風 鈴 2    200句

風鈴の音が眼帯にひびくのよ   三橋鷹女   向日葵

作品
作者
掲載誌
掲載年月
高階の何処か風鈴鳴つてをり 本荘初枝 築港 200309
風鈴も休み休みの風の道 高木昌子 築港 200309
風鈴に天王山の黒くあり 大山文子 火星 200309
塀越しに江戸風鈴が音を競ふ 毛利宏 酸漿 200309
列なりて風鈴揺れる無人駅 赤星惠子 あを 200309
風鈴や水平線が見たくなり 清水晃子 遠嶺 200310
しろがねの風鈴一人残さるる 加藤富美子 200310
盆東風や音ささやかな古風鈴 江本路代 酸漿 200310
風鈴に寺院の風のやはらかし 岡光子 酸漿 200310
くろがねの風鈴旅の荷に加ふ 泉田秋硯 200310
風鈴を吊る風の道心得て 出口賀律子 雨月 200310
思ひ出すやうに鳴りたる貝風鈴 小林朱夏 200310
江戸風鈴礼服風に当ててをり 後閑達雄 対岸 200310
風止んで風鈴のまた一休 加藤弘一 築港 200310
竹竿に百の風鈴百貨店 高木昌子 築港 200310
ままならぬ心風鈴鳴りにけり 小林禮子 築港 200310
風鈴にみどりごの四肢よく動く 中島霞 ぐろっけ 200310
風鈴を外して遣体安置の間 村上沙央 200311
風鈴の音と一人の一日なり 川原典子 酸漿 200311
声かけし留守家風鈴鳴りしきる 榎本みや 築港 200311
灯を消してより風鈴のよくひびき 影山わこ 百鳥 200311
貝風鈴正座を崩す潮どきか 上谷昌憲 200311
鉄風鈴小さな音色響かせて 二村蘭秋 雨月 200311
鳴り止まぬ風鈴九月一日来 三浦香都子 対岸 200311
宿題の山は崩れず貝風鈴 津田礼乃 遠嶺 200311
風鈴と風のたはむれ恋あそび 松田都青 京鹿子 200401
江戸風鈴一葉の路地迷ひ出で 中野一灯 八千草 200402
風鈴に吊る惜命の波郷の句 冨田みのる 200403
風鈴の音ほどに風の見えなくて 橘沙希 月の雫 200404
風鈴の風が広げる夜のとばり 橘沙希 月の雫 200404
嫁がせし夜の風鈴の良く鳴れり 福井隆子 つぎつぎと 200405
軒風鈴吊りたる夜の訃報なり 福井隆子 つぎつぎと 200405
風鈴の億劫さうにひとつ鳴る 杉良介 200407
風鈴の音の聞ゆる留守の家 栢森定男 「風よ」 200407
風鈴を吊し異国へ旅立ちぬ 高橋とも子 百鳥 200408
作務衣僧風鈴吊って居られけり 神田一瓢 雨月 200408
風鈴の雨添ふ音となりにけり 林田江美 馬醉木 200408
風鈴を買ふ風鈴の風の中 木内美保子 六花 200408
今はもう海は見えずに貝風鈴 能村研三 200408
風鈴吊る空の最も明るき辺 近藤喜子 200409
江戸風鈴赤きを選りて母見舞ふ 土屋明子 百鳥 200409
風鈴やひとりの店を開けてをり 藤森万里子 百鳥 200409
母の忌の朝の風鈴よく鳴りぬ 竪ヤエ子 京鹿子 200409
風鈴となる火の玉を吹きにけり 久保一岩 京鹿子 200409
貝風鈴鳴るまで忘れられてをり 名村早智子 築港 200409
新所帯風鈴を吊る釘を打つ 森川泰雄 200409
風鈴と競ひてをりぬ山鳴らし 紺野とも子 200409
風鈴に音色あること忘れゐし 早崎泰江 あを 200409
風鈴や多情多恨の日の遠し 芝尚子 あを 200409
細工師の軒風鈴も竹づくり 鷹羽狩行 200410
お隣の風を受けつぎ江戸風鈴 神山ゆき子 200410
風鈴の下で爪切る風呂上り 吉田かずや 春燈 200410
志ん朝のテープ終りし宵風鈴 佐渡谷秀一 春燈 200410
絵付小屋時折り風鈴鳴りにけり 佐藤忍 万象 200410
風鈴の鳴らねば忘れられもする 佐藤よしい 風土 200410
夜の風鈴月の言葉と言ひつべく 林翔 200410
只風鈴鳴つて天水暮しかな 作々木よし子 200410
風鈴を聴く片耳のゴツホかな 芝川百合子 京鹿子 200410
魔性めく夜の風鈴や寝そびれつ 守屋井蛙 酸漿 200410
風鈴や欄間ほめゐる妻の客 杉江茂義 雲の峰 200410
風鈴や老舗にて聞く京ことば 浅田光蛙 対岸 200410
風起す風鈴市の舞台裏 山田晴久 築港 200410
風鈴を選る音を聞き絵柄見て 青木暁子 築港 200410
工房の南部風鈴響き合ふ 青木暁子 築港 200410
風鈴の短冊いつか色褪せて 中林たみを 築港 200410
風鈴の音色届けよ亡き母へ 阪口久子 築港 200410
くろがねの風鈴通夜にはづしけり 川島和 帆船 200410
風鈴や家族の揃ふ午後三時 杉山喜代子 帆船 200410
こぞ買ひし風鈴忘れられにけり 沖増修治 百鳥 200410
風鈴や登りつめたる坂の町 鈴木實 百鳥 200410
江戸風鈴良き後継の育ちをり 田中藤穂 あを 200410
風鈴や星のささやく声かとも 山下青坡 200411
引越してまづ風鈴を吊りにけり 青木勝子 200411
風鈴の鳴るとき光はじきけり 宮川迪夫 遠嶺 200411
風鈴や上がり框で足る用事 淺場英彦 万象 200411
風鈴を吊つて暫く揺らしをり 小林朱夏 200411
風鈴を庭木に掛けて母の家 中田尚子 百鳥 200411
墨染の袖風鈴を選びをり 英龍子 百鳥 200411
鮒鮨を仕込む母屋に風鈴鳴る 長村雄作 栴檀 200411
風鈴の風が連れ去る月日かな 閑田梅月 馬醉木 200412
店番の鉄風鈴や黄粉飴 廣戸次郎 200501
風鈴やプリンのやうな嬰を抱き 斉藤利枝子 対岸 200502
風鈴や一人の店を開けてをり 藤森万里子 百鳥 200502
沼照りも風鈴の音も木の芽寒 岡本眸 200504
歩行者天国風鈴売りもゐて 直井たつろ 風土 200507
風鈴に風もなく日の沈みたり 永利恍郷 河鹿 200508
幽境に在らむと庵の竹風鈴 小澤克己 遠嶺 200508
マンションに住みて風鈴嫌はるる 八代清子 200508
風鈴の舌きりきりと海の風 安陪青人 雨月 200508
夕月の暈に風鈴韻きけり 根岸善雄 馬醉木 200509
風鈴や鏡要らずの身ごしらへ 田村園子 200509
風鈴のときどきおもひだす記憶 木村みかん 200509
風鈴の音色さだめの茶髪連れ 河内桜人 京鹿子 200509
客去りてはしゃがずなりし夕風鈴 津田霧笛 ぐろっけ 200509
風鈴や母に呼ばれてゐるやうな 前田永子 200509
江戸風鈴鳴る茅葺の深廂 芝尚子 あを 200509
風鈴やまどろむ前後鳴つてをり 木村茂登子 あを 200509
風鈴へ窓しめられてしまひけり 定梶じょう あを 200509
車椅子招く風鈴アーケード 沼口蓬風 河鹿 200510
風鈴の音色選ぶや眠気さす 小牧弘治 河鹿 200510
風鈴に息合はせゐて故郷なる 深澤厚子 馬醉木 200510
風鈴へ自慢の一句下げにけり 今中道子 200510
鉄風鈴鳴らす賢治の国の風 山県章宏 200510
大榧の香に風鈴の鳴りにけり 戸栗末廣 火星 200510
風鈴の二人の会話繋ぎたる 瀬下るか 200510
風鈴にふと佇みし夜の散歩 橋本貞二 酸漿 200510
水の町風鈴売りの通りけり 後藤秋邑 百鳥 200510
無人駅風鈴ひとつ鳴りゐたり 堀井英子 雨月 200510
風鈴の音色に風の行方思ふ 細川コマヱ 雨月 200510
京風鈴ときをり声を詰まらせる 浦玲良子 六花 200510
風鈴の音掴まへに幼き手 平居澪子 六花 200510
風鈴をはづしてよりの月日かな 鈴木とおる 風土 200510
風鈴市お大師詣りとなりにけり 平田紀美子 風土 200510
風を呼ぶ南部風鈴妻病めり 徳田正樹 河鹿 200510
大藁屋留守に風鈴鳴つてをり 川加藤サヨ子 築港 200510
風鈴に癒しの風を貰ひけり 大森玲子 築港 200510
客去りて風鈴の音の高まれり 秋千晴 200510
軒風鈴そろそろ水を買ひ足しに 長谷川千枝子 200510
風鈴の音高ければここちよき 長崎桂子 あを 200510
風鈴をあやつる風のすさびごと 長崎桂子 あを 200510
風鈴の音色あやしくなりし空 戸田円三 200511
乗り継ぎの駅の風鈴南部鉄 渡邉民子 200511
風鈴のゆめをうつつをたもとほり 中野京子 200511
場所変へし風鈴鳴りてよろこべり 田口たつお ぐろっけ 200511
大方は揺れてはをらず軒風鈴 小林朱夏 200511
風鈴が答へてくれる独り言 吉田多美 京鹿子 200511
風鈴に火の声混じる阿蘇夕べ 禰寝瓶史 京鹿子 200511
風鈴を吊つて曖昧宿昏し 染谷晴子 200511
見上ぐれば応ふるごとく軒風鈴 堀江美佐子 200512
風鈴やおむつはづせばすぐに逃げ 向井由利子 200512
憚らず老を生きよと風鈴は 木村風師 馬醉木 200512
湾めぐる船に風鈴吊つてあり 氏家知子 栴檀 200512
居留守つかふに風鈴の鳴り過ぎし 田口武 さうぢやなくても 200512
べらんめえ調流していたり江戸風鈴 中野英歩 八千草 200601
ローカル線の風鈴電車子ははしやぐ 西島みね子 八千草 200601
賢治の詩風を呼んでは鳴る風鈴 真木早苗 八千草 200602
夜は星と風鈴語り明したる 竹下陶子 ホトトギス 200603
風鈴鳴らして協約も何もない会社 瀧春一 瓦礫 200606
風鈴屋風に商ひまかせけり 鈴木榮子 春燈 200607
硝子風鈴男が買ひて女が持つ 松下道臣 まんまる 200607
軒風鈴鳴るしあはせを嬰児と 渡邉友七 あを 200607
鈴の音を担ぎ銀座に風鈴屋 片野光子 ぐろっけ 200608
風鈴を買ふ講釈を聞きながら 片野光子 ぐろっけ 200608
風鈴を妻見上ぐるに吾もまた 大橋晄 雨月 200608
人恋ふやはや風鈴を外に吊るし 千坂美津恵 200609
呼鈴を押す間も風鈴鳴つてをり 中山純子 万象 200609
風鈴を吊り銭湯の残りをり 大西八洲雄 万象 200609
風鈴を吊り紙漉の一と区切り 大西八洲雄 万象 200609
風鈴のすべてを鳴らし一つ買ふ 古川京子 万象 200609
風鈴を鳴らし過客となりにけり 桜井葉子 遠嶺 200609
風鈴の雨呼ぶ音となりにけり 高橋照子 雨月 200609
アパートの風鈴救急車が煽る 定梶じょう あを 200609
風鈴や湯葉懐石に乱気流 泉田秋硯 200610
風鈴や子孫代々頑固者 君塚敦二 春燈 200610
風鈴の屋台去んだり水たまり 浜口高子 火星 200610
諍ひに合の手が入る江戸風鈴 堀志皋 火星 200610
単身赴任のカバンに入れし江戸風鈴 大城戸みさ子 火星 200610
風鈴の下で嬰子の襁褓替ふ 大西八洲雄 万象 200610
御手洗に風鈴を吊る夏越かな 今越みち子 万象 200610
影揺れて明日を呼びをり宵風鈴 いしだゆか 遠嶺 200610
愛想よき婆の店先風鈴鳴る 今井梔子 200610
退屈な午後の風鈴ときどき鳴る 柴田佐知子 200610
一つ売れ吊り足す風鈴鳴りにけり 沖倉好秋 酸漿 200610
つつましく揺れて風鈴日和かな 舛田初惠 酸漿 200610
貝風鈴音色こぼるゝ黄昏どき 舩越美喜 京鹿子 200611
おけさ風鈴山河いざなふ音にかな 山崎靖子 200611
オホーツク海辺の駅の貝風鈴 佐藤哲 万象 200611
風鈴が寡黙な人のことば継ぎ 西山春文 200612
貝風鈴水の碧さを恋ひにけり 久保久子 春燈 200612
風鈴をいさめるやうに仕舞ひけり 前川明子 200612
がしやがしやと貝風鈴の鳴るもよし 長沼紫紅 200612
貝風鈴とほくに海の見えてゐて 長沼紫紅 200612
貝風鈴に心澄ませてをりにけり 長沼紫紅 200612
吊ればすぐ風の生まれて貝風鈴 長沼紫紅 200612
民宿の長逗留の貝風鈴 前田貴美子 万象 200701
風鈴は小さな楽器音豊か 伊藤公女 ぐろっけ 200701
風鈴をみがいて仕舞ふ午後一人 伊藤公女 ぐろっけ 200701
風鈴をためらひつつも外しけり ことり 六花 200701
ギャラリーの空間埋める江戸風鈴 中島英子 八千草 200701
子の土産香りもつれて貝風鈴 上間和子 八千草 200701
風鈴や平成の子に乳足らぬ  百瀬七生子 海光 200705
雨をいざなふ風鈴の音色かな 小川匠太郎 200707
風鈴を聴きながら爪切つてをり ことり 六花 200707
ひと雨に江戸風鈴の音色澄む 中村悦子 200708
夕風やはや風鈴を吊りし家 小林清之介 風土 200708
風鈴の尾の曲りぐせ風のくせ 湯橋喜美 200708
舌変へて江戸風鈴となりにけり 近藤公子 200709
出しそびる竹風鈴も陶枕も 伊藤白潮 200709
半被着てべらんめえ調の風鈴売り 杉谷文江 200709
風鈴の良き音色して暮れゆくも 矢崎暉文 酸漿 200709
縁側に風鈴眼鏡父の肩 吉村摂護 200709
風鈴に達するまでは紫煙たり 鳳蛮華 200709
貝風鈴思はぬ音をたてにけり 長沼紫紅 200709
敦忌の頑固風鈴触れて鳴らす 君塚敦二 春燈 200710
風鈴のちりんと風の回遊し 高野幸次 200710
振り売りの風鈴買ひて軒に吊る 佐野蒼魚 200710
濡れてゐる空に垂らせり貝風鈴 吉田明子 200710
敦忌の頑固風鈴触れて鳴らす 君塚敦二 春燈 200710
一つづつ風と売れ行く風鈴屋 木内美保子 六花 200710
暗がりの風鈴の鳴りそこねたる 吉岡一三 200710
風鈴→3      

 

2021年7月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。