風 鈴 3    199句

風鈴の音が眼帯にひびくのよ   三橋鷹女   向日葵

作品
作者
掲載誌
掲載年月
肩で息せり風鈴を仕舞ふにも 田村園子 200711
風鈴の鳴りだし兄の葬終る 羽生きよみ ぐろっけ 200711
貝風鈴はるかな故郷引きよする 園多佳女 雨月 200711
風鈴を外せばちがふ空の色 片山タケ子 200711
風鈴の駅に降り立つ国なまり 齋部千里 ぐろっけ 200711
南部風鈴風拾うては鳴りにけり 和田絢子 春燈 200711
風鈴の風が足裏を走りけり 大坪景章 万象 200712
風鈴の音ふるえくる無人駅 佐川彰 200712
よく売るる不愛想なる風鈴屋 並木重助 酸漿 200712
その中に鳴らぬ風鈴ありにけり 奥山絢子 風土 200801
風鈴や午後にはじまる母の愚痴 坪内稔典 稔典句集U 200804
思ひ出せずをり風鈴のしまひ場所 伊藤白潮 200806
風鈴を二つ吊してまだ寂し 峯桜子 遠嶺 200806
風鈴を外せしあとをもう吊らず 大橋敦子 雨月 200807
和菓子屋へ江戸風鈴の音くぐり 阿久津勝利 万象 200808
風鈴は軒端の錘り冬星座 宮崎すみ 神々の交信 200808
酒を酌む江戸風鈴の音近く 廣瀬雅男 やぶれ傘 200808
廃屋の奥の風鈴よく響く 金田美恵子 ぐろっけ 200808
退院の荷は解かぬまゝ風鈴吊る 羽生きよみ ぐろっけ 200809
客寄せの風の吹きたる風鈴市 黒澤登美枝 200809
風鈴屋さても楽曲奏でをり 大橋晄 雨月 200809
詫びる時のがしてしまひ軒風鈴 斉藤裕子 あを 200809
風鈴市思ひ出したるやうに風 宮津昭彦 200809
風鈴やぎに書かれしおばんざい 久本久美子 春燈 200809
風鈴やどこか疲れし音色なる 岡田和子 馬醉木 200809
風鈴は静かな風を拾ひけり 岡佳代子 200809
風鈴の相槌風の口説き節 酒井秀穂 炎環 200809
風鈴の音の錆びてをり漁師町 常盤優 炎環 200809
風鈴に風のうらごゑおもてこゑ 神蔵器 風土 200809
風鈴と御詠歌の鐘ご縁日 木村茂登子 あを 200809
けだる気な猫の流し目宵風鈴 篠田純子 あを 200809
駅までに風鈴の鳴る窓一つ 藤田宏 200809
江戸風鈴隣の南部と競ひ合ふ 松嶋一洋 200809
大の字に寝る子守りて江戸風鈴 松嶋一洋 200809
ふれ合うて海の音なす貝風鈴 小城綾子 200810
みちのくの苞の風鈴とても鳴る 山田庫夫 炎環 200810
呼び込まれ風鈴の音の中にゐし 清水伊代乃 酸漿 200810
猫帰る土間の風鈴ひとつ鳴り 林陽子 万象 200810
売り声は運河の風に玻璃風鈴 梶川智恵子 200810
風鈴の悦に入りたる夜伽とも 野中亮介 馬醉木 200810
風鈴の短冊に肩触れにけり 瀬島洒望 やぶれ傘 200810
風鈴や里山に入る雲の影 猪爪皆子 200810
目も耳も風鈴市に惑ひけり 浅野惠美子 酸漿 200810
明日沈む村の風鈴鳴りにけり 波田野雪女 炎環 200810
隣より風鈴の音貰ひけり 宇佐見正 200810
風鈴やいつの間伸びし子の背丈 太田佳代子 春燈 200810
風鈴の鳴る日鳴らぬ日生きぬきて 平野伸子 馬醉木 200810
風鈴の鳴り癖妻の戻り来し 徳丸峻二 風土 200810
風鈴の真下に金の成る木かな 瀬島洒望 やぶれ傘 200810
風鈴の江戸前の曲奏でをり 岩田都女 風土 200810
風鈴の音色の中にある日常 倉持梨恵 200810
風鈴によき風賜ひ供養茶事 渡辺昭 200810
風を呼ぶ江戸風鈴に金魚の朱 斉藤小夜 風土 200810
祈りをれば風鈴鳴れり妙見堂 乙訓淑子 炎環 200810
江戸風鈴昔に帰る音響く 浅野惠美子 酸漿 200810
江戸風鈴昭和の路地に鳴りひびく 浅野惠美子 酸漿 200810
江戸風鈴喜色の母を思ひけり 大槻きみ 200810
江戸風鈴絵入り模様のさやかなり 浅野惠美子 酸漿 200810
江戸風鈴改札口の風絶えず 鍋島広子 万象 200810
川音に和して風鈴なりわたる 鈴木清子 遠嶺 200811
くろがねの風鈴の音の夜風かな 大澤洋子 酸漿 200811
風を選み南部風鈴鳴りにけり 筒井八重子 六花 200811
風鈴の音が新涼を運び来し 小松渓水 酸漿 200811
風鈴は南部風鈴母偲ぶ 木下忠雄 酸漿 200811
風鈴や祖父の遣せる古き音 宮田香 200811
風鈴も季節のをはり告げてをり 永田あき 酸漿 200811
風鈴の音色聴き聴き市に買ふ 川原典子 酸漿 200811
廃屋の忘れ風鈴鳴りやまず 木下忠雄 酸漿 200811
江戸風鈴の音色愛しや雨兆し 和田森早苗 200811
風鈴を指で弾きて休み果つ 葛西茂美 200812
風鈴の蒼き切子の風が鳴る 岩垣子鹿 ホトトギス 200812
布衣の身に風鈴のよく鳴りにけり 石原光徳 酸漿 200812
風鈴や江戸にときをり南部和し 櫻井さだ子 200901
風鈴のこつと骨音蔵はれる 伊藤希眸 京鹿子 200901
汀子邸の貝風鈴は波の音 磯野しをり 雨月 200908
館長様在さず風鈴鳴りに鳴り 磯野しをり 雨月 200908
瑠璃色の短冊揺るる玻璃風鈴 ことり 六花 200908
風鈴を吊り聞法もんぽうの座ごしらへ 久保東海司 200908
風鈴を吊りて山河の谺せり 小澤克己 遠嶺 200908
風鈴や胸にひろごる郷の海 星井千恵子 遠嶺 200908
風鈴の鳴るたび星の生まれけり 赤羽正行 遠嶺 200908
締め出されたる風鈴の音いろかな 八染藍子 200908
二人居の黙も会話よ貝風鈴 千田敬 200909
風鈴の聞ゆる路地に入りけり 小野木雁 酸漿 200909
その中の風鈴一つ蛇笏かな 神蔵器 風土 200909
明珍火箸の風鈴ちんと鳴らしけり 服部早苗 200909
時をりの風鈴の音に足らひけり コ田千鶴子 馬醉木 200909
風鈴を吊る朝の地震きつかけに 田村園子 200909
風鈴売音から道を曲りけり 宇都宮敦子 200909
風鈴や水も車もエコ時代 鷲見多依子 200909
風鈴の音のみとどく風の中 松本周二 200909
風鈴のひらめく下げ尾ぜつと呼び 小林清之介 風土 200909
風鈴のひびきて星を殖やしけり 池田達二 風土 200909
病む人に頑張るなよと貝風鈴 渡辺輝子 200909
半纏男吹け吹け朱ケの江戸風鈴 小林清之介 風土 200909
猫ひとつ通り風鈴鳴りさうな 鈴木梨枝子 炎環 200909
島恋うて貝風鈴の揺れやまず コ田千鶴子 馬醉木 200909
待つことに慣れし齢や鉄風鈴 遠藤和彦 遠嶺 200910
空き部屋の江戸風鈴の忘れもの 吉川隆 春燈 200910
銀座の真中や風鈴売の黙 片岡啓子 遠嶺 200910
風鈴やわが短冊のよく揺れて 近藤てるよ 酸漿 200910
海までは遠けれど日々貝風鈴 坂本知子 酸漿 200910
裏木戸にこゑをかけたる風鈴売 樋口みのぶ 200910
改札に揺れる風鈴鄙の駅 石川かおり 200910
風鈴や無聊を椅子に委ねをり 遠藤和彦 遠嶺 200910

 祝・『繭玉』

風鈴や忘れてをりし江戸言葉

上山永晃 春燈 200910
風鈴や薩摩切子の紺が好き 瀬戸悠 風土 200910
風鈴や軽きに替へる夫の夜具 伊東和子 200910
風鈴やガン再発の手紙来る 小熊幸 炎環 200910
風鈴は明治の妣の置土産 中川すみ子 200910
風鈴の音さがし来る幼かな 西澤ひで子 遠嶺 200910
風鈴に揺れる短冊一茶の句 増田一代 200910
風鈴に吊す短冊風を呼ぶ 池崎るり子 六花 200910
風鈴が売り切れて風無くなりぬ 山田春好 200910
風えらぶ江戸風鈴でありにけり 林いづみ 風土 200910

 句集『繭玉』賛

父恋ひの一句ありけり江戸風鈴

中島和昭 春燈 200910
白杖の歩のたどりつく風鈴市 鈴木セツ 200910
江戸風鈴雨後の路地風はや奏づ 坂本悠亘 春燈 200910
高らかに鳴る風鈴をはづしけり 成田美代 200910
江戸風鈴に透ける空いろ風のいろ 田中浅子 200910
潮騒のとどく出窓へ貝風鈴 池田忠山 200911
無愛想な風鈴売りの片ピアス 宮崎高根 200911
風鈴の連打また佳し風まかせ 羽賀恭子 200911
風鈴の音色はかどる針仕事 久保東海司 200911
風鈴を置き土産にし母逝きぬ 堀口香代子 ぐろっけ 200911
風鈴や隣家に小さき訪問者 木村眞樹子 遠嶺 200911
風鈴や娘売子の声清し 今泉あさ子 末黒野 200911
風鈴の風を呼びこむ駅舎かな 黒滝志麻子 末黒野 200911
風鈴の時折唄を忘れをり 細江久美子 春燈 200911
風鈴のちりんと相撲取り直し 井八重子 末黒野 200911
風鈴に心ある風ひとしきり 服部菰舟 雨月 200911
広島忌ためらひながら鳴る風鈴 岩本セツ女 ろんど 200911
仲見世に風鈴を吊るまんぢゆう屋 廣瀬雅男 やぶれ傘 200912
舌替へて古風鈴の甦る 木村幸 200912
くろがねの風鈴これぞ鳴りにけり 伊藤敬子 200912
風鈴の大きさに合ふ音色かな 遠山みち子 200912
もの憂げに風鈴の音ひびきけり 塚本京子 200912
風鈴市風に死角のありにけり 林いづみ 風土 201001
風鈴をひとつ鳴らして偲びけり 森さち子 201001
風鈴のはろかな人を呼ぶ音色 西村操 雨月 201001
風鈴や雨遣り過す芭蕉庵 中山良子 末黒野 201004
風鈴の音の静かなり始発駅 真季佐智子 201007
母在さぬ夜の風鈴鳴りにけり 岩谷丁字 春燈 201007
磁器を選む風鈴の鳴る店先に ことり 六花 201007
道の駅初の風鈴鳴りにけり 中山純子 万象 201007
乱雑な部屋に風鈴聞こえ来し ことり 六花 201008
風鈴や地獄の釜は黄金色 高橋将夫 201008
風鈴や心に軽き音ひとつ 安本恵子 201008
風鈴の音届きませ弥陀浄土 岡佳代子 201008
風鈴に加ふ南部の重さかな 酒本八重 201008
差し潮や江戸風鈴の鳴りやまず 田中道江 万象 201008
吊る風鈴未だ一音も出さずなり 池田崇 201009
ゆるく着て風鈴の音まとひけり 黒澤登美枝 201009
真っ先に江戸風鈴を品定め 小川玉泉 末黒野 201009
風鈴を鳴らして一つ選りあぐね 岩永はるみ 春燈 201009
少年は江戸風鈴を知らざりき 鴨下昭 201009
海を恋ふ貝風鈴の軽き音 田中浅子 201009
風鈴市堪へきれざる音こぼす 黒澤登美枝 201009
風鈴の帯に滲みし墨の痕五ケ 瀬川流一 六花 201009
風鈴の軽き音色の乾物屋 高橋将夫 201009
故郷の思ひ出ふつと竹風鈴 西田史郎 201010
水色の風鈴水の音がする 高橋将夫 201010
風鈴の音に目覚めを誘はれ 佐藤健伍 201010
風鈴の夢の中より鳴り始む 市ヶ谷洋子 馬醉木 201010
民宿の貝殻風鈴海の風 田下宮子 201010
耳鳴りか鬼灯市の風鈴か 石田きよし 201010
時々の風鈴ききて写経かな 谷村幸子 201010
風鈴は何かを思ひ出して鳴る 高橋将夫 201010
風鈴の鳴りて悲しき娘の忌日 高橋照子 雨月 201010
風鈴の休む間のなき夜の宴 塩路五郎 201010
風鈴の何故かそこだけ風がある 泉田秋硯 201010
風鈴の一筋の風待ちにけり 藤原さちよ 酸漿 201010
風鈴に返事もらひしひとりごと 年森恭子 ぐろっけ 201010
風鈴に紙いちまいの錘かな 辻直美 201010
風鈴に子猫の耳のよく動く 荻龍雲 201010
風鈴が改札口に揺れる駅 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201010
音ひとつはづし風鈴ひとつ買ふ 有吉桜雲 201010
動く葉もなく風鈴の啄木歌 四條進 201010
江戸切子の風鈴鳴らす宵の風 西田史郎 201010
音澄める炭の風鈴買ひにけり 松本文一郎 六花 201011
からからと竹の風鈴鳴りにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201011
風鈴や五線譜になき風の曲 北川キヨ子 201011
藍甕は休ませてあり瀬戸風鈴 大島翠木 201011
お土産の明珍風鈴母国恋ふ 中村輝子 酸漿 201011
風鈴を吊してよりの今日の風 渡井佳代子 201011
風鈴のよく鳴つて家古びたる 森田尚宏 201011
風向きに相性ありて古風鈴 森田尚宏 201011
薄暑なか一度も鳴らぬ貝風鈴 中山純子 万象 201011
買はれゆく風鈴に風ついてゆく 林郁子 201011
観光の坑口に吊る鉄風鈴 筒井圭子朗 ぐろっけ 201012
残る風鈴忽と鳴り出づ夜明前 稲次登美子 雨月 201012
風鈴や母が吊るせば母の音 高林公美 馬醉木 201101
風鈴のチリとも鳴らず夕暮るる 松本アイ ぐろっけ 201101
しゃらしゃらと鳴る風鈴や鳥の来る 井田実代子 雨月 201107
軒風鈴大地の動悸次の世へ 鴨下昭 201108
海へ鳴る風鈴の音や夕日影 山崎里美 201108
泣けとこそ吊らる啄木の風鈴は 酒本八重 201109
いろいろの音色の競ふ風鈴市 中山静枝 201109
風鈴を外し預かる児を寝かす 野坂民子 馬醉木 201109
風鈴 →4      

 

2021年8月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。