冬 木 2      200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
枝ぶりをこまごま見せて冬木立 稲畑汀子 ホトトギス 200312
明るさを庭に広げて冬木立 稲畑汀子 ホトトギス 200312
冬木立一山荘の灯りをり 大沢敦子 雲の峰 200401
絵硝子に冬木の影やミサはじまる 佐々木幸 200401
夕暮の風聴いてゐる大冬木 大木千鶴子 雲の峰 200401
城跡の道あきらかに冬木立 北嶋薫 築港 200402
あすよりは今日に恩あり冬木山 鈴鹿仁 京鹿子 200402
折紙館昌平黌の冬木立 芝宮須磨子 あを 200402
冬木立性根据ゑたるさまに見て 久保田雪枝 雨月 200402
冬木叩けば快晴の音したる 山尾玉藻 火星 200402
百日紅冬木となりて皮を剥ぐ 清水伊代乃 酸漿 200402
山並の山なりに透く冬木立 鷹羽狩行 200402
大冬木切株となり名を無くす 大串章 百鳥 200402
夕暮の音の清かに冬木立 大久保恵美子 遠嶺 200402
冬木立鈍色の雲支へをり 本荘初枝 築港 200402
冬木より冬木へひとり遊びの子 大串章 百鳥 200402
経塚に冬木の影のありにけり 阿波岐滋 草の花 200403
冬木影真直ぐわが影重ねても 加瀬美代子 200403
冬木立身ぬちうるほひ出る画廊 磯みどり 遠嶺 200403
曙杉冬木となりて天を指す 梅田秀子 酸漿 200403
離れゆくふたつの影や冬木立 山田禮子 遠嶺 200403
墓碑銘は兄蘇峰の書冬木立 濱口南子 京鹿子 200403
冬木立映り川面の流れけり 神村鉄雄 草の花 200403
千年の寺領を囲む冬木立 水井千鶴子 風土 200403
泣くものに鳥や赤子や冬木立 冨田正吉 200403
走り根の城壁掴む冬木立 山元海郎 河鹿 200404
送らるる子のふり向かず冬木立 藤井智恵子 百鳥 200404
冬木立ささやき声す無言館 福田かよ子 ぐろっけ 200404
頭の中の冬木は風の吹きざらし 田村みどり 京鹿子 200404
しろじろと渓の冬木の曇りぐせ 豊田都峰 京鹿子 200404
波音の連れ立ちてくる冬木立 蓮尾あきら 風土 200404
樫の木の隣の冬木ほの紅き 杉浦典子 火星 200404
青空を揺らす冬木の桜かな 吉田順子 200404
冬木立すでに暮れゐし五ヶ所富士 小山香月 酸漿 200404
桜いま冬木となりて蒼茫と 水野恒彦 200404
一瞬の貨車繋ぐ音冬木立 大上武 百鳥 200404
サーカスのロバつながれて冬木立 ホボーム希子 200404
冬木立白雲とらへ浮かびをり 大森玲子 築港 200404
わが影を冬木の影に重ね過ぐ 村上一葉子 200405
大空の風きいてゐる冬木かな 大槻球子 遠嶺 200405
さみしさと向きあふ冬木見つめゐて 生方ふよう 200405
冬木立あはひに碧き迎賓館 稲谷妙子 遠嶺 200405
しがみつき冬木に耐ゆる蝉の殻 土生逸磨 河鹿 200406
斧入れて香におどろくや冬木立 与謝蕪村 河鹿 200406
怒り地に満てよ冬木はすくと立て 岩岡中正 ホトトギス 200406
僧院を包みこみたる冬木立 辻兎夢 200407
昼は昼夜は夜の影冬木立 内藤ゑつ ゑつ 200411
消息を伝へ来し風冬木立 稲畑汀子 ホトトギス 200412
冬木なほ風を誘ひて零すもの 稲畑汀子 ホトトギス 200412
十兵衛の大欅なり冬木なり 朝妻力 雲の峰 200501
小岩井の乾坤寂と冬木立 水原春郎 馬醉木 200501
冬木立遅るるもまた孤りなる 豊田都峰 京鹿子 200501
父らしくなるための日日冬木立 沼田巴字 京鹿子 200501
屹立し一切不言大冬木 大橋敦子 雨月 200502
たよられて蔓絡ませり冬木立 橋本之宏 風土 200502
冬木立犬の足音尖りくる 藤井智恵子 百鳥 200502
風心地して離れざる背の冬木 渡邉友七 あを 200502
裏山の冬木叩けば父の声 坂ようこ 200502
養生に白布巻かれし冬木肌 橋本之宏 風土 200502
百日紅冬木となりて皮を剥ぐ 清水伊代乃 酸漿 200502
佇めばわれも一樹よ冬木立 佐野芳子 築港 200502
冬木立モデルチェンジの乳母車 吉田明子 200502
折込みの日々厚くなり冬木立 土肥屯蕪里 雲の峰 200502
冬木立垂直に櫂干されける 矢崎昌 200502
誰彼の傷知つてゐる冬木立 芝宮須磨子 あを 200502
もの影と冬木の影と互ひ違ひ 中島たまな 200502
我体温冬木に移し仰ぎをり 伊丹さち子 馬醉木 200502
後から口笛聞こゆ冬木立 中條睦子 栴檀 200503
源流に岩ごつごつと冬木立 小野寺靖 百鳥 200503
そこへゆく道のありけり冬木立 木下野生 200503
千年の寺領を囲む冬木立 水井千鶴子 風土 200503
赤き実の遠くに透きて冬木道 北村昌子 200503
金星の最大離角冬木立 鈴木勢津子 200503
昔ガラス覗くや冬木ゆれてをり 東亜未 あを 200503
墨痕のやうに冬木の暮れゆけり 平子公一 馬醉木 200503
宿り木に緑を任せ冬木立 有島扇水 河鹿 200503
耳しひの吾に桜の冬木かな 大島翠木 200503
汐騒や冬木は星をちりばめて 柳生千枝子 火星 200503
放課後のフルート響く冬木立 いしだゆか 遠嶺 200503
山鳩の声ぼうぼうと冬木立 中元英雄 河鹿 200503
音のない工業団地冬木立 瀬下るか 200503
鴉にも冬木の好みあるらしく 飛鳥由紀 200503
冬木立山家育ちの子等素直 山本かずみ 百鳥 200503
冬木立空は橋迄透けてをり 小國佐世子 遠嶺 200503
荒ぶ日や冬木の瘤が力出す 諸岡和子 200503
みな鳥になりたき日和冬木立 小澤克己 遠嶺 200503
奥宮の神燈洩るる冬木立 加藤和子 六花 200504
銀杏冬木真正面に坐禅堂 辻恵美子 六花 200504
冬木立風に啼かされ星を研ぐ 渡邉友七 あを 200504
父のごと声かけてくる冬木立 神蔵器 風土 200504
なほ奥に聖泉のある冬木立 荒井千佐代 200504
熊野路や湯けむりごしの冬木立 根本随縁 200504
冬木いま鳥を放ちし震へかな 小野田和世 200504
点点と星を灯せる冬木立 宮崎正 ホトトギス 200504
城見上ぐ冬木一本づつに人 会田仁子 ホトトギス 200505
落日を載せて貨車行く冬木 長井順子 200505
くるぶしに斧の傷ある冬木かな 横松しげる 遠嶺 200505
冬木立誰かが死後の噂する 長田等 200505
ひと抱えほどの落日冬木立 堀川喜代子 200506
日の没りの遅くなりたる冬木道 的池遙 百鳥 200506
斧入れて冬木の精を呼び覚ます 酒本八重 里着 200506
悟りたるゆとりにも似て冬木立 片山茂子 遠嶺 200506
己が影小さくなりし冬木立 数藤弥太郎 200507
人間の根を思ふべし大冬木 岩岡中一 ホトトギス 200507
三階の窓額縁に冬木立つ 伊藤浩子 200507
千本の冬木の桜邪宗門 高橋将夫 星の渦 200507
手毬唄柿の冬木をひとめぐり 瀧春一 菜園 200509
岳麓の富士を隠さぬ冬木立 稲畑汀子 ホトトギス 200512
仰ぎたる空オリオン座冬木越 稲畑汀子 ホトトギス 200512
日表に日裏に冬木彩られ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
鉄棒や冬木一回転させる 飛鳥由紀 200601
公園の馬車軽やかに冬木立 佐久間はるみ 200602
端然と寺の歴史と大冬木 古田考鵙 雨月 200602
大いなる冬木の瘤も城の跡 小谷延子 万象 200602
冬木立祈りの姿なりしかな 高橋将夫 200602
獣らの飛ぶごと過ぎし冬木立 柴田佐知子 200602
立つ冬木電飾命の灯をともす 北島上巳 酸漿 200602
冬木立入日とことん影伸ばす 東亜未 あを 200602
冬木径すき間だらけの影つれて 豊田都峰 京鹿子 200602
滝風に晒され冬木艶もてり 室伏やすし 200602
凛とせり北アルプスや冬木立 伊藤稔代 200603
大冬木囲み議事堂無表情 大海いつ子 百鳥 200603
冬木影中也詩集を隠し持つ 野畑小百合 200603
飢ゑて鳴く鳥もあるべし冬木立 太田土男 百鳥 200603
酒蔵はサロンとなりて冬木立 斉藤阿津子 百鳥 200603
学校は坂のてつぺん冬木立 松谷知子 対岸 200603
閉園にこぼるる灯あり冬木立 肥沼初江 四葩 200603
こがひなこととなりまして冬木立つ 中島陽華 200603
冬木立きりきりと空ひきしまり 新井泰子 馬醉木 200603
冬木鳴る塚の遊女の咽ぶごと 大坪景章 万象 200603
冬木道このさきに待つものは何 佐藤博美 200603
ポケットに残る半券冬木立 篠藤千佳子 200603
冬木立しじま深めし明烏 宮崎正 ホトトギス 200604
かたくなな影となりたる冬木立 岡部名保子 馬醉木 200604
浮島の入口なりし冬木立 安岡房子 200604
住み古りて一抱へある冬木の幹 松崎鉄之介 200604
聖堂の屋根見えてゐる冬木かな 石川英利 百鳥 200605
冬木立夜空は雲を置きにけり 服部早苗 200605
その中の平安の世を知る冬木 稲畑廣太郎 ホトトギス 200611
人制す竹の一文字冬木寺 岡本眸 200612
冬木立森は力を抜いてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200612
冬木立火星を載せてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200612
電飾にがんじがらめの冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 200612
冬木立二日の月に天緊る 渡邉友七 あを 200701
胸に水何故に溜るか冬木立 澤田緑生 馬醉木 200702
海見ゆる冬木桜の並木かな 荒井和昭 200702
冬木立つ吾水の性透きゆくと 伊丹さち子 馬醉木 200702
倚りかかりたきときもあり冬木立 小林奈穂 200703
嘴太き鴉のたむろ大冬木 吉沢陽子 200703
残照をふふみてをりし冬木立 高田令子 200703
冬木立静かにありし五輪塔 渡辺暁 酸漿 200703
冬木立梢を揺らし鳥翔てり 齋部千里 ぐろっけ 200703
また空を眺めてをりぬ冬木立 早崎泰江 あを 200703
鳥声のダムに影する冬木立 廣畑忠明 火星 200704
枝の数競ふ冬木の桜かな 高橋将夫 200704
放課後の風と囁く大冬木 大泉美千代 雨月 200704
青空に深々と冬木の沈む 塙告冬 ホトトギス 200705
冬木立最終列車の灯が走る 大泉美千代 雨月 200705
校門の冬木母待つギブスの児 今井忍 ぐろっけ 200705
海をきき冬木は樹齢加へけり 塙告冬 ホトトギス 200705
人もまた無口がよけれ冬木立 岩岡中正 ホトトギス 200706
野づかさのあらはになりぬ冬木立 瀧春一 200706
この神社何もなけれど大冬木 齊藤實 200801
玉砂利の音させ冬木の寺の道 中山静枝 200801
枝先を空に刺したる冬木立 渡辺暁 酸漿 200802
落ちる日の早さの見えて大冬木 加藤富美子 200802
問禅のかまへは雨後の冬木立 豊田都峰 京鹿子 200802
日おもての素顔親しき冬木立 渡邊千枝子 馬醉木 200802
冬木立抜けて遅れを取り戻す 高橋将夫 200802
冬木立残る葉一つ風にゆれ 渡辺暁 酸漿 200802
冬木立祈祷太鼓の良く響く 谷合青洋 酸漿 200802
大枝も切られ桜の冬木かな 井上玉枝 酸漿 200803
存分に手足を伸ばす冬木かな 高橋将夫 200803
精霊の確かに宿る冬木立 津田礼乃 遠嶺 200803
かむさびし鹿島の宮の冬木立 大西裕 酸漿 200803
鴉にも夫婦あるらし冬木立 藤井彰二 馬醉木 200803
その中にダヴイデの如き冬木かな 山本浪子 風土 200803
彼の冬木世紀末には方舟に 荒井千佐代 200803
ぎしぎしと胎内の鳴る冬木立 中村洋子 風土 200803
冬木見上ぐる何といふわけも無く 大川ゆかり 200803
浦の碑の史実伝へて大冬木 水田壽子 雨月 200803
冬木みな己の幹を艶めかせ 吉沢陽子 200804
蛇の目との距離ちぢまらず冬木立 梶浦玲良子 六花 200804
父の忌をうかと過ごせり冬木立 勝見玲子 200804
彼の冬木世紀末には方舟に 荒井千佐代 200804
馬の目の聖者に似たる冬木立 櫨木優子 200804
難聴の冬木に谺からみけり 梶浦玲良子 六花 200804
冬木立石塀まろき人造り 杉本薬王子 風土 200804
冬木径すき間だらけの影つれて 豊田都峰 草の唄 200805
一本づついのち張りつめ冬木立 笹倉さえみ 雨月 200805
もの思ふとき傾いてゐる冬木 岩岡中正 ホトトギス 200806
冬木立馬車ゆつくりとゆつくりと 津田礼乃 遠嶺 200806
とどまれば吾も日を恋ふる一冬木 峯桜子 遠嶺 200806
隣国や地雷の眠る冬木立 陽山道子 船団 200806
城址来て吾も一本の冬木立 邑橋節夫 菊揃へ 200806
美術館通りの冬木ささやきぬ 津田礼乃 遠嶺 200806
見尽せし冬木を撫でて退院す 藤田宏 長城 200808
瑠璃色の闇より冬木裂くる音 中田禎子 200808
一冬木遣す露伴の旧居跡 勝原文夫 ペン皿 200811
人間の浅知恵纏ひ冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812
冬木→3      

 

2021年12月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。