冬の空 1〈冬空〉    100句

冬空や猫塀づたひどこへもゆける   波多野爽波

作品
作者
掲載誌
掲載年月
天気図に確と描かれ冬の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 199812
冬空に流星燃えて一文字 山田弘子 円虹 199901
昨日より低き冬空ある港 下田水心子 円虹 199903
冬空の昨日のまゝに夜明けたる 下田水心子 円虹 199903
冬空真っ青飛ぶけいこはじめやう 三木正美 船団 199903
冬天のむかふへ発信してゐる樹 豊田都峰 京鹿子 199905
かけ登る鉄塔若き冬の空 城門次人 海程 199905
エスカレータを冬空降りるごとくだりぬ 丸山海道 海道全句集 199910
冬の空広く丸ビル跡地なる 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
冬空にどこでもドアの把手かな 津田このみ 船団 199912
冬空に三角の舌がちらちらと 山岸みずき 船団 199912
青々と螺旋階段の果て冬の空 尾上有紀子 船団 199912
冬空や口とがらせているばかり 津田このみ 月ひとしずく 199912
冬天にルオーの鐘の透き通る 水原春郎 馬醉木 200001
冬空を斜めに切つて着陸す 坊城中子 円虹 200002
手鏡の中の砂丘と冬の空 高橋将夫 200003
吾が恋ふは泉恋ふひと冬の空 本橋怜加 冬牡丹 200003
配電盤に押し開けられる冬の空 三宅やよい 玩具帳 200004
冬天に鳶の一笛峡晴るる 川上美穂子 酸漿 200006
冬空に平均台の弥次郎兵衛 川副民子 船団 200007
どこまでも冬空やさしくレノンだね 河野志保 海程 200009
今日よりは明日晴れさう冬の空 稲畑汀子 ホトトギス 200012
冬天に声咲くさざなみ幼稚園 林裕子 風土 200102
冬空の光となりて鳩群舞 三井公子 酸漿 200102
エレベーターで五階へ冬空ののっぽ 金子皆子 海程 200102
冬空へ背真っ直な少女騎手 出口貴美子 雨月 200103
冬空のジェットコースターオブジェめく 出口貴美子 雨月 200103
ミュンヘンの冬空を開け帰郷かな 吉村玲子 円虹 200103
冬天をくすぐつてゐる楢・櫟 環順子 遠嶺 200103
鮟鱇のいよいよ寄り眼冬の空 城孝子 火星 200104
冬空へ群れ鵜の一羽声放つ 小林修水 春耕 200201
冬空へおうと応へて棟上げる 志水芳秀 雲の峰 200201
冬空にビルの高さや露天神 高野清風 雲の峰 200201
冬天を往き交ふものに流るる血 中原道夫 銀化 200201

三橋敏雄逝

冬天を支ふる柱燃え盡きぬ

中原道夫 銀化 200201
カンバスは果しなきなり冬の空 早崎泰江 あを 200201
父の忌の冬空蒼さ極めたる 八木岡博江 酸漿 200202
冬天に直立したる一大樹 多田節子 雨月 200202

悼 谷□道子さん

マイウェイあまりに青き冬の空

杉浦典子 火星 200202
立冬の空限りなく澄みゐたり 鈴木夢亭 春耕 200202
琴線を張る冬空に觸れぬやう 中原道夫 銀化 200202
冬の空鼓動のたびに青増せり 吉弘恭子 あを 200202
美しき冬空も祝ごころかな 栗林眞知子 円虹 200203
大地蹴り子等冬空へ倒立す 関薫子 百鳥 200203
冬空へ神有り宮の千木高し 平野官爾 風土 200203
冬空の星一つ飛び詩生まる 米須あや子 遠嶺 200204
冬天にラッパ高鳴り火の走る 岡和絵 火星 200204
冬の空火の見櫓はビルの下 小松サチコ ぐろっけ 200204
段々と鐘冬天を貫けり 岸はじめ ぐろっけ 200204
冬空に吸ひ込まれゆくリフトかな 岩村恵子 ホトトギス 200205
冬空に絵文字を書いて弔意とす 森津三郎 京鹿子 200205
冬の空風が明かしてゆきにけり 稲畑廣太郎 円虹 200301
冬空の壓す鴎どり海征す 中原道夫 銀化 200302
鳥海山冬空の底突き抜けし 山遊亭金太郎 百鳥 200302
冬の空割つてスペースシャトル落つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
冬天に進水式のファンファーレ 藤田かもめ 200303
立冬の空に金星吹き付けし 山井寛子 ホトトギス 200303
立冬の空へ尖りてビルの角 塙告冬 ホトトギス 200303
冬空のジェット機硝子細工めく 川村紫陽 200303
冬空を切裂いてゆく飛行雲 中坂和子 帆船 200303
古時計冬の空気を打ちにけり 矢崎すみ子 200303
冬空に噴煙なびく浅間山 柄田喜美枝 築港 200304
冬の空ノートの端のめくれをり 木村みかん 200402
冬空の幾何学模様観覧車 岩田登世 雨月 200402
立冬の空つらぬきし杉木立 小澤克己 遠嶺 200403
冬空へ看板灯されゐて真昼 鳴海清美 六花 200403
石段の果てに冬空初詣 塩田博久 風土 200403
冬空の黙し湖面の黙しをり 山荘慶子 あを 200403
兄病みてひすがら窓の冬の空 細川コマヱ 雨月 200403
どこまでも冬空無知といふ自由 玉川梨恵 200403
大榧の心で仰ぐ冬の空 清水晃子 遠嶺 200404
果しなき冬天を刷き漢逝く 山元海郎 河鹿 200404
冬天や人より大き絵馬の蛇 大山里 200404
冬天やわが行く道をうたがはず 村田文一 遠嶺 200405
母と子の絆生まるる冬の空 徳田正樹 河鹿 200405
冬の空雀の声の光りかな 寺門丈明 あを 200501
冬天を飛び交ふ鳥の重さうに 蔵澄茂 築港 200501
冬天へ棟上げの指示矢継ぎ早 新井泰子 馬醉木 200502
拉致の子へ思ひ果てなし冬の空 芝宮須磨子 あを 200502
冬空に明の明星旅終る 樋口育代 帆船 200502
立冬の空へ突き出す撞木かな 松たかし 火星 200502
疎林透きかぼそきかぼそき冬の空 林翔 200502
冬空の残像遊びただ黙し 斎藤棹歌 200502
冬空に梢とけ入る老銀杏 山口トシ 酸漿 200503
冬空へ長き手唯我独尊図 岩下芳子 200503
見上げれば地球でありし冬の空 寺門丈明 あを 200503
鉄橋の高しや仰ぐ冬の空 瀬尾幸代 200503
冬空を挟んで電車すれ違ふ 玉川梨恵 200503
冬空へ骨を伸ばして未完ビル 桑島啓司 200504
大欅見上げ冬空見てをりぬ 田中昌子 200504
冬空へ牛救出のヘリコプター 菅沼義忠 200505
冬空に太陽ひそみをりにけり 粟津松彩子 ホトトギス 200507
冬空へ背鰭を立つる妙義山 宮澤さくら 今生 200510
昨夜星の楽を奏でし冬の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
変幻も神の摂理や冬の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
断崖を真直ぐ落とす冬の空 柴田佐知子 200601
アカシアの莢消ゆるかに冬の空 小林優子 酸漿 200601
一翳もなき冬天へ街の音 小石珠子 春潮 200602
冬空に沢柴の葉は江戸小紋 大西まりゑ 酸漿 200602
冬空のどこを指しても一人ぼつち 宇都宮滴水 京鹿子 200602
冬の空→ 2      

 

2020年12月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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