冬 木 1      200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
一本の冬木に隠れゐるこころ 山田弘子 春節 199503
構想に冬木の高さ加はりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199812
前庭に描く冬木や記念館 稲畑汀子 ホトトギス 199812
冬木発つ鳥やななめに影を曳き 宮津昭彦 199902
悠久のパワーをすこし冬木立 三池泉 船団 199903
冬木立日中をしんと美術館 水野節子 雨月 199903
日だまりにふと血の匂い冬木立 わたなべじゅんこ 船団 199903
ももいろの仔豚の鼻や冬木晴 川端和子 遠嶺 199903
北斗の柄かかり古刹の大冬木 水野節子 雨月 199903
無防備な男の背中冬木立 細原順子 俳句通信 199904
風の透くまつすぐな径冬木中 豊田都峰 京鹿子 199905
目が何か言いたげな別れ冬木立 倉本美代子 ヒッポ千番地 199905
早足に日の移りゆく冬木山 渡辺よし生 風土 199907
恋の男女に騎馬像去れよ冬木の彼方 丸山海道 海道全句集 199910
足の指踏ん張っている冬木立 小枝恵美子 ポケット 199911
口癖が「別に」の彼と冬木立 津田このみ 月ひとしずく 199912
一度だけかの君が言う冬木立 山岸みずき 船団 199912
衣を皆大地に還し冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 199912
冬木立妙義の巖載せゐたり 阿部ひろし 酸漿 200001
海ならぬ赤谷湖畔は冬木立 伊藤一歩 いろり 200001
森下に通ひ続けて冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
午後の日と遊ぶ花鶏よ冬木立 三村禮子 酸漿 200002
冬木みな捨身なりけり沼に風 高橋さえ子 200002
那谷寺の苔のまはりの冬木立 小澤克己 遠嶺 200002
一瀑へ冬木の影を踏みてゆく 熊岡俊子 雨月 200002
照るときの冬木にさはる潮かな 小形さとる 200003
血の匂い日だまりにふと冬木立 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
少年の声甲高く冬木立 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
産土の冬木の虚に日の当り 中谷葉留 風土 200003
楷冬木影長く引く人もまた 小石秀子 酸漿 200003
落つる日の触れて膨らむ冬木立 岩崎きゑ子 馬醉木 200003
影たちの寄り添う仕種冬木立 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
まぼろしを退治し果てず冬木立 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
称名寺界隈冬木いまも多し 宮津昭彦 200003
玄界の風耐へに耐へ一冬木 白岩三郎 馬醉木 200003
冬木立の中の柿の木蔕ばかり 安田繁子 200003
冬木立となりし稜線透きにけり 佐野和代 200003
冬木立仰ぎて空の揺れ止まず 長谷川満子 雲の峰 200003
夕べより星も少なし冬木立 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
千本の冬木の櫻邪宗門 高橋将夫 200003
太陽の外れにありし冬木かな 岩瀬由美子 ホトトギス 200004
いづこに身置くともひとり冬木立 根岸善雄 馬醉木 200004
鏡のぞく私のうしろに冬木立 三宅やよい 玩具帳 200004
夜の芯となりきつてゐる冬木かな 木暮陶句郎 ホトトギス 200004
冬木過ぐ見えざる風の音を聞く 塙告冬 ホトトギス 200004
咲きしこと葉のこと今はただ冬木 塙告冬 ホトトギス 200004
筆塚に穂先そろへし冬木立 中村祭主 ぐろっけ 200004
間隔の影の正しき冬木かな 岩垣子鹿 ホトトギス 200004
沿線の目印となる大冬木 定藤素子 雨月 200004
冬木道抜け来て心定まりぬ 大野伊都子 ホトトギス 200004
熊楠の遺せしものに大冬木 松岡ひでたか ホトトギス 200004
火の玉の夕日を抱いてゐる冬木 岩垣子鹿 ホトトギス 200004
落城の炎確めたる冬木 辻口静夫 ホトトギス 200004
自転する地球つかみし大冬木 木暮陶句郎 ホトトギス 200004
冬木伐るためのみに来し男かな 松岡ひでたか ホトトギス 200004
烏みな大きく見ゆる冬木かな 岩垣子鹿 ホトトギス 200004
これ以上省くものなし冬木立 田村すゝむ 風土 200004
大冬木頂見えず空見えず 粟津松彩子 ホトトギス 200004
調律師のごとく冬木に耳あてる 吉川真実 海程 200005
冬木立備中高松城址寂 廣太郎 ホトトギス 200005
隠し絵の中に亡父住む大冬木 和田照海 京鹿子 200005
冬木背に胸像は口一文字 藤田宏 200005
さらばさらばといつぽんの大冬木 柴田いさを 船団 200007
これ以上削げぬ緊りの冬木立 三嶋八千穂 ぐろっけ 200007
白紬の茶碗に影す冬木立 佐渡美佐子 ヒッポ千番地 200008
照るときの冬木にさはる潮かな 小形さとる 200008
明治人逝く冬木場もみな移り 阿部寒林 「夢」 200010
冬木倒る最後の斧を入れざるに 阿部寒林 「夢」 200010
冬木立備中高松城趾寂 稲畑廣太郎 ホトトギス 200011
坂と冬木ねぢまげられて絵のなかに 宮津昭彦 200101
冬木立朝市とせし陣屋跡 井出智恵子 春耕 200101
冬木桜かぞへつつ義肢リハビリす 藤田宏 200101
一瀑へ冬木の影を踏みてゆく 熊岡俊子 雨月 200101
冬木立太極拳の身のこなし 石森和子 あを 200101
佐保山の風に冬木の鳴り止まず 上田尚義 俳句通信 200102
心にも筋目の欲しき冬木立 木村公子 200102
大瘤の仔細は抜きの大冬木 鈴鹿仁 京鹿子 200102
その冬木鳥も見かぎり足止めず 能村登四郎 200102
冬木立やどり木の青抱きをり 鎌倉喜久恵 あを 200102
俊寛の庵あと囲む冬木立 大西逸子 京鹿子 200102
冬木立だれに会はんと来てゐたる 藤田宏 200103
口笛に彩のありたる冬木立 戸田喜久子 200103
残照に立ちはだかりし冬木立 赤羽正行 遠嶺 200103
肉桂の冬木となりてしづもりぬ 水谷芳子 200103
冬木立行く手にふつと灯のともる 小山徳夫 遠嶺 200103
茜空切絵になりし冬木立 鎌倉喜久恵 あを 200103
ノックして冬木の眠り測りけり うまきいつこ 200103
冬木影大鐘楼の龍の彫 曽根田幸子 遠嶺 200103
児の息はつよし冬木の股に乗り 藤田宏 200103
蒼天へ晒し尽くして冬木立つ 須田千代 200104
刻まれし生き様まぶし冬木道 土岐明子 遠嶺 200104
昼月の梢に透けて冬木立 鈴木とおる 風土 200104
ポケットに犬の曳綱冬木晴 鈴木まゆ 馬醉木 200104
冬木立一枝一枝に死者宿る 和田あきを 風土 200104
冬木のなか撞いたる鐘のうごくなり 岡井省二 200104
冬木より静かに息をすること得ず 後藤比奈夫 ホトトギス 200104
思ひ出の広場を守る冬木かな 土岐明子 遠嶺 200105
老人の気に入つてゐる冬木かな 岡井省二 200105
冬木立たたいて明日と呼びかはす 小澤克己 遠嶺 200105
冬木立透きをり夕日逃げしあとも 渡辺友七 あを 200105
みな空へ落ちてしまえり冬木立 星野早苗 船団 200106
抜けられる孤独ならいい冬木立 松永典子 船団 200107
その冬木鳥も見かぎり足止めず 能村登四郎 羽化 200110
大冬木光のオブジェ着せられて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200111
一枚の葉は頑なに冬木かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200111
一本の冬木に進む峠道 稲畑廣太郎 ホトトギス 200111
ももいろの仔豚の鼻や冬木晴 川端和子 「星月夜」 200112
振りむけば止まる遊びよ冬木立 平子公一 馬醉木 200201
人を容れ暮色が閉ざす冬木立 斎藤道子 馬醉木 200201
冬木樵斧振る上に雪の富士 皆川盤水 春耕 200201
ここからは私の時間冬木径 井尻妙子 京鹿子 200201
己が葉を敷きてやすらぐ冬木立 花岡豊香 酸漿 200202
走り根の張りたる冬木桜道 田中英子 火星 200202
桟橋の船を見に行く冬木立 平田紀美子 風土 200202
湖面いま微光散らしに冬木立 小澤克己 遠嶺 200202
大阿闇梨駆けし翳かや冬木鳴る 内山芳子 雨月 200202
平等に日当ってゐる冬木立 西村しげ子 雨月 200202
良き話聞けば明るき冬木立 竹川美佐子 いろり 200202
冬木立赤いコートの揺れ動く 山荘慶子 あを 200202
口笛に彩のありたる冬木立 戸田喜久子 200202
その上に上越の山冬木原 斎藤道子 馬醉木 200202
腕章ものぼりも赤き冬木道 青池亘 百鳥 200202
冬木立根っこまるめて眠るやも 清水結化 いろり 200202
風は軋みて行き過ぎぬ冬木立 遠藤若狭男 200202
縄文の貝塚守る冬木立 早崎泰江 あを 200202
からからと風に骨鳴る冬木立 若生まりあ 遠嶺 200203
赤げらの息継ぎ叩く庭冬木 村瀬初実 春耕 200203
縄文の貝塚守る冬木立 早崎泰江 あを 200203
明暗の分れ目にゐる冬木立 横山迪子 六花 200203
柩車過ぎゆく武蔵野の冬木中 中島知惠子 雨月 200203
冬木空小学校の時計台 田中呑舟 火星 200203
夜祭待つ神馬の鼻息冬木立 島田和子 風土 200203
いい雨と思ふ冬木に地の湿り 宮本道子 酸漿 200203
伐られゐる冬木も必死人も必死 杉山みゆき 百鳥 200203
朝の日のはすかひに差し冬木立 太田寛郎 200203
冬木立ロッヂに朝のカフエオーレ 下山田美江 風土 200203
八方へポパイの腕の冬木かな 浜麻衣子 六花 200203
ふりあふぐ柄長のこゑや冬木立 阿部ひろし 酸漿 200203
枝打たれ一挙冬木のたたずまひ 岸本林立 雨月 200203
やはらかく冬木の影が肩にある 木内憲子 200203
雨縷縷と冬木を包む水源地 田村玲子 200203
冬木立つ池の彼方に薬師さま 網野茂子 酸漿 200204
冬木立風のかたちにわれ傘寿 閑田梅月 馬醉木 200204
つんつんと空ゆく鳥や冬木立 川口利夫 ホトトギス 200205
一枝だにおろそかにせず冬木描く 泉田秋硯 200205
大冬木城は聳ゆるものばかり 吉年虹二 ホトトギス 200206
冬木の茅ハワイの旅に誘はるる 波田美智子 をりをりに 200208
騎手の息馬の息過ぐ冬木かな 山田弘子 夜光杯 200211
曙光の透けて眩しき冬木立 浅川正 雲の峰 200212
幾千年歴史見下し冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 200212
御神水弁天堂の冬木立 芝宮須磨子 あを 200212
ミレナリオてふ電飾や冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 200212
冬木立衛兵のごと句碑除幕 稲畑廣太郎 ホトトギス 200212
その中の樹齢百年てふ冬木 稲畑廣太郎 ホトトギス 200212
愛染や急ぎ冬木となるまでに 鈴鹿仁 京鹿子 200212
身の丈に生きる冬木へ増すひかり 岡田千代子 200302
てのひらに力を込めて冬木打つ 三橋泥太 遠嶺 200302
冬木鳥雄ごころばかり責めらるる 宇都宮滴水 京鹿子 200302
石仏へ長き参道冬木立 吉川ハマ子 築港 200302
住みなれて冬木根またぐ曲り角 鎌倉喜久恵 あを 200302
大鍋に湯の沸いてをり冬木立 梅村達子 帆船 200302
冬木立鐘撞堂を浮き立たす 澤村一與 築港 200302
落日は父のぬくもり冬木立 長井順子 200302
山裾の冬木に朝日移りきぬ 川崎俊子 馬醉木 200302
冬木立よりヒロインを探しをり 朱間繭生 銀化 200302
冬木立轟くチエーンソーの音 綱頭久子 築港 200302
キャンパスの冬木天辺まで尖る 浜田南風 200302
一本の冬木に還る翌檜 中村恭子 200302
メタセコイアの冬木一本灯されし 平田紀美子 風土 200302
古墳群吉備路に多き冬木立 吉川ハマ子 築港 200302
烏にも声の良し悪し冬木立 山岸千恵子 帆船 200303
蘇生治療して千年の冬木かな 堀田恵美子 雨月 200303
近づきて自づと仰ぐ大冬木 唐澤まさし 酸漿 200303
青春の日を知る雨の冬木かな 山田弘子 円虹 200303
望郷のこけし一本づつ冬木 鈴木まゆ 馬醉木 200303
冬木立人おしなべて他人顔 藤村遊子 200303
額に照る富士真白なり冬木中 手島靖一 馬醉木 200303
冬木立守りくれたる孤独かな 阪西敦子 円虹 200303
冬木立我をいづくへ誘はん 阪西敦子 円虹 200303
冬木立透け陽光の眩しけり 飯田政子 築港 200304
晩生中年冬木つかむで身をまはす 佐藤喜孝 「青寫眞」 200304
鳥の巣のあらはとなりし冬木かな 長谷川守可 百鳥 200304
忽として廟所ありけり冬木立 伊藤敬子 遠嶺 200304
暁の冬木とことん無一物 白髭美佐子 200304
迷想や崖から冬木すべりゆく 伊藤希眸 京鹿子 200304
省略を尽して冬木眠りをり 吉田ゆきゑ 200304
冬木立人殺ぐものは人なりき 沼田巴字 京鹿子 200304
拡声器冬木に吊れば鐘のごとし 藤井勢津子 200304
大冬木胃などなくても生きられる 直江裕子 京鹿子 200304
ファッションはスリム第一冬木立 塩路五郎 200304
鶏鳴に尾のあり冬木さびしうす 坂本敏子 京鹿子 200305
蒼天に雲掴みをり冬木立 上田繁 遠嶺 200305
冬木立遮る電車駅を発つ 辻川錫子 築港 200305
曳売りの一息入れる大冬木 内藤三男 ぐろっけ 200305
遠つ世の神域守れる大冬木 福盛悦子 雨月 200305
一本の冬木に隠れゐたりけり 山田弘子 草の蝉 200305
館址に影伸び切つて冬木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 200311
朝の雨幹光らせて冬木立 稲畑汀子 ホトトギス 200312
もう富士を隠さぬ萩の冬木立 稲畑汀子 ホトトギス 200312
微笑仏五体見え来し冬木宿 阿部ひろし 酸漿 200312
冬木→ 2      

 

2021年12月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。