 佐藤喜仙 壁炉 200911
立冬の空おだやかに明けゆけり 市川玲子 春燈 201001
定めなき智恵子の空ぞ冬の空 阿部ひろし 酸漿 201001
落葉松に透きたる冬の空真青 前川ユキ子 201002
冬天の声きく電波望遠鏡 佐々木群 201002
今朝冬の空に一点尾白鷲 松井倫子 火星 201002
冬空の青さを分かつ蜘蛛の糸 篠田純子 あを 201002
巨星墜つ群青いろの冬の空 和田森早苗 201003
冬天や皇帝ダリア競ひ咲く 木下和代 末黒野 201003
冬空に大鐘を撞く龍口寺 内藤庫江 末黒野 201003
雲一つ無き冬空の野辺送 関戸国子 酸漿 201003
冬天へ十指一本づつひらく 代田青鳥 風土 201004
扁額の「栴檀林」や冬の空 森田節子 風土 201004
冬天の風掴みたり熱気球 佐々木よし子 201004
訃報受くる今日冬空の青すぎて 川上久美 ろんど 201004
冬空に長き一の字飛行雲 宮入河童 201005
冬天や三百年の杉並木 浅野恵美子 酸漿 201005
煙焔と四国三郎冬の空 五ケ瀬川流一 六花 201005
冬空の色は瞳に万華鏡 寺田正人 201005
深ぶかと瑠璃の冬空弥生塚 沙羅夕子 201005
初冬の空に皇帝ダリアあり 八木岡博江 酸漿 201101
冬空の色を深めて残り柿 西山美枝子 酸漿 201101
風のまま冬の空掃くポプラかな 松村光典 やぶれ傘 201101
冬空へ鉄音ひびく港町 片岡久美子 201102
冬天をごつごつ掴むプラタナス 石田きよし 201102
白粥の水晶の光冬の空 加藤みき 201102
冬空へ祈りては撞く僧の鐘 尾崎みつ子 雨月 201102
冬天へ蹴鞠追ふ声「あり」「やあ」「おう」 伊藤憲子 201103
冬天や神の降り来る樹でありし 岩月優美子 201103
冬天へ出漁の船の火を焚ける 大竹淑子 風土 201103
冬空に航路どこまでもくつきりと 東秋茄子 京鹿子 201103
真青にて冬天音なくおさむ師忌 あかさか鷹乃 ろんど 201103
冬空のあをさに吸はれゼロになる 篠田純子 あを 201103
冬空の近くなりたる二階かな 高尾豊子 火星 201104
かしは手を打つ音響き冬の空 吉成美代子 あを 201201
蒲生野や気球ふはりと冬の空 松田洋子 201202
蹴りあぐるボールに冬の空があり あさなが捷 201202
冬空を打ちならしてや斗米庵 瀬川公馨 201202
ペン胼胝の小さくなりけり冬の空 辻紅葉 かさね 201202
太閤の城冬天に翼張る 山下佳子 馬醉木 201203
冬空を押し上げてゐる楠大樹 赤羽陽子 春燈 201203
掃き散らす魔女の箒や冬の空 中村月代 末黒野 201204
僧の袈裟緋色なりけり冬の空 中島陽華 201204
灰色の大天幕や冬の空 平田榮子 春燈 201204
冬空や一歩踏み出すとき青く 川上久美 ろんど 201204
冬空に青く透けゐし昼の月 大木清美子 201204
冬空のうめき声とも風の音 寺岡ひろし 雨月 201205
冬空に一朶の雲や水の苑 佐藤喜仙 かさね 201206
復興の重機立ち上げ冬の空 羽賀恭子 201301
何時となく冬空に浮く飛行船 佐藤恭子 あを 201301
冬天や黒き一点段畑に 渡辺安酔 201301
冬の空下呂の駅湯に手を入るる 川井素山 かさね 201301
転ぶなの伝言冬天澄みにけり 酒本八重 201301
冬空をあふれてきたる雨きれい 佐藤恭子 あを 201302
冬空へ船名決まる紙吹雪 杉浦典子 火星 201302
冬空のサッカーボールの弧の行方 水木沙羅 201302
冬空や拳突き出すさるすべり 後藤晴子 万象 201303
冬空のビル暁紅に柱なす 田所節子 201303
冬空のきぬがさ山の道礼所 木本蓚 ぐろっけ 201303
冬の空パステルブルー天までも オ水谷直子 京鹿子 201303
突きつける硝子のやうな冬の空 飯田ひでを 201304
冬空や大声あげて泣き度き日 折橋綾子 201304
冬空に槌音ひびき世代の交代 松本アイ ぐろっけ 201304
冬の空幸せ色のブーケ跳ね 山田佳乃 ホトトギス 201304
源泉の噴くや冬天震はせて 安斎久英 末黒野 201305
冬の空ぬける青さよ今日の日よ 原田たづゑ 春燈 201305
快晴に初冬の空をあづけたる 稲畑汀子 ホトトギス 201311
運転の検定冬の空の下 稲畑汀子 ホトトギス 201312
立冬の空へ見送るハワイ便 木村茂登子 あを 201401
冬空のさみしさに棲む昼の月 木村茂登子 あを 201401
水煙に透くる真青の冬の空 横山昭子 雨月 201402
冬空に一帆生みぬ近江の海 本多俊子 201402
冬空を刈る木鋏の柄の朱いろ 杉浦典子 火星 201402
冬空に鵙の高鳴きしみとほる 早崎泰江 あを 201402
冬空に襤褸を纏ひユーカリは 大橋晄 雨月 201402
冬空に万才をせる辛夷の芽 大日向幸江 あを 201402
冬の天アイソン彗星壊れけり 秋場貞枝 春燈 201402
冬の空いつも和める明石城 筒井八重子 六花 201402
タワーから冬空に浮くスカイツリー 佐藤恭子 あを 201402
トンネルを抜けて冬空広がりぬ 仁平則子 201402
飛行船闇に余韻を冬の空 犬塚芳子 201403
彗星と共に逝きたる冬空ヘ 居内眞澄 ぐろっけ 201403
すれ違ふひとの眼鏡に冬の空 丑久保勲 やぶれ傘 201403
冬天や窓拭く人の命綱 菅野日出子 末黒野 201403
冬天へ護摩の白煙火の柱 岡野里子 末黒野 201403
冬空に砕け散りしは彗星のみか 向江醇子 ぐろっけ 201403
冬の空農夫小さく見えにけり 清水元子 末黒野 201403
冬空や墨田を上る船明かり 石原健二 やぶれ傘 201404
動かない冬の空には穴がない 松田都青 京鹿子 201404
冬天へ五世紀経たる高野槙 山崎稔子 末黒野 201404
冬空を織り込んでゆく由比の波 山田佳乃 ホトトギス 201404
冬空や鳩は光りとなりて飛ぶ 大橋伊佐子 末黒野 201404
ビユッフェ展出て冬天を舞ふ思ひ 本多俊子 光のうつは 201404
冬天を突き宝輪のかがやける 志方章子 六花 201405
桜の芽冬空しかと掴みけり 志方章子 六花 201405
冬空を案じぬく先生の通夜 石坂比呂子 ろんど 201405
冬空の何か忘れたやうに青 湖東紀子 ホトトギス 201405
冬空へ五連水車の五音階 七種年男 201501
城跡の石垣高し冬の空 山崎里美 201502
冬空の紫紺へ発てり伝書鳩 小川玉泉 末黒野 201502
冬空にユーカリ確と仁王立ち 大橋晄 雨月 201502
路地裏のところどころに冬の空 笹村政子 六花 201503
南京街湯気もうもうと冬空に 大橋晄 雨月 201503
メトロノームカチカチ冬の空真青 はしもと風里 201503
冬空の紺のゆらぎ渡船出づ 小川玉泉 末黒野 201503
冬空をとんび輪を描くひと日かな 笹井康夫 201503
冬空へ試し撞きせる鐘響き 桂敦子 201503
大屋根の反り小気味好し冬の空 中村紀美子 春燈 201503
冬天に日は一つだけあれば足る 高橋将夫 201504
眼内レンズ替へて冬空極まれり 来海雅子 201504
冬天に蘇りたる鳳と凰 塩路隆子 201504
冬空に黒き切り絵や東寺の塔 神田惣介 京鹿子 201504
飛行船冬天をゆく空のすみ 植村よし子 雨月 201504
一煙のむすぶ田面と冬の天 佐藤喜孝 あを 201505
冬空の真正直な青さかな 三枝正子 万象 201505
冬空に固まつてゐる観覧車 涌羅由美 ホトトギス 201506
丹頂のこゑ冬空に放たるる 林いづみ 風土 201602
鉄骨をすくひ上げたる真冬空 下山田美江 風土 201602
槌の音冬の空気を裂きすぐる 柴田靖子 201602
冬空にBOOKと赤いネオンの灯 原田達夫 201602
冬空へ八坂の塔の影深し 山田天 雨月 201602
冬空にテロの半旗を掲げたり 佐津のぼる 六花 201602
閘門の上は冬空だまし舟 高木晶子 京鹿子 201603
翳のなき冬空吾は影を曳き 成田美代 201603
冬空に尖塔光る本願寺 小林共代 風土 201603
冬天へ弾く大樹の檀の実 佐藤やすこ 風土 201603
整然と冬空に撤く縄百本 上村葉子 風土 201603
修行僧「おーう」と一声冬の空 豊田信子 201603
冬空を蹴り尻回す逆上がり 豊田信子 201603
冬天を引きつつ玻璃を拭きにけり 上野紫泉 京鹿子 201604
冬天へ投げ銭葬送天寿かな 鈴木セツ 201604
冬天にフタバサウルス首を上ぐ 森高武 風土 201604
冬空の青さは痛さ仰ぎをり 高田令子 201604
冬空の青さは痛さ仰ぎをり 高田令子 201604
天帝の機嫌損ねし冬の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
      冬の空→ 3

 

2020年12月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。