冬の薔薇 1    100句

冬薔薇に開かぬ力ありしなり   青柳志解樹   松は松

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬薔薇や気になる人のとほくゐて 環順子 遠嶺 199805
うしろ手に持ち夫よりの冬薔薇 野口光枝 高籬 199812
冬薔薇を指はきはきと挿しにけり 山尾玉藻 火星 199901
冬薔薇を抱き透明な昇降機 川井政子 風土 199901
冬薔薇古域に聴きしオルゴール 川端和子 遠嶺 199903
冬薔薇時計の中のドイツ文字 石山惠子 遠嶺 199904
瓶の背きりきり細し冬薔薇 大倉郁子 ヒッポ千番地 199906
三階に見れば見ゆると冬薔薇 稲畑汀子 ホトトギス 199912
雲晴れて香り濃くせし冬薔薇 武岡東西 俳句通信 199912
冬薔薇ティッシュのように丸まって 津田このみ 月ひとしずく 199912
冬薔薇を贈られしより誕生日 稲畑汀子 ホトトギス 200001
冬薔薇の襞に沈めりサティの楽 岡田貞峰 馬醉木 200002
冬薔薇や寡黙くづさぬバレリーナ 本郷桂子 円虹 200002
冬薔薇師や友がらや健やかに 橋添やよひ 風土 200002
冬薔薇白きがゆゑの書斎かな 小澤克己 遠嶺 200003
生きるとは祈ることかな冬薔薇 井上芙美子 円虹 200003
世を遠く友は病みをり冬薔薇 大見川久代 馬醉木 200003
冬薔薇たぶんわたしは魔女となる わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
やんわりとたしなめられて冬薔薇 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
花言葉聞かずじまいで冬薔薇 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
第九歌ふ壇に深紅の冬薔薇 吉見文子 200003
冬薔薇一花を残し剪りにけり 志水千代子 雲の峰 200003
冬薔薇もて仕切りたる絵画展 伊藤重美 雲の峰 200003
冬薔薇の黒へ近づく日暮れかな 藤丹青 円虹 200004
少年のまなこに涙冬薔薇 武井美代子 風土 200004
撃つならば一輪の赤冬の薔薇 川井政子 風土 200004
冬薔薇我は喉から病んでおり 吉川真実 海程 200004
蜜蝋の芯は少女期冬薔薇 神田夏果 海程 200004
生涯のこの出逢ひこそ冬薔薇 小林あや子 200004
くれなゐの冬の薔薇咲く心療科 志方桜子 六花 200004
選びゐる言葉の重し冬薔薇 岡田万壽美 俳句通信 200004
水の透くコップに挿して冬薔薇 山口速 200005
いつ見ても蕾のままの冬薔薇 二瓶洋子 六花 200005
ベッドカバーしたままの部屋冬薔薇 朝日彩湖 船団 200006
逢ふてより匂ひ消しけり冬薔薇 武井康隆 船団 200007
余生だと言い切る背中冬薔薇 児玉硝子 ヒッポ千番地 200007
木を擦つて火を熾しけり冬薔薇 神蔵器 風土 200101
比売神の小さき鈴や冬薔薇 中御門あや 俳句通信 200101
黄昏の中の一輪冬薔薇 島田和子 風土 200102
一輪の冬の薔薇ある試着室 山尾玉藻 火星 200102
キリシタン墓地明るくて冬薔薇 大矢和歌子 200103
頑なに蕾の紅や冬薔薇 小滝奈津江 酸漿 200103
冬薔薇のほほえみ天寿全うす 尾根ゆき恵 200103
恋歌やピアフの好きな冬の薔薇 三池泉 船団 200103
母は抱く冬薔薇むらさき子を送る 赤座典子 あを 200103
「プレイボーイ」全き黄なり冬薔薇 中川濱子 ぐろっけ 200103
ある限りの冬薔薇をもて送りたし 大橋敦子 雨月 200104
冬薔薇直立をして指を待つ 津田このみ 船団 200105
そして星座はリフレッシュ冬薔薇 金子皆子 海程 200105
生きる意志散るその時も冬の薔薇 金子皆子 海程 200105
冬の薔薇葛子と笑い転げいる 金子皆子 海程 200105
胸に秘す記念日のあり冬薔薇 高橋とも子 200107
冬薔薇に我という流刑地ありぬ 九堂夜想 海程 200110
韓国の冬薔薇の香とチェックイン 稲畑汀子 ホトトギス 200112
そこはかと匂いこぼるる冬のバラ 高樋洋子 いろり 200112
冬薔薇に古稀祝はれてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200201
看取りたる月日偲べり冬薔薇 宮本道子 酸漿 200202
冬薔薇おのれのためにひらきけり 横山淑子 200202
冬薔薇や母の齢になほ十年ととせ 大橋敦子 雨月 200202
駅近し覚えの横道冬薔薇 久保田一豊 いろり 200202
風の中縮みて散れる冬薔薇 山荘慶子 あを 200202
殉ずるとふ狂気ありけり冬薔薇 武井清子 銀化 200202
こゑ美しく朝を働く冬薔薇 木内憲子 200202
冬薔薇のいのちながきを哀しめり 松井淑子 200202
冬薔薇謎解くやうに開きけり 清水明子 遠嶺 200203
冬薔薇日の射す店の招き猫 清水明子 遠嶺 200203
前だけを見つめてをりぬ冬薔薇 土岐明子 遠嶺 200203
冬薔薇のしんしんと紅深めけり 堀田こう 雨月 200203
明けてなほ闇の色秘む冬の薔薇 百瀬虚吹 風土 200203
冬薔薇採血室のカウンター 横山迪子 六花 200203
冬薔薇をこはさぬほどの海の照 山田美保 200203
冬薔薇のはやくれなゐの莟持つ 小澤スミエ 200203
冬薔薇の色刻々に変りゆき 坂井建 ホトトギス 200204
冬薔薇のなほ崩れざるままにあり 坂井建 ホトトギス 200204
振り向かぬ人に真紅の冬薔薇 三沢蘭 遠嶺 200204
冬薔薇歩き出す児と杖の母 古井君枝 ぐろっけ 200204
冬薔薇わが心にも二面石 宮武美代子 ぐろっけ 200204
冬薔薇千と千尋の神隠し 清水明子 遠嶺 200205
格子戸の日溜りに添ふ冬薔薇 大村真佐子 遠嶺 200205
やさしさは病舎の欝を冬薔薇に 荻野千枝 京鹿子 200205
死神のタロットカード冬薔薇 関位安代 帆船 200301
よそゆきの顔に抱かれし冬の薔薇 斉藤静枝 あを 200301
晩学の一念確と冬薔薇 筏愛子 200302
冬薔薇茶房の壁のセーヌ川 寺内佶 遠嶺 200302
さりげなく嘘聞き流す冬薔薇 高尾豊子 火星 200302
還暦や白磁の壷に冬の薔薇 植木戴子 200302
音楽室の二重の扉冬薔薇 太田芙美子 帆船 200302
夕闇のあと胸中の冬薔薇 森田蝌蚪 200302
冬薔薇咲けとビニール袋被す 長谷川きくの 築港 200302
官能的描寫連綿冬薔薇 中原道夫 銀化 200302
月読の神に香れる冬の薔薇 深川知子 雲の峰 200302
冬薔薇のとんがつてゐる蕾かな 大川陽子 雲の峰 200302
冬の薔薇園めぐる車椅子 清水和子 酸漿 200302
冬薔薇蕊に昨夜の雨滴つく 泰江安仁 百鳥 200302
やすらぎの一輪として冬薔薇 後藤志づ あを 200302
冬薔薇己の刺に臆しをり 安達加寿子 200303
快諾の報千本の冬薔薇 桜井和子 遠嶺 200303
洋館の庭の銅像冬薔薇 佐藤慶一 遠嶺 200303
冬薔薇の一語一語を抱きにけり 柴田久子 風土 200303
潔癖な白をひきしめ冬薔薇 山口速 200303
冬薔薇→ 2      

 

2020年12月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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