冬めく 1    203句

口に袖あてゝゆく人冬めける    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬めくや今日済まさねばならぬこと 稲畑汀子 ホトトギス 199811
よべ風を聴きし朝の冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 199811
湖北より戻りたる日の冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 199811
今日よりは冬めく心従へて 稲畑汀子 ホトトギス 199811
晴れてゆく雲の迅さの冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 199812
船の灯の消ゆれば岸の冬めきぬ 藤村美津子 春耕 199901
冬めきてものの影濃き夜となりぬ 中村七三郎 七三郎句集 200001
富士山の一糸まとはず冬めけり 桑垣信子 いろり 200001
冬めくと日の斑を流す神田川 神蔵器 風土 200001
冬めきしこの地に記念文学館 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
太陽を消して冬めく雲低し 塙告冬 ホトトギス 200003
一夜にて冬めく朝となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200011
原稿を一つ書き上げ冬めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200011
冬めきて衝動買をすることも 稲畑汀子 ホトトギス 200011
冬めくと思ひしことも朝のうち 稲畑汀子 ホトトギス 200011
東京の方が冬めきをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200011
冬めけば冬の音する道修町 松山律子 六花 200101
冬めくや男の美学なんて気障 志方桜子 六花 200101
橋くぐるときの太陽冬めきぬ 甲州千草 200101
冬めくや異人にありて鼻のかげ 鷹羽狩行 200102
冬めくや鴉の歩くアスファルト 生田作 風土 200102
四間道の冬めく河岸の蔵いくつ 鵜飼紫生 雨月 200104
冬めくや国宝展の刀の反り 鷹羽狩行 200112
冬めいてこまめに動きストレスを 篠田三七子 いろり 200112
燈火点く鉄格子窓冬めける 山荘慶子 あを 200201
畳屋の尺寸読みや冬めける 杉本重雄 200202
冬めくや庫裏の三和土に日の射して 志水千代子 雲の峰 200202
糸車置きて冬めく畳かな 和田敏子 雨月 200202
夜の更けて魚煮る匂ひ冬めける 加瀬美代子 200202
昨日釣今日は雨読と冬めぐる 河内童楽 六花 200203
旅をして冬めくものに足の音 加藤暢一 200203
冬めくや異人にありて鼻の影 鷹羽狩行 十三星 200105
すでに冬めき山の湯宿の一灯 長沼紫紅 200204
朝の間の冬めく雲の消えてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200211
冬めくはまだ少し先油断あり 稲畑汀子 ホトトギス 200211
星のこと語り冬めく日なりけり 稲畑汀子 ホトトギス 200211
怪我といふ消息聞けば冬めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200211
冬めくや砥の粉ばかりの残る絵馬 朝妻力 雲の峰 200212
冬めくやのろのろ歩き背のびして 芝宮須磨子 あを 200212
冬めくや昔の恋の残る町 石田静 200301
冬めきぬ孔雀のケージがらんだう 笠井敦子 200302
いにしえの証の礎石冬めける 左官治郎 200302
冬めくや眼鏡に歪む方眼紙 大村孝 百鳥 200302
冬めくや針の輝きほどの幸 平居澪子 六花 200202
冬めける下界益益万華鏡 春日久子 八千草 200305
ともかくも冬めく仕度旅鞄 稲畑汀子 ホトトギス 200311
大川の水音船音冬めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 200311
冬めくや木屑火を噴くドラム缶 朝妻力 雲の峰 200312
冬めくや納豆糸を引きしぶり 伊藤たいら 雲の峰 200401
二人居て独りごちゐて冬めける 窪田佳津子 雨月 200402
尋ね尋ね冬めく道の北を指す 溝内健乃 雨月 200402
冬めくや観音像の身の細り 西澤ひで子 遠嶺 200403
仏の磴登る冬めく石のぼる 坊城俊樹 ホトトギス 200403
冬めくと引き寄せられて花屋の灯 鳴海清美 六花 200403
病癒ゆ庭のいつしか冬めきて 水田清子 200402
耳や鼻突き出るものの冬めける 齊藤實 200403
喪心も少し冬めく大会に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
冬めきて靴音乾く都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
稲城野の山高からず冬めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
三沢川奏でる水音冬めきぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
冬めきて鳥語乾いてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
冬めきて鏡のやうな目黒川 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
冬めいてくれば又ビル天に伸び 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
冬めくと言ひ旅疲れ口にせず 稲畑汀子 ホトトギス 200411
朝の間の冬めく風の止みにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200411
旬日の旅冬めくを心して 稲畑汀子 ホトトギス 200411
冬めくや買ひたきもののある出先 稲畑汀子 ホトトギス 200411
ボルシチのビートの甘さ冬めけり 林陽子 万象 200503
窓越しに冬めく目覚め指体操 日野公子 ぐろっけ 200202
柩窓閉ざし冬めく山の色 高木篤子 ぐろっけ 200303
掃く音の近づきベンチ冬めける 細野恵久 ぐろっけ 200411
剃りたての僧の小走り冬めける 渡辺君恵 帆船 200501
石ころも冬めくものの一つかな 安陪青人 雨月 200501
冬めくや雲ぬがぬ山にかこまれて 豊田都峰 京鹿子 200502
冬めくや握り太なる万年筆 橋本之宏 風土 200502
冬めくや源氏の間てふ小暗さに 笹村政子 六花 200502
旅に聞く鐘も冬めくもののうち 市堀玉宗 栴檀 200502
鍼のごと冬めく波のもつひかり 市場基巳 200505
冬めくや栞の目立つ季語辞典 板倉エミ 200504
冬めくや居酒屋の鍋ふつふつと 村井節子 200504
雨降つて止んで冬めく日となりし 稲畑汀子 ホトトギス 200511
背をしやんと伸ばし冬めく街に出る 稲畑汀子 ホトトギス 200511
客残し出掛けることも冬めく日 稲畑汀子 ホトトギス 200511
旅心全開富士の冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 200511
電球の切れて冬めくシャンデリア 稲畑汀子 ホトトギス 200511
耳鳴りをうつとりと聴き冬めきぬ 林翔 馬醉木 200601
冬めくと昼湯の遊びごころかな 岡本眸 200512
冬めくや小言幸兵衛独り言 小山光彦 四葩 200601
剣道の子らの素足や冬めける 浜口タズノ 河鹿 200602
冬めくやぺージをめくる指先も 木村みかん 200602
沖雲へ冬めく波の秀のしろし 板坂良子 馬醉木 200602
船団の水尾の波風冬めきて 岩城湍 四葩 200602
灯の下の茶を熱うして冬めきし 荻野千枝 京鹿子 200602
冬めけば度々父母を訪ねけり 松鶴裕子 河鹿 200603
冬めく日小田和正のコンサート 須賀敏子 あを 200602
一慶事終りしよりの冬めける 桑田青虎 ホトトギス 200604
湯気立ちて冬め厨の和らぎし 秋千晴 200604
冬めいてきても下町は下町 稲畑廣太郎 ホトトギス 200611
冬めくや地下の画廊へ導く灯 宮津昭彦 200612
冬めける思ひにはたとわが齢 岡本眸 200612
冬めくと帽子深々かぶりたる 二村蘭秋 雨月 200701
冬めくや引つくり返す砂時計 生方義紹 春燈 200702
冬めくや庭師の脚の下りて来し 杉浦典子 火星 200702
鉛筆を削れば木の香冬めきぬ 山田天 雨月 200702
冬めいて来たるは時間かも知れず 後藤立夫 ホトトギス 200704
冬めきて虚子句碑いよよ小さかり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
冬めくや庭に置かれし竹箒 稲畑汀子 ホトトギス 200711
冬めくといふも油断の朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 200711
合流す冬めく旅路戻られて 稲畑汀子 ホトトギス 200711
冬めくや瞼おもたく文を読む ことり 六花 200712
尾瀬ヶ原湧きくる靄の冬めけり 黒坂紫陽子 馬醉木 200801
羅紗屋てふ言葉なつかし冬めきて 杉本光 200802
赤んぼの手のひら赤く冬めきぬ 野路斉子 200802
冬めきし車窓に富士の茫とあり 稲畑汀子 ホトトギス 200811
鈍色に鐘楼古りて冬めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200811
鈍色に鐘楼古りて冬めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200811
冬めけるかすかなものに躓きて 遠藤実 あを 200901
冬めける蛇口の水の一しづく 遠藤実 あを 200901
冬めくや回送車過ぐ高架駅 出口賀律子 雨月 200902
冬めくや足音尖る石畳 高木典子 雨月 200902
隅櫓日の薄々と冬めける 栗田武三 ぐろっけ 200902
夕ぐれて急に冬めく下駄の音 松本圭司 200902
冬めくや己が背中の曲り癖 遠藤実 あを 200902
反論をする気の失せて冬めきぬ 千原叡子 ホトトギス 200903
早起きを怯む心の冬めけり 河野美奇 ホトトギス 200904
窓たゝく風の冬めきゐたりけり 久永つう 六花 200905
冬めける君のゑくぼでありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200911
寝不足の朝もつとも冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 200911
雲重き一日なりけり冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 200911
満天の星も冬めくものとして 稲畑汀子 ホトトギス 200911
明るさをとどめ冬めく水辺かな 稲畑汀子 ホトトギス 200911
旅心冬めく心遠ざくる 稲畑汀子 ホトトギス 200911
東京は冬めく雨となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200911
結局は車拾ひて冬めく日 稲畑汀子 ホトトギス 200911
蹄音冬めきて来る神馬どち 下平しづ子 雨月 201002
冬めける一つに吾の後頭部 井田実代子 雨月 201002
地下鉄の下の下まで冬めきぬ 能美昌二郎 201003
冬めくや忘れたきこと一事あり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
冬めくや原爆ドームあるがまま 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
オリオンのベルトの辺り冬めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
冬めくや丸ビルの窓小さくなり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
縄張つてつくる畑畝冬めきぬ 辻直美 201012
冬めくや林たちまち日失ふ 豊田都峰 京鹿子 201012
仏頭の目尻きりりと冬めける 笠井清佑 201101
冬めくと思へば椅子の軋みけり 山内四郎 春燈 201102
冬めくや京に遺れる蝦夷の碑 竹内慶子 春燈 201102
冬めきて母に手渡す蒸しタオル 中村紀美子 春燈 201102
子を見舞ひバス待つ列に冬めける 鈴木とおる 風土 201102
冬めきて空全開す妙義山 外川玲子 風土 201102
泥沼を駆けぬくる鷭冬めけり 広瀬俊雄 万象 201102
茫々たる歴史陵冬めきぬ 大橋晄 雨月 201102
波郷忌の風どことなく冬めけり 松本三千夫 末黒野 201102
山裾の藁焼く匂ひ冬めけり 大橋伊佐子 末黒野 201102
冬めくやクレーン吊すシルエット 橋本之宏 風土 201104
冬めくと朝の会話の辻りだす 中田みなみ 201201
冬めくや検査数値に変はりなし 松岡利秋 かさね 201202
コラージュにひと刷け紅の冬めける 荒井千瑳子 201202
置き去りの玩具砂場に冬めきぬ 岡本尚子 風土 201202
冬めくや潮入川のゆふづくは 西村しげ子 雨月 201202
模糊とした中に立つ人冬めける 稲岡長 ホトトギス 201203
これからのこれからのこと冬めきぬ 副島いみ子 ホトトギス 201205
冬めきてソーラー灯の儚げに 国包澄子 201301
冬めける空の青さの翳りかな 国包澄子 201301
冬めくや昼を灯して轆轤ひく 横田初美 春燈 201301
外灯は浦風の中冬めける 豊田都峰 京鹿子 201301
冬めきぬ諭され殖ゆる薬かな 田中涼平 201302
城山の冬めく色に日の当る 今井千鶴子 ホトトギス 201304
冬めいてきゃりーぱみゅぱみゅのぱみゅ 静誠司 船団 201304
なんとなく林試の森の冬めける 安藤虎酔 かさね 201305
供華もなく刀匠の墓冬めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
旅続く冬めく鉄路乗り継ぎて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
冬めくや東京ドーム白々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
冬めくや水の分子にある主張 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
縞馬の黒の曼陀羅冬めくと 水野恒彦 201402
冬めくや風みちの梢嚆矢とし 浅井青二 雨月 201402
冬めきし丸き古墳や勝鴉 奥田茶々 風土 201402
いつの間に冬めく雨となりしかな 本田保 春燈 201403
何事なく冬めく雨となりにけり 本田保 春燈 201403
なほ凌ぎ易き日のあり冬めくも 稲畑汀子 ホトトギス 201411
俤を重ね冬めく景を行く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
冬めくや君の顔近付けば 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
祝賀終へ冬めく都市となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
なほ凌ぎ易き日のあり冬めくも 稲畑汀子 ホトトギス 201411
冬めいて歩幅大きくなりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
俤を重ね冬めく景を行く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
冬めくや君の顔近付けば 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
冬めいて水辺を恋うてゐる羽音 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
その中に人馬沈めて冬めけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
祝賀終へ冬めく都市となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
冬めける苔の蹲踞まろやかに 鷲見たえ子 201501
冬めくや工都の空の吹き晴れて 落合晃 201501
大理石の床に靴音冬めける 竹内タカミ 201502
玉砂利の音も冬めく寺詣 岡真紗子 201502
北山へ雲の片寄り冬めけり 谷村祐治 雨月 201502
湯の町のはや冬めける旅衣 中村紀美子 春燈 201502
冬めくや日時計の針影の中 古川忠利 ろんど 201502
冬めける将軍塚や雲低き 伊東和子 201502
冬めくや日の射す方へ鯉移り 佐津のぼる 六花 201503
力得し星の輝き冬めける 山田閏子 ホトトギス 201504
午後二時の日差し斜めや冬めきて 岩村惠子 ホトトギス 201504
冬めくやそれも励みとしたる日々 今橋眞理子 ホトトギス 201504
田村元逝き永田町冬めける 大久保白村 ホトトギス 201504
冬めいてきたる明るさ夜の銀座 須藤常央 ホトトギス 201505
雑踏の冬めく音の中に居り 須藤常央 ホトトギス 201505
冬めくや人の心の乾きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
収録を終へしスタジオ冬めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
冬めける長き滞在旅のもの 稲畑汀子 ホトトギス 201511
積まれある稿債の辺の冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 201511
欠席といふことづての冬めける 稲畑汀子 ホトトギス 201511
朝殊に冬めく風の荒しとも 稲畑汀子 ホトトギス 201511
一つ又一つ冬めく庭となる 稲畑汀子 ホトトギス 201511
忙しき一と日冬めくこと忘れ 稲畑汀子 ホトトギス 201511
冬めくや仕事の山を残しつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201511
冬めく→2      

 

2021年11月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。