冬の薔薇 5   100句

表札の外されてをり冬の薔薇   加藤惠子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬ばらの香を誇りをり貴賓席 中原吟子 雨月 201702
冬薔薇の崩るる色の深さかな 祐宗千代子 雨月 201702
干したシャツが風によじれる冬の薔薇 藤井美晴 やぶれ傘 201701
還暦のこれより脱皮冬薔薇 伊藤照枝 201702
冬薔薇終の力を天にかな 吉田順子 201702
冬薔薇の中ゆく大仏次郎館 落合絹代 風土 201702
伝道の椅子に座しをり冬薔薇 佐藤やすこ 風土 201702
変る世にかはらぬ白や冬鴎 沼田巴字 京鹿子 201702
生きるとはほほゑむことや冬薔薇 沼田巴字 京鹿子 201702
邪心なき色となりたり冬薔薇 宇都宮敦子 201702
真白かな衣通姫てふ冬薔薇 宮崎洋 春燈 201702
まばらなる学食の席冬の午後 安藤久美子 やぶれ傘 201702
心より頷き合いて冬薔薇 本多俊子 201703
冬薔薇を今朝数へれば十五輪 藤波松山 京鹿子 201703
壺に挿してより愛でらるる冬薔薇 西村しげ子 雨月 201703
死者に死の無くてくれなゐ冬薔薇 高橋道子 201703
溜息の深きを聞かれ冬薔薇 山口ひろよ 201703
実家てふ脱け殻紅き冬の薔薇 下田村園子 201704
偶然は必然の罠冬薔薇 服部早苗 201703
冬薔薇添ひとげし日の遠くなり 田代貞香 201703
剪るを躊躇ふ一輪の冬薔薇 山内碧 201703
空の青負けずに咲きし冬薔薇 中谷富子 201704

 悼・中嶋昌子さん

やはらかくそよぐ強さの冬菫

太田佳代子 春燈 201704
胸燃ゆる不器男の句碑や冬薔薇 堀田清江 雨月 201704
冬薔薇むしろ残像ではないか 水野恒彦 201705
とぼとぼと帰りの道に冬薔薇 秋川泉 あを 201704
迷い込む空中庭園冬の薔薇 秋川泉 あを 201704
冬バラよ無口変りませんけれど 長沼佐智 船団 201707
冬薔薇乾いた音の別にあり 北上正枝 201707
淋しさの正体冬の薔薇に棘 栗原公子 201801
冬薔薇男結びの荷の届く 岩下芳子 201801
一本の持ち重りして冬の薔薇 島田万紀子 馬醉木 201801
恋歌を歌ふ傘寿や冬薔薇 岩田洋子 201802
冬薔薇を剪る王朝は滅ぶもの 菊川俊朗 201802
冬薔薇蕾に力ためてをり 蒲田豊彦 雨月 201802
友の訃にそつと束ぬる冬の薔薇 榎美幸 万象 201802
冬薔薇囲む湖畔のレストラン 赤座典子 あを 201802
冬麗や薔薇に囲まれ誕生日 永井惠子 春燈 201802
冬薔薇ひらがな書きのごとき雨 宮川みね子 風土 201802
夕空は真水のごとし冬薔薇 宮川みね子 風土 201802
冬薔薇大人可愛いいくつまで たかはしすなお 201803
身綺麗に生きてゆきたし冬薔薇 菊地光子 201803
咲きさうな咲かなささうな冬薔薇 渡谷和代 万象 201803
誕生日子より真紅の冬薔薇 堺昌子 末黒野 201803
思ひ出は濾過され冬の薔薇真紅 楠原幹子 201803
冬薔薇一輪のみの香なりけり 大嶋洋子 春燈 201803
ぬくもりは拒否する冬の薔薇ゆれる 火箱ひろ 201803
まあわたしおばあさまなの冬薔薇 たかはしすなお 201803
つつましき紅の香や冬薔薇 安立公彦 春燈 201804
日溜りの少女の像や冬薔薇 長田厚子 末黒野 201804
冬薔薇明日咲くものと散るものと 吉田順子 201804
楽ひとつ苦も一つあり冬薔薇 今井洋子 京鹿子 201805
冬薔薇を愛し孤独を愛しけり 湖東紀子 ホトトギス 201805
青いバラ爪に咲かせて冬に入る 波戸辺のばら 船団 201806
冬薔薇ほめてゆきたる郵便夫 永田万年青 六花 201806
枝先の一輪紅し冬薔薇 永田万年青 六花 201806
冬バラをのせてニトリの白い椅子 坪内稔典 船団 201806
冬銀河アスパラガスは眠らない 赤石忍 船団 201812
日を受けて紅透き通る冬薔薇 加藤北天 雨月 201901
それとなく相歩み寄る冬薔薇 山田六甲 六花 201902
冬薔薇や石に明治の竣工日 菊川俊朗 201902
退屈なをとこをとかす冬薔薇 丸井巴水 京鹿子 201902
冬薔薇に身じろぎもせず匂ひ待つ 田中たつを 雨月 201902
冬の薔薇咲くを拒める蕾もつ 宮内とし子 201902
一木に一輪づつの冬薔薇 永田万年青 六花 201902
冬薔薇このままに終れるもんか 山田六甲 六花 201902
冬薔薇刺白くして固くあり 山田六甲 六花 201902
町騒の遠き庭園冬薔薇 高木邦雄 末黒野 201903
誕生日孫(こ)の手にあまる冬の薔薇 堺昌子 末黒野 201903
仲見世をのがれて路地の冬薔薇 山下健治 春燈 201903
少年のテナーサックス冬薔薇 平田きみこ 風土 201903
うす雲の日を洩らしをり冬薔薇 林いづみ 風土 201903
冬薔薇その細き頸風に揺れ 辻由紀 雨月 201903
冬麗や艶めき赤き薔薇の棘 多方清子 雨月 201903
陰忍の日数の色の冬薔薇 森脇貞子 雨月 201903
やすらぎの雨をふふみて冬の薔薇 篠原幸子 春燈 201903
窓近く立冬の薔薇しづかなり 小田嶋野笛 末黒野 201903
冬薔薇真紅は抱くための色 和田華凛 ホトトギス 201903
レノン忌のこんなに赤き冬薔薇 山岸明子 201903
冬薔薇のきりりと杉田久女の忌 山岸明子 201904
病む人の笑う声して冬薔薇 おーたえつこ 201904
手際よきベッドメイクや冬の薔薇 はしもと風里 201904
冬薔薇に女の健気見たりけり 中村紀美子 春燈 201904
冬薔薇一輪にしてきらめける 永田万年青 六花 201904
冬薔薇の真紅の吐息闇甘し 安田優歌 京鹿子 201904
斯く迄の潔き赤冬薔薇 大内由紀 末黒野 201904
沈黙は時に雄弁冬薔薇 藤田美耶子 201904
冬薔薇のひとひら残る光かな 本間せつ 末黒野 201904
靴のまま上がる洋館冬の薔薇 宮内とし子 201904
冬薔薇ひとひらごとの祈りかな 寺田すず江 201904
バラバラの骨のオブジェや冬あぢさゐ 熊川暁子 201904
補修したき思ひ出ふたつ冬薔薇 大政睦子 京鹿子 201904
師の恩や港明かりの冬薔薇 中島陽華 201905
咲きかけて沈黙に入る冬薔薇 住田千代子 六花 201905
目を閉じて目をつくれとや冬薔薇 甲斐いちびん 船団 201906
冬バラのゲート古稀まであと少し 火箱ひろ 船団 201906
冬薔薇崩るるときの赤さかな 水沢和世 202001
省略を効かせすぎたり冬の薔薇 佐藤千恵 京鹿子 202001
うつそみの恋は盲目冬薔薇 近藤真啓 春燈 202001
冬薔薇や燈台守はものを読む 水原秋櫻子 馬醉木 202001
冬薔薇→ 1

2021年1月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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