冬の薔薇 3    100句

冬薔薇の束抱き無灯のわが家見る  小桧山繁子  現代俳句文庫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬薔薇開かぬまゝに友逝きし 舩越美喜 京鹿子 200603
同名てふ姑と嫁冬薔薇 東亜未 あを 200603
一瞬の晴れ間でありし冬の薔薇 牧長幸子 対岸 200603
冬薔薇週に三日の喫茶店 間島あきら 風土 200604
冬薔薇胸中にあるユダの翳 江崎成則 栴檀 200604
冬薔薇母の口癖なつかしき 赤松赤彦 六花 200604
一弁を解くを拒めり冬薔薇 土永三輪子 対岸 200604
晴れがましき傘寿祝や冬薔薇 平井とも子 200605
冬薔薇の真つ赤を活けてカフェテラス 塚越美知子 200605
討入りの日の水揚げて冬薔薇 服部早苗 200605
師の筆の躍る俳書や冬薔薇 山田富朗 遠嶺 200605
咲くことを拒みとほして冬薔薇 八木章帆 200606
贈られて手に溢れ抱く冬の薔薇 稲畑汀子 ホトトギス 200612
生涯を語る句集や冬薔薇 稲畑汀子 ホトトギス 200701
冬薔薇や弾くより踊りたいロンド 前川明子 200701
香を抱きしづかに咲けり冬薔薇 岡田麻枝 酸漿 200701
冬薔薇洋間に小さき蓄音機 名取袿子 200702
細き首まつ直ぐ立てて冬の薔薇 あさなが捷 200702
喜寿の友米寿の吾へ冬薔薇 松崎鉄之介 200702
イーゼルに囲まる真紅の冬の薔薇 深見眞弓 200702
冬薔薇いつも散歩で出会ふ人 鈴木久香 遠嶺 200702
冬薔薇の日の寵にすら背くかに 窪田佳津子 雨月 200702
冬薔薇庭の手入れは妻任せ 秋田直己 ぐろっけ 200702
血の色の冬薔薇誰も彼も遠し 宮尾直美 200702
ナプキンの帆立つテーブル冬薔薇 泉田秋硯 200703
墓前には愛の証の冬薔薇 山下佳子 200703
珈琲館静かに混んで冬の薔薇 永井雪狼 200703
蕭条の被爆の丘に冬の薔薇 山田ひさし 馬醉木 200703
冬の薔薇目つむりて聴くレクイエム 平野伸子 馬醉木 200703
桂郎の肉声知らず冬薔薇 門伝史会 風土 200703
一葉の生涯二十四冬薔薇 森田節子 風土 200703
ふつくらと日差しを包み冬薔薇 いしだゆか 遠嶺 200703
原点のやうに一重の冬薔薇 田尻勝子 六甲 200703
ちりつくし棘いきいきと冬薔薇 竹内弘子 あを 200703
表札はローマ字の門冬薔薇 坂上香菜 時流 200703
冬薔薇の真紅の勁さ眩しめり 宮野照子 馬醉木 200704
冬薔薇の黄の一輪を奉る 三沢蘭 遠嶺 200704
すこやかに陽をいただきし冬薔薇 小牧喜美子 遠嶺 200704
宙を跳ぶ名馬の毛づや冬薔薇 青木久子 遠嶺 200704
凛として触るるを拒む冬薔薇 塩山弓子 雨月 200704
冬薔薇鞄ひらけば喪服見え 丸山照子 火星 200704
冬薔薇の棘赤々と日に映ゆる 菊地恵子 酸漿 200704
供華に剪る一輪咲きし冬薔薇 中島静子 酸漿 200704
ひとり居に訪ね人あり冬薔薇 芝宮須磨子 あを 200704
朝の日に紅ほぐれつつ冬薔薇 大泉美千代 雨月 200705
ファドを聞くひとりの夕べ冬薔薇 川畑はるか 遠嶺 200705
開かんと微妙な吐息冬薔薇 中野英歩 八千草 200707
みちのくへ届けん冬薔薇の香よ 稲畑汀子 ホトトギス 200711
その席に白き冬薔薇供へられ 稲畑汀子 ホトトギス 200711
冬薔薇や人に等しく死のありて 福場朋子 200711
冬薔薇抱いてアンコールはショパン 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
冬薔薇一本胸に棺閉ぢる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
冬薔薇一本に君輝けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
真紅てふ淋しき色や冬薔薇 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
わが幸を分ちたきとも冬薔薇 稲畑汀子 ホトトギス 200801
冬薔薇を抱き余りし力かな 稲畑汀子 ホトトギス 200801
忘れゐし弾みごころや冬薔薇 林翔 馬醉木 200801
去ることを決めし朝や冬薔薇 物江康平 春燈 200801
早世は神のねたみや冬薔薇 神蔵器 風土 200801
抱きたる冬薔薇に胸押されけり 岡本眸 200801
冬薔薇モダン好みし父の忌来 後藤眞由美 春燈 200802
友の訃の葬無しとのみ冬薔薇 相良牧人 200802
誕生日の玄関蘭と冬の薔薇 松崎鉄之介 200802
夜々匂ふ誕生祝の冬の薔薇 松崎鉄之介 200802

 悼 片岡妙子様

お別れの顔へ真白な冬の薔薇

松崎鉄之介 200802
日の当る遊女の墓や冬薔薇 木下忠雄 酸漿 200802
カリヨンの終の音に暮れ冬薔薇 岡田和子 馬醉木 200803
床の間の壺のはなやぎ冬薔薇 中山静枝 200803
ヴァージンロードに父支ふ娘や冬薔薇 藤田千代江 200803
亡き人の歌声流す冬薔薇 牧野睦子 200803
降りて来る昔の顔と冬薔薇 三沢蘭 遠嶺 200803
再会は言葉にならず冬薔薇 三沢蘭 遠嶺 200803
はつとする出会ひ幾度冬薔薇 石山惠子 遠嶺 200803
夫からの文冬薔薇の輝けり 赤池英津子 遠嶺 200803
紅見せて蕾のままの冬薔薇 君島栄子 酸漿 200803
冬薔薇のかをり微熱のあるごとく 大川ゆかり 200803
冬薔薇へためらひがちの花鋏 和田政子 200804
バイオリンの弓を平らに冬薔薇 岩井ひろこ 火星 200804
冬薔薇の気品の色香競ふなし 岸野美知子 酸漿 200804
冬の薔薇風いとひつつ開きをり 青木陽子 酸漿 200804
影にまで辣くつきりと冬薔薇 小山徳夫 遠嶺 200804
冬薔薇にこころ絆され胸に挿す 泉田秋硯 200805
マイペースで遂に咲きたる冬薔薇 楯野正雄 200805
冬薔薇の嘘偽りの無き白よ 木内憲子 200805
冬薔薇や時空世界へ旅程組む 津田礼乃 遠嶺 200806
冬薔薇人には見せぬふたごころ 勝見玲子 200806
ソウルにも日本と同じ冬薔薇 陽山道子 船団 200806
妻逝くも吾は翁ぞ冬の薔薇 林友次郎 天帝 200806
海碧き文学館の冬薔薇 中沢三省 風土 200810
冬薔薇もてるいのちを極めけり 小泉貴弘 筑波の道 200811
冬薔薇の棘に死す夢現とも 勝原文夫 ペン皿 200811
香に溺れたるは冬薔薇五十本 稲畑汀子 ホトトギス 200812
トランプの独り占ひ冬の薔薇 藤見佳楠子 200901
冬薔薇に実感重ねゆける喜寿 稲畑汀子 ホトトギス 200901

 悼 築城京氏

冬薔薇生涯の一書枕辺に

水原春郎 馬醉木 200901
大き手にゆだねて白し冬薔薇 渡邊泰子 春燈 200901
コーラスの中に妻ゐて冬薔薇 遠藤和彦 彩雲 200901
冬薔薇検査待つ日の近づきぬ 森山のりこ あを 200901
うそぶいて塀より高き冬薔薇 菊池育子 遠嶺 200902
一つ家に二つの心冬の薔薇 大西洵子 遠嶺 200902
冬薔薇 →4      

 

2021年1月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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