1   130句
作品
作者
掲載誌
掲載年月
病む冬去り祖母は新生児のよう 菫振華 海程 199806
冬帝に心委ねて行くことに 稲畑汀子 ホトトギス 199812
無頼派に冬の建蔽率なんぞ 中原道夫 銀化 199812
血も皿も冬の俎上に登りたる 中原道夫 銀化 199812
鳩時計鳴るたび冬が近くなる 保坂加津夫 会者定離 199900
凝視せむ冬へ落ちゆく黒部川 有働亨 馬醉木 199901
時計を見残照を見て頷く冬 林翔 199901
冬将軍来たる家々灯を強め 岡部玄治 199901
猪垣解く冬へ一直線の峡 岩木茂 風土 199901
打ちつけて尾骶に火の粉現じ冬 中原道夫 銀化 199901
林中に根と根の睦む音や冬 中原道夫 銀化 199901
この風の冬の含有率いかに 峯尾文世 銀化 199901
闘ひし鶉の羽根か森に冬 萩原記代 199901
何匂ふともなく冬の香を感ず 岡本眸 199901
黒色に濃き淡きあり冬となる 中川二毫子 遠嶺 199902
鷺一羽ふはりと冬を近くせり 環順子 遠嶺 199902
倖せを買ふかにすみれ購へり冬 吉田登子 風土 199902
熊の胆冬のかたちをしてゐたる 大嶋康弘 銀化 199902
どこか冬売るものすべて地にひろげ 仲村青彦 199902
峽の冬機屋一軒音澄みて 関根初男 馬醉木 199903
玄冬の沖に居すわり櫓墓 外川玲子 風土 199903
箒賣冬の地靈の貌を掃く 中原道夫 銀化 199903
人間と壷をいれかえ冬になる 南村健治 船団 199903
肋骨もつれて雑木林の冬 丹生千賀 海程 199904
点眼のあと見廻してどこも冬 岡本眸 199904
満目の冬や点眼薬小さし 岡本眸 199904
パソコンの少年の瞳に冬の色 董振華 海程 199905
肩に首埋めてチンパンジーの冬 柴田良二 雨月 199905
賑ひも日のあるうちや島の冬 岡本眸 199906
街に冬稼ぐてのひら打鳴らし 土田栄 199906
死と向かい生と向かうよ妻の冬 岩田ひろあき 船団 199907
温めるも冷ますも息や日々の冬 岡本眸 199907
ポケットに硝子細工の冬がある 柿原全米 船団 199908
妻亡き冬食器は水に泳がせおく 飯田孤石 海程 199910

東京駅

喚く電車に積まれて冬は私語をわすれ

丸山海道 海道全句集 199910
六甲の高さに冬を近づけて 稲畑汀子 ホトトギス 199911
これよりの予定を胸にたゝむ冬 稲畑汀子 ホトトギス 199911
地下工事より立ち上りゆける冬 稲畑汀子 ホトトギス 199911
長命と云えない冬がそこにある 熊谷みどり いろり 199911
春に仁子逝き冬純子を喪ふ 能村登四郎 芒種 199911
颯爽と今日冬帝の御成かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199912
冬帝の日輪淡く丸の内 稲畑廣太郎 ホトトギス 199912
冬帝の下記念館工事かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199912
存分に白鯨と息合わす冬 吉田悦花 海程 199912
冬帝の日輪淡く丸の内 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
冬帝の下記念館工事かな 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
かんだたがゆるりと笑う冬の底 津田このみ 月ひとしずく 199912
冬帝に従ふ雲の寄せて来し 稲畑汀子 ホトトギス 200001
口吸へば忽ち温き冬となる 菅原健一 200001
冬帝の未踏の日向なればこそ 中原道夫 銀化 200001
鉈彫はいまも冬の香放ちたる 中原道夫 銀化 200001
冬帝の威を借る狐狩らむかな 中原道夫 銀化 200001
この風の冬の含有率いかに 峯尾文世 銀化 200001
天を支へ顰むる阿修羅像の冬 大橋敦子 雨月 200001
この冬を病むまじと汲む延命水 村越化石 200001
銀色の封筒冬の新作展 小澤克己 遠嶺 200001
ものしるす灯を身近くに冬迎ふ 豊田都峰 京鹿子 200001
冬へ一本先駆けの杭打ち込まれ 立岩利夫 海程 200002
眼を開けし石のこゑ聴く耶馬の冬 水内慶太 銀化 200002
ホットカーペット方形の冬広ぐ 岡崎るり子 銀化 200002
船宿の日除はづさぬまま冬へ 高橋さえ子 200002
噴水に冬や錠剤棒呑みに 唐木和世 200002
長命と云へない冬がそこにある 保坂加津夫 いろり 200002
一本の樫の樹齢をおもふ冬 田中藤穂 水瓶座 200002
草踏めば小石が鳴つて荘の冬 岡本眸 200002
瀬戸物の音して冬のなつかしき 星野早苗 空のさえずる 200002
朝靄の畠の向こうは君の冬 尾上有紀子 わがまま 200002
始まりは冬の痛みをまだ知らぬ 尾上有紀子 わがまま 200002
一列車冬より春へひた走る 林翔 200003
我が庭の金平糖か冬知らず 富田志げ子 酸漿 200003
冬将軍来よと五層の天守閣 鷹羽狩行 200003
街道の一角すでに冬を脱ぐ 宇都宮滴水 京鹿子 200003
千年紀末の冬画く女かな 森津三郎 京鹿子 200003
鎮もりで冬の座にある仏かな 禅京子 風土 200004
あららぎの冬の真みどり海見えて 大東二三枝 200004
直幹のさみしさメタセコイヤの冬 和田敏子 雨月 200004
鬼太鼓の連打冬帝よせつけず 小菅暢子 200004
さやうなら冬将軍にも金一封 丸山佳子 京鹿子 200004
雪國と花莱の國と冬二つ 西山胡鬼 京鹿子 200004
樫の木の真顔と冬の光りかな 金子兜太 海程 200005
この黒さが真神の匂い谷は冬 三浦二三子 海程 200005
木と山を分身として杣の冬 渡辺純 京鹿子 200005
山路来て冬の滴り掬ひけり 屋代孤月 遠嶺 200005
石人は腕組み樹々は冬つづけ 蔦三郎 ホトトギス 200006
馬車馬の冬を曳きたる足太し 吉村玲子 円虹 200006
人間を展いて綴じて冬なかば 赤坂恒子 船団 200006
静寂の池に投げこむ石に冬 甲田夏湖 船団 200007
考えも煮付けも甘し母の冬 児玉硝子 ヒッポ千番地 200007
秋から冬黒猫の目に青火がぽっ 延原ユキエ 船団 200008
昼風呂に入れてもらへり母の冬 松永典子 船団 200008
明日は冬驢馬の尻尾を手綱とす 吉川真実 海程 200009
一山の真冬のみどり納骨す 中原幸子 遠くの山 200010
沙羅の木に冬養生の薦を着す 吉田陽代 200010
ひと冬を雪になびきし芦芽ぐむ 吉田陽代 200010
これよりは展示計画急かす冬 稲畑汀子 ホトトギス 200011
この冬の終れば待つてゐる行事 稲畑汀子 ホトトギス 200011

悼 岸川鼓虫子様

残されし俳磚一句偲ぶ冬

稲畑汀子 ホトトギス 200012
冬帝の祝意漲る館ならん 稲畑汀子 ホトトギス 200012
老の冬愛弟子の死に逢はんとは 能村登四郎 200012
庭石の冬待つ顔の四つ五つ 能村登四郎 200012
山頂に雲わだかまり牧の冬 岡田ン太雄 雨月 200012
煮炊きして冬に近づく落し蓋 華明日香 銀化 200012
生きむかぎり闇負ふ已見詰め冬 木村風師 馬醉木 200101
鼻くそほどのセンチメンタリズムと冬へ 金子兜太 海程 200101
石臼を廻せばそこに冬の母 山田弘子 円虹 200101
冬に座し朴の香りの香を聞く 村越化石 200101
起つ時に膝に手を突く老の冬 栢森定男 あを 200101
日の陰となりし峡田の冬の青 阿部ひろし 酸漿 200101
ローレンス川冬将軍の来てをりぬ 今井久良子 酸漿 200101
驚かぬ冬の僧都となりゐたる 中原道夫 銀化 200101
空っぽのポケットがある冬微笑 石橋翠 いろり 200101
遠景の燈火音なく満ちゆき冬 岡本眸 200101
落葉松に冬の香たたす通り雨 真保喜代子 200101
浄閑寺冬のきてゐる空のいろ 盛良孝 200101
信玄棒道冬将軍来るか 杉本光祥 200101
斎田の一反五畝や冬鋤かれ 神蔵器 風土 200102
シャガールの青を秘めたる海の冬 田中黎子 円虹 200102
冬帝の統べる音とし海鳴りも 松本松魚 円虹 200102
冬の塩こぼるるここは妻の城 高瀬哲夫 200102
杭の冬包みてつばさ白き鳥 甲州千草 200102
冬の午後川白波が見える 金子兜太 海程 200102
回る回るパワーシャベルの一気の冬 金子皆子 海程 200102
真実一路吾子ら重ねる鮮しき冬 金子皆子 海程 200102
誰もいない点らない冬の部屋一つ 金子皆子 海程 200102
ユダ裂きしかユーカリの木膚の冬 大橋敦子 雨月 200102
冬谺それにも応へ樅大樹 村越化石 200102
切株もしだいに冬の貌をする 丸山佳子 京鹿子 200102
門灯や無事に生きたり冬一日 清水結化 いろり 200102
ふし穴をのぞけば先に冬がある 清水結化 いろり 200102
人はみな終の道ゆく野辺の冬 宮原秋生 俳句通信 200102
冬 →2      

 

2021年12月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。